発行元 株式会社ダイナミックオーディオ 〒101-0021 東京都千代田区外神田3-1-18 ダイナ5555 TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556 H.A.L.担当 川又利明 |
No.897 「H.A.L.'s One point impression!!-I'm a woman,Now-MIKI- Vol.2」 | |
今日も山岡未樹「I'm a woman,Now-MIKI-」を聴いてみようとセッティング。 http://mikiyamaoka.maiougi.com/page6.html しかし、昨日とは違ったポイントに注目してみる事にしました。 使用システムも一台300キロで1ペア二千万円というThe Sonus faberではなく、 このフロアーでは異色とも言える価格帯1ペア66万円というMORDAUNT-SHORT Performance“8”です。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/887.html http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/888.html ■Performance“8”とは川又が独自に命名したものであり輸入元・製造メーカー 双方が公開している商品情報とは一切無関係です。メッシュの保護カバーを 付けていないPerformance6をPerformance“8”と呼称しているものです。 これを鳴らすのは下記でも推薦しているESOTERIC I-03(60万円)という組み合わせ。 ただし、現在プレーヤーはESOTERIC P-01+VUK-P01とD-01+VUK-D01です。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/856.html ■そして忘れてならないのがBlack Ravioliです。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/851.html ここではBF-3が1個とBF-2を8個、BF-1を4個使用しています。 そして、今回のポイントは1ペア66万円のスピーカーと60万円のアンプという コンビで山岡未樹がどのように楽しめるかという事と、SACD/CD HyBridディスクの SACDレイヤーとCDレイヤーは意図的に違うマスタリングで録音されていると いうことをチェックしてみようと思いついたもの。気軽にいきましょうか〜! -*-*-*-*-*-*-*-*-*- ■ 5.Day by Day 前田憲男のピアノ、市原 康のドラム、荒川康男のベースというトリオによる 伴奏の一曲。1945年にSammy Cahn、Axel Stordahl、Paul Westonらによって 作られた名曲で山岡未樹は下記のアルバムでも歌っています。 http://columbia.jp/prod-info/CORR-10610/ Tommy FlanaganやBenny Golsonと共演しているんですね〜。一度これも聴いて みたいものです。さあ、昨日とは全く異なるシステム構成で聴いてみましょう。 市原 康のドラムは左にハイハット、右でシンバル、センターでタムが控えめな リズムを刻み、荒川康男のベースは左右Performance“8”のセンター1/3程度 のゆったりした音像を描くが、小口径ウーファーにしては重量感があります。 前田憲男のピアノはベースの音像サイズと同等なスペースで軽やかに展開し、 スインギーなイントロがスタートしました。最初はSACDレイヤーです!! 「いやいや!このシステムでも山岡未樹のヴォーカルの上手さは光るね〜!」 短いイントロから登場した山岡未樹は実にチャーミングな音像を描き、その 声の質感はこのシステムでもしっかりと描かれています。 トゥイーターのカバーを取り去ったPerformance“8”は殊更に広い音場感を 展開するのですが、山岡未樹の口許はくっきりとセンターに浮かび極めて鮮明。 不思議な事に音を聴いているはずの私の下半身が山岡未樹の登場と共にリズム に合わせて動きだしてしまいました! Day by day … I’m falling more in love with you … And day by day My love seems to grow … There isn’t any end to my devotion ♪♪ It’s deeper, dear, by far than any ocean ♪♪ リズム楽器でスイング感というのは分からないではないのですが、ヴォーカル を聴いていて知らず知らずに乗せられていくという感覚。いいですね〜 おや、キックドラムのタタン!!控えめな連打が入っていたんですね〜。 歌唱力があるというのはどういう観点なのでしょうか? 音程の正確さやリズム感、言葉の明確さや声量など基本的な事は当り前よ! と山岡未樹の歌声には自信が満ち溢れているようで頼もしさを感じてしまいます。 ちょっとハスキーボイスだった中本マリなども思い出してしまいました。 ここには海外のアーチストのディスクも沢山ありますが、スピーカーのセンター にここまで克明な輪郭で存在感をアピールする録音はあまりありません。 いいですね〜、実に迫力と透明感の両方を持ち合わせているヴォーカルです。 間奏で前田憲男のピアノが始まりました。右手では転がるようなメロディーを 左手でシンコペーションの利いた和音のアタックが実に気持ち良く展開します。 ピアノトリオをパックにしている録音ですからプレーヤーの数は少ないのに 2チャンネルオーディオで描く音場感はこのシステムでも実に鮮やかで広大! 「そうだよ、きっと山岡未樹は歌いながらスイングしているね。マイクに 向かって全身でリズムに乗ってるな〜というビジュアルが浮かぶね!」 楽音が空間で発生した瞬間に、そこに聴覚でフォーカスを合わせていく私の 分析的な聴き方が…山岡未樹を聴いているうちに演奏に引き込まれてしまうの だから困ってしまう。よし! CDレイヤーに切り替えてみようか! P-01のリモコンでプレイエリアの選択を切り替えてボリュームは同じくして… 「ほほ〜、なるほど! そういうことですか〜」 と簡単に感心しているように聞こえるが実はかなり集中力を発揮して何回も 繰り返し聴いてたどり着いた結論なんです! SACDレイヤーとは違うマスタリングとはこういうことか! でも、この違いを聴かせてくれるということはPerformance“8”システムが 事の他優秀だということでしょう。 イントロから直感的に、それから次々に楽音の質感が違う事を発見していきます。 シンバルとハイハットはSACDレイヤーよりくっきりと鮮明に聴こえる。 ステージの照明がすーっと明るくなってきたみたいです! ベースの音像の面積が縮小して中心部が濃厚になってきました。 ピアノのアタックは先ほどより微妙に鋭さを増して特に左手にちょっぴり力を 込めた弾き方に変わったような気がします。 それから山岡未樹のヴォーカル! SACDレイヤーではチャーミングという印象がありましたが、CDレイヤーでは 輪郭の描き方がすっきりくっきりと変化しています。 もちろん、SACD/CD HyBridディスクのSACDレイヤーもCDレイヤーも両方素晴ら しいのですが、各々の個性をどう表現したものやら…楽しくも悩みました。 「そうだ…! こんな例えでわかって頂けないだろうか!?」 聴きなが浮かんだアイデアをまとめるためにはコンピューターが必要だったのです。 先ず、これを見て下さい! → http://www.fude.or.jp/ 「熊野筆」とはいきなり何なんだ!? と言わずに「熊野化粧筆」というページ をご覧になって下さい。これも参考に→ http://www.cosmedo.com/ 次はこれです。→ http://news.walkerplus.com/2009/1020/29/ 男性諸氏はつまらないと思いますが↓更にこれもみて下さい。 http://www.youtube.com/watch?v=j1xL0Ekazjs 山岡未樹のヴォーカルは情熱の赤。前田憲男のピアノはクールなブルー。 市原 康のドラムは切れ味のいいグリーン。荒川康男のベースはゆったりした グレーなど私がイメージした音像の色彩があったとします。 SACDレイヤーではこれらの音像を、しっとりと優しく繊細な肌触りという上記 の化粧筆・チークブラシで、す〜となぞって周辺に微妙な色彩感を引き延ばし 淡い色彩の余韻として振りまいているようなイメージと言ったら想像して 頂けるでしょうか。 楽音の輪郭部からしっとりとしてわずかな色合いを無色透明な空間に微妙に 広げていくという匠の技をソニー・ミュージックの鈴木浩二氏がこのディスク に封じ込めているのです!! では、CDレイヤーの山岡未樹はまるっきりノーメイクなのか!? いえいえ違います。 前回も述べた絶妙なリヴァーヴでしっかりと基礎化粧はしてあるのでご安心下さい。 そして、化粧筆・チークブラシを使って淡い余韻感を空間に広めていないと いうCDレイヤーの音質は、好みによってはリスナーのシステムにマッチする かもしれないのです! そんな思いをしながら、Day by Dayのエンディング…。 山岡未樹の最後のフレーズがきれいなフェードアウトで消えていきます。 前田憲男がそっと押さえるようにした鍵盤の一音がすーっと消えていきます。 そして、最後の最後で市原 康のスティックが細かく触れるようにシンバルを 優しく叩く音で幕がおります。 このシンバルの音…皆様には聴き逃して欲しくないのです! 「音匠仕様」で制作された「I'm a woman,Now-MIKI-」聴かせてくれますね〜! |
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