《HAL's Hearing Report》
No.0113 - 2002/10/31 埼玉県春日部市在住 S・A様より 埼玉県春日部市在住、-☆-H.A.L.'s Circle Review-☆-No.0402-にて 「幽霊会員の****です」と紹介されてしまった者です。(^^ゞ 10月26日は雨の中、暖かく迎えてくださりありがとうございました。 また、BIGなNewsもお聞かせいただきまして本当にありがとうございました。 地方在住の会員の皆様、もし上京された折には何が何でも時間を作って いただいて、5555川又フロアーにお邪魔したほうがいいですよ。 「会員の○○ですが……。」と言った途端に、記憶力の凄い川又店長から、 それぞれの会員様の事情に合わせた「BIG News」がそっと耳うちされることと思 いますよ……。 閑話休題。 肝心の5555H.A.L.川又フロアーの音ですが、私の当日の目的はP-0s With In VUK-P0の音や操作性を確認させていただくことでした。 当日のLine UpはTimelord chronos(AC DOMINUS) → dcs 992/2(AC DOMINUS) → Esoteric P-0s(AC/DC DOMINUS & RK-P0 & MEI Z-BOARD & PAD T.I.P)→Marantz SC-7S1×2→audio physic STRADA MONO×片側4ch→オリジナルノーチラス+村田 ES-103B、全ての機器類はZoethecusのラックに、さらにRELAXA2PLUSに乗る重量の モノは浮かんでおりました。 既に機器類は暖まっている、とのことで「じゃあ川又さん、コレを……。」と CDを渡しましたら、 「P-0sのリモコンがコレです。操作方法は普段P-2sをお使いでしたらわかりますね。 こっちがSC-7iのリモコンです。」とリモコンを預けられてしまいました。 「エ?コレ、シンセサイザーで超高音と超低音が思いっきり入っていて、ウチで ルネッサンス90のTweeter用サーキットブレーカー飛ばしたことがある前歴持ちなんです けど??」 「歪んだ録音でさえなければ、人間の耐えられる音量であれば大丈夫です!では途中で 顔出すかも知れませんがごゆっくりどうぞ。」あらら、川又店長、CircleReview作りに 戻っちゃいましたよ? 「こんな弱輩者にポンとリモコンを預けていっちゃってホントにいいのかな〜? 川又様も太っ腹というか豪快というか、、、」 「一人のほうが試聴に集中できるだろう」とのせっかくの川又様のご配慮だと思いました ので、本当に好き勝手やらせていただきました。 とはいっても、普段、家で出している音量と同じになるように音量調整をさせていただいた だけですが。後でSC-7S1のVR表示見たら「−20.0dB」!!(絞り切って−100dBですね) 空間が広いので、普段の数倍の音量で聴いていたわけですが、圧迫感などは全然 ありませんでした。 ちなみに、我家ではML No.380SL+333L+ルネッサンス90でVRの dB表示が56〜60位が下記のCD4枚の普段の音量となっています。 (380SLの最大出力表示は93dBまで、です。) 富田勲「バミューダ・トライアングル」 RCA BVCC-2510 私は機器類が暖まっていれば、まず1曲目はコレの1トラック、6トラックです。 これで音場の幅、前後方向の奥行き、天井の高さ、スピーカーセッティングの正確さ、 機器類の実力、全て判ります。 オリジナルノーチラスはリスナー4m前方、リスナー1.5m手前で直角交差のセッティング、 SP間はユニット中心で3m程度でしょうか。 1トラックは、普段H.A.L.では絶対にかからないであろう曲に機器類が戸惑っている様子が ありありと判ります。いわゆる「ハイエンド」の機器類では、1発目、1トラックではまず音場が 広がりません。これはどこでも経験する現象です。 と、ここまでは通常と同じなのですが、いつもだと1トラックが終ってすぐ6トラックにサッサと 行ってしまうのですけど、手がリモコンに伸びません。2トラックもそのまま聴いてしまいました。 機器類も珍CDにだいぶ馴染んできたようで、音場がどんどん拡大しています。3トラック途中で、 ようやく「意を決して」6トラックへ。 ここのポイントはリスナー後方へどの位音像が行くか、なのですが、後方4mまで行きました。 同じ録音のLPでそこまで行ったのは聴いたことがありますが、CDでは初めてです。丸2年間かけて、 「この部屋ではココしかない!」というところまで1mm以下の精度で置く位置を 追いこんだ、我家のルネッサンス90でもリスナー後方2mが限界でした。6トラックの終りに「ピパポ パピ」と、左から右へ、右から左へ、最高に調整された機器類ならリスナーの頭を貫通して横に走る 音像があるのですが、コレは目の前通過で終ってしまいました。ちょっと残念。 また、普通ならここから12トラックへ飛ぶところが、7トラックも聴いてしまいました。 8トラック目でまたまた「意を決して」12トラックへ。ここで、音場の大きさがわかります。スピーカー 後方へ約4m、幅はユニット中心から左右に3mずつ、リスナー側奥行きは上記の通りリスナー後方に4m、 天井方向は4mといったところでしょうか。(部屋の大きさには関係なく、勝手に音場が創生されます) 最後、ロボットの足音が「カシャコーン…」と左右に別れて消えてゆくところでは、ヤワな機器では 音像がスピーカーにへばりついて、後方に行ってしまうのですが、さすがに左右に一直線に別れ ていきます。充分静かである筈の空調の音すら気になるような弱音部まで再生されているが、 一言『空調を止めてください』とお願いするのを忘れたばかりに、空調の「ゴォー」がうるさい! (貧乏ゆえ私のオーディオルームには空調がありません^^; 田舎ゆえ、騒音レベルは夜間は NC=20以下と思われます)左右2mずつしか聴き取れませんでした。 再生レベルが空調ノイズ以下に小さくなってから、全曲終了まで12秒ありましたので、本来なら 横に3m以上は伸びるものと思います。 余韻に浸っていたいですが、CD2枚目へ。しかし、なんでこんなに続けて聴いていたくなるんでしょう。 エリック・カンゼル指揮シンシナティポップス 「STAR TRACKS II」 TELARCCD-80146 2曲目も電子音楽です。(川又店長、ヘンなのばかりかけてごめんなさい。) トラック2、「Back To The Future」。この演奏に、シンセサイザーオルガンの通奏低音がズーッと流れて います。多分、オリジナルノーチラスではウーファーのコーンが「フルフル」というだけで音にならない のでは。 その部分は案の定、でしたが(24Hzまではそれでもがんばりましたが10Hzはさすがにムリでした^^;) その低音にモジられずに本来のオケが空中に浮かびます。音像、音場の乱れは全くありません。 これは下手するとウーファーのボイスコイル焼いたり、古いスピーカーだとエッジ裂けちゃいますので ご注意を。 そのまま、やはりリモコンに手が出せずに4トラックのSTAR TREKのワープ効果音、5トラックの 「カーンのテーマ」まで聴いてしまいました。うー、聴き続けたいです。 13トラックのオリジナル曲、「Dimensions」。我家だと電子楽器の効果音が部屋中に三次元で ポッポッと浮かび、オケはSP後方に定位します。難なくクリヤー。ま、当たり前ですけど。 最後、「シュ〜ンッ!」という凄いシンセサイザーの効果音がリスナー後方からカーブを描いて SP後方に消えていくのですけど、しっかり再現してくれました。 私の部屋では電子効果音は「8畳の部屋の中全部に三次元定位」なのですが、H.A.L.での 音場空間は、左右幅、奥行き、天井ともそれぞれ+1mずつ(幅は計2m)ですね。やはり凄いです。 小林研一郎指揮チェコフィル 「サン=サーンス第3番」 キャニオン PCCL-00363 コレもオリジナルノーチラスにとってはオルガン最基部音域が厳しい、と思われます。 できればN801のほうで聴ければ、と思いました。 第4トラックの部分、全部通して聴いてしまいましたが、心の中では「1楽章から全部通して 聴きたいよう」となっております。 SP後方に広がる、オケの階段構成が見えるのがステキです。時々、ソロ楽器をオンマイクで 拾っているのがちょっと耳につきますが、ホールエコーがリスナー後方に抜けて消えていくのが 快感です。 ここで、私がオリジナルノーチラスで唯一キライな部分が顔を見せました。金管楽器は良い のですが、弦楽器の高音部、Mid-HiとTweeterの受け渡し部分の音域でちょっと「金っ気」があります。 オリジナルノーチラスは調整でいかようにも出来る、とは以前お邪魔した時もお伺いしております。 今回は、その「真の凄さ」をまだ体験したことがない弱輩者がレベルの低いところで自己流の 判断をしている、と考えてください。 本当にこの音域だけなんですが。我家のルネッサンス90では、ここはとげとげしくならないので、 本当に唯一気になる部分です。 ちなみに「アルプス交響曲」(PHILIPS)のほうではさほど気に なりませんでしたので、録音の特性も大きいかも知れません。 (キャニオンのエンジニアの嗜好でしょうか?)他は逆立ちしてもオリジナルノーチラスには かなわないんですけどね。 オリジナルノーチラスの名誉のために付け足しておきますと、中高域が金属振動板(ホーン含む) でここまで弦の高域に「金っ気」のないスピーカーは、他には私は知りません。評 論家ではないので全てのスピーカーを聴いているわけではありませんが。 また、ルネッサンス90以外のフィルム系中高域振動板のスピーカーでも「金っ 気」は出ませんので、この部分は「自分の好みで何を選択するのか」の話になってしまうと思います。 逆に金管楽器の「パーン」と張り出す快感は、フィルム系では真には味わえません。 けっしてオリジナルノーチラスの性能が劣るわけではなく、あくまで「唯一私 の好みと相性の悪い」部分だということです。皆様誤解無きように願います。 小澤征爾指揮ウィーンフィル 「アルプス交響曲」 PHILIPS PHCP-1800 時間も無くなってきました。 2トラック目、アルプス交響曲の最初から聴きます。途中、何度も「ココが聴き所」というトラックに 替えようとするのですが、どうしてもリモコンに手が伸びません。15トラック目(全24トラック)を聴き 終わったところで、残念ながらタイムアウト。(午後は同窓会の約束があったので) とにかく、ウィーンフィルとムジークフェラインの響きを堪能しました。ムジークフェラインは直方体の 箱をしている、というのが良く判ります。後方に抜けていった残響が、更に壁で跳ね返って残響同士 が混ざり合うんです。我家ではその片鱗は聞こえるものの、ここまでハッキリとはわかりません。 後ろ髪を引かれる思いでCDをかばんにしまい、アンプのVRを絞って試聴室から出ました。 川又店長がにこやかに出迎えてくれます。 「堪能されましたか?」 「ハイ!!!」 そう、ココの音を基準として、独り善がりではなく、普遍性を持たせつつ本当に自分の好きな 音を創っていけばいいんですね。 今回は残念ながら時間切れとなってしまいましたが、また是非お邪魔します。 アッ、肝心のP-0s With In VUK-P0の感想が書いてないですね。 元のP-0はH.A.L.がサウンドパーク7Fにあった時に聴いていますが、雑誌で書かれていた記事 の先入観があったせいでしょうか、「キュルキュル」という動作音が演奏中もどうしても耳に つきました。 今回は、CDをセットしてTOCを読みこむ時にやはり「キュルキュル」と鳴りますが、音自体がかなり 小さくなっています。また、TOCを読みこむ時間も当時の記憶と較べて半分程度になりました。 PLAY中は、P-0はやはり「キュルッ」という動作音がどうしても弱音時に気になりましたが、 P-0s With In VUK-P0は演奏中は全く聞こえません。これなら、スピーカー間のラックに置いても 全く気になりませんね。 また、リモコンの、底面が皮張りで凄い高級感がありました。さすが5万円取るだけのことは あります。 ということで、長文になってしまいましたが、H.A.L川又フロアーは.絶対に訪問の価値はあります。 おかげで、私は「H.A.L.に寄った後でダイナさんのソフトレットを覗こう」という計画がパー になりました。(笑) 次はちゃんとCD買って帰ります。……H.A.L.の前にCDショップに寄ってからでないとダメですね、 きっと……。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- S・A様 雨の中のご来店本当にありがとうございました。また、詳細なレポートも頂戴し重ねて御礼 申し上げます。さて、頂戴したご意見の中でP-0sの動作音についてのご指摘を頂きましたが、その原理を 含めてちょっと私から説明させて頂きます。 まずは、私がP-0を語った随筆の第44話の第二章からの引用を下記に貼り付けましたので、ご一読下さい。 http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/oto/oto44-1.html http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/oto/oto44-2.html -*-*-*-*-*-*-*-*-*- さて、システムの配線が完了して、実際にP−0にディスクをローディングする段階となった。 ここで気になることが一つ表われた。 ローディングする際に発生するメカノイズがけっこう大きいのである。メカの設計者に直接質問すると。 「これはP−0のスレッド送りメカの発する音です。0.1ミクロンの精度でピックアップを送るには1回転で 500ステップという超高精度なステッピングモーターを使用し、これを32ビットのマイクロプロセッサーに よって更に20分の1に細分化しています。この回転運動をリサーキュリング・ボールスクリューベアリングに よって直線運動に変換しています。 従って、ピックアップはステッピングモーターの1回転ではわずかに1ミリの移動しか行われず、ローディングの 際に再生に必要なディスクの情報を読み取るには、2秒前後で6センチ前後の移動を行なわなければなりません。 一般的なユーザーが許容してくれるだろうと思われる時間内にピックアップをそれだけ動かすには、毎秒30回転と いう大変な高速でモーターを回さなければなりません。そして、このスレッド送りのリサーキュリング・ボールスク リューベアリングを貫通している、ネジが切られたシャフトとステッピングモーターを連結しているカップラーが ステンレス製であるというのが機械音を発生してしまう原因となっています。 このノイズを消すのは簡単です。モーターを含むメカをゴムなどでフローティングするか、ボールスクリューベア リングの内部に潤滑剤のような半液体を注入すると言った方法が考えられますが、変位する素材や構造を採用すれば もうこの段階で0.1ミクロンの精度は出なくなってしまいます。当然の事ながら、ローディングと距離をおいた 頭出しの際にしか発生しないもので、演奏中には出ないノイズですからご理解頂きたいものです。」なるほど、 再生中には発生しないのであれば、私としては何の問題もない。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- と、いうことでP-0からP-0sになって、演奏中の偏芯制御におけるメカ 音の駆除が行われ静粛性を獲得しているのだが、このディスクをローデ ィングする際の音は現在でも変わってはおりません。もちろん、私の ところにあるシリアルナンバー「1001」よりは、現在生産されている 製品の方が動作音が滑らかな印象に変わっているので、更にここの展示 品よりは聞きやすいものになっています。どうぞご理解下さい。 |