2019年5月13日 No.0716 新企画⇒H.A.L.'s Documentary Vol.3-我が家のHIRO Acoustic MODEL-CCS導入記 |
毎日とは言いませんが、毎月のようにH.A.L.ではオーディオに関わる巡り合い とドラマが起こっています。全国津々浦々にいらっしゃるハルズサークル会員の 皆様にH.A.L.を通じてどのようなオーディオ遍歴をたどって来られたのか、 そのエピソードを紹介致します。その第三弾として、この方をご紹介します。 神奈川県海老名市 T.H 様より 前回の投稿をご紹介致します。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0689.html 過去の投稿をご紹介します。ベテラン会員の歴史があります! http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0664.html http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_moni0416.html http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_moni0378.html http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0168.html 2018年4月某日、知人に世界一のオーディオを体験してもらう目的で川又さんの 試聴室を数年ぶりに訪れた。 そこで、初めてHIRO Acoustic HIRO(C2CS、CCS)と出会った。 訪問の第二の目的として、自宅のスピーカーを買い換えるための候補機の試聴でもあった。 長年付き合ったB&W(805→802→Signature Diamond)、しかも現有Signature Diamond の 次の選択は容易ではなかった。 オーケストラの再生を向上したいので、B&W 800Dが慣れ親しんだ音色+大型スピーカーの 迫力で自然と第一候補となった。 7Fの川又さんと4Fの島さんの所を往復して、計4時間近くの試聴となった。 これまで1回の試聴で即決してきた私としては珍しく決められなかった。 二日間ほど、モヤモヤした気分であったが、想定外のHIRO Acousticの透明感の 高いリアルな再生音に魅せられたものであった。 次は、HIRO Acousticしかないか? しかし超高額なスピーカの導入に失敗はあり得ないので、再度音を確認するために、 導入できる最小単位のシングルウーファーのMODEL-CCSの試聴を予約して、入念な 試聴と800Dとの再比較も行ったのである。 HIRO Acousticはスピーカーというより、音場再生装置として忠実にソースの内容を再現する。 GrandiosoP1、D1、G1+HIROが奏でる音は美音でもあった。 出会ってから10日も経ずにHIRO Acousticをオーダーした。 一目惚れである。 約七か月半後の12月中旬、我が家にHIROが導入された。 課題は、狭い8畳程の部屋で、どのような再生が可能かと考えたが。。。 廣中さんから、ご自身も狭い環境で聴いているので大丈夫ですよ、との言葉を 頂いて音出しがスタートしたのである。 しかし、我が家のHIRO Acousticは、そんなに簡単に美音を聴かせてはくれなかった。 その後、四か月間に及ぶ、川又さんとの様々なトライ、廣中さんのアドバイスを経て、 4月30日、平成の最終日にESOTERICのGrandiosoアンプの導入によって、HIRO Acousticは、 その真価を発揮することとなった。最初の出会いから1年が経過していた。 以上、導入の経緯であるが具体的にどうであったのかを記述しよう。 昨年12月の導入時にHIRO Acousticにふさわしいスピーカーケーブルとして、 川又さんの推薦候補からTransparentのREFERENCE XLを導入した。 スピーカーケーブルは、それまで切り売りのアクロリンクケーブル(6N-1400II)を 1.5m x 4本でバイワイヤ接続していた。(末端はそれなりの品質のYラグを圧着してある) Transparentのケーブルは可聴域外の高周波の雑音を除去する等の目的で途中に 大きなフィルタが入っている。 振動防止のため、しっかりとスパイク付きの硬質プラスチックケースに納められている。 バイワイヤ接続の加工や端子の加工も素晴らしい製品である。 ケーブルというよりは、伝送コンポーネントと捉えた方が良さそうである。 HIRO Acousticより一週間ほど早く納入されたので、現有装置でスピーカーケーブルを交換してみた。 聴いて驚くこと! こんなにケーブルで音が変わることがあるのか? 頑張ってはいるが、低音の苦手なSignature Diamondの再生音が重厚になり、 アンプの能力が二倍になったかのようなピラミッドライクなオーケストラを 聴かせてくれたのである!ダイナミックレンジも向上している! 天才的な設計であるSignature Diamondは、見かけによらず更なる低音の再生能力が あったのである。 スピーカー、ケーブル共々天才的な設計の出会いがもたらした結果かもしれない。 「何故か?」は分からないが、長年川又さんが信頼し推奨されるTransparentブランドの ノウハウ・技術はただ者ではない。 確かに7万円のアクロリンクと200万円のTransparentケーブルでは差が大きい事はあり得る。 しかし、5555で、同列あるいはそれ以上の他社の高級ケーブルと比較してみたが、 HIRO Acousticで聴くと、再生音の素直な伸びや空間分解能、ダイナミックレンジで、 私にはTransparentが勝っていた。 納品の順序の関係で、ケーブルが先に納品されたので偶然生じた現有のスピーカーや メインアンプと同価格の高額なケーブルでの試聴である。 実際にこのようなバランスのシステムを組む事は滅多に無いと思うが、明らかに アンプを変えるより効果絶大である。 さてHIRO Acousticが搬入されて音だしはOK。 今年の正月は楽しめるぞ、と思いきや、ここから長いトンネルに入っていくことになった。 HIRO Acoustic+Transparentで出る音は魔術のような音であった。 ソースによっては、オーケストラが部屋の壁の向こうにも飛びだして3D状に聞こえる、 オーケストラでオーボエやクラリネット、フルート等がリアルに聞こえたかと思うと、 バイオリンや金管が加わって、全力での演奏になると全く違って聞こえてしまう。 入力によって、音が変わり、演奏が変動してしまいます。 高音に刺激的な要素もあったので、エンハンサーディスクで500時間以上はエージングしました。 結果、やや落ち着くものの、演奏にならない不思議な変化は変わりません。 緊急避難として、ケーブルをこれまで使ってきたアクロテックにすると、 ソースに対するレスポンスは線形(普通)になり、音楽として聴けるようになりました。 しかし、本来HIRO Acousticが持っているはずのリアルな再生+美音にはなりません。 暫く、この状態で音楽鑑賞することとして、並行して原因究明を進めました。 単純に5555のシステムとは何が違うか。アンプである。 5555でケーブルとアンプを比較試聴させていただきました。 同じものでは無いですが、現有ブランドのメインアンプ+Transparentケーブルでは 自宅と同様に小音量の時はHIRO Acousticの透明かつ定位の良い再生ができますが、 オケの全力演奏では、明らかに駆動力不足で、解像度の無い(ふがいない)音に なってしまいました。 これをESOTERICの「C1プリアンプ+M1モノラルメインアンプ」で駆動すると、 100%のHIRO Acousticの音を聞くことができました。 参考に、別メーカの高級スピーカーケーブルと比較試聴すると、HIRO Acousticとの 相性はTransparentケーブルが良く、より伸びのある素直な音を大音量までキープしていました。 更に、川又さんの配慮で、ESOTERICからデモ用の「C1+S1ステレオプリアンプ」を 一週間借用して、自宅での確認をしました。 S1でも良好なHIRO Acousticの再生音を聴くことが出来ました。 一年前に一目惚れしたHIRO Acousticの音を自宅で再現することができました。 現有のメインアンプとS1の出力は同一仕様で、価格もほぼ同等ですが、 HIRO Acousticを駆動するにはESOTERICアンプが必須であった。 ここからは推論です。 Transparentのスピーカーケーブルはスピーカーに信号に比例した電流を流す能力が高く、 アンプから電流を引き出すような効果がある。 Signature Diamondでは、これが幸いして、小音量から大音量までダイナミック レンジの広い音を聴くことができました。 HIRO Acousticを繋ぐと、現有のアンプでは、大音量時に十分な電流が信号に 比例して供給できないようです。 このため、小音量ではHIRO Acoustic独特のクリアな音を聴けるが、大音量では 歪みの多い音になってします。 ケーブルをアクロテックにすると、ケーブルの能力律速で、音楽を再生できるが、 HIRO Acousticの美音にはならない。信号成分の一部が落ちてしまうと考えられます。 ESOTERICのアンプは電流供給能力の高い設計がなされており、HIRO Acousticを 楽々鳴らすことができる。 また、ESOTERICアンプの音質は実に自然で癖が無くアンプとして理想的な性能でもあります。 以上より、HIRO Acousticの真価を発揮するには、即時電流供給能力の高いESOTERICの アンプと伝送能力が半端でないTransparentのスピーカーケーブルが必須との結論に至った。 5555での様々な条件での比較試聴と自宅へアンプを借用しての確認により、ESOTERIC Grandioso M1とC1を導入した。 借用したアンプはS1で美音が再生出来たが、更なる深みを期待してM1を導入した。 ESOTERIC Grandiosoは、小音量時の音色も大変美しく音楽的なものであった。 自宅試聴時に手持ちのプリアンプとC1とを比較した。 C1では、極めてストレートなダイナミックレンジの広い特製であったが、 手持ちのアンプでは、高音域に硬さやきらびやかさが附加されていた。 C1とS1を繋ぐXRLケーブルも現状使用しているESOTERICの7N-A2500と、川又さんが 添付されたESOTERICの7N-DA6300IIIを比較した。 7N-DA6300IIIでは透明感が高く、ダイナミックレンジの広い無歪みな再生であった。 7N-A2500では、音質はそこそこ良いが、7N-DA6300III と比べると硬さが残る音であった。 常に最高の伝送を要求し、音に反映させるHIRO Acousticは恐るべしである。 HIRO Acousticの能力を発揮させるには、徹底的に無歪みで瞬時電流供給能力の 高い駆動・伝送系が必須と考えられる。 以上、これからHIRO Acousticを導入される皆さんの参考になれば幸いです。 さて、ESOTERICアンプ導入後一週間を経て、HIRO Acousticの再生音は自然さが向上し、 余韻や無音を含む空間再現やダイナミックレンジが向上し、大変美しい再生を得ら れるようになってきた。 狭い8畳間でも十二分に演奏を楽しむことが出来ます。 https://www.dynamicaudio.jp/s/20190512110806.jpg これまでのところ、リアリティは高いが、分析的ではない再生に大変満足している。 その特徴については、別途レポートをさせて頂きたい。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- ■川又より T.H 様ありがとうございました。ご本人はお忘れになっているかと思いますが、 ハルズサークルにご入会頂いたのは15年前のことでした。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0168.html そして、初代ESOTERIC Grandioso P1+D1を即決して頂き、私が販売した記念すべき 第一号として納品させて頂いたことも鮮明な記憶として残っています。 長らくのT.H 様とのお付き合いで私が実感させて頂い事は、T.H 様は研究者で あられるということでしょうか。 お仕事も研究開発をしておられるのは承知していますが、ことオーディオに関しての 探求心は歳を重ねるごとに熱くレベルアップをしてこられました。 そして、研究者の宿命的弱点として私が申し上げられることは、ご自身の仮説、 推論を証明する事実が判明してしまった場合に、その結論から逃げることが 性格的にお出来にならないということでしょうか。 これが良い、これが正しい…、とご本人が立案した実験を行った結果として、 ご自身が納得された場合に結論として事実に対して無抵抗状態になってしまうのでしょう。 そして、ご自身が確認して採用したものに対して、実験環境が異なる場合に違う 評価となってしまった時、上記のように悩み苦しまれてしまったということです。 私は消去法で異なる条件下での二種の比較試聴において、残る要因はアンプしかない という提案をさせて頂き、ご自宅での比較実験では瞬く間に結論が出てしまいました。 私はその判断力と信念にただただ敬意を表し、ささやかなヒントを差し上げている だけだと思っています。 そのささやかなヒントを「悪魔のささやき」と今までに何度も言われてきましたが(笑) 私はあくまでも皆様の満足感を達成するためにはどうしたらいいのか? という お客様のお求めに対してアドバイスを申し上げているというスタンスです。 そんなことを言うと、くすっと笑ってしまうお客様が大勢いらっしゃると思いますが…。 B&W N805を起点としてB&Wスピーカーを使用されてきたこと、また結果的に ESOTERIC Grandiosoシリーズへとシステム構成が変化していったことなど HIRO Acousticオーナーとしての共通項があると思いますので、下記の会員の 事例も紹介させて頂きました。 2018年7月19日 No.1485 HIRO Acoustic新たなオーナー誕生!! http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1485.html 私はこれからも迷えるお客様に囁き続けていくと思いますが、どうぞ悪魔と おっしゃらずに末永くお付き合い頂けましたら幸いでございます。 さて、最後の締めの一言としてT.H 様より頂いたコメントをご紹介させて頂きます! 「川又さんの悪魔のささやきは、いつも天使の歌声に帰結するところが凄いです!」 |
担当:川又利明 |
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