《ESOTERIC 論文コンクール応募作品 Vol.12》


No.0129 - 2002/2/7

京都市在住 A.O.R 様より

H.A.L.'s Circle ReviewにてESOTERIC論文コンクールが行われると発表
された時に、よし応募しようとは思ったもののはや数ヶ月。

もうすぐ締め切りが近づくなーと思いながらもいったい何を書いてよいの
だろうと中々キーが進まず、また他の皆様の文章を読んで更に投稿意欲が
萎えてしまったと言う事もありました。

しかし、私の稚拙な文章ながらも少しでもこのP-0sというトランスポート
の魅力を、まだ購入することが出来るうちに悩んで居られる方の背中を少
しでも押すことになればと思い投稿しました。

まず私がはじめてCDを聞いたのは高校生のころで丁度CDがこの世に
出た時でした。

その当時はCDは夢のオーディオとしてデビューし、高音質で手軽という
うたい文句で登場しまたどの機械でもデジタルなのだから音は同じという
ことでした。

しかし、現実には機器の値段差はかなりありましたし実際聞いてみても
音が違いました。

それでも高校生が買うには少し高かったですが10万円程度の機器を購入
しました。

ただ、この銀色の円盤から音が出ることには感心し、また、メディアが磨
り減ることがないのでいいなとは思いましたが、音のほうはとても良い音
とは思えませんでした。

それからもレーザーディスクとのコンパチブルやポータブルCDなどは買
いましたが、レコードがなくなったのでCDを買うだけで特に音はこんな
ものでいいやと思い機器の買い替えはしませんでした。

それからしばらく月日が流れ世の中にパソコンとCD-Rが普及してきま
した。

そしてある日、友達から編集したCD-Rをもらいこんなことが出来るんだと
思い自分でも手持ちのCDを編集して車用にCD-Rを作ってみたのですが、
音が元のCDと比べて相当違うのです。

友人のCD-Rではあまり気になりませんでしたので、何が違うのかと尋ね
ると、友人は音を吸い上げるときにパソコンのCDドライブを使わず
CDプレーヤーのデジタルアウトを使っているとのことでした。

また、その時に手持ちのCDを友人の機器と聞き比べ相当な音の違いを
感じ新しくCDプレーヤーを購入しようと思いました。

そして本体がしっかり作ってあり、大きさも小さくて使いやすそうでし
たのでTEACのVRDS-9を購入しました。(何かの縁だったのでしょうか)

そして、その時に最近のオーディオ機器は電源コードが取り替え出来る
ということを知りました。

(知らなかった方が幸せだったかもしれませんが・・・)

そして購入してしばらくは満足していたのですが、CDによってはどう
しても聞くにたえないような音しかせず、そのため電源コードやケーブ
ルを変えたりもしましたが多少の変化はあったものの根本的な改善には
至りませんでした。

そしてそれらのCDは録音が悪いので、無理なのだと自分ではあきらめて
いたのですが試しに友人のプレーヤーで聞くと、それらのCDがまったく
違ったものに聞こえたのです。

なぜこんなに違うのだろうと友人に聞くと、自分もこのプレーヤーを買
うときに25万くらいの物を買うつもりだったのだが、50万クラスの
ものを聞くとこちらの方を買わざるを得なくなったとのことでした。

50万クラスのプレーヤーを買うのは悩みましたが、一度買えば中々買
い換えるものではないし(この考えは甘かったですが)買ってしまおうと
思い、各メーカーの製品を物色していたのですが、偶然ダイナミック
オーディオのHPでHALにSCD-1の中古がありましたので、早速メール
を出したのですがもう売れてしまったとのことでした。

しかしモニター用の物があるので一度聞かれてから購入したらどうで
すか?とのありがたい申し出を受け結局は試聴の末、購入とあいなり
ました。

(この辺りの事は以前モニターレポートにも書かせていただいております)
http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/fan/hf_moni0042.html
http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/fan/hf_moni0067.html
http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/fan/hf_moni0084.html
http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/fan/hf_moni0116.html
http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/fan/hf_moni0131.html
http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/fan/hf_moni0149.html

また、それを機会にオーディオへの興味が復活しSPとアンプの購入に
つながりました。それと前後して久々にオーディオ雑誌を購入していたの
ですがその時のステレオサウンドにP-0sの記事が載っており、世の中に
はすごい機械があるんだなーと思い、又、誰がこんな機械を買うんだろう
と思っていました。

それからもWEBや雑誌などでP-0の記事を見たりしていましたが、すごい
機械だと思うし一度聞いてみたいが限定生産だったし、もう手に入らない
しと思いながらも頭の片隅に一度聞いてみたいという願望はありました。

それからしばらくしてH.A.L.'s Circle Reviewにて、なんとP-0が再生産
されるというニュースが届きました。

悩みに悩みましたが今後このような製品は二度と出ないでしょうし、川又
さんとのメールのやり取りを経て、これこそ一生物だろうと考え購入する
こととしました。

しかも、このような高額な製品にもかかわらず試聴もせずに買ってしまい
ました。

しかし、これまでのハルズサークルでの経験から、これほど川又さんが薦
めるのだからまず間違いはないという思いがあったのも確かです。

さて、それから商品が届き実物を見てその大きさと構造に感心しつつ、音
を出す以前に非常に所有欲を満たしてくれる商品であると感じました。
(これは意外と大事なことではないでしょうか?)

そして、これでCDの再生は悩むことがなくなるなと思いました。
(大きな間違いでしたが)

ただP-0を買ったのはいいのですが、良いD/Aコンバーターの手持ちがなく
しばらくして値段が手ごろで音が良いと評判のST2を導入し聞いていたので
すが出てくる音がどうも気に入りません。

ある日ふと思い立ちP-0の脚部のセッティングをやり直し、水準器を使い
水平を取って受け皿のがたをできる限りなくしてみました。

それだけのことですが音がまるで別のものに変わってしまいました。

改めてセッティングの重要さを確認するとともになんて敏感な機械だと
思いました。しかしやはり音には不満が残ります。

そして川又さんにお願いしてDeliusをお借りすることにしました。

するとどうでしょう。

今までの音が何だったのかと思うほどの音が鳴っています。

以前から思っていたのですがST2ではP-0の情報量を受けきれていない
のではないかという不安が当っていたようです。(ST2をお使いの方も多数、
おられると思いますがせっかくハルズサークルに入っておられるのでした
ら一度dcsの製品を聞いてみることをお勧めします)

ある意味いやな機械ですがP-0はつなぐ機械の質を要求してくるような気が
します。そのため電源ケーブルはDominusにインターコネクトはISUTARUに
というようにどんどんP-0の能力を発揮したいがために各部のグレードを
上げていってしまいます。

こんなことを書くと本来の役目である音楽を聴くという楽しみを忘れてい
ると思われそうですが、ここまでしていくたびに同じCDから新たな感動が
生まれてしまうので私は仕方のないことだと思ってあきらめています。

そのため今回のバージョンアップも話をお聞きしてすぐにお願いいたしま
した。そしてその結果は非常に満足の行くものでした。

このようなバージョンアップが行われるのがいやという方もおられるよう
ですが、私は技術の進歩に合わせてこのようなことが行われるのは大変う
れしく思いますし、またそれによって出てくる音の変化を考えると値段も
妥当なものだと思います。

グレードアップがまだの方は川又さんのところに聞きに行かれたほうが
良いと思います。

ただ今回のグレードアップによって本体のクロック精度が上ったことに
よりDeliusより送っていたワードクロック信号を送らないほうが私には
好ましいものに思え、次はマスタークロックを導入するしかないのだろ
うかと思い始めております。

いろいろ書きましたが、購入を迷っておられる方はとにかく一度音を聞
いてみてください。

そして、この機械は手を入れれば入れるだけ手ごたえがある機械です。

ただ置いてすぐに鳴る機械ではありませんので、その点ではお勧めしま
せん。SACDとの比較もしましたが現時点ではソフト面の問題などもあり
まだCDを聴くことのほうが多いですし、P-0でCDを聞くとSACDはまだいら
ないと思えてしまいます。

最後に、乱文で読みにくくてすみませんでしたが、このすばらしい機械
を作られたESOTERICの方々に敬意を表するとともにいくつかのお願いが
あります。

P-0は大変すばらしい機械ですがいくつかの問題点があると思います。
まず1つは本体と電源部とを結ぶケーブルの質が良くないです。

2つ目は本体と電源部の足がスパイクになっており、皿で受けるように
なっていますが非常にセッティングがしにくいです。

DV-50で採用された足の構造と同じようなものにしていただけるとあり
がたいです。

以上2点ですが同じようなことを考えておられる方も多いと思います。
その証拠に、ほかのメーカーからその2点に関する製品がいろいろ出て
おります。ただできれば開発メーカーであるESOTERIC純正で製品を出し
ていただければうれしいです。

今後、私のシステムもいろいろと変わっていくでしょうが、トランス
ポートだけは替わることがないでしょう。


HAL's Hearing Report