《HAL's Monitor Report》


No.0032 - 2000/10/13

千葉県松戸市 KK 様

1.モニター対象機器

@MEI製トールボーイSP用ボード MS−S301 ×2枚
AMEI製 MMW−1(「Zボード」の汎用タイプです)
Bステウヴォックス製パワーアンプ PW−1

2.自己紹介など

 ハルズ・サークルの皆様、こんにちは。千葉県松戸市在住のKです。 40歳台のごく普通のサラリーマンで、後述の使用機器等でお分かりのとおり 一般的なオーディオマニアです。
 ハルズのメンバーとしてはエントリー・クラス・・・・・・。

 オーディオにはまりだしたのはこの数年とキャリアも浅いのですが、音楽自体は 学生時代から大好きで、カミさんの許した(?)範囲内でLP・CDはそこそこ買い集めてます。 現在はクラシックに手を染めはじめている(老けたから?)という状況にありますが、昔の 名残でロック関係にもいまだに手を出し、PAGE&PLANTの「TEN DAYS」なんぞ (ハルズのメンバーでこのCDをご存じの方は何人いらっしゃるでしょう?)を時々引っ張り 出しては、こちらは音を聞くというよりはその時代を懐かしんでいます。(と言うと完全に老け て来てますね、こりゃ)

使用している機器は・・・・・・
◆CDプレーヤー    :エソテリック  X−10W(D)
◆プリアンプ         :アキュフェーズ  C−290
◆パワーアンプ     :サンスイ  AU−α907MR(D)のパワー部流用
◆スピーカー        :ティール  CS2.3BEM(D)
◆ツィーター          :フォステックス   FT−90HG(D)
◆壁コンセント      :PAD  CLYO−L2(D)
◆ケーブル関係    :各種PADで揃ってしまいました。
◆その他             :アコースティック・リバイブ    スーパーアースリンクRE−9(D)

 何かバラバラな感じですが、中古も含めて買い得なものを狙いつつ徐々に グレード・アップして来た結果です。 型番の後ろの(D)は何かって?限定モデル等ではなく、私がダイナミック・ オーディオさんで購入したものなのです。(などと宣伝も入れつつ)

3.モニターお願いのきっかけ

 オーディオ・ルームといっても「鉄筋長屋」住まいで、14畳程度の食堂・リビング兼用で 家族のスペースと当然に共用ですし、スピーカー間にはオーディオ以外にTVやビデオの 置かれたラックがあり、床も鉄筋マンションのフローリング、かつセッティングの一部が 床下収納の弱い部分にもかかるなど、劣悪な環境です。 その為、いろいろとボード・インシュレーター関係を工夫するなど、種々の改良(改悪?) を続けている中で、ハルズ・モニターのMEIの新素材「Zボード」の記事を見て川又さん のお薦め、かつ、ハルズ扱いの商品の中では安価ということで「これは!」と応募 致しました。 ついでに、MEIのSP用ボード(これは従来のNFセラミックの素材)までお願いしたところ、 これも快くOKして頂きました。 更に、いずれ買うつもりのパワーアンプで、気になっていたステラのPW−1の話も 一緒に川又さんに相談のところ、いろいろやりくりして頂き拝借出来るとの話。 まあ、何たる太っ腹。モニター・リストにないものまでお手配頂けるなんて・・・・・・ 本当に驚きました(感謝、感謝)。

4.試聴感想(その1:ボード)

○9月20日

 MMW−1(「Zボード」の汎用タイプ)とSP用ボードMS−S301が到着。 まずMS−S301の箱を開ける。「ゲッ、新品だ・・・・・。買うと決めた訳でもないのに」 と言いながらMS−S301をティールの下にセット。 この日はサッカー、日本対ブラジル戦の日、「こんな日にオーディオをいじって」等と 家族から大非難を受けつつ・・・・・・。

 スピーカーは、受けボードにエラック用のLSフィラーの「擬似米」を敷き詰め(ここで ニヤッとした人はどれ位いらっしゃるでしょうか。あ、因みにこれも(D)でした)、その 上にブチル合板ボードを置いてスピーカーをセット、というのが従来の状況です。 現状は、高音の若干のうるささを気にしつつもエージング待ちかな?といいつつ聞いて おりました。

 激変。
 まあ、手製のブチルボードと比較しては失礼でしょうが、全く変わりました。

@音が一寸小さくなって(実は余計な音が取れた?)ボリュームを上げたくなり
A高音の煩さや、低音のボワッとした感じが著しく低下し、ボリュームを上げても
 聞き疲れがしない(特に女性ヴォーカルがすごく聞きやすくなりました)
B解像度が上がり、気が付かなかった音が聞こえてくる
C勿論、高音・低音とも伸びが従来とは段違い

という、状態が実際に起こりました。

 このボード自体は従来のNFセラミックですが、効果としては川又さんが 「Zボード」のレポートで紹介しているのと同じ傾向なのだろうと思います。 また、鳴っているときに結構振動していたSPのエンクロージャーの揺れが かなり抑えられています。 「内部損失の大きさ」ということが音以外のところでも良く分かります。

 いやあ、ティールさん、あなたはこういう音だったんですね。勿論、エージングで更に 変わるんでしょうけど、とにかく誤解してすいませんでした。 等と言いつつ、夜中までいろいろなCDを引っ張り出しては「これ、こんな風に聞こえ るんだ・・・」と一つ一つに感激、カミさんに「もう寝なさい、若くないんだから」と叱られた ところで1日目終了。 川又さんご推奨の新素材のZボードはどうか?とはやる気持ちを抑えて就寝。

○9月21日

 さて、いよいよ新素材ボードMMW−1をアンプへセットします。 なお、現状は以下のボードを使っています。

◆CD :エソテリック X−10W →JI−PROJECTのTHE PLANE(TGT)
◆プリ :アキュフェーズ C−290 →AUDIO SPICEのCC−18
◆パワー:サンスイ AU−α907MR →TAOCの SCB−CS50D

 梱包を解く。SP用のMS−M301よりも更にズッシリとしたボードの重みに、 昨日以上の変化を予感しながらサンスイのAU−α907MRの下にTAOCに 代えてセット。
 この日は柔道で井上康生選手の感動の金メダル、そんな中で「また、オーディオを いじって」と家族の大非難を浴びながら・・・・・・

 激変、またもや。
 昨日のSPボードで変わった音が、更にはっきりとグレードアップしました。
@まず感じたのは、音が大きくなった。 この点は昨日と反対の事象でした。
アンプの場合は余計な振動が取れてアンプ本来の実力が表に出てくるからなの でしょうか?この辺の理屈はよく分かりませんが・・・・・・。
Aまた、音のダイナミック・レンジが更に広がり、
Bこれが一番感激ですが、微少な音が非常によく聞こえる。
それも、昨日にMS−M301をセットした時には聞こえなかった音が。 ジム・オッドさんの言っている「マイクロ・ダイナミズム」ってこんなことなのかな? (全然レベルが違うって?ほっといてくれ!)
C音量を絞ってもサウンド・ステージがしぼまないというか、縮まらない

 いやあ、サンスイさんすいません、そりゃあセパレートアンプと比べりゃあ・・・・って ことは当たり前ですが、普段聴いていなかった実力がまだまだあったんですね。 失礼しました。
 等と言いつつ、又もや夜中までいろいろなCDを引っ張り出しては「これ、こんな風 に聞こえるんだ・・・」と一つ一つに再度感激、カミさんに「いい加減にしなさい」と 叱られたところで2日目終了。

 聞いてみたCDの特徴的な感想を簡単に記します。
●水橋孝・田中裕士、ミスター・ボージャングル、1曲目、「ミスター・ボージャングル」
右チャンネルのベースがキリッと引き締まる。ピアノも含めて、ホール・トーンかな? と思っていたエコーのような響きは後退してスッキリとした感じ。
●ゲルギエフ、キーロフオーケストラのチャイコフスキー交響曲「悲愴」
1楽章冒頭のピアニシモでの低音弦の重なりがはっきりとそれぞれに分かる、 オーケストラの大きさが小音量でもしぼまない。マンション住まいで夜中に聴く 場合でも音楽が楽しめるので、これはすごく嬉しい。
●山本英次、トゥ・ファツィオリ、最終曲「トゥ・ファツィオリ」
ピアノの左手がグッと沈み込み、音に芯が通った。高音部の鮮度大幅アップ、 付帯音が削ぎ落とされクリアーな感じになる。
●神代百子、アラベスク、3曲目「展覧会の絵」
奥行き感が出る、でもエコーは減ったような、これまで聴いていたボワーンとした 響きは無くなってマリンバが自然な音になった。マレットで「叩く音」がマリンバ 自体の音と明瞭に識別出来る。
●カーペンターズ、ベスト、3曲目「スーパースター」
イントロの弦とホーンの絡みが絶妙。ヴォーカルがリアル、 カレンの姿が宙に 浮き上がって見える。

○9月22日

 柔道・篠原選手の「世紀の大誤審」による悲劇の銀メダル。日本中が、特にカミさん が怒りまくっている。
 久しぶりにPAD・システムエンハンサーREV.B(あ、これも(D)です)をかけて おいて、篠原選手の口惜しさを噛み締めながら就寝。

○9月23日・秋分の日

 システムエンハンサーをかけた後の、あの滑らかな感じが復活。 さらに、音楽を楽しみながら次々にCDを次々にかけてゆく。

 ピュア・オーディオに関係ない話を一つ。拙宅では、TVの音声をラインでプリに つないで家族に簡易ホームシアター(どこが?)と言って、オーディオ・ライフと 家族との生活の共存を図っております。
 ティールが可哀想?と言えばそれまでですが、これも我が家で生きる為には・・・・・・ でも、今回のボードを使用してからは、子供たちはスターウォーズなんぞの戦闘 シーンの爆音を聞いて、「オーッ、スゲェーッ」と言って喜んで見ております。

 この日は画面を見ながらの、長男の「(これまでと)全然違うじゃん」という言葉に 小生も大きくうなづきつつ、オリンピックとオーディオとビデオで家族一同楽しく 過ごしました。
 中田HIDEがあのPKをはずすまでは・・・・・・。嗚呼。

5.ボード部門のまとめ

ボードに関して、取敢えずこの時点でまとめてみます。

 いやあ、セッティングは大事というのは分かっていたつもりでしたが、まだまだだったと 言う、その一言につきますね。同じMEIのボードで「MS−S301(従来のNFセラミック)」と 「MMW−1(新素材)」のどちらが効くのかという形での比較は出来ませんでしたが (MMW−1も2枚借りれば良かった!)、夫々の段階で確実に効きました。
 SP部分で大きく改善した後でも、更に大きく改善させるのだからMMW−1の方が 「効く」と言ってしまえばあまりに当然の結論ですが。 (因みにMMWの内部損失は、従来のNFセラミックの2.4倍にもなるそうです)

 MMW−1をSP・アンプの両方に使用したらどうなるのか?という「悪魔のささやき」 には耳を貸さないように、必死に心の中で打ち消しつつ、モニター期間中は楽しま せて頂こうと思っています。
でも、こりゃあ手放せんかな?
でもでも、川又さんにPADのアイソレーション・ボードのモニターも申し込んであるし、
でもでも、PADのボードを何枚も買える訳はないし・・・・・・・と悩みは尽きません。

6.試聴感想(その2:アンプ)

○9月26日

 ステラヴォックス社のモノラル・パワー・アンプPW−1が到着。
 写真で見て、「オーッ、カッコイイー」と思ってしまったゴールドムンド社の別ブランド。 幅が1台で約15センチの小さな筐体で、これで200ワットのパワー。 でも、足は普通のゴムみたいかな?

 早速セットする。「ティールにゴールドムンドはちょっと音がきつくなるかも」と 某専門店で言われて、ちょっと気になっていたが全然そんな感じは無い。高音の伸びは 更に自然で、中域での音のハリも取れて一層聞きやすくなった。 但し、低域の伸びは今一つか?。当然ながら、「期待と比べて」ということで今までに 比べれば制動力が向上しているのは間違い無いのだが。 もっとも我が家のシステムに組み込んで通電してから未だ1時間、もう少しなじむまで待とう。 電源スイッチもリアにあって、常時電源は入れっぱなしする前提のようだし。
 ということでPADのシステム・エンハンサーをかけて、日本女子ソフトボールチームの 大健闘の銀メダルを称えつつ就寝。明日が楽しみ。

○9月27日

 帰宅して、音出し。セリーヌ・ディオンのフランス語アルバム、「S'IL SUFFISAIT D'AIMER」、1曲目「JECVOIS TOI」をかけてみる。
 音の厚み・ヴォーカルの迫ってくる感じが昨日と全然違う。電源ケーブルを付属の ものから、PADのエントリー・クラスのものに替えてみる。更に、音が「充実」する。 小生、ちょっと風邪気味。電源ケーブル部分の為に、再度システム・エンハンサー をかけて早めに就寝。
 「泣くな、松坂!8回まで頑張って打たれた君を誰も責めない」と心の中で呟きながら。

○9月28日

 透明感が一段とUP。到着以来、電源は入れっぱなし、段々落ち着いてきた。 聞いている方も到着時の感激から落ち着いて来て、じっくりと音楽を聞く。 高音側はどこまでも澄み切って伸びてゆくような感じ。 室内楽は定位も一層はっきりとしてこれまでとは別次元の音、特に弦楽四重奏 などは醸し出される雰囲気がたまりません。
 一方、低音はさっぱりした傾向、「鉄筋長屋」住まいで大音量は無理。 もう少し大きな音が出せれば違ってくると思うが。
 休日の昼間にちょっと大きな音で鳴らしてみよう。

○9月30日〜10月1日

 待望の休日、ちょっと大きめの音で聞く。うーん、やっぱりさっぱりめかな。 これで満足出来なきゃどんなアンプなら良いんだ、などと自分を責めつつ、 スピーカーの内振りの角度などをいじってみる。 でも、文句を言いつつ「やっぱりいいなぁ」と終日楽しんだ。
 シンクロとか新体操って余りピンと来ないんだけど、カバエワって子だけは フープで失敗してもかわいいね、といってTVをじっと見つめていてカミさんに 蹴飛ばされる。メダルの数と同じで、我が家も女性上位・・・・・・。
 シドニー・オリンピック終了。

○10月2日・アンプのまとめ

 パワー・アンプPW−1はモニター期間が1週間の今日で終了。 (通常のハルズ・モニターとはこれのみ異なります。) 1週間楽しんできたアンプをはずして、元に戻す。(涙)
 でも、自分で聞きなれた元の音(でもボードの効果はキチンと出ているが)に 落胆と安堵の入り混ざった複雑な気持ちを持ちながら、しばらくはこの音と 付合ってゆこうと思う。
 うーん、でもアンプって難しいですね。結局、この辺りのレベルでの低音の 魅力というのをどこまで求めるかが進路の分かれ目なのでしょうか。 もう少しお金をためつつ、配信される在宅中古情報に安めの物件がないかを 目を皿のようにして見ながら、気長に探してゆくことにしよう。

7.最後に

 自宅試聴という貴重な機会を与えて頂いて、本当に有り難うございました。 我々素人は店頭でチョロっと聞いて、これがいいのかどうか、自宅のシステムに ポンとはめ込んだらどうかなんて分かりませんし・・・・・・。

 こうした専門店の方のお薦め・アドバイスというのは我々にとってはとっても貴重 ですし、もっと言ってしまうと、モニター対象リストにアップされた製品に我々が 「なるほどなぁ」と共感出来て、「お店」に対する信頼感が醸し出されてゆくという、 「買う・買わない」を別にした部分も(すいません)、ハルズモニターという制度の狙い なのかな、と思ったりしました。

 ハルズ・ニュースによれば、7月でメンバーが300人を超えたとのこと(今はもう 500人?)で、遅れ馳せながらおめでとうございます。
 こうした「共感の輪」の片隅に加わっていられることに感謝致します。


HAL's Monitor Report