《HAL's Monitor Report》


No.009 - 2000/07/22

東京都港区在住  あくぞう 様

 モニター対象製品 PAD SYSTEM ENHANCER REV-B

■自己紹介的オーディオ歴
  1970年、丁度大阪万博の年に高校生になった私は、それまでの中学時代、関西 フォークに明け暮れていた音楽生活から、新しい友が増すごとにロック・JAZZの 洗礼を受けることとなりました。そんな中、衝撃をうけたのが、1972年のChick Coriaの ”Return to Forever”でした。それから、現在までJAZZ一本の音楽生活を送っ ております。

 オーディオ的には、父が結構この方面にも興味があるのか、小学校の高学年時に は、うちにPioneerのセパレート型ステレオも導入され、父は、その時代に ブームとなった講談社の名曲全集などを揃えて聞いておりました。(たしか、ソリッドス テート・FETという用語が良く父の口から出ていたのを覚えております) 私も、しばらくは、このステレオセットでアルバイトをしては買いこんだMiles やColtraneのアルバムを聞いていましたが、如何せん、リビングルームに鎮 座しているこのセットでJazzを聞くのは五月蝿いと云われ、時間も制約されると のことで大学時代に、念願のコンポーネントシステムを組みました。

 初めてのシステムは、DENON LP-7000・PIONEERのプリメイン(型 番は忘れました30000円ほど)・SPは、アイデンAF-50P+自作エンクロージャー (当時はやった、FM誌の長岡鉄夫の作例を参考にしたバックロードホーン)です。 コレで、結構10年ぐらいは聞き続けた次第です。
社会人になって、85年SPをグレードアップしようと憧れのJBLを購入。 でも、予算の関係で4401。当時は、JBLをドライブするにはやっぱり山水とのこと でAMPはAU-9600にしてJAZZ LP三昧の日々を送っておりました。

 しかし、この頃までのオーディオ情報と云えば、72年11月号からひたすら買い続け ているSwing Journalや、FM誌だけで、まだ「Stereo Sou nd」の存在は知りませんでした。
そんな中、環境はCD全盛となり、私も、次第にレコードから輸入CDの購入にチェ ンジ。ただ、CD-Playerに関する知識は乏しく、CDなんてどれも同じ音と云う概念がもあり 「音質より簡便性重視」と、Victerの6連奏CD-Playerを購入した次第です。 この頃までは、オーディオとは、ただ、好きなJAZZを聞く道具であり、音質より は音のパワーで、JAZZのグルーブ感をひたすら聞いていたのだと思います。

 私のオーディオ熱が、むっくり芽生えてきたのは、90年代になってからです。 当時、私は転勤で香川県高松市に在住しており、既存のシステムでは物足りなさを感 じていました。丁度、92年冬号から「Stereo Sound」誌を購読しはじ め、広告が掲載されていた高松市の「Audio Summit」にふらっとよったら、そこには、学 生時代に、よくデパートのオーディオ売り場で試聴していた山水のSP-LE8Tがあるではありませ んか。昔の恋人に再会した気持ちと、心はときめきました。しかし、細部がかなりくたびれ ていたため購入は断念。ただ、これで、オーディオ熱に拍車がかかったのは確かです。 次に、訪れたときに今度は、4311Bがありました。Aのほうが欲しかったのですが、 ここは、了解し、えいままよと購入した次第です。

 こうなれば、「SS」誌で音に対する想像力を増大して行き、今度は、当たり前のよ うにCD-Playerが不満になり、PHlLIPSのLHH700を購入。JAZZ にはどうかな とも感じましたが、記念モデルと言うことと、購入店「糸瀬無線」のリファレンス モデルと云うこともあり、購入を決意。同時に、アンプもAccuphase  E-406も購入し、現在に至っております。

 高松での転勤生活を終え大阪に戻り、秋の「ハイエンドオーディオフェア」や、日本 橋の電気街で試聴はしながらも、とりあえずは、今は、現有機で満足をして、JAZ Z三昧の日々を送っておりました。

 ところが、3年前の元旦付けで、東京勤務を命ぜられました。子供も小学生になった ため、今回は、単身赴任で行ってらっしゃいと云うことになりました。 棲家は、港区とアクセスの良い場所ですが、何の事は無い6畳程度の「ワンルームマ ンション」。 現有システムをもってくるには狭いし、当初は、大阪より持参した「ラジカセ」でJ AZZを聞いていたわけですが、これで、満足できるわけがありません。 いざ、秋葉原へと、もちろん、ダイナへと向かったわけです。HALは、チョット、 予算的にもムリなので、4階のサウンドハウスで、20万円で組みたいと相談しました ら、お店の糸井さんが、これではと勧めてくれたのが MARANTZ CD-19 PM-19 TANNOY TD-50のシステムです。 丁度、当時のSTEREO SOUND誌の「リニアフィールドリスニングの快楽」 という特集でも、CD-19/PM-19/TD-100がかなりの評価を得ていたこともあり、即決で購 入を決めたわけです。 このシステムならば、マンションの備品のビデオラックにCD/AMPが入るし、T D-50もトールボーイでスリムなので、狭い部屋にもしっくり収まっています。 また、今のマンションは、少々ボリュームを上げてもだいじょうぶなので、休日は朝 から晩までリニアフィールドリスニング状態で、JAZZ三昧の休日です。

 大阪には、月に2度ほど週末を利用して帰るわけですが、帰ればかえるで、家族の 運転手となり家族サービスがメイン。ゆっくりJ4311Bを聞くのは、家族が寝静まっ たあと。それも、ボリュームは極力絞って・・・。

■PAD SYSTEM ENHANCER REV-B
 7月上旬、いつものように、一献きこしめして我が家に戻ると、PADが届いており ました。早速開封。目も眩むゴールドCDを眺めつつ、説明書を熟読。

 次の朝、早速、出勤前にCDをCD-19にセットしバーンインを開始しました。 説明書によると、4回バーンインすると良いとのことで、リピートを活用。 スタートボタンをおすと、すぐに部屋は、TD-50からのシャーと云うホワイトノイ ズと、ピポピポと云う電子音の洪水に。 その音を後に、出勤した次第です。

 その日は、いつもより早く帰宅し、バーンインの成果を確認。 最初は、最近、とても気に入っているケニー・バロンのエンヤ盤「SCARTC H」。出だしの音から、何かが違う。特に、高音のリアルさが違う。 ピアノトリオの高音や、ダニエル・ユメールのシンバルの音が、これまでとは段違 い。しかし、高域だけがクリアに聞こえるのではなくて、中域・低域もくっきり。 もちろん、デイブ・ホランドのベースも、フォーカスのあった、締まった音に聞こえ る。バーンインしたという先入観はあるものの、明かに今までとは異なった音に聞こえてくる。

 本当に、アンプ・スピーカーをグレードアップしたような気分。 CD-19が、デスクの内容をだしきっている感じだ。

 次は、これも定番のサラ・ボーンとカウント・ベーシーオーケストラのパブロ盤。 20bitK2の音が、これまた、広がりをもって聞こえてくる。 サラのブレスまでが、とてもリアルに感じられる。

 最後は、今、一番のおきにいり「Miles Davis」の”Jack Johnson” もちろん、マスターサウンド盤。このCDは、CDを買い始めた、80年代後半の輸入 盤で買って愛聴していたが、マスターサウンドのあまりの音の違いにぶっ飛び、今回、再購入したもの。

 これまた、暴力的なジョン・マクラグリンのギターのあとに出てくる、マイルスの ペットの音の凄さはどうであろう。ただただ、凄いの一言。 これも、バーンイン前より、音の輪郭がくっきり出ている感じがする。

 CD-Playerがエントリーレベルであっても、以前に比べ、このCDにはこん な音が、ミュージシャンの表現までが入っているのだ。 と、認識させてくれる「玉手箱」と感じた次第です。

 7月の第2週に、帰阪しこのときも「PAD」を持参し、今度はLHH700にバーンイ ンしたわけですが、こちらは、家族サービスが主となったためか、バーンインは 一回だけしか出来ませんでした。 東京バージョンのような「激変」を期待して、4311Bに向かったわけですが、 こちらは、それほどの変化は感じられなかったのが正直なところです。

 システム自体の、自然なバーンイン(慣らし運転)は、すでに完了してしまっている ためか。それとも、たまにしか聴けないために、私自身が、メインシステムの音の 根本を忘れてしまったのか・・・。 家族がいる手前、東京のように、リニアフィールドリスニング状態に入れないもどか しさもあります。

 でも、こちらのシステムでの、PADのレポートは、夏休みに帰阪して再び、じっく り聴きこんでからと思っております。


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