No.0059 - 2001/11/19
川崎市宮前区在住 R・M 様 より
川又様
こんにちは。川崎市のR・Mです。
先日は Krell購入にあたって色々とアドバイスを頂き、また、業界リファ
レンスとも言える川又システムのサウンドを聴かせていただき、どうも
ありがとうございました。
Krellは無事わが家のシステムにインストールされ、慣らしの作業を行っ
ています。現時点ではまだ100%の力を発揮しきっていないと思っていま
すが、あきらかに余裕を持ってアマトールをドライブしてくれており、
その結果として低域の量感・質感が大きく改善されたことは期待通りでした。
また、これは少し予想外でしたが、音場が広く深くなり、音楽を自然な
状態〜SPをあまり意識することなく〜楽しめるようになりました。
これからまだまだ良くなるかと思うと楽しみでなりません。
一方、新たな(というか本質的な)悩みも生じております。
これは、Krellがどうということではなく、川又システムのサウンドを
体験した影響が大きいと思うのですが、何か物足りないんですよね。
どこがどうというわけでもないのですが...。
私の周りにはオーディオに取り組んでいる友人がほとんどいません。
また、秋葉原のオーディオショップで何回か試聴をしたこともあるのです
が、そこで鳴っている音に対して感動するほど素晴らしいと感じたこと
はありません。そんなわけで、目標とする音のイメージは、「きっとこうに
違いない」という思いこみによって、自分の頭の中だけで作ってきました。
しかしながら、今回川又システムのサウンドを体験してみると、自分が
築いてきた目標(イメージ)が、如何に貧困なものだったかということ
を、まざまざと感じさせられたわけです。
以前、短時間でしたがフェラーリ512M(テスタロッサから進化したミッド
シップ12気筒モデルの最終型です)の助手席に乗せてもらい、首都高を
走ったことがあります。
トンネルの中を全開で駆け抜ける際、トンネル内部に反響して聞こえる
エンジン音、エグゾーストノートを聞いたとき、あまりの快感で、気が
ついたら顔が知らず知らずのうちに笑ってしまっている、という体験を
しました。
私自身はアルファ156に乗っており、回転数に応じて歌声を変える
その官能的なV6サウンドは、決して他車に引けを取るものではないと
思っていました。しかしながら、フェラーリサウンドというのは全く
次元が違う音なわけです。
結局、それまで持っていた価値基準を圧倒的に上回るような強烈な
官能的体験は、理性を凌駕して基本的な生理反応としてしか現れよう
がないのだ、ということを初めて知りました。
そしてそれが「笑う」という行為だったのだと。
ある意味で、川又サウンドの体験は私にとってフェラーリの魅力を肌で
感じた時と同じ質の「快感」だったと思います。何が素晴らしいという
分析的な理解以前に、人間が持っている原初的な感覚に訴えかけるよう
な、知らず知らずのうちに顔の筋肉が緩んで笑った状態になってしまう、
そんな体験でした。
もっとも、川又システムが出す音を最初に聴いたときには、つい顔が緩んで
しまったものの、もしかすると仕切ガラスを通して川又さんに見られている
かもしれないという意識が働いたため、それ以降は極力難しい顔を保ちなが
らの試聴となりました。
気持ち的には笑っちゃいたかったのですが、初対面で、変な奴と思われるの
もまずいと思ったもので....。
音の分析どころの騒ぎではなかったのですが、ちなみに川又システムを聴い
て最も印象的に残っているのは次の2点です。
・音の立ち上がり/立ち下がりがびっくりするほど速い!
・シンバルの生々しい金属的な響きから、弦の響きが消え入るときの何とも
言えない柔らかなニュアンスまでが同じシステムから再現されている。
もちろん、アルファとフェラーリを全く同列では比べることができないの
と同じように、わが家のシステムと超弩級の川又システムとを同列では
比べられないとは思います。あまりに価格が違いすぎますからね...。
しかしながら、走りを楽しむという点においてアルファもフェラーリも
同じ手段であるように、音を楽しむという点において、わが家のシステム
も川又システムも同じ役割を担っているわけです。
そう考えると「家のシステムでは所詮仕方がないんだ」と割り切ってし
まうわけにはいきません。同じ音、同じ官能水準は無理でも、せめて
できるだけは近づけていきたい、あるいは違うベクトルでの別の官能を
実現したいと、あらためて思いました。
オーディオに投資できる予算が限られている以上、きっとその道のりは
長いものになるとは思いますが、やれる範囲で、楽しみながら続けてい
きたいと思います。少なくとも、これまでとは違い、今度は目標とする
に足る確かな音のイメージができましたから。
今後も川又様のお力添えをお願いすることがあるかと思いますが、
その節は、どうぞよろしくお願いいたします。
また川又“フェラーリ”サウンドを聴かせてくださいね。
それでは失礼いたします。
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