《HAL's Monitor Report》


No.0176 - 2003/5/14

秋田県男鹿市在住 こうへい 様より

モニター製品 dcs Elgar plus 1394 & Delius 1394

秋田の「こうへい」です。

私は、P0-sを導入したあともDACまで購入できず、MarkLevinson No.39Lでアナログ
変換しています。

今般、ご厚意に甘え、Elgar Plus 1394 と Delius の試聴をさせていただきました。
ありがとうございました。

現在のシステムは、川又さん流の記載をすると、

Timelord Chronos
	↓
Word sync only→dcs BNC Digital Cable
	↓
dcs 992/2(AC DOMINUS & RELAXA2)
	↓
Word sync only→dcs BNC Digital Cable
	↓
Esoteric P-0s with VUK-P0(AC/DC DOMINUS & T.I.P)
	↓
Digital DOMINUS
	↓
☆MarkLevinson No.39L(AC DOMINUS & RELAXA2 & T.I.P)
	↓
Balance DOMINUS(1.0m)
	↓
J.R.D.G. Cohherence II(DC DOMINUS & T.I.P)
	↓
Balance DOMINUS(1.5m)
	↓
J.R.D.G #12(AC DOMINUS & T.I.P)
	↓
DOMINUS V-Bi-Wire Speaker Cable(2.0m)
	↓
KRELL LAT-1(With Rosen Kranz PB-JRII(H)

様々なCDで試聴したのですが、感想に関しては、例の "Voices" について記します。

試聴機到着後、とりあえずElgar を繋ごうとしたのですが、992との接続がどうも良
く解りません。早速、川又さんにメールです。Timeloadの技術者にも連絡していただ
きました。この素早い対応が、初夏に吹き過ぎる風のように爽やかなのですよね。
Timeload技術部の米谷様の対応も、懇切丁寧で見事でした。

ありがとうございました。

無事接続を終え、PADのシステムエンハンサーをリピートして、4日間ほど出張に行
きました。帰宅後、早速試聴です。

違う。はっきりと違います。

フィル・ソーヤーのワンダフル・ワールドのドラムスの皮の響きに質感と芯があり
ます。ステージの広さも、今までとは比べものになりません。

ただし、Elgarで聴く音楽は、どこか緊張を強いられているような気がしてなりま
せん。あたかも、カフェレーサーで長距離ツーリングに行っているようで、疲れ
てしまいます。

…………と感じたのも、僅か1日でした。要は、自分の方が、リラックスできて
いなかったのですね。あたかも、初めて高級料亭に行った時のように、旨い事
は
旨いのだけれど、気疲れして堪らん。という感じだったのでしょう。

翌日からは、夢のような時間が過ぎていきます。ひとつひとつの音の粒子の細か
さが違います。女性ボーカルや弦楽器の高音域で特に顕著なのですが、声帯や
弦が震える様を、忠実にトレースしているようです。

バラット・ウォーのルーシーのボーカルに感じていた耳障りなざらつきが雲散
霧消していきます。

ここで、例によって、CONOISSEUR 3.0 オーナーのT.Tさんの来訪です。

前日から Delius に繋ぎ換えていたのですが、開口一番、「今までとあまり
変わらないじゃない。」その通り。

Elgar とDeliusのスペック上の違いは、筐体と、表面実装部品の導入と、電源
トランスの数だけのはずなのですが、あまりにも違う音が出ます。

Elgar に比べDelius は、あたかも低音にリミッターが掛かっているように聞こ
えてしまいます。その為、私のシステムでは、音楽の厚みが損なわれ、フィル・
ソーヤーのワンダフル・ワールドのドラムスの皮の響きが変わり、アタックした
瞬間の立ち上がりが甘くなります。

ひとつひとつの音の弾けるような躍動感が減少している為、聞いていて思わず
息を飲むような瑞々しい鮮度のある音の艶が減り、声帯や弦が震える数をあた
かも四捨五入しているように、密度が粗になってしまいます。

バラット・ウォーのルーシーのボーカルに感じていた耳障りなざらつきが戻っ
てしまうのです。残念ながら、Delius 導入の線は消えました。

再び、Elgar に戻します。やはり素晴らしい音楽を奏でてくれます。

ここまでは、No.39Lの入力がバランスだけなので、88.2kHzでの試聴です。
T.Tさんの提案で、ものは試しと昔使っていたSILVER AUDIO A1で176.4kHzの
デュアル接続を試みました。「駄目だこりゃ。ケーブルが負けている。」
DOMINUSの力の大きさが、ここでも出てしまいました。

Elgar が、素晴らしいDAC である事は疑いようもありません。
が、しかし……。眩しいのです。

前面パネルの傾斜のせいで、天井のダウンライトの光を、ものの見事にリス
ニングポイントに反射してしまいます。その部分のライトを消してみましたが、
元来我が儘な私は、自分が機械に合わせているという事実を心のどこかで納得
できないようです。

川又さん、申し訳ありませんが、dCS954II、試聴させて下さい。
954でも駄目なら、あの、電源トランスを5個も積んでいるというDACしか選択
肢はなくなるのでしょうか。
稼がねば。


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