《HAL's Hearing Report》


No.0086 - 2002/3/14

千葉県市川市在住 T・I 様より


*最初に私からT・I 様のレポートのバックナンバーをご紹介いたします。
 
http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0046.html
http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0020.html
http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0019.html

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さぁ、何から書こう…。
「あれもこれも書かなきゃなぁ」ということが多すぎたHALでの一日。

そう、まずは衝撃的だったアレから…。

私は自分で言うのもなんですが、根っからのMレビンソン好き。
芯のある音、インテリアに溶け込むデザイン、ブランドイメージ…。
レビンソン党とか、レビンソン教なんて団体があろうものなら、何も考えずに
入ってしまうかもしれないな、と思うことすらある。

それこそ、音を出さずに黒光りするあのボディを眺めているだけでも、嬉しく
なってしまうほどひいきにしているブランドなのだ。

ところが、そのレビンソン党に強力なライバルが現れてしまったのだから、
心中穏やかではない。心底好きだったブランドをゆるがすブランドとは? 

そうゴールドムンドです。

しかも、目ん玉が飛び出るほど“0”が多いミレニアムシリーズの勢揃いで、
S800を聴いてしまったのだ。

そう…、思い起こせば、HALでのS800との出会いは、コヒレンス2+
ハルクロというラインナップ。

もちろん、この組み合わせの演奏にも心底驚き、川又さんに無理を言って
レビンソンのNo.32L+No.33Lという組み合わせに替えて貰ったっけ。

その後もコヒレンス2+モデル12で演奏を聴き、HALのS800が見せる
いろいろな表情を自分なりにファイリングしてきたつもりなのだ。

そのファイリングリストに、ALLゴールドムンドという項目が加えられ、
しかもその印象は強烈なものになったのだ。

川又さんをよく知る人であれば、いつもこれだけ高価な機器を「ご自由に
お使い下さい」と言わんばかりに1曲目が始まるやいなやデスクの方に
戻ってしまうことをご存じだろう。

もちろん、今日も同じ。「リモコンはこれですから…」と言って、ゴールド
ムンドのプリとP-0sのリモコンを置いていく。

たぶん「試聴のジャマは極力しないようにしよう」という川又さんの配慮
なのだろう。

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皆様から同様なコメントを何度も頂戴しておりますので、この場を借りて
ちょっと一言…。

まず、現在の新店舗が出来る前のサウンドパーク・ダイナ7Fの頃から
お付き合い頂いている皆様であればご記憶のことと思いますが、以前は
私のデスクと試聴室が同じ空間にありましたね。試聴されるソファーの
真後ろという至近距離でした。(^^ゞ

そのために私に電話がかかってしまったり、あるいは急ぎのデスクワーク
があったとき、そして他のお客様のご契約と違う方の試聴が重なってしま
ったりとか色々とご不自由をおかけしていたことを私はとても気にしてい
ました。つまり、ビジネスの場面と純粋に音楽に浸っていられる空間を
分けたい…、というのが私の願いでもあったわけです。

そして、私の信条はセールスマンが言葉で説得して商品を勧めるのでは
なく、コンポーネント各々の実演が聞き手を口説いて自分(製品のこと)
をユーザーに自然な形で良い意味で“売り込んで”欲しいと思っていました。

そんな演奏にどっぷりとつかっていられる空間がやっと出来たのですか
ら、皆様にはマイルームの感覚でじっくりと演奏と対峙して頂きたいと
いうのが私の考えであり、最初から最後までつきっきりという状態も人
によっては何らかのプレッシャーを感じられるのではないか? という
思いがあってそうしています。

しかし…、誰でもが…と言うわけではありません。私の判断でシステム
のオペレーションを委ねてもいいだろう…と判断した方にのみ、その
ようにお願いしているものです。どうぞご理解を頂ければと思います。

                           川又より
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さぁ、1曲目は何にしよう。まずは最近買ったCDの中での大当たり。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005HY05/ref=sr_aps_d_1_3/249-4640936-0742742
ジェーン・モンハイト ドリームカムウィズミー。

コレから行きましょう。

ジェーン・モンハイトのボーカル、ピアノのケニー・バロン、ダメ押しの
ベース、クリスチャン・マクブライドという豪華な布陣の1枚。

1曲目の「虹の彼方に」で、女性ボーカルの色っぽさチェック。
いつものごとくP-0sのスタートボタンをグニ。

もどかしいローディング時間が終わり、第一声。

「あ、明るい!!」いつも家で聴き慣れているレビンソンより声が明るいのだ。
私的に、この声の明るさが出るときとは、平日の朝7時58分にやっている
めざましテレビの「今日のうらないカウントダウンハイパー」(いわゆる星座
占い)と、朝9時50分ごろにやっている、とくダネの「血液型選手権」
(いわゆる血液型占い)で、両方「今日の1位」だったときのような感じ。

心がハッピーなときに出る明るさが、ゴールドムンドのミレニアムラインで
聴いたジェーン・モンハイトにあるのだ。

い、いかん。川又さんにまた「レビンソンに替えて聴かせて!」と言わねば…。

あぁ、ガラス越しに見える川又さんのデスクでは、パソコンをパチパチやり
始めている。川又さんに声をかけるのも気が引けるなぁ。

どうしよう、まぁ、もう1曲聴いてからにしてみよう。

気を取り直し4曲目の「ウォーターズ・オブ・マーチ」。
最初の2、3秒でベースのチェックがしやすい曲。
「ベビイィィーン、ベビイィィーン………」

「な、なんじゃこのベースは?」

クリスチャン・マクブライドの指が太く、しかも力がみなぎっている。
3秒も考えている時間は無かっただろう。「ダメだ。川又さんのデスクに
『レビンソンでも聴かせてください』と言いに行こう」そう思ったところに、
なにやらケーブルを取りに来たのか、川又さんが試聴部屋の方へ入ってきた。

すかさず「川又さん、これDACだけでもレビンソンに変えることできない
ですか?」。あぁ、もう閉店時間寸前だと判っているのに、またしても厚かま
しいお願いをしてしまった。

「DACからプリまでのケーブルは変わってしまうけどいいですよね」
うーむ、比較試聴ということになったら、トコトンつき合ってくれる人だ。

こういう無理難題をすんなり聴いてくれるからこそ、HALで買い物はしな
きゃなぁと思ってしまうものでもある。

いかん、話が逸れてしまったので元に戻そう。

さて、ゴールドムンドの20から、レビンソンのNo.30.6Lにつなぎ
替え、同じ4曲目を再生。

「なぜだ、ベースが曇っている!」

しかも、マクブライドは今日の占いの結果が悪かったのか、力の薄い弾き方
なのだ。レビンソン党の私からすれば、受け入れたくない事実のオンパレー
ドなのである。

「ガラガラ」とレビンソン党の看板が崩れそうになりそうなのをなんとか支え、
なぜレビンソンがそう聞こえてしまうのか? 

を冷静に考えてみた結果は…。

「DAC-プリ間のケーブルの違い」「プリ+パワーとの相性」という結論。
でも、1分前に「DACだけ替えて聴かせて」と言ってしまった手前、コレ
以上川又さんに「ケーブルも同じに出来ないですか?」とか「プリとパワーも
レビンソンで…」なんてことはもう言えない。

あぁ、悔しいけどゴールドムンドのプリ+パワーという組み合わせでのDAC
対決では、レビンソン惨敗を認めざるを得ない。

これはまたしても魅力的なメーカーを教えられてしまったようだ。

もうひとつ衝撃的だったのは、手前みそながら真鍮プラグの実力。
N805などでは聴いていて効果を確認していたものの、S800という純正
でも良いプラグを越えるとは、正直なところ眉唾物だったのだ。

ところが、この違いはハッキリと誰でも判りますね。
ピアノのフォルテッシモ。この響きがプラグの材質によって、聞こえ方が
まったく違うんですよ。

もちろん、真鍮方が音像はシャープで余韻の響きがきれい。
「ピキーン」という響きが、1日中何も飲まずに来てアフターナインに
ビールを飲んだときの味(真鍮)と、2件目のお店で飲むビールの味
(他の勤続素材)のような違いを醸し出すんですね。

ビール好きにとってみればどっちもおいしいんでしょうけど、普通は
真鍮を選ぶんだろうなぁという感じでしたね。


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T・I 様本当にありがとうございました。
ちょっと補足させて頂くと、私は以前にも随筆で述べたこともあり店頭
でも同じことを申し上げているのだが、ゴールドムンドというメーカー
は「血統を重んじる」という特徴があるのです。考えてみてください。
入り口のトランスポートからスピーカーまで。そして各種のケーブルを
含めて総合的にシステムを設計製造しているハイエンドメーカーが世界に
何社あるでしょうか。

・超広帯域ハイスピード伝送(そのためのアンバランス接続の選択)

という同社の設計方針からしても、他社の製品とのコンビネーションで
私はいい結果を確認したことは、あのコニサー3.0をのぞけば一度もあり
ません。最低限でもプリとパワーアンプはゴールドムンドでペアリング
しなければ同社の目指しているものは感じられません。

ですから、他社の製品が良い悪いという問題ではなく、同社の設計方針
が極力純粋に引き出されるシステム構成が重要であるということなの
です。そして、それが完成された暁に得られるパフォーマンスの物凄さ
を正確なデモによって一人でも多くの皆様に体験して頂ければと思う
ものです。さて、バーンイン開始後三日目の演奏をこれからチェック
して私のレポートにつなげたいと思います。どうぞご期待下さい。
 
川又より


HAL's Hearing Report