《HAL's Hearing Report》


No.0189 - 2005/3/17

埼玉県川口市 N・S(LUX FAN)様 より


先日ダイナ5555に伺い、川又さんがはじめたという4chシステムを聞かせて
もらいました。そのときの感想を私見を交えて述べてみたいと思います。

以前から、そう!ESOTERICからSACDプレーヤーが出る前から、「次は、マルチ
チャンネルでしょう」というようなことを言っていた手前もあり、川又さんの始め
た4chシステムはどんなものかを聞きに行った次第です。
聞かせていただいたシステムは下記のものと思います。

ESOTERIC G-0s ■8N-PC8100■    
     ↓
 7N-DA6100 BNC(Wordsync)×5本
      ↓
 ESOTERIC P-01 ■8N-PC8100■ → → → → → ESOTERIC 7N-A2500 XLR ×2
      ↓                                         ↓
 PAD DIGITAL YEMANJA XLR 1.0m ×2                ↓
      ↓                                         ↓
 ESOTERIC D-01 ■8N-PC8100■×2             ESOTERIC D-01 ■8N-PC8100■×2
      ↓                                        ↓
 PAD YEMANJA XLR 1.0m                      ESOTERIC 7N-A2500 XLR ×2
      ↓                                        ↓
 Chord  CPA 4000E■ESOTERIC 8N-PC8100■     ESOTERIC A-70 Mono Power Amp×2
      ↓                                        ↓
 PAD YEMANJA XLR 3.0m                          ↓
      ↓                                        ↓
 Chord  SPM 14000                           MOREL Octwin 5.2 CorianWhite
     ↓
 PAD YEMANJA BI-WIRE SPK 5.0m
     ↓
 MOSQUITO NEO


私事で恐縮ですが、私はYAMAHAがオーディオ用に有名なホールのホールトーンを
再現するという目的で造った”DSP-3000サラウンドプロセッサー”を使ったのが、
マルチチャンネルの始まりですから、もう20年近くになるでしょうか。

上記のシステムで聞いた感想ですが、マルチチャンネルにはいろんなセッティング
が考えられますが、前方を重視して、それにホールトーンなどのエコーや作者の意
図した音をリアスピーカーから出すように調整したシステムであると感じました。

2chシステムでも試聴位置からの距離、角度、壁との距離、ケーブルの長さ・
種類等色々な要素が絡んでいるわけですから、その倍の4chシステムでは目的を
ハッキリさせないとわけが分からなくなる恐れがありますが、さすが川又さんです。

忙しい中、2chの音、4chの音、4chで前方だけの音を出した場合等色々
な条件で聞かせていただきました、それも機器の切り替えが扱いきれないとみえて
つきっりで解説していただきました。

ソフトもメールマガジンに出てくるゲルギエフやスタジオ録音のスティンを・・・。

その感想ですが、やはりというか、これから益々増えていくであろうマルチチャン
ネルを意識して録音されたSACDの場合には、リアスピーカーを加えることに
よって作者の意図がはっきりと分かるようになるというものでした。

オーケストラの2Ch再生では、本来側面や後ろから聞こえてくるホールトーンが
前から聞こえ、オーケストラの演奏をにごらせているということが、チャンネルを
切り替えることでわかってきました。

また、スタジオ録音では本来後ろから聞こえるように意図して造られたギターの音
やコーラスが前方から聞こえてきたのでは作者の意図が伝わりきれないと思います。

ところで、昨年のインターナショナルオーディオショーの対談に出演されたフリー
の録音技師の桜井卓さんが、依頼を受けたらまず『2ch、4chどちらで録りま
すか?』と聞くそうです。

司会者からその録音の割合を聞かれたところ『半々ぐらいですかね』と答えられて
いました。そう!
「現在では半分の録音が4chでなされている」ということになります。

このように、マルチチャンネルは今後益々増えてきますので、作者の意図がわかる
ように、2chだけといわず、4chシステムを現在のシステムに加えてみてはい
かがでしょうか。

それには、その変化が、どの程度のものかは文字で伝えることは難しいので、川又
さんのところに聴きに行くしかないですね。

更に、マルチチャンネルの究極の姿として、全チャンネルを同じスピーカーを揃え
て聴くという方法もあります。確かに、ピンク・フロイドの”狂気”のように
4ch同一の音源を再生することを意図したSACDを聞くには必要かと思います
が、これには前方と同一の試聴条件が設定できる方という条件が付くと思います。

また、前方も小型化してスピーカーを揃えるという方法もありますが、大型なシス
テムを使っていらっしゃる方には物足りなくなるものになると思います。

また、これから出てくる多くのクラッシックやジャズのマルチチャンネルSACD
が前方中心であることを考えると、現在のシステムにリアスピーカーを加えると
いう川又システムがもっともリーズナブルなように思えます。

その際には、川又システムのようにある程度の大きさがあり、音色を揃えるという
意味で前方と同一なユニットをリアスピーカーにもってくる必要があります。

ただ、私は、色々な音源を聴きますので、サブウーハーを使い、切ると寂しくなる
程度の設定にして4.1chを楽しんでいます。

最後に、マルチチャンネルの将来を考えると、全方向の繋がりを良くするために
最近の高級AVアンプに搭載さてれている部屋の環境を自動測定して音量や音色を
調整したのち、マニュアルで調整できるシステムのもっとDSP等能力の上がった
ものが主流になってくれればと考えております。

以上、私見を述べさせていただきましたことをお許しくださいませ。


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