Hearing Report-Technical Audio Devices


No.0529 - 2009/12/19

大阪府吹田市 H.O 様より

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/687.html
 
上記の試聴会に参加して頂いた会員より感想を頂きましたので、早速ご紹介
させて頂きます。ありがとうございました。<m(__)m>
 
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Vol.1「当然のようにR1のDNAは色濃い。やはり好みです!!」
 
5555 川又 利明さま
 
先日は、TAD-D600、TAD-M600、TAD-CR1の試聴会に参加させて頂き、ありがと
うございました。感想を少々。
 
2年前TAD-R1の試聴を繰り返し、あわやTAD-R1に飛びつきそうになった私とし
ては、今回の試聴会を楽しみにしていました。
真っ先に(ショウではなく)オーディオ店で聴いてみたかったのです。
 
残念なことにTAD-R1とは縁がなく我が家に収まることはありませんでしたが、
あの時貯金があったら、家を建てた直後でなかったら、子供が生まれるタイミ
ングでなかったら、どうなっていたか。
 
そして現実問題として、もう少し安かったら、本当にオーディオ人生が変わっ
ていたかもしれません。
 
そんなTAD-R1の直系がTAD-CR1です。
 
TAD-CR1の"C"は"compact"の意のようですが、"小型で持ち運べる"ではなく、"
目が詰まった""引き締まった"の方ですね(実際全然小さくない)。
そしてTAD-R1のエッセンスを十分に感じることができました。
 
TAD-D600で再生した最初1曲目の Four Play / Chantがよかったですね。
 
イントロの連打の応答の良さと爽快感は、好きな音量で聴けるオーディオなら
ではのものです。音先が鋭いのも高評価したいところ。
 
昨今の高額スピーカーは、聴者の耳が怪我しないように(!)繊細で非常に
細かくはあるけど切っ先がやや丸い印象がありましたが(それが自然?)、
CR1はエッジを削らずにいい感じです。
 
これがエージングで後退しなければ尚良し。(今回の試聴機がCSTドライバー
の保護ネットを取った特別Ver.だったからでしょうか?)シームレスですし、
リッチですし、その他オーディオタームでも問題を感じません。
 
2年前にTAD-R1試聴時に書いたメモを読み返すと…
 
「擬音で表現すれば、カシッ、ビシッ、スクッ、スラッ。」、
「TAD-R1はゴルゴ13みたいな存在。音楽という真実に基づいて、その高額の
 支払いを条件に、対価として完璧な仕事を目指している」
 
一方で…
 
「極めてそつがない、サラッとした、熟身を感じない人生経験の浅そうな学生
 みたい。でも博学で大人さえも論破する感じ。」
 
とも書いてました。
 
TAD-R1は何カ所でも聴き、常に上記印象ではなかったものの、今回のTAD-CR1
にも共通項はあり、当然のようにR1のDNAは色濃い。
 
やはり好みです!!
 
TAD-CR1が定価400万円で、TAD-R1が630万円だと、ダウンサイズされたTAD-CR1
が割高なんじゃないの?と思っていました。
でも、この音だけ聴けばそういう感じはしません。
 
また2年以上前にパイオニアで「CSTドライバーを単売したら100万円/本近くか
かる」という話を聴きました。
 
値段の真偽は別にしても、昨今こんなにユニットにお金がかかったスピーカー
はないと思いますし(好みはあるにせよ)この実力は評価されてほしいですね。
 
そしてTAD唯一のディスクプレーヤー TAD-D600。今年のいくつかのショウの
中では最も目を引いた一品でした。知人にも数名そういう方がいらっしゃった
ので、製品インパクトは結構あったのかと。
 
それはそうですね。国産で、TAD初SACDプレーヤーで、この大きさで、この
デザインで、この値段で、しかも事前の情報も何もなかったのですから。
 
今回初めてTAD-D600をきちんと聴き、一部Esoteric P-01/D-01との比較もさせ
ていただきました。
 
TAD-D600は非常に立派でしたよ。
これでケチを付けるのは言いがかりと思うくらい、期待に違わぬプレーヤーでした。
 
TADとEsoteric双方音の差はあり、よりオーディオ的快感を求めるならEsoteric
の超高額コンビですね。音色の細かさ、左右空間の広がりはさすが。
 
一方、TAD-D600については、昨今これくらい見た目通りの音がするプレーヤー
は珍しいと感じました。
 
その重量感あるボディと尖ったデザインのように、奥深く、全帯域に重みの
ある印象なのです。「重い」というのはオーディオではいい意味には使われな
いことが多いかもしれませんが、私は誉めているつもり。
 
レンジが狭い事ではもちろんなく、音離れが悪いなんて事でもありません。
むしろtransientは最上級。
それでいて聴いた感がある音、満足感の得られる音。
 
どうもTADとEsotericは製品作りに対するスタンスが違う感じがしましたね。
音の出口(スピーカー)から考えて、入り口たるプレーヤーはこうありたいと
作られたのがTAD-D600。
 
入り口から考えて全ての情報を吸い出すよう作られたのがEsoteric P-01/D-01。
実際はどうなのでしょう。技術ベースで、音全面に感性だとか情熱だとかを
感じないのは、両ブランド共通ではあります。
TAD-D600はあえて一体型で勝負をかけたところも非常に興味深い。
 
リファレンス・スピーカー(TAD-R1/CR1)やアンプ(TAD-M600)を自社生産し
ている分、メーカーとしてのスタンスはTADの方が雄弁かもしれません。
 
にしても、TAD-D600は見た目がすごい。
音だ技術だクロックだと言っても、実はこの存在感が一番好きかも(笑
 
私はサラウンドしたかったので家のプレーヤーにEsoteric UX-1を選び、今で
もそれは間違いのない選択だったと思っています。第一世代のVRDS-NEOメカは
信用できますし、CDに不満があればDACに委ねてもよい。
 
一方SACDのステレオ再生になると、更に先があるなとも思います。
TAD-D600は"その先"に十分なり得ますね。
 
TAD-D600は定価250万円と安価ではありませんが、少なくとも同クラスの海外
製品と比べたら(音は好みがあるとしても)存在感は圧倒的です。
 
趣味のオーディオ機器はデザインを含めて機械そのものが発する主張や存在感
がないとダメだと思っているのは私だけでしょうか。
これは男の機械という感じがします。
 
そして。
 
世の中ネットワークオーディオに視線が向きつつあり、私自身も現在興味深く
その動向を見ています。
 
今後マニアとして避けて通れるとは思いませんが、今飛びつかないのは数少な
いネットワークプレーヤーに上記した「機械そのものが発する主張や存在感が
ない」と感じるからです。
 
そこに来て、TAD-D600のようないう立派な機械(そう、機械!)を見ると、
ググッと寄り戻される。動く重い物が好きなんですね。
 
それが再確認できただけでも、本試聴会に参加してよかったです。
あらためてありがとうございました。
 
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H.O 様ありがとうございました。参加して良かったというお言葉を大変ありが
たく、またうれしく拝見致しました。「機械そのものが発する主張や存在感が
ない」というお言葉は私も共感するところがございます。
 
つまり、ソフトウエアに支配的な要素もありオーディオコンポーネントとして
独自のパフォーマンスを固定化してユーザーに提供できない要素があるという
ことかと思います。ディスクプレーヤーを音質的に凌ぐPCオーディオプレーヤー
というものが登場し、ここで使用しているディスクプレーヤーたちに世代交代
を突き付けるという事実がない以上は私も各社のプレーヤーに対する開発意欲
と情熱を支持するものです。
 
Technical Audio Devicesの新製品たちは色々な意味で未来のオーディオシーン
を垣間見せてくれるものであり、新年早々に再度その意味をここで実証できる
ように準備を進めつつあります。今後の展開にどうぞご期待下さい!!


HAL's Hearing Report