《HAL's Monitor Report》


No.001 - 2000/07/05

港区在住 ソノピー 様

 モニター対象製品 PAD AC DOMINUS REV.B SIG 体験記

使用システム
CDプレーヤー:TEAC VRDS25XS
 XLRケーブル:WireWorld Gold Eclipse III
プリアンプ:Jeff Rowland Coherence
 XLRケーブル:WireWorld Gold Eclipse III
メインアンプ:Jeff Rowland Model 12
 SPケーブル:Acrotec 6N−S1000
スピーカー:B&W Nautilus 802
 ラック:Zoethecus audio z.5/R

 ハルズモニターの対象リストにPADの電源ケーブルACドミナスRev.B Sigを発見した。我が家のシステムで一度聴いてみたいと思っていたものである。早速メールで申し込んだところ、間もなく貸して頂けるとの連絡を頂いた。しかも、一度に3本(15Aを1本、20Aを2本)も! 総額100万円を超える商品が3週間も自宅試聴できる太っ腹な企画に感謝した。

 本来はドミナスとその他高級ケーブルとを比較したいところであったが、他の高級ケーブルは調達できなかったため、オリジナルのケーブルとドミナスという極端な比較を行った。試聴に利用したソフトはテーマソングであるヨー・ヨー・マのシンプリーバロック、クイケン四重奏団のハイドン:ロプコヴィッツ四重奏曲、他(COCQ-83291, DENON)等である。

 まず、最上流であるCDプレーヤーのみをドミナスに交換。相当な重みがあるためコンセントが根元から抜けそうになりながらぶら下がっているという感じだ。ここまで太いと見ているだけでも凄いことが起こりそうな雰囲気である。恐る恐るスタートしてみる…。前もってお断りしておかなければならないことが2点ある。1つは、我が家のシステムはマンションのリビングに控えめにセッティングしており、ハードの性能を十分に発揮できる環境ではない。また、もう1つは、幸か不幸か私はわずかな音質の差を聞き分ける耳は持っていない。例えば、Coherenceをバッテリーで駆動するか、ACで駆動するかぐらいの差であれば私は大して気にしない質である。
 ということをお断りした上で、ドミナスに交換した時の変化には驚嘆した。弦の響きが全く違うのである。弦の音に艶と深みがある。さらに今まで気づいていなかった音まで聴こえてくるのである。実はわずかな変化を聴き逃すまいと、ドミナスに交換する前に何度も同じ曲をリピートして頭に慣れさせていたのだが、そうしておく必要もなかった。さすがにこれだけ音質が改善されればこの私でも一聴すればわかる。

 次に、CDプレーヤーの電源をオリジナルに戻し、Coherenceのみをドミナスに交換し、バッテリー駆動した。聞くところによると、たとえバッテリー駆動する場合でもACケーブルをドミナスにすると音質が変わるという。しかし、正直なところ私にとってはほとんど差は感じられなかった。

 最後に、Model12(モノラル2台)のみをドミナスに交換。これも変化は大きいが、CDプレーヤーの時に比べると何か物足りない。解像度が上がらないまま、艶が出て強調されたようでバランスが悪い印象だ。システムの中で相対的にクラスが低いCDプレーヤーが足を引っ張ってしまっているということであろうか。 結局、3本のドミナスをCDプレーヤーとModel 12に割り当てて、優雅な毎日を楽しんだ。そして、我が家のシステムに当然の存在として馴染み始めてきた頃、悲しい別れの時が…。「ケーブルだけでこれだけ良くなれば安いものだ」という無限の欲望と「ハードより高いケーブルはないだろう」という自制心が葛藤しながら、太っ腹な企画に隠されたしたたかさを感じつつ、在宅中古のドミナスを探し求めるのであった(笑)。


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