《BRASS SHELLレポート》


No.0100 - 2002/8/8

埼玉県幸手市 T・M様 より

企画発表から数ヶ月、ようやくノーチラス800シリーズ用フェイズプラグ
『BRASS SHELL』が我が家にやってきました!

現在使用中のN803、音質的にはこれと言って不満があったわけではあり
ませんが、あのプラスチック製フェイズプラグがどうも気になってしかたが
無かったのです。

巷では各社さまざまな金属で製作されたフェイズプラグが販売されていますが、
どうも今ひとつなぜその素材を使用したのか見えてきません。

「一番音が良かったから」と言われても他の素材に比べてどこがどの様に
いいのか説明しているところなんてないですよねぇ。どの様なシステムに
よって音決めされたのかも分からないし…。

そんな理由で今まで購入に踏み切れなかったフェイズプラグ、でもオリジナル
のスカスカプラスチックを見るたびに「これを変えればもっといい音でなって
くれるに違いないカモ」と、疑いを持ちつつ悶々とする日々を送っていました。

そこに今までの疑問全てに答えてくれるような企画、商品が現れたのです。

言わずと知れた『BRASS SHELL』

なぜ真鍮のかも明確にうたっています。そして何よりもHALのシステムに
より音決めされたことが私を興奮させました。

「これだったらイケルかもしれない!」

そして待ちに待った『BRASS SHELL』がついに手元に来たのです。

外観については他の方々も絶賛の通り鏡面仕上げの吸い込まれるような美しさ
にしばし見とれ、思わずニヤニヤしてしまいます。(特に男性は金属などの
削りだし物が好きな方が多いと思いますので、この気持ち分かってもらえる
と思います)そしてこの美しさを手垢などで汚さぬよう手袋まで付属させる
気配りにも感心するばかり。

さすがHALプロデュース、抜かりはありません。

外観への感動もそこそこに早速試聴開始です。

 SP  :B&W N803
 CDT :エソテリック P−0s
 DAC :ワディア #15
 AMP :ジェフロゥランドDG Concentra

まずは標準のブラスフラットにて試聴。

最初はオペラアリア集から私の大好きなフレーニの『ある晴れた日に〜
《蝶々婦人》』

「!!!」
「なんてことだろう空間がまるで違う…」

そうなんです!! そのとき現れた空間は広さも高さも奥行きもプラスチック製と
は比べ物にならないくらいに広大にかつ自然な広がりをもって出現したのです。

しかも響きの一つ一つが一点の曇りなくまるで『BRASS SHELL』の仕上げの
ように透明な美しさを持って空間に拡散していきます。

その中に十分に絞り込まれた口元のフレーニがピンポイントに定位するのです。

たいていの場合響きや余韻が豊かになりすぎると響きに埋もれて定位そのもの
があやふやになったりするものですが『BRASS SHELL』は広がりもあるのに芯も
くっきりと再現されます。

ためしに元のプラスチック製に交換してみましょう。

「う〜ん、ボケボケ…」

なんなんでしょうか、つい今しがたまで鮮烈な世界を展開していた空間がピン
ボケの世界になってしまいました。音の輪郭がブレ、響きと芯の境界があやふ
やになってしまいます。

それにともなって今まで凝縮されていたものが拡散し密度感が薄くなります。

全体に響きが重く、鈍く、たるくなってしまうのです。

再び『BRASS SHELL』

とにかく鮮明で軽やかです。何か楽々と歌っています。
まるでアンプを変えたよう。音の芯がブレず、SNが向上するのでより大きな
音量にしても音が崩れにくくなるようです。

さまざまなジャンルを試聴しましたがこの傾向はすべてに感じられます。
そしてもう一つ、プラスチック製よりもどうやらレンジも上下に広がったよう
に感じます。

いじっているのはミッドレンジだけなのですが今までマスクされていたものが
無くなったからなのでしょうか?不思議です、スピーカーが変わったようです。
これはもう手放せないないですね。興奮がおさまりません。

さてここで他のチューニングリングについても試聴してみます。

カッパーフラットに交換。
全体の印象としてはブラスフラットに準じるようですがより重厚感がでるよう
です。切れや解像感は後退しますが落ち着いた音色が心を和ませます。微妙に
暗くなるので、そのまんまですが暗い曲、切ない曲に良く合うようです。

《蝶々婦人》では三つのリングの中で一番切なさを表現できたと思います。
胸にグッときました。また、消極的な使用法ですが耳にキツいソフト、ワイル
ドな鳴りのシステムチューニングにもよさそうです。

ブラスエッジに交換。
ブラスフラットに対してこちらはくっきりはっきり、切れが良くなり軽快です。
芯が強く出るようで余韻感は後退しますがダイレクト感、パワー感があります。
時としてキツさを感じますが小編成の古楽や民族音楽などの原始的な楽器群は
胸に突き刺さる感触が素敵です。個人的には一番の好みですがさまざまなジャ
ンルを聞く人にはブラスフラットの方がバランスを取れるかもしれません。

チューニングリングについて簡単に印象をまとめましたがこれらのリングは
装着直後よりも時間を置いた方が本来の実力が発揮されるようで、機械的な
すわりが良くなるのか一日置くと解像度、SN共により向上し、落ち着きも
出てくるようです。

またこれらリングはブラスフラットに対して大きく音調、音色を変えるもの
ではありませんが、しかし非常に効果的に音に働きかけ、表現の幅を広げて
くれるものと思います。

どのリングを使用してもノーマルのプラスチックプラグに対しての優位性は
実感できますし、どれをとっても非常に魅力的な音に仕上がっていると感じ
ました。

一連の試聴においてこの『BRASS SHELL』は私のN803の価値を何倍にも
引き上げ、今までのわだかまりをすべて払拭してくれたようです。

もはや『BRASS SHELL』を装着しないことが罪悪とさえ感じてしまうほどに
なってしまいました(^^;

工業製品としての完成度の高さとともに音への効果の高さは払った以上の
効果を与える数少ない商品の一つではないでしょうか。

所有する悦びを大いに与えてくれる究極の逸品といえましょう!

N800シリーズオーナーはとにかく試聴を!

ひっくりかえりますよ!(^^)



HAL's Hearing Report