《HAL's Monitor Report》


No.0141 - 2002/11/25

埼玉県川口市のLUX FAN 様より

モニター製品 marantz SC-7S1&MA-9S1

この度、川又さんから「SC−7S1とMA−9S1モニターできるよ」
という悪魔の囁きがあり、前機種の「SC−5、SM−5」をサブシステム
として使っていることからこの企みに便乗せてもらいました。

モニター製品
・Pre amp.; SC−7S1(marantz)
・Power amp.; MA−9S1(marantz)
現有システム
・Pre amp.;sc−5+bb−5(marantz)
・Power amp.;sm−5(marantz)
・CD Player;DSD-S10(DENON)
・Speaker;DS-1000ZX(DIATONE)他

さあ、開けてみよう

重いー! MA−9S1入りの箱は総重量38kg、予想したより重かった!
体力が衰えたせいでしょうが、これが後々大変なことになるとは・・・。

え!箱が一重だ。前機種のsm−5では化粧箱を覆うように運送用の箱が
付いていたのだが・・・ない。丈夫そうな紙質に免じて許してあげよう。

発泡スチロール。ちょっとやそっとでは割れそうにない材質、そうこうで
なくちゃね。MA−9S1のような重量級の機種の場合、普通の発砲スチ
ロールでは運送中に割れて使いものにならなくなることがよくあるのです。

よしよし。

SC−71のリモコン。重量があっていいですね。
いかにも高級な機械を操作しているという感覚が味わえます。
さらに、小さいボタンとボタンを押したときの感覚すばらしい。こ
のリモコンだけでもほしいな。


「帯域バランス論」についてどう思われます?(ヒアリングレポートは
後の方ですョ。)さて、ヒアリングレポートに移りたいところですが、最近
雑誌等で話題になっている「帯域バランス論」についてどう思われます?

私の理解した点を要約しますと、某評論家は「帯域バランスは再生音の個性
を最も大きく左右すると同時に正しい再生にとって最重要課題であると考える。

そのためには、部屋の音響特性と機器のバランスがある範囲で普遍性を持つ
べきである。」と言い、更に「オーディオには自由に個性を発揮させる楽し
みがあり、人の趣味嗜好は何でもありとはいえ、帯域バランスという録音再生
の大前提をおろそかにした音は問題外である。」とおっしゃっている。

また、こんなことも発言されている「演奏家にとっての楽譜が、われわれの
CDであり、クラシックの演奏家が皆同じ演奏をしないのは忠実に演奏しよ
うとするほど、自己に忠実になる。その結果として、演奏家の個性がでてく
る。」

興味をもたれた方は、「Stereo」11号222ページを、また誤解のない
よう引用もとの10号65ページもご覧下さい。

マーこんな話をしたのも、これからレポートしようとしているサブシステムが
緊張して聞きたくないためと部屋を防音に対してまったく対策していないこと
から、低域に関しては十分な再現性をもたないように調整したシステムでの
評価であって、今回借用した機種の能力を十分評価していない気がするからで
す。

相対比較での評価ということで話し半分に聞いてくださいませ。では・・・。

困るんですよね

SC−7S1とMA−9S1をセッティングするには、最小限スピーカーを
動かす必要があります。夕方着いた両機を5.5畳のリスニング専用ルームに
運び込み下からMA−9S1×2台、その上にSC−7S1とセットして、
スピーカーを元の位置に戻しました。スピーカーを動かしたためにチェック
CDで位置確認を開始しました・・・「left...」「Right...」ところが急に
ドアの外から「わん!わん!」と大きな声、そうマンションで飼っている
駄犬の「リリー」と「チビ」の声です。今まで同じCDは何回も掛けてい
るのに、こんなことは初めてのことです。

それだけ、実際の人の声に近いということでしょうが、ボーカルのCDを掛け
るたびに吠えられては・・・困るんですよね。

お待たせしました!ヒアリングレポート

「困るんですよね」に書いたとおり、最初から違いました。
驚いたときは声も出ないものなのですね。笑い出すという人もいますが。
それが、何年にも亘って調整してきたものと付属品の電源ケーブルを繋ぎ、
床に置いただけのものがここまで違うとは。。。ではなく・・・。

どのように違うかって。雑誌には透明感があると書かれていることが多いか
と思いますが、私の現有システムで聞く両機の音は瑞々しい(「みずみずし
い」と読みます)のです。そう10代の化粧をしていない田舎の女の子のよう
に素朴でみずみずしいのです。

これは、透明感もさることながら、メインの音だけではなく必要な周囲の音
や響きを残した上で、どの帯域にも強調感がないからこのように感じるので
はないでしょうか。

この音は前機種のsc−5、sm−5の音の傾向を引き継ぎ、更に瑞々しく
した音。また、前機種のsc−5とsm−5は高域が刺激的に感じる部分が
あってこれをどう抑えるが鍵でしたが、SC−7S1とMA−9S1はあっさ
りと刺激的な部分をなくし、さらに中心に芯を残した上で左右と奥に音を広げ、
見事に各楽器を分離せしめ、低域はというと引き締める方向ではなく、自然
に減弱させた上で分解しているように聞こえます。

そう!これは、私が長年このシステムで目指した方向と合致します。

そこで、疑問点が2つ湧いてきました。一つ、低音はどこまで出ているのか?

二つ、前へ音が出てこないのはこのシステムの所為?部屋の影響?
そこで、予定のなかった「超低域まで出るシステム」と「風圧のように前に
飛び出す音に調整したシステム」で両機の実力を諮るべく、この重いMA−
9S1とSC−7S1を急遽もちだすことにしました。

でも・・・「動かない」
最初に書きましたように、SC−7S1は20kgなんとか運べます、MA
−9S1は38kg、持ち上げることはできても運べません。したがって、
SC−7S1のみをそのシステムのある100km彼方に持ち出すことに
なりました。

このことが、川又さんにご心配を掛けることになるとは露知らず(略)

長くなってしまったので、このシステムで確認した「SC−7S1」の
私なりの感想を述べますと「主張するところは主張しますが、システムの
音を大きく変化させることなく素直に再生する。」ように感じました。

このシステムでいえば、「低域はシステムの要求するように出していますが、
ただ分解はさせてもらいますよ。」という感じでしょうか。

また、このシステムでは前に音は出しますが、その出方が「前に出ろと
言うのなら出ますが、少し控えめにさせてもらいますよ。」という感じで
喧嘩しているようにも思えました。

ちょっと調整が必要ですね。それよりはサブシステムで聞いた方が好ま
しく、細かい音は聞こえますが、少し離れた位置で実際演奏を聞いてい
るように感じました。

sc−5+MA−9
SC−7S1に替えて旧型のプリアンプであるsc−5(bb−5)を
組み合わせた感想は次のようでした。

・瑞々しさは少なくなり、乾いた音になる。
・サ行がより強調されるため、CDによってはきつく聞こえる場合もある。
 逆にCDによっては明確に聞こえるため聞きやすいものもある。
・ステレオパワーアンプからモノラルのパワーアンプにしたことから、
 良くなるのではないかと思った奥行き感と広がりです。しかし、奥行き
 感は少し狭まるような感じですが、それよりは音が中央に集中して左右
 の広がりが少なくなりました。

したがって、ヒアリングレポートで書いたことは、SC−7S1とMA−9
のどちらかの効果というより、相乗効果がもたらした結果ということでは
ないでしょうか。

CDレビュー
サブシステムで聞いたCDの感想です。

ロマンティック・モーツアルト/アシュケナージより「ピアノソナタ第14
番ハ短調」ピアノ以外のホールトーンが奥行き、左右方向に広がる。
ピアノの左手は弱く、ピアノらしく雰囲気を伝える。

メロディ/諏訪内晶子よりチャイコフスキー「なつかしの土地の思い出
作品12」この曲の演奏にはバイオリンの強い高域が入っていて、刺激的
に聞こえるかがポイント。刺激的には聞こえず、バイオリンの繊細な表情が
聞こえます。バイオリンとピアノの位置がわかり、奥行き感を伴った実態
感がある。

PURE ACOUSTIC/TAEKO ONUKIより「突然の贈りもの」
低音の出方のためか、ペダル音が演奏の邪魔にならずに聞こえる。
声がより生々しく聞こえ、口元だけでなく全身が見えるよう。

ちょっと一言
ちょっと気になる点がありました。

シャーシの削りだし面。両機は本体をシャーシで囲った上に更にシャーシ
で覆うようなデザインになっています。この面が削りだしのままになって
います。デザイン上そのようにしたのでしょうが、どうでしょうかね。

気になる人もいるかと思います。

MA−9S1のスピーカー端子。一流部品のWBTでしょうが、私の家の
スピーカーケーブルは半分しか入りませんでした(^_^;)。

輸出仕様優先でしょうが、バナナやYラグが嫌いな人もいるのでご考慮の
ほどを・・・。

SC−7S1のファンクションスイッチ。軽すぎます。
従来のアナログのノブと違って音質には影響ないのでしょうが、もっと操作
したときに重量感のようなものがほしいですね。

わがままを言って申し訳ありません。

感謝
このレポートは、私の現有システムで聞いた結果ですので、また違う環境、
システムで聞けば違う印象をもたれる方がいるかもしれません。話半分に
聞いておいてくださいね。
MA−9S1のスピーカー端子にはコードを半分しか繋いでいないことで
すし(^_^;)。

マランツ様、改めて8年間の月日経過を思い知りました。すばらしいシス
テムを開発され、7番と9番と言う番号を付けられた意気込みが伝わって
くるようです。

今後とも益々オーディオを愛する人に幸福を与える機器が出現すること
を期待しております。マランツ様並びに川又様貴重な体験をさせていただ
いて改めて感謝いたします<m(_)m>。




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