H.A.L.'s Hearing Report - FrancoSerblin Ktema!!


No.0582 - 2010/8/24

埼玉県川口市 LUX FAN 様より

「H.A.L.'s Hearing Report - FrancoSerblin Ktema!!」
 
Vol.5「Francoさんの集大成の音を聴かせて頂きました。ご馳走様でした!!」
 
埼玉県川口市 LUX FAN 様より
 
前回の投稿をご紹介致します。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0526.html
 
これまでの投稿をご紹介致します。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0319.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0303.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0245.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0189.html
 
横浜市のN.H.さん以外にも「Ktema」をじっくり聞かせて頂いた者です。
お久しぶりです。Lux Fanです。知らない…そうでしょう。
 
いつ以来の投稿になるのでしょうか?
また、何回目のヒアリングレポートでしょうか?
記憶にありません。
 
簡単なレポートはした覚えがありますが、本格的なレポートといえば…
 
"感動は文章量に比例する"うん?どこかで聴いた覚えが…では、
「Ktema」劇場の始まり始まり〜。
 
■前置き
 
Francoさんが新しく「Ktema」というスピーカーを発表したというので、
sonusファンの私としては聴きにいかないわけにはいけないということで、
たくさんのCDを抱えて、久しぶりに川又さんのところを訪問しました。
 
「Ktema」の見た目の第一印象は思ったほど大きくないというより、川又さん
の試聴室では小さいスピーカーに見えること。でも隣にあったB&Wと同じぐら
いだから決して小さいわけではない。デザインのためでしょうか?
 
音の第一印象はHomageシリーズのフラッグシップStradivari Homageの音に
良く似ている。Francoさんの集大成の音。
 
ただ少し違うのは、Stradivari Homageが曲によっては大きなユニットを
ゆったりと動かして聴かせる音や風圧のようなものを感じることがあることに
対して、前面に複数の小さなユニットを使ったスピーカー独特のより俊敏な
鳴り方に差があるように感じました。
 
しかし、音楽をきれいに、スムーズに、気持ち良く聴かせるという意味では
共通な音質でした。
 
人が聴いて気持ち良くいわれるピラミッドバランスの音を正三角形に例えると、
底辺を少し狭くした二等辺三角形の音ともいえます。
 
■ヒアリングレポート
 
まずは…ピアノから聴いてみましょう。
山本英次のソロピアノ「グリーン・スリーヴス」から1番目の"グリーン・
スリーヴス"あれ、中低域は良く聴かせるのに、高域が伸びないな〜。
 
では、フルートで確認してみましょうか。
4本のフルートが奏でるリンクスの「アールイー」から"ラフマニノフの
ヴォカリーズ"と"チャイコフスキーの白鳥の湖"
 
な〜んだ。中高域もよく出るじゃない。
ユニットの構成が良く分からないですが、Stradivariと比べてさらに上品に
なった印象。フルート独特の息使いも刺激的にならずに聞こえてきます。
 
では、立ち上がりと立下りをギター曲で確認してみましょうか。
荒谷みつる「ナチュラリズム」から"クロ猫ロック"を聴いてみましょう。
 
これはかきむしる演奏に超接近して録音した曲です。
これは…いつもと違う音に聞こえます。
 
なんというかガットが金属ぽい音を出しているというか、汚いギターの音に
聞こえます。立ち上がりと立下りがあまり得意ではないのかなー、このスピーカー。
 
では、弦つながりで、チェロの低音再生を確認してみましょうか。
長谷川陽子「ゴーダイ:無伴奏チェロ・ソナタ」から"無伴奏のチェロ・ソナタ"。
 
16年前の古い録音であることが分かるような分解能を示します。また、低音
も思った以上に再生しています。このCDの再生としては不足ないですね。
 
では、お待たせのバイオリンの再生を確認しましょう。Sonusといえばバイオ
リン、バイオリンの再生といえば、sonusというように切っても切れない仲ですね。
 
今回はsonusというよりFrancoさんという方が正しいでしょうか?
さて、諏訪内晶子「詩曲ポエム」から"エルネスト・ショーソンの作品25Poeme"。
 
気持ち良い〜ですね!!
16分間の演奏があっという間に過ぎました。
やはり、このスピーカーはバイオリンの曲で調整していますね。
 
この曲には高域のバイオリン特有の引きつるような、人によってはガラスを
爪で引っ掻くような音に例える音が入っていますが、このスピーカーは嫌な
音とはせず、とてもきれいに再生していきます、いつまでも、何回でも、何度
でも聴いていたい曲に聞こえます。
 
意外だったのは、この曲にはオーケストラの低音も入っていましたが、試聴室
の床を揺らせる程の再生をしたことでした。
 
続いて、独自の背面にユニットを付けその前に板を付けて、再生時の広がりを
出そうというスピーカー設計の意図した広がりがどのように聞こえるのかを
確認しましょう。
 
小澤征爾のマーラー1番二長調巨人から"巨人"。
これは参加された方のレポートから察するに「Ktema」のイベントでも使われ
た曲でしょうか?
 
音は会場の雰囲気が分かるような再生ですね。
一方で、演奏している楽器の位置も明確に示してきます。
このスピーカーオーケストラもいいですね。
 
このスピーカーには背面のユニット前に板がつけられていますが、この板には
縦にスリットが入っています。
 
大音響を再生したとき圧を逃すためもあるでしょうが、私は奥行き感を出すた
めにもつかわれているように思っています。さらに木製であることから、板を
気持ちよく振動させるためのものも兼ねているのかもしれません。
 
次、ボーカルいきましょうか。
 
大分前のCDですが、DIANA KRALLのLive in Parisから"A Case of You"。
これは低音ボイスとライブ特有の会場の雰囲気をどこまで再生するかが聴き
どころです。
 
声の再生もピンポイントに気持ち良く聞かせませね。
生々しいというより、やはりきれいに!ですかね良いですよこのスピーカー。
 
あれ、ライブ会場の再生が少し変ですね。左右の広がりは申し分のないもので
すが、ステージ上や会場の遠近感が薄いですね。
 
ステージ上の楽器とボーカルの距離感がもっと出ると良いですね。
あれ、拍手がちょっと高域よりかな?
 
低音ボイスに続いて、高い音も入ったボーカルを聴いてみましょうか?
藤田恵美「カモミール スマイル」から"Imagine"。このCD初めて聴きます
ので感想が難しいですが、やはり気持ち良く聞かせますね。
いつまでも聴いていたいと思わせる再生です。いいですね声。
 
最後に、ポピュラーもかけてみましょうか。
ZARD似のボイスを持つと個人的に注目している小川真奈のファーストアルバム
「ティーネイジブルース」から"一人ぼっちの私"、"ティーネイジブルース"。
彼女は17歳!若い!
 
"一人ぼっちの私"は独唱に近い声の魅力を聴かせる曲、作詞つんく。
歌うまいね!若いね!というのが良く分かる再生です。
 
また、"ティーネイジブルース"は軽快なロック調に高音の若い声がはじける
ような曲、ZARDぽいところです。
 
作詞つんく、作曲中島卓偉、大変乗りのいい曲で大きな音を出す楽器に埋もれ
ることなく、声を再生してきます。
 
かなりの大音量、低音の再生にこのスピーカー耐えるね。
 
■まとめ
 
Francoさんの創りだしたHomageシリーズは1993年のガルネリから始まり、
5年後の1998年のアマティ、そして最後に登場した2004年のストラディヴァリ、
ほぼ5、6年ごとに前作とは異なった形状で登場させてきた。
 
今回Stradivari Homageから6年、やはり前作とはまったく異なる体裁で
お披露目された「Ktema」(クテマ)。
 
従来にはなかった中高域ユニットのみ前面に付け、ウーハーを背面に付けると
いう大胆なユニット構成。
見たこともない扇形のスピーカー形状。
 
更に遡ること19年前に発売されたSonus Faber「Extrema」にあった背面の
板を発展的に広がりの再生のために用いるという発想。
 
いずれもが、素晴らしいアイディアが込められスピーカーでした。
その音色は声良し、弦良し、オーケストラ良しのトリプル良し!
 
嫌な音は出さず、気持ち良く聴かせるスピーカー。
低音の再生もオーディオ的に求められる作為的な低音ではなく、会場で聞えて
くるような自然体の音。
 
Stradivari Homageを発表したときに、「もうスピーカーは作らないのか?」
という質問に対して「Homageシリーズはこれで終わりにするが、作りたい
スピーカーのアイディアはいっぱいあるんだ。」と何かで読んだことがありました。
 
それが、「Ktema」(クテマ)だったんですね。
Francoさんの集大成と書きましたが、これが始まりかもしれませんね。
期待しています。
 
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川又より
 
Lux Fan様ありがとうございました。「声良し、弦良し、オーケストラ良しの
トリプル良し」ということで私もまったく同感です。FrancoSerblinの感性が
どんな音になっているのか? これは一種の演出であり味付けかもしれませんが、
これほどの名人の味付けならば文句なしで魅力として認められるものでしょう。
 
聴いているうちに自然に音楽に引き込まれてしまう説得力。あらゆるジャンル
の音楽に求心力を持っているKtemaですが、そこに作者の解釈があるようです。
 
Ktemaは聴いた人の数だけ驚きと発見があるでしょう。皆様も、ぜひその一人
になって頂ける事を願っています。間もなく展示品が入荷しますので!!


HAL's Hearing Report