《HAL's Monitor Report》


No.0013 - 2000/08/01

埼玉県朝霞市 ちょろやす 様

 モニター対象商品 PAD SYSTEM ENHANCER Rev.B

 思い起こせば今を遡ること三十数年、私が小学生低学年の頃、親父がもっていた モジュラーステレオ」でレコードをきき、そのステレオ再生音の魅力にとりつかれて 以来ずっと音楽ファンとして、また、オーディオファンとして歩んできました(ちょ っと大げさ)。中高生の頃はデンスケをかついで生録に走り、社会人になってからは 国産のプリメインを中心に音楽を楽しんでいました。自然と私のまわりには音楽好き 、オーディオ好きの人間が集まっています。

 今は賃貸マンションに暮らし、3才になる娘の攻撃からオーディオ機器を守るため 、愛用の機器はもっとも狭い納戸(約2.5m×約3.0m)に閉じこめられています 。現在の悩みはすべて部屋の狭さに起因します。ひとつは、大型のスピーカーが使え ないこと。もう一つは、エアボリュームが絶対的に小さいことから来る音場感の欠如 です。できれば、もう少し大きな部屋でききたいのですが諸事情が許しません。ただ し、狭い部屋ではありますが、最上階であり、角部屋でもあるため比較的大きな音を だすことができるのが唯一の救いです。

 最近は、クラシック40%、J−POP30%、海外物(jaz、rock、et c)30%という割合できいています。部屋、および機器の影響が多分にありますが 、どちらかというと写実的に再生するのが好みで定位重視派です。最近はオーケスト ラをもう少しふわっと鳴らしたいという欲望が出てきて試行錯誤しています。しかし 、どうしても部屋の狭さが影響して奥行き感が出ず苦戦しております。  毎日、ダイナミックオーディオHPのチェックは欠かさないのですが、今回の当選 は非常にラッキーでした。このレポートが、微力ながら皆さんの参考になれば幸いで す。ちなみに現在の愛用機器は以下のとおりです。

スピーカー:B&W/SS25BOB
CDプレーヤー:WADIA16
プリアンプ:GOLDMUND/MIMESIS27
パワーアンプ:GOLDMUND/MIMESIS8.5
ラック:?(ヤマハGTラックもどき)
壁コンセント:PAD/CRYO - L2
ACタップ:千曲/CPS-22MKU-CL
壁コンセント→タップ:PAD/AC - Proteus 0.75m
ACタップ→CDプレーヤー:MIT/ Z-CODEU
ACタップ→プリアンプ:PAD/AC - Colossus 1.5m
ACタップ→パワーアンプ:キャメロットテクノロジー/POWER MASTER -600
CDプレーヤー→プリアンプ(RCA→RCA):PAD/Mizunosei RCA 1.0m
プリアンプ→パワーアンプ(RCA→RCA):PAD/Mizunosei RCA 1.0m
パワーアンプ→スピーカー:B&W/SS25付属
他、東京防音GAC1010(改)、エコーバスター等でルームアコースティックを調整
********************************

 開封した。目的のディスクは鈍い金色に深く輝いている。うーん、効きそうである 。市販の栄養ドリンクも最高級のグレードになるとおよそこんな色のパッケージに入 っている。説明書をよく読むと「機器の分子の再配列を促進」とある。以前、PAD社 のクライオジェニクスについての解説を読んだことがあるが、それと同じ様なことを CDから の信号でやろうということのようだ。私の頭では、わかったようなわからないような 気分である。1回の処理時間が74分で、これを5回繰り返さなければならない。と いうことは、6時間10分かかることになる。この処理をした結果、大きな変化が見 られれば6時間10分の時間差は問題ではないが、小さな変化でしかない場合は6時 間10分後に気が付くことができるであろうか。昼間と深夜ではマンションの電源事 情もずいぶんと異なる。心配である。愛聴版のCDを処理前にじっくりと聞き込み音 を記憶するように努めた。

 処理を開始する。雑音に似た再生音が盛大かつ複雑に出力される。何となく宇宙空 間をイメージさせる音だ。こんな音はきくに耐えないので、たいていは外出するか別 な部屋で過ごすが、しばらくしてチェックのためにオーディオルーム(恥ずかしなが ら狭い納戸をそう呼んでいる)に入ってみて驚いた。処理を開始した直後の再生音と 今出力されている再生音が違う。他社製品のBurn-inCDに収録されている信号はパ ターン化された再生音が繰り返されるだけだが(全部の時間きいて確認したわけではな いが)、PAD SYSTEM ENHANCER Rev.Bの再生音は違った音色(周波数)の組み合わせが 幾通りもあり、同じパターンの単なる繰り返しではない。つまり、いろいろな(雑?) 音による一大シンフォニーを作曲したと言えるんじゃないかとも思える。ここが、 Burn-in効果をうたう他のCDとの相違点であろう。

 処理が終わり早速試聴してみた。処理前の心配は、まったくの取り越し苦労だった ことをすぐに悟った。処理後の機器から出力される再生音を一言で表現するならば、 ナチュラル&スムース。分子の並びが整ったのでストレスが激減したということなん だろうか。具体的には三つの効果を確認することができた。
 ベートーベンの第九(London POCL-5011)からトラック4/第4楽章プレスト-アレ グロ・アッサイをきく。いままでちょっとべたっとした感じが否めなかったフォルテ の部分も、な んだかスカッと爽やかにきこえる。少しとげとげしかったバイオリン群が優しくきこ える。決しておとなしくなったわけではなく、余計な金属的な響きだけがとれた感じ である。ひずみ感が無くなったということであろう。ひとつひとつの音が、歯磨きあ との歯のようにツルツルピカピカしている感じがする。ティンパニの音色もいままで は"ダンダン"という感じであったが、本来のティンパニの音色ように"タンタン"と張 りをもってきこえてくる。よく「芯が出る」という表現を耳にするがこのことを言う のかと思う。バイオリンもティンパニも、その音色の変化を言葉で表した場合は濁音 をとればよい。心地よい変化である。 この濁音除去効果?が第一の効果である。
 古い録音であるが松任谷由実の流線形'80(Express ETP-80047)より9曲目の「か んらん車」をきく。イントロやエンディングで数種類のパーカッション(私には名前 がわからない楽器ばかりです)がいろいろな方向からきこえてくる曲だ。いままでは 、それぞれのパーカッションの縦横の位置関係はきちんと定位していたが、前後の関 係は今ひとつ明確ではなかった。しかし、処理後にはパーカッション同士の間にある 空間がグッと透明になった感じにきこえてくる。ブロック塀のコンクリートの目地が 消え、ひとつひとつのブロックが宙に浮き、さらに、前後に飛び出たり引っ込んだり したかの様な感覚である。この空間の透明化効果?が第二の効果である。
 私の部屋は前述のとおり非常に狭く、しかも、コンクリート造りのため音の反射に 悩まされている。ボリュームを上げるとキンキンする音が結構付いてくる。しかし、 処理後はキンキン音が付き始めてくるボリューム位置が明らかに高くなった。プリア ンプのボリュームインジケーターにボリューム位置が数字で表示されるため一目瞭然 である。自分なりに工夫をし吸音材等を用い対策を施していたが、PAD SYSTEM ENHANCER Rev.BによるBurn-in処理は吸音材を周囲に張り巡らすのと同様の効果が得 られることを発見した。このルームアコースティック改善効果が第三の効果である。

 おそらく、このレポートを読んでいる皆さんは、少しでも音をよくするために様々 なアクセサリーを用いて改善を図っていることと思います。少し高音がうるさかった ら制振効果をねらってインシュレーターを使ってみたり、音に芯を出そうと思ってケ ーブルをあれこれととっかえひっかえしてみたりしていることと思います。しかしそ の対策はほんとに正しいんでしょうか。ほんとに効果的なんでしょうか。もちろん、 間違いではなく、効果がないということは決してないと思います。しかし、順番が違 っているかも知れません。PAD SYSTEM ENHANCER Rev.Bという製品は機器本来の実力 を引き出す効果があります。様々な対策も、機器本来の実力を引き出したうえで行う のが正しい順序じゃないでしょうか。PAD SYSTEM ENHANCER Rev.Bは他のアクセサリ ーと比較しても決して高価な部類ではないと思います。これからは対策の順番を変え て、PAD SYSTEM ENHANCER Rev.BによるBurn-in処理を最優先にすべきだと思います。

 説明書にカーオーディオ等にも効果があると書いてありました。夏休みのドライブ を快適にするために早速試してみよーっと


HAL's Monitor Report