《HAL's Hearing Report》


No.0080 - 2001/12/18

仙台市在住 T・S 様より

いやはや、もうすばらしい体験をありがとうございました。
Kawamataサウンドに更に奥深く魅了されていく自分に気づきます。

今回はNautilus、S800、N801と豪華3点セットの試聴です。
ドアを開けると早速S800とN801のクロスセッティング。
各チャンネルが平行にセッティングされていて不思議な空間でした
S800の方はGOLDMUND、N801の方はMarkLevinsonでのセッティング。
ちょうどパワーアンプがMILLENNIUM、No33L、HALCROと並んでおり、
「コレが本当にモノラルパワーアンプなのか」と思うほどのNo33Lが
かえって小さく見えるくらい。
自分的に一番注目のStradaは残念ながら姿を見せず・・・。

さて、S800はいったいどのスピーカーと比べればいいのか考えました。
結果、B&Wの究極モデル、Nautilusに他なりませんでした。
N801は、なんというか・・・、その、ねぇ(笑)

というよりもN801が悪いわけではなく、S800すごすぎるのです。
その差は見た目の豪華さのように感じます。
ちょっと前までN801って自分的に最高かもと思っていたのですが、
改めてオーディオは進化してると感じました。
川又さんは「Nautilusはあれで完成している」と言っていましたが、
私はまだまだ進化し続けると思っています。

いよいよ本題に移ります。

お得意の擬音にしてみればNautilusは「ジョーン」でS800は「ジャーン」です。
どちらが正しいという問題ではなく、自分的に「いいなー」と思ったのは
「ジャーン」でした。
「ゃ」と「ょ」の違いは音が出たときの開放感。

「ジャーン」とか「ジョーン」というのはOrinoco Flowな訳なのですが、
Nautilusは「ゾンゾンジョン!」S800は「ズンズンジャン!」という感じです。

Nautilusの方はコーンそのものが動いて音を出しているというイメージ。
かたやS800はコーンの一部分が動いて音を出しているというイメージ。
非常に表現しづらいのですが、S800はコーンに縦と横に線を入れ、
マス目を作ったとすると、そのマス1つ1つが異なった動きをして音を
出しているような感じがします。

ふくらんだ風船の内側から指で押すと指の形分盛り上がりますが、
S800はまるでその風船を内側から押した感じがするのです。

それは見た目でもそんな気がします。
Nautilusのウーファーを見ると「こんなに動いていいのか」というくらい
ボコボコ動いています。
その動きが、空気を無理矢理押して音を出している感じがするのです。

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失礼!? ちょっと私、川又から補足説明を…

ノーチラスはアクティブな低域補正を付属のチャンネル・ディバイダー
で行っており、フラットに16Hz以下までレスポンスが伸びています。
従って、録音にサブソニックが残されていると、そのままウーファー
の振動として再生します。低域補正と言っても、例のサイレンサーの
原理でウーファーのバックプレッシャーを消去しているので、理論通り
フラットな低域特性を持っています。ですから、N801やS800よりも
ウーファーの振動面積は小さくても、その中で一番重心が低い低域を
いとも簡単に再現します。と、いうことでT・S 様のご指摘は録音に
サブソニックがある場合ということで、低域が管理されている録音
ではピクリッとも動きません。一応、念のため…失礼しました。
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もちろん、空間を表現する能力では圧倒的にNautilusであり、
CDをかけて音が鳴った瞬間、「コレなんだよなぁ・・・」とぼそぼそと
つぶやいていました。

生まれて初めてNautilusで聴いた曲はOrinoco Flowだったので
「あの感動をもう一度!(HAL's Hearing Report No.024を参考してください)
http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0024.html
と思っていた矢先の「ジャーン」と「ジョーン」です。 

上の1行だけ見るとなんとも人の名前に見えてしょうがないですが(笑)、
結果、音そのものの善し悪しは画像で例えるとbmpとjpg近くの差があった。

Nautilusのあの空間表現とS800の解像度の良さ、この2つを組み合わせれば
それこそ究極のスピーカーとも言えるかも知れません。
私が「NautilusとS800を足して2で割ったら最高ですね」といったのを覚えて
いるかどうか分かりませんが、まさにこういった意味です。

ただし、この評価には保留が付いています。
理由はNautilusとその他パワーアンプなどのバーンインの状態。
Nautilusを入れ替えるときに初めてmodel12の電源を入れていたので
その辺の差かな、とも思えます。
私はMarkLevinsonのアンプを使っていますが、電源投入後と
アンプが暖まった後の音の差は限りない差があると実感しているし、
あのNautilusの音はその電源投入後の音と若干似ていたような気もするのです。
寝起きが悪く、ちょうど昼食を食べる頃に元気になって来るという私と同じ。
もっとも、私は昼食を食べたら再び眠くなるのですが(笑)

結果、S800はどんなスピーカーか、という結論は出ませんでした。
今回はGOLDMUNDで聴きましたが、次回はMarkLevinsonやJeff、HALCRO等
でじっくりと聴いてみたいです。
もちろん、その際には完全な状態でのNautilusとの試聴。
是非、また試聴させてください。

ありがとうございました。


HAL's Hearing Report