《HAL's Hearing Report》


No.0035 - 2001/10/19

北海道ニセコ在住 K.O. 様より


1.試聴システム
ごくありふれたシステムです。EsotericとSS25の相性など、疑問が残る 部分もあるのですが、長時間聴いても疲れない音で、それなりに気に入 っています。リタイヤ組でいつも家におりますので、このシステムから 終日、モーツァルトやシューベルトなどが流れております。

 ・CD Player:Esoteric P2s+D3
 ・Pre-amp :Accuphase C-280V
 ・Power-amp:Accuphase A-50V
 ・Speaker :B&W SS25 with YST-SW800
 ・Digital cable:Wireworld SSA2 XLR
 ・Interconnect :Ortofon 7/8N XLRx2
 ・Speaker cable:SS25 original(Silver)
 ・Inlet&cables :Furutec HG & others
 ・Power supply :Accuphase PS-500x2

2.リスニングルーム
上記のシステムは、ログハウスの2F(ロフト)においてあります。
http://www2j.biglobe.ne.jp/~ksp/sheer/loft.jpg

別荘地で敷地も広い(最低300坪)ので、周囲の環境は抜群です。 小鳥の囀りがうるさいこともありますが、人為的なノイズが少ないのが 何よりです。丁度、紅葉の時期で、右手の窓から外を見るとこんな具合 になっています。http://www2j.biglobe.ne.jp/~ksp/sheer/kouyou.jpg

3.“SHEER”が来た!
待ちに待った“SHEER”グッズが宅急便で届く。 早速、包装を開けると、SHEER(25cc)とCotton Wiper(30sheets)の他に、 封筒に入った川又店長の名刺と売上票が出てきました。 売上票には、売上4,571円+消費税229円計4,800円(持ち帰り)と記載さ れています。
つまり、送料サービスなのですが、これは、“SHEER”の良さを大勢の方 にわかって欲しいという川又店長の粋な計らいによるものです。

余談ですが、遠隔地に住んでいて頭の痛い問題のひとつは、物品を購入 した際支払う送料がかなりの金額になることです。 先日、秋葉原の某有名電気店から、CD2枚を取り寄せたら、送料1,360 円也の着払い宅急便で送りつけて来たのには驚きました。「送料は発注 者負担」と安易に考える業者は困りものです。

4.試聴手順
さて、“SHEER”です。 先達諸兄のリポートを拝読していますが、“SHEER”効果の判断にあたっ ては予断を廃すべく、リポートの記述を頭の中から払拭して臨みました。 先ず、“SHEER”を塗布しない状態で聴き、続いて、“SHEER”を1滴盤 面に落としてCotton Wiperで丁寧に塗布して拭き取り、2〜3分ほど放 置してから試聴する、という方法で行いました。

5.試聴結果
○ホリーコール”Don't smoke in bed”TOCP-7734
システムチェックの定番CD。中でもTrack5のテネシーワルツが好きで (歳がわかってしまいますが)いつもこれを一番に聴きます。 客演のHoward Levyが吹くハーモニカの短い前奏に続いて、ヴォーカルが 出るのですが、"I was waltzing with darling, To the Tenessee Waltz..."ここまで聴いて、思わず「えっ!何これ?」とつぶやいてしま いました。ハーモニカの微妙な響きと余韻の美しさ、また、ヴォーカル の押し出しの強さ、いつものテネシーワルツではありません。これが “SHEER”効果かと思いつつ最後まで聴きます。

曲が終わって手元のメモを見ると、「余韻の美しさ」「ヴォーカルが前 に出る」「彼女の口の大きさがわかる(?)」「ベースの厚み」などと 記載されています。
つまり、“SHEER”前に比べ、全体にヴェールを剥がしたような透明度の 高い音という印象の他に、余韻の美しさ、ヴォーカルの押し出しなどの 特長が感じとれました。

○内田光子 ”Live in Concert”PHCP-1055〜6
これも定番CD。CD2 Track5 モーツアルトピアノソナタ第15番第2楽章。 モーツアルト自身が、「初心者のための小さなクラヴィーアソナタ」と 作品目録に記したという愛らしいピアノソナタです。中でも第2楽章は、 単純な旋律の繰り返しなのですが、その美しさは比類ありません。

“SHEER” 後は、ビットストリーム録音というこのCDの特長がよく出 ているように思いました。つまり、サントリーホールの適度な残響を伴 うピアノが、よりなめらかに、より艶やかに粒立ちよく響きます。

この曲は、各フレーズの出だしの1音に特長があるのですが、それが 「滲まず、余韻の美しい音」として聞き取れるのは、間違いなく “SHEER”効果ですね。

○シュタルケル、バッハ無伴奏チェロソナタ集 09026-61436-2
グラミー賞受賞の演奏、録音ともに優れたCDです。第1番Track2 Allemandeを聴きました。
ご存じのように、無伴奏チェロソナタという音楽は「演奏者との真剣勝 負」といった感じがあります。

“SHEER” 後は、聴いている小生の側の緊張感も極度に高まり、あたか もシュタルケルと真剣で一騎打ちをしている感じになりました。 フレーズの合間に聞こえる彼の息づかいがとてもリアルです。 MBR>
また、「弦が弓で弾かれて撓み音が出る」という弦楽器のメカニズムが よくわかるようになりました。余韻の美しさは、他のCDと共通してい ます。

○マイスキー・アシュケナージ、交響詩「ドン・キホーテ」KJCL-00018
話題のDSDによる優秀録音盤。Track4 第3変奏を聴きました。この変 奏は、理想を語るドン・キホーテと現実的なサンチョの掛け合いになっ ています。マイスキーのチェロとトムターのヴィオラがこの主従を表現 していますが、哀しいほどに美しい旋律が、柔らかいチェコフィルの演 奏にのって奏でられます。

まだ数回しか聴いない新しいCDですので、“SHEER”効果はさほど出な いだろうと思っていましたが、はっきり違いが出ました。つまり、音の 透明感がグッと増し、しなやかな弦の響きと、より広がりを持った管弦 楽がとても印象的です。
トライアングルは打楽器ですが、これが「チンチン」でなく「シンシン」 と、あたかもドラムのスネア奏法のように美しく聞こえます。こんな経 験は始めてです。

5.むすび
上記の他、映画「タイタニック」のサウンドトラックとか、ポリーニの ショパン「バラード集」、キャスリーン・バトル「ザルツブルグリサイ タル」等も聴いたのですが、総じて、“SHEER”後の余韻の美しさ、粒立 ちの鮮やかさや、ヴォーカルの押し出しなどが印象に残りました。

これは、とても大きな変化で、機器コストに換算するなら数百万円にも 相当するのではないかと思います。 たった(1枚あたり)24円の“SHEER”で、この変化を手に入れること ができるのですから安いものです。

また、この“SHEER”の塗布と試聴を通して、日頃、あまり気にかけなか ったCDの信号面にも感心を持つようになり、併せて、その取り扱いも 丁寧になるという副次的効果がありました。

最後に“SHEER”と購入に便宜を図って頂いた川又店長に感謝致します。


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