《HAL's Hearing Report》
No.0094 - 2002/7/7 埼玉県幸手市 T・M様より 先日、今随筆にて話題の「A.N.Dシステム」を試聴してきましたので レポートしたく思います。 今回はこれまた随筆中で話題沸騰の「BRASS SHELL」の注文をかねての お邪魔ですが、名誉(?)なことに店頭注文第一号となってしまいました。 「川又さーん、『BRASS SHELL』くださ〜い」は私です。 なんか、こっぱずかしいですね(^^; さて、注文も早々に試聴室へ… いつもよりちょっと奥に移動したノーチラスの後ろに例の「A.N.Dシステム」が… 瞬間、「あ、綺麗ですね〜」ともらす。 確かに幻想的なブルーのメーターも目をひくのであるが何よりも 「Quadraspire」と「RELAXA」によってサポートされたその威容は、 ひとつのオブジェとして完成された美しさを放っている。 失礼な話、今回のマランツのシステム、HALのラインナップの中では デザインが…と思っていたのだが、なかなかどうして、こう見るとだん だん麗しくなってきてしまった。 初のご対面も終え早速試聴に取り掛かる。 といっても我が家のシステムとHALを比べるまでも無く、あら捜しや 分析なんて偉そうなことも虚しいだけ(大体あらなんて見つけられません) ので、純粋に音楽を楽しむこととします。 限られた時間での試聴なので「ジャズ」あり「声楽」ありのちゃんぽん 試聴となってしまったが、全体を通して印象に残るのは空間の再現と 全ての質感の生々しさ、そしてそれらを誇示しない究極的な自然さだ。 以前のノーチラスも空間の再現は素晴らしいものがあったが今回のシス テムではそれを楽に上回る明晰さで空間を表現してしまう。とにかく 演奏空間全てが眼前に展開されるのだ! 特筆すべきは野外での録音(THE RED ROAD / BILL MILLER)、試聴室の 全ての壁が取り去られ、ストレスフリーの広大な空間が出現し自らも そのなかに包まれてしまう。 目を閉じることも不要、それほど明確に知覚出来るのだ。 そしてその中に恐ろしいほどの生々しさで奏者が楽器とともに存在する。 楽器がそこにあるのではない、楽器が人によって演奏されている姿が 現れるのだ!人の肌、木や金属の質感が何の矛盾や誇張も無くごく自然 に再現され、時として奏者の感情まで見て取れるほどの表現をこなす。 フレーニの「蝶々夫人」(ある晴れた日に/オペラ名アリア集)では 感情の高鳴りのブレスに鳥肌が立ち、ジャズのセッション(Simple Mood / JOERG REITER TRIO)ではその熱気で手と背中に大量の汗が噴出し、 ピアソラのバンドネオン(TANGO:ZERO HOUR / ASTOR PIAZZOLLA)の切な い調べに涙が溢れた。 これらはソフトの中身がごく自然に再現されたに過ぎない。 しかし、究極的な自然さの目指す先には究極の生々しさ、スーパーリアル な世界がそんざいし、全てから開放された音楽が我々を感動させるのだ。 そしてCDというメディアに確かに奏者の魂が存在し、これを汲みあげる ことが出来ることに喜びを感じずにはいられないのだ。 皆さんも是非、一刻も早くHALに行き魂を感じ取り、感動し、涙して ください。川又さんが随筆で紹介するこのシステムは今まさにHALにて 日々感動的な演奏を行っています。 そしてこの感動を皆で共に分かち会おうではありませんか! 週末は何も言わずにHALへゴー!! |