発行元 株式会社ダイナミックオーディオ 〒101-0021 東京都千代田区外神田3-1-18 ダイナ5555 TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556 H.A.L.担当 川又利明 |
No.951 「Inter-view Vol.2対象:国内初登場McIntosh XRT2Kの威容と魅力を探る!!」 | |
インタビュー(英:Interview)とは、二人かそれ以上の間での会話で、一方が 他方に質問をして情報を得るために行われるものである。 インター(inter)とは「互いに」「相互に」という意味の接頭語。 ビュー(view)とは「見る」「眺める」の意味をもつ動詞である。 調査型のインタビューは、質問者と、情報源となる対象者の間に構築された 社会的相関作用である。そこでは、最初に立てた仮説と比べて適切と思われる 情報を得るために質問者は対話を開始しそれをコントロールする。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- インターナショナル、インターネット、インターチェンジ、インタラクティヴ、 オーディオではインターコネクト・ケーブルなどなど、確かに「相互に」にと いう意味がうなずけるものです。 私は、この(Interview)からInter-viewとしました。つまり、相互に関係を 持ちながら私の視点で見つめる事、分析することを-viewで表現しました。 オーディオ製品は私達に取って音楽という感動を提供してくれる情報源とも 言えるでしょう。私のインタビューは対象者に様々な問いかけ、実験、分析 などを投げかけ、私の仮説を証明していきます。 私の仮説とは…、「この音は人々を感動させることが出来る」ということ。 音楽を聴いて感動するのはなぜか、その裏付けを私の分析と推測によって インタビューの対象者の個性と本質、そして魅力の要因を述べるコラムです。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- Vol.2「Inter-view対象:国内初登場McIntosh XRT2Kの威容と魅力を探る!!」 http://www.mcintoshlabs.jp/jp/Products/pages/ProductDetails.aspx?CatId=Speakers&ProductId=XRT2K ■調査目的:「McIntosが目指した音とは何か!?」 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/931.html ■発端は下記システムとの出会いでした。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/916.html ■私の知りえるハイエンドオーディオとは一線を画する魅力的な音。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/917.html [1]全体像 前回のInter-view Vol.1で述べた情報で修正すべきものがありますので最初に 記しておくことにします。 先ず、XRT2Kを展示しているショップですが、北米はUSAに6店、カナダに1店 展示されています。アジア地域では香港1店、中国4店、韓国1店の展示店があります。 そして、実はXRT2Kは既に五年前から生産されており、累積生産台数は現在 までに大よそ100ペアくらいということでした。しかし、日本には紹介されて いなかったということです。 さて、XRT1Kの最大の特徴として全高は天井ギリギリとなっても設置面積が 極めて小さいという省スペース設計でしたが、XRT2Kでは全高213センチ、 横幅49センチ、奥行き46センチということで同様にごく小さい床面積でセット 出来るものであり、詳細は下記のオーナーズマニュアルにてご覧頂ければと思います。 http://www.dynamicaudio.jp/file/20120717/xrt2kom01.pdf 総重量205KgというXRT2Kのキャビネットは上下二分割で構成され、各々一台の 容積は90リットルということで、一般家庭への搬入には問題にならないサイズ と言えると思います。 再生周波数帯域16Hz〜45kHzということですが、これは-10dBダウンのレンジを とっているとのこと。 3ウェイのクロスオーバー周波数250Hz、1.5kHzということで、各々のスロープ 特性は各々は全て-12dB/octとなっています。 XRT1Kは2.2kHzでしたからトゥイーターの個数が28個から40個へと12個増えて いることで振動面積が増加し、トゥイーターの動作帯域が引き下げられたもの と考えられます。 「マッキントッシュのエンジニアたちは、ついに夢を実現しました。 XRT2Kは、40トゥイーター、64ミッドレンジそして6基のウーハーを搭載した デュアルコラム式3ウェイスピーカーシステムです。 最大許容入力2,000ワット。いかなるハイパワーアンプでも余裕をもって 受け止め、圧倒的なサウンドステージを形成します。」 さて、このような構成の各ドライバーにはどのような特徴があるのか? 更にInter-viewしていきましょう!! [2]搭載ドライバー ■インライン配置の19mm Titanium Dome Tweeter 40個 Neodymium-Iron-Boron Alloy Magnets http://www.dynamicaudio.jp/file/120409/XRT1K-01.jpg このチタン・ドームトゥイーターのボイスコイルは直径20mm、エッジは加工 した布製、クロスオーバー周波数2.2kHzより-12dBのスロープ特性にて45KHz までを再生している。 仕上げの色は違いますがXRT1Kと同じものです。ABS樹脂製クロスバーはX-PHASING DISK(エックス型位相整合ディスク)と称しており、超高域の位相補正をする フェイジングプラグの役目を果たしているのも同様です。 さて、前回のXRT1Kでは多数ユニットを使用することは振動面積に大きさで 歪率に大きなメリットがあるということを私は推論として述べたものでした。 XRT1Kでは19mm口径のトゥイーター28個では振動面積を計算すると約79.3平方cm となり、8.9cm×8.9cmの面積です。これらを集結して1個のドライバーとすれば 10cm口径のトゥイーターとなりました。 XRT2Kは40個の19mm口径のトゥイーター個では振動面積は約113.3平方cmとなります。 10.6cm×10.6cmの面積です。これらを集結して1個のドライバーとすれば約12cm 口径のトゥイーターとなります。 ■ダブル・インライン50mm Inverted Titanium Midrange Dome Drivers.64個 Neodymium-Iron-Boron Alloy Magnets http://www.dynamicaudio.jp/file/120409/XRT1K-02.jpg ミッドレンジドライバーとしては大変小口径の50mm、ボイスコイル直径32mm、 材質がチタンであることも同じで仕上げの色のみが違いということです。 さあ、同様にXRT1Kの場合は50ミリ口径のミッドレンジ44個で振動面積を計算 すると約863.5平方cmとなります。ざっくりと言い換えれば30cm×30cmの面積。 これらを集結して1個のドライバーとすれば33cm口径のミッドレンジユニット となります。 XRT2Kは64個の50ミリ口径ミッドレンジの振動面積は約1256平方cmとなります。 35.4cm×35.4cmの面積です。これらを1個のドライバーとすれば約40cm口径の ミッドレンジドライバーとなります。 ■Aluminum Cone 300mm Woofers ×6 http://www.dynamicaudio.jp/file/20120709/xrt2k-wf01.jpg 前述のトゥイーターとミッドレンジはXRT1Kの解説で詳細を述べていたので、 今回は仕上げの色と使用ユニット数の違いということで簡単に説明できましたが、 この強力無比な合計12基のウーファーに関しては違う説明が必要です。 上記にこのウーファーの外観写真を紹介していますが、内容に関しては下記の 断面図を見ながらご説明致します。 http://www.dynamicaudio.jp/file/20120709/xrt2k12.pdf 振動板のコーンとセンターキャップは共にアルミニウム製です。ボイスコイル の直径は79.4mmです。エッジは射出成形したラバー製。磁気回路は、全体の 重量を減らすために磁束密度が高く非常に強い磁力を持つネオジムマグネット を使用しています。 同社のXRT1Kや他のスピーカーにはLD/HP(Low Distortion-High Power) と記載 されているが、XRT2KのマニュアルにはLD/HPの記載が無い。XRT2KはLD/HPなの かどうかと問い合わせしました。すると… XRT2Kウーファーの仕様は特有の仕様に基づいて検討したという事で(XRT2Kは LD/HPではないが)LD/HPウーハーもXRT2Kウーハーも、高調波歪みを低減するための 「the function of non-magnetic conducting shorting elements」を有して いるということが共通だという。 このウーファーは同社のパワーアンプMC2KWの持つ2000Wという大出力を受け 入れるということを前提に設計されており、このパワーを抑圧または減少させ る最大要因を振動系と磁気回路の蓄熱現象にあると考えたものと推測しています。 XRT2Kのエンクロージャーは完全密閉型、しかも1台のキャビネットに三基の 30cmウーファーが格納されているのですから、外気との通気性が全くないの で冷却方法をしっかり設計しておくことが大変重要なポイントとなります。 その解決策として、先ず上記の断面図でもお分かりのようにポールピースの 後方中心部に巨大なクーリングベントを設け、また外観写真でもメッシュの カバーが写っていますが通気性を良くしています。 そして、コーンとセンターキャップをアルミニウム製としたことも重要で、 熱伝導のよい振動系そのもので放熱効果を狙っているということなのです。 次に断面図でネオジウムマグネットと示されたパーツの半分くらいの長さの ボイスコイルに注目して下さい。彼らは「under hung voice coil」と称して いますが、それと対向する位置に「 copper shorting elements」があります。 各社のウーファーにはボイスコイルを長く巻いて磁気ギャップを短くする形式と、 逆に磁気ギャップを長くしてボイスコイルのターン数を少なくして短くすると いう方法の二種類がありますが、XRT2Kは後者を採用して発熱要因となるボイス コイルを短くしました。 そして、ネオジウムマグネットの強力な磁束密度を均一にギャップ内に配置 させるために銅リングを取り付けているということなのです。 これらの設計方針は12基の大型ウーファーをどのように引き締めコントロール するかという前提で発想されたものであり、ボイスコイルの温度が上昇すると インピーダンスも上がってしまい、その結果電流が流れにくくなり、せっかく のハイパワーを送りこんでも振動板の制動が甘くなってしまうという現象を 回避するためのものなのです。 さて、この片チャンネル6基の振動面積は約4239平方cmとなります。 65.1cm×65.1cmの面積です。これらを1個のウーファーとすれば何と約73.4cm 口径なります。言い換えれば38cmウーファーだと3.7個分ということです!! [3]期間限定だから聴きまくったMcIntosh XRT2K!! この一ヶ月間はとにかく聴きました。先ずはお馴染のシステム構成は下記にて。 ■McIntosh MC2KW (税別1Pair \8,800,000.)★中高域に使用 http://www.mcintoshlabs.jp/jp/Products/pages/ProductDetails.aspx?CatId=Amplifiers&ProductId=MC2KW ■McIntosh MC1.2KW (税別1Pair \2,800,000.)★低域に使用 http://www.dynamicaudio.jp/file/20120717/xrt2-mc2k-mc1.2k.jpg ■McIntosh C1000C&T (税別 \2,400,000.) http://www.mcintoshlabs.jp/jp/Products/pages/ProductDetails.aspx?CatId=Preamplifiers&ProductId=C1000C ■ESOTERIC P-01+VUK-P01 & D-01+VUK-D01(税別 1セット \5,000,000.) http://www.esoteric.jp/products/esoteric/index.html ES Link用AESデジタルケーブルとしては下記を使用 7N-DA6300 MEXCEL XLR (1.0m×2本:生産完了)(税別 \560,000.) http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7nda6300/index.html ■Master Clock Generator からのクロック用BNCケーブルは下記を使用 7N-DA6100 MEXCEL BNC(1.0m×1本:生産完了)(税別 \240,000.) ×3本 http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7nda6000/index.html#7nda6100 ■ESOTERIC G-01 (税別 \1,350,000.) http://www.esoteric.jp/products/esoteric/masterclock/index.html この一ヶ月間は本当に聴きました。そして、楽しみました!! スピーカーユニットの振動面積が大きい、従って一個ずつのユニットの振動板 のストロークが小さい、だから低歪という三段論法はあくまでも私の推論です。 逆に言えば、McIntosh XRTシリーズの音質的な素晴らしさを説明する他の仮説 が私には見つからなかったという事も言えます。 しかし、聴けば聴く程に私の仮説など認めてやるから、先ずは聴きなよ! と McIntosh XRT2Kが私に無言の提案をしてくる一ヶ月間であったと思います。 その全てのディスクでインプレッションを述べる事は困難ですが、XRT2Kとも あと数日でお別れという時に大変印象に残ったのが、この一枚でした。 山岡未樹デビュー30周年記念アルバム「I'm a woman,Now-MIKI-」です。 http://mikiyamaoka.maiougi.com/page6.html このディスクに関するストーリーは下記のように実に感動的でした。 「H.A.L.'s One point impression!!-I'm a woman,Now-MIKI- Vol.1」 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/896.html 「H.A.L.'s One point impression!!-I'm a woman,Now-MIKI- Vol.2」 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/897.html 「H.A.L.'s One point impression!!-I'm a woman,Now-MIKI- Vol.3」 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/898.html 「H.A.L.'s One point impression!!-リアル-山岡未樹-の魅力!!」 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/900.html ■ 1.Just in Time この半年間というもの何回聴いたか解らないほど数々のスピーカーとシステム で聴いてきた大変鮮明な記憶を何種類も頭の中にしまってある私は驚きました!! 「何なんだ、このホーンセクションの鮮明さは!!」 ウィンドブレイカーズのブラスからスタートした瞬間に、今までに聴いてきた サックス3人が左側で右側はトランペットとトロンボーンという構成において 一人一人の楽音が全く記憶と違う。 XRT1Kの試聴でも音像を他のスピーカーよりも緻密に小さく再現するという 特徴は述べてきました。しかし、片チャンネルだけで110個、左右合計では 220個のスピーカーユニットが奏でる音質は更にその上を行っていました!! ミッドハイレンジで104個のユニットはホーンセクションの演奏者一人ずつに 他のスピーカーが与えなかったピンスポットをを当てて、演奏者の全身像を ステージに浮かび上がらせたのです!! 私が全身像と言ったのは訳があります。伴奏の管楽器はヴォーカルとのバランス から少し高域にエネルギーを持ち上げて聴かせる雰囲気がありますが、これは しっかりと低い音階まで音像のサイズを変えず、同時に楽音を発した後の リヴァーヴが個々のプレーヤーで独立しているかのように鮮明に展開します!! そして、特筆すべきはマイク10本を使用した録音したドラムスの描写力が桁違い に素晴らしい事。ハイハットを刻み、指先で触れるかのような細かいシンバル、 スネアのリムを小刻みに叩く洒落たリズム、どれを取ってみても今までの他の スピーカーで私が体験しなかったリアリズムがあります!! そして、山岡さんのヴォーカルが… 「あー!!何とまあキュートなこと!!」 バックのエネルギッシュな演奏が鮮明な輪郭を描き展開する中で、山岡さんの ヴォーカルは音像サイズを前代未聞のコンパクトさで始まりました。 そして、声量豊かな歌唱法の山岡さんの魅力がXRT2Kの能力を裏打ちするように、 素晴らしいリヴァーヴの残響を引き連れてスピーカーのセンターから左右と 奥行き方向に、更に声量が上がれば天井へ向かってと、響きの拡散領域が 私の記憶にないくらいに広大に展開していくではないか!! ■3.It Could Happen To You ウッドベースの合間に荒川康男がスタジオの床を足の裏で叩きリズムをとって いるのが録音されているというのは、もはや当たり前の聴こえるイントロが 始まりました。すると… 「おいおい、このベースの輪郭は…。質感は重いのに縮小した輪郭は何だ!!」 12基のウーファーが再生する低音とはどんなものか。さぞ豊満な低域を連想 される方が多いと思いますが、実は全く逆の現象が聴き取れます。 XRT1Kは大きなポートとエンクロージャー容積を最大限に活用したバスレフの ポートチューニングで、量感と解放感のある低域が空間に浸透し溶け込むよう に馴染んでマッチしていたのですが、いやいや…XRT2Kはその上を行っています!! ウーファーユニットの特徴としてクーリング機能を重視し、ハイパワーでも テンションを緩めない特徴を設計に含めていると述べたのは私の推論でした。 しかし、このウッドベースを聴いて頂ければお分かり頂けるでしょう。 これほど巨大なスピーカーなのに、他のスピーカーよりもヒップアップした しまりのいいベース。 ただし、低域を引き締めたいがために、筋トレばかりして硬い質感なのかとい うと違う。何とも弾力性のある開放弦のベースは山岡さんを導くように背後に 控えるという奥行き感を忘れずに持ち合わせています。 さあ、ヴォーカルです。おおー!! 先程の盛大なホーンセクションとの共演で 聴かせた音像のサイズはそのままにコンパクトなのにリヴァーヴが深いぞ!! 伴奏楽器の数が少ないとヴォーカルの録音と処理も違ってくるものですが、 鈴木浩二氏のマスタリング・テクニックなのか、スタジオ録音で創作する 音場感というものがこれほど美しいものなのかとうっとりしてしまいます!! 前田憲男のピアノが間奏を始めました。上手いですね〜。確か今年で78歳に なられるはずですが、何ともスリリングでありスイングしながら曲によっては リラックスした軽やかさと名人芸を聴かせるピアノは空間で踊っています!! ピアノの一音ずつがこれほど鮮明に聴けるとは思ってもいませんでした。 ピアノとドラムの間奏から再びベースとのデュオに戻ってこのフレーズ。 All I did was wonder how your arms could be,♪♪ And it happened, and it happened,♪♪ And it happened to me〜---〜(これはヴィブラートのつもり)♪♪ この me〜---〜 の最後の山岡さんの声をぜひ皆様に聴いて欲しいものです!! 上手いですよ〜!! -*-*-*-*-*-*-*-*-*- この一ヶ月間に私はXRT1Kの倍くらいは聴いたという自負の元に、XRT2Kで実に 多くの曲を聴き、それを感動しつつ五つ星を付けながら記憶のファイルに書き 込み、XRT2Kという新しいフォルダーに閉じて頭の中の引き出しにしまいこみました。 あの曲この曲で感動した全てを文章化出来たら良いのに思いつつ、しかし… 今の私には取り組まなければならない仕事と多くの課題を抱えており、残念 ながらデスクワークだけに終始することは出来ません。 だからこそ、このスピーカーをまだまだ手元に置いて日本全国のオーディオ ファイルの皆様に聴いて頂ければと、実演による仮説の証明が出来ることを 願っているものです。果たして再度実現するでしょうか…、実に惜しい!! そんな私の多忙さを補ってくれるかのように、試聴された会員から大変ありが たいご感想を頂きましたのでMcIntosh XRT2Kとの再会を期待しつつ紹介させて 頂きます。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 東京都稲城市 Y.Y 様より 川又様 本日は、McIntosh XRT2K試聴の機会を頂きありがとうございました。 McIntoshのフラグシップスピーカーXRT2Kは一度は聴いてみたかった垂涎の アイテムでした。それを駆動するアンプ、フロントエンドのCDもトップ アイテム、これほどの機器でドライブされるXRT2Kを聴く機会はもう日本では ないでしょう。こんな機会を与えて頂いた川又さんには感謝、感謝です。 3時間以上にわたる試聴となってしまいましたが、飽きることもなく新しい 発見の連続で、あっという間に時間が過ぎて行ってしまいました。 XRT2Kに期待していた音場再現能力はさすがでした。 ライヴ録音を再生しますと眼前にステージ浮かび上がります。 弦楽四重奏なんて、等身大のステージです!! ■バートバカラック LIVE IN JAPAN もう40年も前のバートバカラックのライヴ盤にドント・メイク・ミー・ オーヴァーから始まるメドレーがあります。 最後の3分ぐらいのところに鉦やタンバリン、ドラムシンバルなどの打楽器、 金管・木管・弦など、すべてがハイペースで鳴るところがあります。 音が幾重にも重なり、今までは、すべての楽器の音を聞き分けようとしても 出来ずじまいでした。 XRT1Kでも聞き分けは出来ませんでしたが、XRT2Kはすべての楽器の位置を明確に示しました。 これにはたまげました!! 大げさでもなんでもなく、そこにそのままのライヴのステージがあるのです。 XRT1Kを試聴した時と機器はほぼ同じだと思いますので、やはりスピーカの差ですね。 ■カルロスクライバー指揮「こうもり」 このSDCDも結構古い録音ですが、臨場感そのままにステージが録音されていて、 ステージ上の人物がそのままホログラムのように浮かび上がります。 XRT2Kは人物個々のしぐさ、どちらを向いて声を出しているか、どのように 移動しているか手に取るように再生します。音がいいの悪いのではなく、そこ に目で見えるように人が立ち、歩き、振り向き、そして会話し歌うオペレッタ のステージが再現されてしまいます。 これを体験してしまうと病みつきになります。 すぐに再生装置の再現能力がわかります。 ディテールを表現できない再生装置は立体的なホログラムにはなりません。 ■サンサーンスの交響曲3番「オルガン」2楽章第2部 この楽章はパイプオルガンの地を這う通奏低音で始まります。 重低音の再生能力を試すにはもってこいです。 バレンボイム・シカゴ響、ミンシュ・ボストン響、レバイン・ベルリンフィル デュトワ・モントリオール響、ミュンフン・パリ・バスチーユ響の聞き比べは 凄味があるほど見も物聴き物でした。 低音の再生能力がないと、オーケストラの通奏低音も同じに聴こえ、質感の 差などわかりません。XRT2Kは見事にそれぞれのオルガンの振動に近い通奏低 音を再現してくれました。 やはり大型スピーカの魅力ですね。 破綻のない再生能力の賜物です!! ■鬼太鼓座 三国幻想曲 三尺八寸の大太鼓の質感が聴きものです。 パイプオルガンの通奏低音とは別の低音再生能力がわかります。 ばちを革に叩きつけたときの革の固さ、しなりがドンという音を通して見えて こなければなりません。 XRT2Kはどこにでもあるだらんとした低音ではありません。 張りがしっかりあってばちの勢いに負けないどっしりとした大太鼓を聴かせてくれます。 ■エマーソン弦楽四重奏団 ショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲 眼前に等身大の弦楽四重奏団がいます。楽器一つひとつの音がホールの残響に 包まれて耳に届きます。この微妙な残響が本物の質感としてそれぞれの楽器が 立体的に浮かび上がります。ライヴの客席にいるがごとき錯覚に落ちてしまいます。 ■坂本冬美 また君に恋してる 目の前上10cm上のところに冬美ちゃん顔があります。 立っても腰かけてもその位置は変わりません。 床から2mを超える高さまで敷き詰められたスピーカの賜物です。 ヴォリュームを合わせると等身大の冬美ちゃんが立ちます。 後は何も言うことはありません。 私だけのステージです!! ひとつ気が付いたことがあります。 スピーカからの音離れがちょっと悪い気がしました。 スピーカーの外側へ音が離れないのです。 スピーカーが内側に向いているからかもしれません 。 McIntosh XRTシリーズは中高域の再生にドームスピーカを使用しています。 釈迦に説法で申し訳ありませんが、ドームスピーカは180度均一に音を拡散します。 ですから、内側に向けても向けなくてもスピーカの中心では同じ音圧で聴こえます。 内側に向けてしまいますと、外に広がらなければならない音が内を向きますので、 スピーカに押さえつけられたように聴こえ、音離れが悪くなります。 XRT20ではスピーカに音が寄るようなことがありません。 試しに背面壁と平行にスピーカを置いてお試し願えないでしょうか。 きっとスピーカの存在が消えてしまうでしょう。 また、XRT2Kはホームユースで設計されています。 XRT20からご存知のようにヴォイシング調整を行うようになりました。 20Hzから等音圧で再生してしまうと、普通の一般的な部屋ですと125Hz付近に ピークができ高音域にかぶり音が前に出ません。 XRT2Kはヴォイシング調整をしなくてもいいように、事前にその付近を調整し てあるように思います。 ですから、HAL Iのように残響音特がしっかり調整されている部屋に持ち込むと、 その付近の音が弱くなっている気がします。あくまでも感じですが。 ちょっと硬くて軽い低音はここからきていると感じたわけです。 まあ、素人の戯言として聴いていただければ、と思います。 XRT2Kとのお別れは名残惜しいですね。 こんなスピーカとはなかなか会う機会がありませんから。 素晴らしい3時間をプレゼントしていただいた川又さんにただただ感謝です。 私がH.A.L.'s Monthly Return Sale-2012でXRT2Kをオーダーできればいいので すがそこまでの財力がありません。 川又さんがH.A.L.'s M.R.S 2012'Entry No.12 McIntosh XRT2Kを挙げている ことからもXRT2Kを米国に返さないで、手元に置いておきたい気持ちわかります。 このスピーカを日本において置く方策はないものでしょうか!? ★川又より > Y.Y 様 > いつもお世話になります。 > こちらこそ長時間の試聴ありがとうございました。 > 高い評価を頂き安心致しました。 >> 試しに背面壁と平行にスピーカを置いてお試し願えないでしょうか。 > ご意見ありがとうございました。 > 左右スピーカーを並行にする事は広がりを出すためには良しと思いますが、 > その反面では音像のフォーカスが甘くなり、音像のサイズが大きくなります。 > 私はしっかりした音像の輪郭を重要視するので、現在のようなセッティングと > していますので、後は皆様のお好みで調整して頂ければ良いかと思います。 > 決してスピーカーの能力不足ということはありません。 >> XRT20からご存知のようにヴォイシング調整を行うようになりました。 > その当時は壁面に密接するセッティングだったので、ヴォイシングを行って > 伝送周波数特性を調整しないとバランスが取れませんでした。 > XRT2K世代では壁面の一次反射を利用するという設計ではないので > ヴォイシングによってつくられた周波数特性ではなく、もっとストレートに > フラットレスポンスで再生する方針になったことを私は良い進化と考えています。 >> このスピーカを日本において置く方策はないものでしょうか > 販売の可能性があるかないかで輸入元が在庫として買い取り出来るかどうかと > いう経営判断になります。 > 皆様からの情熱の具体化を今後期待するところでございます。 > 何卒よろしくお願い致します。 > > ありがとうございました。 > 先ずはお礼まで。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 川又より Y.Y 様ありがとうございました。本来ならば私が時間をかけても述べなければ ならない項目を素晴らしいご感想として評価し述べて頂きましたことに心から お礼申し上げます。 そして、最後の一言は実は…、ここでXRT2Kを聴いた全ての皆様の共通した ご意見であった追記させて頂きます。 ■調査目的:「McIntosが目指した音とは何か!?」 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/931.html 今回のInter-viewの結果として述べたい事。それはMcIntosh XRT2Kという スピーカーは“LIVE”の再現性を追求した音であったということでしょう。 この結論を証明できる機会が再度実現出来る事を願って本企画を終了させて頂きます。 ありがとうございました。<m(__)m> |
担当:川又利明 |
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556 kawamata@dynamicaudio.jp お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!! |