《HAL's Hearing Report》


No.0087 - 2002/3/31

福井県 S様より

HALの演奏に衝撃を受けて以来、ここ半年の激しいシステム改革の結果、
かなり再生も向上したなー、と自分ながら結構満足なオーディオライフ
を送り、一人悦に入っていました。

ただし、今日HALの演奏を聴くまでは・・・(^^ゞ

半年振りにやっとオーディオ界の虎の穴!?、HAL訪問です。

半年前のHALの演奏を目標に自分の再生も結構な仕上がりになったの
で、「お手並み拝見」みたいな気持ちで訪問しました。

道場破りじゃないけど、「たのもうー」って感じでHAL Iの扉を叩く…
…前に自動で開きました(^^ゞ

挨拶もそこそこに早速試聴Roomへ。
相変わらずため息の出るような空間です。Nautilusを筆頭として、
様々なオブジェが林立し、まるで美術館にでも入ったかのようです。

さて、最初はSignature800で試聴。
Chronos>992II>P-0s>以下Goldmund Millenniumシリーズ、
各種ケーブルはRLS&DOMINUS&LINEALというラインナップ。

我が家と同じスピーカーが眼の前にあるのが不思議な感じ。

しかし、そのほかは全く違います。
Zoethecusの上には\4,300,000とか\1,980,000とかの価格を掲げた
MillenniumDAC、プリ、EIDOS38などなど。決して無機的ではない
メカニカルなその姿に凛とした存在感、洗練された知性を感じます。
それと比べるとElgar plus1394やpurcell1394のデザインが何か
バタ臭く、垢抜けないものに感じられてしまいますね。(しかし、
EIDOS38のリモコンだけはいただけない。安っぽすぎる。)

そして奥に鎮座ましますのはGOLDMUND Millennium mono power。
その威容に目が釘付けになります。神秘的なスクリーンセーバーがこち
らに啓示を与えるかのごとくゆったり不思議な模様を映し出しています。

「このCD、私も初めて聴くんですよー。」と、川又さんが持ってきた
のはゲルギエフの「くるみ割り人形(全曲)」
以下、川又さんとの試聴にはほとんどこのCDを使います。

広い空間の中に弦の軽やかな刻みがリアル。やや奥の木管の彫りが
深い!音が屹立しているのに決してきつくない。
弦独特の「紡ぐような」感じの音色や、ボゥイングのスピードの緩急
までがしっかり聴き取れる。こりゃすごい!
優秀録音ではあるが、結構耳に厳しいソフトだと思うが、空間は
あくまでも透明で広大、極めて実在感のある演奏だ。
その中に描かれる音像の彫りの深さといったら、立体像のようで、
まるで彫刻のノミを木板の裏側まで走らせて、その像を木板から
彫り出したかのよう。

この演奏の音像を彫像とするなら、自分の再生はまるで版画だな、
と思いました。

かくして、私の思い上がりは一瞬にして崩れ去りました。
あー、自分はまだまだだなー。しかしHALは懐が深すぎる。

ここで間髪入れず、川又さんの実験です。
クロックの有無の音質差を確認します。

クロックOFF。
とたんに空間が縮小する。音像は逆に肥大し、弦は団子になる。
うるさくなる。演奏がバラバラという感じ。

dCS992IION
結構改善されるが、まだ「ステレオ」が鳴っているぞという感じの
再生。素晴らしい!!というほどではない。

Chronos+992IION
素晴らしい!!の一言。これは再生ではない。演奏だ!

川又さんの言うとおりクロックはChronosまで視野に入れて
導入しないと期待はずれになるみたいです・・・
しかし、買えないよー(T_T)

この後はフリーに試聴。「TUTTI!」を聴きます。
これは自宅にもあるのでHALの演奏との比較が容易です。
このCDは録音がめっぽういいので、自宅でも「なかなかいい
再生じゃないか」などと思っていました。が・・・、

桁違いでした(T_T)
空間の広さ、各楽器の鳴り方、質感、余韻などなど、
すべてが違います。全く理想的でした。

その他、手持ちのCDをかけていきましたが、優秀録音で
あればあるほど、自宅の再生との差が途方もなく開きます。

全然ダメだ。まるで別物だ。
同じスピーカを使いながら、何という情けなさ。

と、そこに、川又さん登場。大阪から来られた方にちょっと
席を譲っていただきたいとのこと。
私も喫煙タイムの頃合いだったのでグッドタイミングです。

しかし、その方、ほんの15分程度試聴して帰っていかれました。
なんという潔さ。
私のようにガツガツ、ネチネチしていないのですね。
見習わなければ・・・と思いつつ、川又さんにプリアンプの有無の
実験を要請しました(^^ゞ

私は現在プリアンプを使用しておらず、DACのデジタルボリューム
で音量調整しています。プリアンプなんてボリュームコントロール
だけで、下手なプリを使うとかえって悪くなるんじゃないか、など
と思っていました。でも、一方ではいつかはプリアンプを導入す
べきだ、とも思っていました。

今度はNautilusでプリの有無の実験です。

HALのリファレンスとして不動のNautilusはだてではありませんでした。
これ以上ないと思ったSignature800+Millenniumの演奏を超えています。
一番の違いは、縦、横、奥行の空間の広さとぬけのよさです。そして、
音像は全くスピーカーから独立して、まさに「そこ」で演奏しています。

次に、プリを外し、Elgar plus1394から直接パワーへつなぎかえます。
ああ、音像がにじむ。音が希薄になり、最後まで保持されない。うるさく
なる。余韻も濁る。

これは、かなりの違いです。プリはボリュームのコントロールだけでなく
すべてをコントロールするものだと改めて実感させられました。
と同時にプリ選択は慎重にしなければならないなと思いました。
また、自分としては、992よりプリ導入が先決だな、と思いました。

初めてHALを訪れたときの印象も強烈でしたが、2回目、そして今回の
3回目とも衝撃的なことがたくさんありました。
やっぱり、HALは奥が深い。そして常に進化している。いつ訪れても
現時点での最高の演奏を享受できる場だ、と改めて思いました。

HALの演奏を記憶にとどめ、自分の再生をHALに近づけるべく
いろいろやってみたいと思います。
また半年後くらいに訪れるとしましょう。

でもまた打ちのめされることでしょうが(^^ゞ

川又さん、素晴らしい”ごちそう”ありがとうございました。


HAL's Hearing Report