「皮むきむき、皮むきむき、引いて引いてトントントン」とは、なにか歌詞が
間違っているかもしれないが、こんな風にしてCDを剥きながらどんな音に変
わるのか、それがオーディオライフの楽しみとなった。
CSIでCDを削ることをを私は「皮剥き」と呼んでいる。
タマネギは皮を剥いていくと何も残らない。しかし、CDの「皮剥き」はちゃん
とCDの中に閉じこめられているアーティストの「気持ち」をちゃんと表に引き
出してくれる。
昨年春、私はCSIを川又様のAOP企画で購入した。それからほぼ1年、購入
したCDはもちろん、所有するCDをせっせと「皮剥き」し続けている。
どれだけ音が変わったかそれを書かなければレポートになりませんよね。
でも、ありきたりなことしか書けないなぁ、と思い、CSIの使用感想を出さな
いで今まで来ました。しかし、しかしです。1ヶ月前にすばらしいCD2枚に
出会いました。対照的な2枚でした。
「のれんの向こうから、こちらへやってきたKHさんの演奏」
これほどまでにCSIの効果が顕著だったCDははじめてである。
そのCDとは、男性歌手KHさんの最新CD。
アコースティックピアノを多用し、しっとりと効かせる局が多く集録されている。
私が圧巻だったのは「ザ・ローズ」と、「大きな古時計」である。
共に、アコースティックピアノをバックにKHさんが少し広めのスタジオ(?)で
優しく歌う。皮剥き前は「よい音のCDだなぁ」と感じた程度であった。
別に、期待もせずに、皮剥きをいつものように、習慣化した行動として行った。
そして、CDトランスポートをプレイした。
「・・・・」
言葉が出ない。え!!すごい違い!!
だって、ピアノの音が澄みきっている、KHさんの輪郭がシャープになっている。
そして、なによりも、演奏している空間が見えるようである。「大きな古時計」
では、「チックタック、チックタック」という歌詞がKHの口元から発せられると
約0.5秒後に反射して来るのがちゃんと聞き取れる。
つまり、反射音と歌の歌とが明確に分離して聞こえる。
これには驚いた!
まるで、皮剥きする前は、のれんの向こう側で歌っていたKHと伴奏のピアノ
が、皮剥きをしたとたんに、のれんの無効からぼくの方に近づいてきて、1メート
ルほど前で演奏して歌ってくれているかのようだ。
CSIは万能ではない。
さて、先ほど2枚と述べたが、もう1枚というのは、同じ頃話題になった女性
歌手YさんのCDである。こちらもいつもの週間で皮むきをしてみた。プレイした
とたんに、驚いた。こちらの驚嘆は否定的な印象だったからだ。
声がもこもことこもった感じになり、歌詞が聞き取りにくい。シンバルの音質が
濁ったかのようになってしまったのだ。効くに耐えないので、なんと、しかたなく、
もう1枚購入してしまった。
結論:CSIはかくれんぼの名手
上記のエピソードはこんなふうに解釈できると思う。それは、CSIはかくれんぼ
の名人である。隠れることが得意という意味ではない。その逆だ。どこに隠れてい
る物もたちどころに見つけてしまう。
つまり、CDの「皮」に隠されているものを白日にさらけ出してしまう。
「皮剥き」により、そのCDに記録されている真実の音、それは、そのCDを録音
した時の雰囲気だけでなく、録音の質でもあろうが、それらをも暴露してしまうの
である。
ある意味で恐ろしい道具である。知らぬが仏とは言うが、何かが隠されていると
知るとそれを見てみたくなるこれもまた人の正確なのではないだろうか。
購入を迷っている方々へのメッセージ!!
けっして、安い道具ではない。
しかし、オーディオファンを飽きさせない道具でもある。CDという「円盤」への
好奇心をかき立てるものであることは確かである。
☆投資に値することは明らかです。
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