《HAL's Monitor Report》


H.A.L.'s  Fan 会長 川又より

この埼玉県在住のNishijimさんからはリスニングルームの画像も
頂戴しました。特定の製品をクローズアップするのではなく、
映像の捉え方もご本人のオーディオに対する感性が画面の
中に現われていると感じました。
H.A.L.'s  Fan での最初のビジュアルレポートをここにご紹介します。
H.A.L.'s  Fan ではこれからも同様な皆様の手法を歓迎いたします。
ありがとうございました。

No.0014 - 2000/08/10

埼玉県在住  Nishijim 様

 モニター対象商品 PAD ACドミナス

     Nishijimさんの部屋 その1 その2 その3

我が家のシステム
メイン

 CDトランスポート マークレビンソンNo.31L
 D/Aコンバーター マークレビンソンNo.30.5L
 プリアンプ     コンバージェントオーディオテクノロジーSL-1Sig
 パワーアンプ   VACルネッサンス70/70
 スピーカー     マッキントッシュXRT-22
 ケーブル類    PADコロッサスetc

サブ

 CDプレーヤー   フィリップスLHH-800R
 プリアンプ     ラックスマンCL-38
 パワーアンプ   デンオンPOA3000RG
 スピーカー     エレクタアマトール
 ケーブル類    オルトフォン



あくまで我が家のリスニングルーム、私のシステムにおけるACドミナス試聴レポート
です。
”球”とケーブルの取り合わせというのはなかなかお目にかかれないもので、それで
は自分でやってみようということで、モニターに応募してみました。
自分のシステムの為にモニターしたのですが、私と同様に古いコンポーネントを使用
している方がいらっしゃれば、ケーブル選択の参考にして頂けたら幸いです。

よく聴く音楽はボーカル、ジャズ、インストゥルメンタル、ポップス、ロックなどで
クラッシックはあまり聴きません。


1.電線の支配力

まずACケーブルでどの程度音がかわるのか? 変わるのです、これが。ラインケーブ
ルやスピーカーケーブルを替えるより差は大きいと思います。トランスポート、
DAC、プリ、パワーアンプ、どれに使っても同じキャラクターの音に変化します。2
箇所、3箇所と使用本数を増やしていくとそのキャラクターはどんどん濃く濃密なも
のとなっていきます。
ドミナスACのキャラクターが好みに合えば、すべてに使用して濃密に楽しむのも良い
し、スパイス的に一部に使用しても十分楽しめると思います。
我が家では標準品(ベルデン)〜ACコロッサスに交換してましたが、ACドミナスに交
換したときはACコロッサスにしたときの数倍の変化、強い支配力を感じました。
特に真空管コンポーネントでは変化は大きいようです。よく”ケーブル類は入り口に
近い方のグレードを上げた方が良い”と聞きますが、特にそういうことは感じません
でした。それよりも機器による感受性の違いを感じました。


2.キャラクター

ACドミナスに換えて、どんな音になったのでしょうか? これは個人の嗜好や感受性
などで受け取り方も違うのでしょうが、参考程度にはなるでしょう。
まず、素晴らしいのがボーカル。参りました,これは凄いです。これを聴いちゃう
と”車売って5本買っちゃおうかな(VACに2本必要!)”と思います、本当に。肉
声感、生っぽさ、湿度感、滑らかさなどがたっぷりと乗ってきます。
女声の再生でACコロッサスだと、声に高域のハーモニクスが乗る感じで若干細くなり
ますが、ドミナスは低域方向の倍音もきれいにつながっている感じで、ふくよかな感
覚があります。といっても音像自体は大きく膨らんだりはしません。声自体がウエイ
トの乗った声になります。
妙に高域が硬い出方をして機械っぽい声になってしまっている場合は最高の補正が期
待できます。
ナタリーコールは絶品です。

高域優勢のかっちりした出方を”クオリティーが高い”と解釈している方にとっては
???となるかも知れません。音の感触、タッチは自然素材のもつ弾力、柔らかさを
感じます。比較すると純正品(ベルデン)は鉱物系の感じです。テニスガットのシィ
ンセティックとシープ、ゴルフクラブのドライバーのチタンとパーシモンの打球感の
違いに似たものがあります。中域の表現力が豊富です。
ちなみにACコロッサスはそれらの中間くらいのキャラクターです。こうして比べてし
まうと中間のものはどっちつかずで魅力に乏しい気がします。良い頃合というのもあ
りでしょうけど。

ジャケット内部の導体の太さですが、ドミナスの導体はコロッサスのそれの数倍の太
さです。大電流を要するパワーアンプはともかく、入力系にこんなのつかったら繊細
感なくなっちゃうかも・・・と考えていたのですが、まったくの勘違いで、十分に繊
細でナイーブな音でした。それどころか、ベルデンやコロッサスにもどしてみると妙
に細かい音へのフォーカスの高まりが気になり(細かい音は良く立っているのだが粗
さがあり、ナイーブなタッチはない)、エンハンサーをかけたように、またXRTの語
り口がすごくヒステリーに感じてしまいました。”繊細感”と”細かい音がよく聞こ
える”ということはまったく別物で、音楽に則した出方をしてもらわないと”細かく
て煩わしい”となってしまいます。

作用があれば副作用があります。これは、1つの効果を好ましく受け取るかあるいは
そうでないかということでもありますが。
破裂音が弱く感じます。ホーンとソフトドームの質感の違いに似たものがあります。
ジャズのシンバルでは真鍮のシンバル、ヒッコリーのスティックの質感ではなく、響
きが空間に飛散し広がって行くのを表現するようです。バスドラムのアタックも同様
でいわゆる包み込むような低音になりました。これはパワーアンプがトランス出力で
あることと関係あるようにも思います(以前にMC1000+ドミナスで同様の低音の傾向
を感じた経緯あり)。よって一般的なトランジスターのOTLアンプには当てはまらな
いかもしれません。
しかしこれはソースの求める表現、個人の嗜好という問題もあり我が家に試聴に来た
友人たちは”滑らかで良い、煩くない、ゴージャス、リッチな音で全てにおいてドミ
ナスが良い”と言っておりました。
あまりに余裕綽々のリッチな音に変化したので以前の頑張りやな音をかわいそうに
思ってしまったのかも?表現自体は濃密でホットな感じも十分あるのですが、なにか
ガッツを感じないCDもありました。
考えてみれば、正反対のベクトルの両方を求めるのは非人道的な要求でもあります。
こんな人(私)の相手をする販売店の方も大変だろうと思います。


3.どうしましょ

3週間お借りしいろいろシステムをいじくってみて(プリアンプの真空管を変えると
かなり音も変わるので、いろいろ試して、テレフンケン82.83.Ccaになってます。試
聴前はマラードでした。)ドミナスの傾向、可能性を探ってきました。
ジャッジは・・・・・・これはいいです。特に女声、レガートな表現の音楽は、はま
ります。本当に良いです。オペラは最高でしょう。
新しいコンポーネントを導入した時は良いなと思っても、次第にそれが普通になって
しまうのを経験したことがあると思いますが、3週間経過しても声の魅力は強く感じ
られました。
”ガッツが足りない”件ですが、試聴開始3週間後に標準品にもどしてみると・・・
・自分が予想していたほどのガッツは出ませんでした。なんで?わからん!それより
も中低域の薄っぺらいのが気になります。軽いがゆえ低音楽器のリズムは決まります
が、味わいはかなり薄味になってしまいます。ボーカルは細く、湿度は半分以下にな
り砂漠での歌声のようです。

まいったなこれは。困りました。
試聴前までは、その音でそれなりに満足していたというのに・・・そんな自分が信じ
られません。
ドミナス何本も買うのだったら、コンポーネントを今風のものに変えたほうがいいの
では?という考えもあるし・・・でも今の音も捨てられないし・・・・価格的には
WE300Bに交換にも可能だな・・・と悶々としているところです。でも見たり聞いたり
しちゃうと我慢するの大変ですから、そのうち我慢切れで導入することになりそうで
す! 

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