《HAL's Hearing Report》


No.0179 - 2004/10/29

東京品川区 H S 様より


HAL/川又様

昨日のマラソン試聴会は大変楽しませていただき、まことにありがとうご
ざいました。私の個人的な感慨と御礼を述べさせていただきます。

ほとんど毎年のようにマラソン試聴会を楽しませていただいておりますが、
昨日は午後から浜離宮朝日ホールを訪れました。

ちょうど厚木氏のプレゼンが終了する頃で、次が川又氏の番でした。
初めて聴く Stradivari Homage/Neo の演奏では、カラヤン/ベルリン・フィル
のリハーサルが印象に残りました。

この盤は昔私がクラシック開眼となった1966年の来日記念の特典盤として入手
した懐かしい盤で、ベルリン・フィルの低弦の凄さを味わうことが出来ました。

次の東氏、秋山氏の演奏も音楽を楽しむことが出来、エキジビションの上遠野
氏、宮井氏の演奏も心地よく楽しんだ後、いよいよ決勝になりました。

秋山氏の演奏は独特のムードと洒脱な語りであっという間に時間が経ちました。

そして川又氏が最後に登場し、Stradivari Homage の美しい響き(特に中森明
菜のビッグバンドの響き)や Neo でのカラヤンの2種の聴き比べなど大変面白
い趣向でした。

そして最後の曲のヒントを川又氏が紹介された時に、何が演奏されるかがすぐ
に分かりました。


私は昔NHKで放送されていた「夢であいましょう」が大好きで、今月の歌で取り
上げられた「上を向いて歩こう」も当時すぐにドーナツ盤を買い、愛聴してい
ました。特に中村八大と永六輔が生み出す歌の数々は我が青春時代の愛唱歌
(愛聴歌)でした。


そして時が流れ、1985年8月12日に坂本九氏が犠牲になられた時、私はこの事故
に関連がありました。それ以来、私にはこの曲が、坂本九氏の歌がトラウマとな
り心の中でずっと封印し続けていました。

そして昨夜あの懐かしいイントロが、坂本九氏の暖かい歌声が、そしてほのかに
もの悲しさを湛えたメロディーが胸に沁みました。

いろいろなことを思い出しながら歌詞と同じように「涙がこぼれないように、上
を向いて」3分弱の演奏に聴き入りました。

川又氏がこの曲をあの夢のような装置で、そしてホールいっぱいに響き渡らせて
いただき、感謝に堪えません。

この演奏を聴き、ようやくこの曲の封印を解くことができました。

今回私にとって非常に衝撃的な体験をさせていただき、言葉に表せないほど感謝
しております。

聴き終わった後の判定も非常にスマートな処理をなさり、帰宅の途中で余韻に
浸っておりました。

やはり音楽は素晴らしいものであり、その再現方法であるオーディオも本当に素
晴らしいものであるということをいつにもまして実感しました。

数年後に私は定年を迎えますが、その際に退職金で私が第2の人生を心から楽し
める装置を揃えたいと強く心の中に思いました。

その時の装置の選択にあたり是非川又氏のご助言をいただきたいと思います。
それまで私は貴店にとって良い客とはいえませんが川又氏のイベントへの参加
やお店での試聴をさせていただきたいと願っております。

もう一度じっくりと「上を向いて歩こう」を聴かせてください。

私にとって忘れられぬ一時だったため、つい貴兄への感謝を長文のメールで
お送りすることをお許しください。

今後も貴店のますますのご発展を祈念するとともに、通常の試聴会では絶対に
経験できない場を提供し続けられることを願っております。

昨日はまことにありがとうございました。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

川又より

H S 様本当にありがとうございました。私は最後の一曲を何にするかを
しばらく前から決めておりました。そして、それを鳴らすために贅沢にも
Stradivari HomageとMOSQUITO NEOの2セットを変則的なフォーメーション
で同時にステージに並べ、モノラル録音の「上を向いて歩こう」をどの
ように演奏するかを計画していたものでした。まあ、決勝戦まで進めれば
という思いがありましたが、それが現実のものになるとは思ってもいません
でした(笑)

しかし、このようなイベントのラストに昭和のヒット曲を選曲するという
ことの意外性と冒険心には大きな不安があり、ご来場の皆様に果たして
喜んで頂けるだろうか…、という迷いが最後まであったものです。しかし、
このように皆様の心に沁みる思い出として喜んで下さった方がお一人様
でもいてくださったというのは本当に大きな喜びでした。本当に本当に
ありがとうございました。<m(__)m>

そうです、所詮はオーディオシステムとは音楽を楽しむための道具であり、
皆様の人生の折々に関わっていくことこそが音楽であり、オーディオの存
在価値であると考えております。

残念ながら、私はこの時の特別なセッティングを撮影していなかったので
すが、どなたか写真をお持ちでしたらぜひお譲りください<m(__)m>


HAL's Hearing Report