《Shunyata AURORA-H.A.L.'s Monitor Report》
No.0436 - 2008/10/10
京都府宇治市 T H 様より Vol.2「この空気感の言葉にならない程の美しさが大変印象的です!!」 モニター商品 ■Shunyata Research AURORA-SPEAKER CABLE(2.5m) 税別定価 \1,285,000. http://www.shunyata.com/Content/products-SPAurora.html ■Shunyata Research AURORA-INTERCONNECT XLR(1.5m) 税別定価 \690,000. http://www.shunyata.com/Content/products-ICAurora.html 前回の投稿をご紹介させて頂きます。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_moni0427.html http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_moni0405.html ご夫妻の写真付きレポートでした。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0298.html そして、Cardas Myrtlewood Blockでも投稿を頂いておりました。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_moni0380.html さて、今回のケーブルについては長期間にわたって試聴させていただき、 ありがとうございました。大変感謝しております。 ケーブルは、期待通り、魅力的な再生を聴かせてくれ、存分に楽しめました。 このケーブルは、熱く生き生きとした演奏が得意ですね。 奏者の情熱や思いすらも、伝えてくれる力があります。 しかも、SNが良いために、空気感や余韻、つまり音にならない音が大変良く 伝わり、情景を感じることができ、雄弁で見通しのよい音楽を伝えてくれます。 今回の試聴では、いろいろなCDをためしてみました。 ・・・・・、というより、いろいろなCDを聴いてみたくなるケーブルでした。 お陰でたくさん買い込んでしまいました。あまりにも音楽的なのです。 以下、いくつかのCDを通しての私の雑感です。 『人間の声〜マラン・マレ・ヴィオール音楽』 (ヴィオラ・ダ・ガンバ:ヒレ・パール) このCDはコルンラーデ教会での録音で、最近、大変気に入っている一枚です。 奏者のヒレ・パールはかなり意識的にガンバの余韻をたっぷりと教会に響かせ ています。豊かな余韻は、教会の空気を目の当たりにするようです。 まるで、時間と空間をこえて異次元に行ったかのような豊かな響きです。その 響きは実に官能的で雄弁、豊かなニュアンスとエネルギー感に満ちています。 それをShunyata AURORA-SPとShunyata AURORA-ICは伝えてくれているのです。 音の粒が実にスケール豊かに広がります。 『ソフィア・グバイドゥーリナ:今この時の中で』 (v. アンネ・ゾフィー・ムター、指揮ゲルギエフ ロンドン交響楽団) これはムターが作曲者の深い精神に触発されて初演し、録音したとされている ものですがが、なかなか気合の入った迫力満点の演奏です。 最初から最後まで、ムターのヴァイオリンには、弛緩する部分は一切なく、 すべての音に深い意味を込めながら、深い精神性でムターが演奏している様子 がひしひしと伝わってきます。 ムターの多くの演奏の中でも白眉の一つではないかと思う。そうした緊張感と 音楽的な感動をこのケーブルは生き生きと表現します。何度聞いても聞き飽き ないですよ。ムターの本質を伝えてくれるようです。 『バッハ:シャコンヌ』( V. ヒラリー・ハーン) 「サラバンド」のハーンのヴァイオリンは、あまりにもまぶしい響きです。 音色は、ピュアーでフレッシュ。そして鋭い。たとえ一音といえども迷いの ないハーンのバッハにかける思いが、圧倒的な説得力で伝わってきます。 「ジグ」リズミカルに弾みながら、きらきらと輝きながら歌っています。 「シャコンヌ」は圧巻です。ハーンのヴァイオリンはここぞとばかりに歌い上 げます。表現の幅は実に大きく、激しく力強く、そして悲しくダイナミックです。 余韻はホールに心地よく響き渡っています。このケーブルの再生力のすごさです。 楽器の美しさだけではなく、そこに託された思いが伝わるのです。 『ベートーベン:ピアノ協奏曲第5番皇帝』 (P. エレーヌ・グレモー 指揮裏ディミール・ユロフスキ ドレスデン国立管弦楽団) 第一楽章の冒頭のオーケストラの和音に続く、ピアノの深々とした音色とその 余韻にしびれます。 第二楽章の夢見るような美しい旋律はこのケーブルにとっては得意の部分で しょう。筆舌に尽くせない美しさです。グレモーの息遣いが聞こえてくる名 演奏です。 第三楽章では、激しい打鍵が連続します。 グレモーは、高度な演奏技術を見せびらかせるような演奏はしません。 彼女の特質は、打鍵の余韻。空気感、音の粒のデリケートな混ざり合い。 それらの美しさを実に見事に駆使して音楽表現に高めていく演奏家です。 Shunyata AURORA-SPとShunyata AURORA-ICを使った再生では、SNが良いので しょう。この空気感の言葉にならない程の美しさが大変印象的です。 空気が揺れが伝わってきます。 『ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」』 ( 指揮 小林研一郎 チェコフィルハーモニー管弦楽団) このCDで、小林研一郎は、チェコフィルのやわらかくあたたかな響きや音色の 変化を組み合わせながら、曲を組み立てて「新世界より」の演奏を成立させよ うとしているようです。 弦楽器も管楽器も指揮者を信頼しながら、自分達の自慢の音色をたっぷりと 響かせています。なめらかで、あたたかな響き。壮大なスケールの独自の音の 世界を築いています。 録音は、チェコフィルのホームグランドの「ドヴォルザーク・ホール」です。 ホール一杯に、チェコフィルの美しい音色が充満し、聴き手を包み込んでくれ るようです。 そうした演奏の性格上、ここでもその音色の変化をどこまで正確に再現できる かが、演奏の感動を手にできるかどうかの分かれ道です。 その点で、このケーブルはチェコフィルの音の音色、分厚く豊かなハーモニー の魅力をあまさず伝えてくれました。 『マリア/ チェチーリア・バルトリ』 (メゾ:チェチーリア・バルトリ 指揮 アダム・フィッシャーチューリッヒ歌劇場) バルトリの思い入れのたっぷりのアルバムです。 そのこともあり、生々しいほどのバルトリの思いの伝わる歌唱の連続です。 それほどに表現はロマンティックであり、熱い情感につつまれています。 それを余さずに伝えてくれるのが、このケーブルのうれしいところです。 5曲目「我こそ華の密輸業者」では、ギターとカスタネット、そして手拍子の リズムが素晴らしい切れ味で臨場感を発揮。CD全体を通して、バルトリの変幻 自在の歌声が生き生きと伝わってくるのです。 『パリ、愛の歌 〜 永遠のシャンソン名曲集』 (歌 クレール・エルジエール、ダニエル・コラン、ドミニック・クラヴィク ) 今回の試聴で、シャンソンを試してみました。これはなかなか面白かったです。 シャンソンは、「語り」と「味」ですね。そして独自の「間」が必要です。 「間」を表現するのは、実は大変難しいのではないでしょうか? どの程度、その「間」を再現できるのか?このケーブルの注目の点でした。 結果は、もう当然のごとく、見事にそしてリアルに、その「間」を表現してく れました。 その一瞬の沈黙に、パリの心地よい風が部屋の中を吹きぬけたようでした。 ところで、最新のオーディオ機器が新しい録音のものを魅力的に再生するのは 当然のことなのでしょうが、私のもう一つの関心は古いCDの再生です。 どこまで再生してくれるのか大変興味がありました。結果は、従来盤が実に 生き生きと熱い音を響かせてくれました。 それは驚きであったし、うれしいことでもありました。 以下、そのいくつかを紹介します。 『エルガー:チェロ協奏曲』『ハイドン:チェロ協奏曲1番』 (チェロ:ジャクリーヌ・デュプレ 指揮 ジョン・バルビローリ、ロンドン交響楽団)) デュプレの演奏するエルガーの協奏曲ではチェロが艶やかな音色で歌いに歌い まくって、切なく迫ってきます。 ハイドンの協奏曲では、弦楽器の合奏が素晴らしく美しく響いてくる。 そのアンサンブルの上に天衣無縫のデュプレのチェロが伸び伸びと美しい旋律 を奏でていきます。 音色は千変万化。まさにデュプレの演奏の醍醐味です。自在にチェロをあやつ りながら一瞬の緩みも無く、一気に歌い上げていくデュプレのすごさをリアル に伝えてくれます。 『シューベルト:交響曲第8番「未完成」』 (指揮 ブルーノ・ワルター ニューヨーク・フィルハーモニー) 『ベートーベン:交響曲6番「田園」』 (指揮 ブルーノ・ワルター コロンビア交響楽団) また、ワルターの「未完成」は私のオーディオ機器についての目安としているCDです。 魅力的は装置に出会うと必ず試聴して見るCDです。 というのも、本当に感動的な再生をしようと思うと意外に、私には難しいもの だからです。 Shunyata AURORA-SPとShunyata AURORA-ICのコンビは、ワルターの魅力を 見事に伝えてくれました。 ワルターは、緊張感をたたえながら、ロマンティックに歌う弦楽器群の悲しく 激しいフレーズの洪水を丁寧に積み上げながら圧倒的に、第一楽章を組み立て ていきます。 第二楽章は、胸にせまってくるようなリズムで始まります。 絶妙のニュアンスです。そして終わりには、絶叫するかのような各パートの フレーズが、交錯し、その隙間をぬうようにして木管の優しげなメロディが 響く。 さまざまなメロディが、まるで激しいうねりのように、いつ果てるとも知れず 繰り返されていくその様子が実に生々しく心に迫ってくるものです。 特に中低音域の音の動きが、この交響曲では重要だと思うのですが、Shunyata AURORA-SPとShunyata AURORA-ICを使った再生では、そのテクスチュアが実に 魅力的に描写できて、「未完成」のデリケートな心情織りなす世界に引き込ま れていくのです。 また、「田園」という曲も、演奏の再生面では意外に難しい曲だと思っています。 特に、第一楽章冒頭のあの有名なテーマは、下手をするとただ単に癒される 美しいメロディで終わってしまいがちです。 けれども、このメロディにはもっとさわやかな緊張感が必要なのです。 単なる癒しではなく、苦悩と表裏一体となった安らぎの瞬間。 それには、しっかりと張りつめた弦のすがすがしい響きが必要です。 この弦の緊張感がないとこの「田園」のメロディは実は大変退屈な曲でしかな いのです。このような再生は、私の装置ではなかなかできなかったのです。 それはあまりに微妙な音の感触です。けれど、このケーブルを使用した再生で はいとも簡単にその張り詰めた朝のさわやかな緊張感を再生して見せました。 『マリア・カラス/ パリのマリア・カラス第1集』 『マリア・カラス/ ヴェルディのヒロイン』 マリア・カラスの歌唱の魅力を再現するのは大変難しいことです。 その難しさの原因はマリアカラスの声そのものにあります。 周知のように、カラスの声は、太く、ややこもりがちで、決して美声とは言え ない、複雑な要素の声の質です。カラスはそうした声の質を変幻自在に駆使し ながら、オペラのドラマ世界を一瞬のアリアの中に込めていくのです。 Shunyata AURORA-SPとShunyata AURORA-ICを使った再生では、カラスの微妙 な歌いまわしの変化を正確に再現していくことで聞き手を感動へと導いていっ てくれるのです。 人間の肉声の複雑な要素を繊細に再現できるケーブルと言えます。 そういう力が無ければ、カラスの良さは伝わりません。 こうした微妙な表現の変化を再生する力の見事さは、先に書いた、シャンソン の歌唱の再生の見事さに通じるものがあります。 このケーブルの印象を、一言でまとめれば、実に「音楽的なケーブル」だと 言うことです。 試聴の間、CDを聞くのが楽しく、新しいCDを買ってでも聴いてみたくなりました。 久しぶりです。 音楽を本当に満喫し、すっかり堪能できました。 店長には、試聴期間の途中、ジャンパーケーブルを手配していただいたり、 期間延長のお願いをしたり、大変お世話になりました。今回、素晴らしいケー ブルをたっぷり聞かせていただいたこと、本当にありがとうございました。 とり急ぎ、今回の試聴のお礼まで。ではよろしくお願い致します。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 川又より T H 様、大変詳細なご感想を頂き本当にありがとうございました。 音を聞くうちに頭の中に様々なイマジネーションが膨らみ展開していく。 音楽によって聴き手の感性が刺激され、演奏に触発されて人々の美意識が 目覚めていくこと。これが音楽性というものでしょうか? その音楽性とは音の美食家であればあるほど更に美しいものを求め、また美し いものに出会った時には敏感に反応する。まさにT H 様のご感想は多くの皆様 に共感をもたらすものかと思います。 そして、音楽と聴き手の触媒となるものの一つにケーブルがあるわけです。 ケーブルも立派なコンポーネントの一部ということで、ハルズサークルの皆様 にとっては常識となっていることでしょうが、ケーブルの存在感に新たな発見 があったときには以前から聴いてきた他のコンポーネントの価値観が大いに 高まるものなのです。 さあ、皆様もこのケーブルを体験されてみてはいかがでしょうか? そのためには、先ずハルズサークルにご入会下さい。 |