発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
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H.A.L.担当 川又利明


No.290 小編『音の細道』特別寄稿 *第33弾* 
    「MOSQUITO NEOによって融合される
     コンポーネントの潜在能力!!」

 今回私が検証した強力な新製品をご紹介致します!!

*TECHNICAL BRAIN  Monaural Power Amplifier TBP-Zero
 http://www.technicalbrain.co.jp/top.html

*STEALTH Audio Cables
 Indra Balance Interconnect Cable  H.A.L.'s Special Version
 Hybrid MLT biwire Speaker Cable H.A.L.'s Special Version
 http://www.highend.jp/
 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/278.html


            プロローグ

一流の料理人とは一般の人々と何が違うのだろうか? 手先が器用、目がいい、
舌が肥えている、頭がいい?(笑) 身体的な能力が優れているからというわけ
ではないのです。舌がいい…、と言っても味を分析するには舌は単なるセン
サーであり、味覚という信号を受信した脳がいかにそれを評価することがで
きるかが重要なのです。私が思うには、出来上がった料理の味がわかるとい
うことだと思います。では、わかるということはどういうことか?

以前テレビを見ていて大変印象に残ったことがあります。香水の産地? で
有名なフランスでは国立の調香師を育成する学校があるそうです。確か生徒
数は600? か1,600人ということでした。毎年の卒業生はその中でも5〜6人と
いう厳しい基準があるそうです。

香水の原料となる個々の香りの種類は1,500種ほどがあり、それらをすべて
嗅ぎわけて記憶しないといけないそうです。そして、結果としてはある香り
を嗅いで成分を分析できるように、逆に数種の成分を混ぜ合わせた場合の
仕上がりの香りを特定できなくてはならないそうです。

私から見れば神業と思えるような超人的な嗅覚と記憶力なのですが、確かに
プロフェッショナルの世界とはそういうものなのでしょう。

毎年いくつかの新種は開発されるのでしょうが、自然界に存在する香りの
材料というのはある意味有限と言えるかもしれません。しかし、その組み
合わせによる新種の創造というと無限かもしれません。

さて、私の仕事で取り扱う製品数はコンポーネントとしても、工業製品と
いう背景からしても、上記のように一千種類以上などという数には及び
ません。従って、記憶することに関しては多少は楽かもしれませんが、香り
のように結果を物理的に“固定化・安定化”することは中々難しいものです。

そして、何よりも時間経過に伴って新しいものがどんどん開発されてくる
という特徴もあります。しかも、それらの組み合わせは膨大なパターンに
なり、更にそれらのパフォーマンスを持ち運べるような“固定化・安定化”
ができないという性質があります。

このような背景の聴覚の世界でプロフェッショナルには何が要求されるのか?
「オーディオなんて所詮その場限りの曖昧なものだから…」という概念に
必死のアンチテーゼを試みた数日間のインプレッションをやっとまとめる
ことが出来ました。

狙った音を組み立てる…。簡単なようで難しいことであり、香水のように
瓶に詰めて皆様にお届けできないものです。しかし、その間違いなく私の
作り上げたものを食して頂ければ皆様の感性でもお解りいただけます。

今回の最後に述べている一言、“試食”とは何を意味しているのか?
ぜひご一読頂ければと思います。<m(__)m>


1.こだわりの極み

素晴らしいコンポーネントを手にすると、そのパフォーマンスに更に磨き
をかけてみたくなるのは、ちょうど料理人が新鮮であり貴重な高級食材を
手に入れたときの心境と同じであろう。

2004年4月に私がめぐり合った数年に一度という惚れ込みようの“NEO”に
更に美しいメイクを、更に気品ある衣装を、そして淑女としてのたしなみ
を与え、大人の魅力として複数の表情を持つ美女に仕立ててみたくなるも
のである。

しかし、そこに私が要求するのは外観だけの成長ではなく、健康的であり
美しくしなやかな肢体の内側には、強靭であり機敏な反応を示す筋力も同
時に身に着けさせたいものだ。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

先日も巻頭言として述べた一説であるが、その思いはH.A.L.のリファレンス
として定着した“NEO”を核にして更に素晴らしい音質を目指す私の欲求と
こだわりという飽くなき追求の姿勢はとどまるところを知らない。

偏執狂というところまで自分を追い込むようなことはないし、ましてや
オーディオと再生音楽についてミクロの視点を持ち過ぎることの弊害を
承知しており、楽しむための音楽という見方をしている私だが、妥協し
た音質をここで出したくないというこだわりの気持ちには揺るぎがない。

そんな私の元に先週持ち込まれたのがこれ。

TECHNICAL BRAIN  Monaural Power Amplifier TBP-Zero 税別\2,800,000.

この作者である同社の黒沢直登氏は20年ほど前から存じ上げている方なの
だが、このような作品を手がけていたとは知らなかった。ご自身では営業
経験などなかった同氏が私を訪ねて来られた理由はここで述べるまでもな
いことだろう。根っからの技術者である黒沢氏の作品に対して私がハード
的な解説をするなどおこがましいものであり、TBP-Zeroに関することは
下記のサイトや技術系オーディオ専門誌をご覧頂ければと考えている。

さて、持ち込まれた当日は最近定番としてセッティングしている下記の
システムに組み込むことになった。

     -*-*-*-*-当日のリファレンスシステム-*-*-*-*-

Symmetricom's  Cesium Frequency Standard 3 (RELAXA2+)
      ↓
 7N-DA6100 BNC
      ↓   
 ESOTERIC G-0s(AC DOMINUS)    
      ↓                 ↓
      ↓                  7N-DA6100 BNC(Wordsync)
      ↓                 ↓
 7N-DA6100 BNC       ESOTERIC P-0s+VUK-P0
 (Wordsync)         (AC/DC DOMINUS & RK-P0 & MEI Z-BOARD & PAD T.I.P)
      ↓                 ↓
      ↓               7N-A2500 XLR ×2(Dual AES/EBU)
      ↓                 ↓
 dcs 974 D/D Converter(AC DOMINUS)
      ↓                 ↓
 7N-DA6100 BNC×1     7N-DA6100 BNC ×2
 (Wordsync)            (SPDIF-2 DSD Audio Signal)
      ↓                 ↓
 dcs Elgar plus 1394(AC DOMINUS+SAP RELAXA3PLUS & PAD T.I.P)
             ↓  
     7N-DA6100 RCA 1.0m(2ch Audio Signal)
             ↓  
 HALCRO dm8(AC DOMINUS)
             ↓  
     PAD BALANCE DOMINUS 7.0m
             ↓  
 TECHNICAL BRAIN TBP-Zero ×2
       ↓  
 ESOTERIC 7N-S20000
       ↓
 MOSQUITO NEO

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

早速聴いてみたのがこれ。セミヨン・ビシュコフ指揮、パリ管弦楽団による
ビゼー「アルルの女」「カルメン」の両組曲である。(PHCP-5276 廃盤)

弦楽器を中心としてオーケストラの各要素を満遍なくちりばめた演奏で最近
はこれを聴くことで私は多くのことを知ることが出来るようになったものだ。

1.前奏曲 「お〜、電源投入直後なのに中々いいじゃないか!!」

8.ファランドール 「管楽器の豪快さと弦楽器群の質感がいいぞ!!」

10.アラゴネーズ 「打楽器のエコー感がホールでの位置関係を忠実に再現」

15.ハバネラ 「フォルテの開放感が気持ちいいな〜!! 」

と、第一印象は設計者ご本人が同席されていてアンプも鳴らし始めたばかり
というハンディキャップ? もあったが好感触であった。しかし、同社では
プリアンプは開発中ということで純正のペアはない。プロトモデルも持ち込
まれたが上記のHALCROの方が魅力的に感じられたものだった。しかし…!?

24時間通電を続けながら、二日後に時間を見つけて再度同様なシステムで
聴き直すことにした。同じ曲を聴き始めたのだが、第一印象ほどの魅力が
感じられない。

私は常々プリアンプとパワーアンプは同一の作者によるペアが最も本領を
発揮するという信条を持っているものだが、その疑念が再び頭をもたげ始め
たのである。過去にも同様にプリだけ、パワーアンプだけという単体を他社
の製品と組み合わせたことは数え切れないほどの経験がある。

いずれか単体で最初持ち込まれたアンプを試聴し、どうしても不満がある
場合には同メーカーのプリ、またはパワーアンプがあった場合には後日で
も持ち込んで頂き再度同じアンプを同メーカーの組み合わせで聴くと私の
不満が解消されるという経験が多々あったものだ。しかし、今回の場合に
は同メーカーのプリがないということを前提に評価しなければならない。

これはあくまでも私がこの試聴環境とシステム構成の中で検証し、私の
感性による判定ということになるのだが、初日に組み合わせたHALCROで
は既に違和感を感じ始めていたのである。そこで、上記システムでプリ
アンプのみをBrumester 808 MK5に入れ替えたのである。しかし…!?

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

私はオーケストラの演奏で弦楽器の再現性がつつがなく行われることが
第一条件であり、金管楽器や打楽器などの質感はその後の調整か、もし
くは個性の選択という範囲でも受け入れできる要素として優先順位を先ず
は弦楽器において仕上げていくことにしている。

これまでにはHALCRO dm8もBrumester 808 MK5も、過去のシステム構成
においては私が満足する質感をシステム全体にもたらしてくれていたの
だが、今回はどうしても納得がいかないのである。

このパリ管弦楽団の録音では弦楽器の各パートが幾層ものレイヤーとし
て同質の光沢感をもってしなやかに展開して欲しいものなのだが、残念
ながら単体としては素晴らしいプリアンプであることを他の場面で実証
してきた両者も今回は私の求める質感を出してはくれなかったのである。

これはもはや“個”の問題ではなかろう、と私は三日間の時間をおいて
結論を下し、自分の記憶にあるコンポーネントの適合性を推測し大きく
システムを変更することにしたのである。そう、弦楽器にこだわった。


2.ケーブルはコンポーネントの一部である

私は持ち込まれた各社の作品を可能な限り追い込んで鳴らしてみたいと
願っているもので、組み合わせの妙という意外性を何回も経験してきた。
TBP-Zeroという新入生に対しても同期のプリアンプがないからという
理由だけで中途半端な結論は出したくない。

しかし、そこにはシステムのなかで噛み合う歯車として他の要素はない
だろうか? と考え込んでいた私は第二のシステム構成としてケーブルの
相性にも目を向けることにし、以前の経験から下記のShort Essayで
検証したSTEALTH Audio Cablesの美的余韻感を取り入れてみることに
したのである。


     -*-*-*-*-第二のリファレンスシステム-*-*-*-*-

Symmetricom's  Cesium Frequency Standard 3 (RELAXA2+)
      ↓
 7N-DA6100 BNC
      ↓   
 ESOTERIC G-0s(AC DOMINUS)    
      ↓                 ↓
      ↓                  7N-DA6100 BNC(Wordsync)
      ↓                 ↓
 7N-DA6100 BNC       ESOTERIC P-0s+VUK-P0
 (Wordsync)         (AC/DC DOMINUS & RK-P0 & MEI Z-BOARD & PAD T.I.P)
      ↓                 ↓
      ↓               7N-A2500 XLR ×2(Dual AES/EBU)
      ↓                 ↓
 dcs 974 D/D Converter(AC DOMINUS)
      ↓                 ↓
 7N-DA6100 BNC×1     7N-DA6100 BNC ×2
 (Wordsync)            (SPDIF-2 DSD Audio Signal)
      ↓                 ↓
 dcs Elgar plus 1394(AC DOMINUS+SAP RELAXA3PLUS & PAD T.I.P)
             ↓  
 STEALTH Indra Balance Interconnect Cable 1.0m H.A.L.'s Special Version
             ↓  
 JEFFROWLAND Synergy 2i(STEALTH Cloude Nine)
             ↓  
 STEALTH Indra Balance Interconnect Cable 5.8m H.A.L.'s Special Version
             ↓  
 TECHNICAL BRAIN TBP-Zero ×2
       ↓  
 STEALTH Hybrid MLT biwire Speaker Cable 5.0m H.A.L.'s Special Version
       ↓
 MOSQUITO NEO

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/278.html
まず、Indraに関しては上記のブリーフニュースで詳細を述べているが、最大の
特徴はアモルファス状態で直径0.025mmの素線を9本をコアに仕込んでいるのが
Indraであり、特徴は「Qファクター」と呼ばれる要素である。同要素はケーブ
ルの信号号伝送の際に生じるリンギングを防止する効果がある。リンギングとは
急峻な変化をする信号が、回路網を通過した際に生じる波形を言い「ディストリ
ビューテッド・リッツ」という無共振多層構造を採用している。今回はバランス
ケーブルでは二倍の18本が使用されている。

私は以前の試聴評価の好印象に加えて更なる可能性を追求するということで
STEALTHから提案があったのだが、直径0.025mmの素線の本数を増加させること
によって更に低域の再現性を向上できるので、これをオリジナル商品として
ミスター・カワマタに提供しようということだったのである。

そして、届けられたのが0.025mmの素線を12本組、バランスケーブルなので
一つのケーブルには24本を組み込んだ、このSpecial VersionのIndraであり、
DYNAMICAUDIO5555 HI-END AUDIO LABORATORY とレタリングされてきたの
である。これはうれしい!! 更にノーマルIndraに比べて多量のシールド、
テフロンが施されており、プラグはチタニウム製で非常に堅牢である。

しかし、精度と音質にこだわる設計から私はここで使用する長さとして7.0
メートルのSpecial Indraをお願いしていたのだが、製造上の限界から5.8
メートルまでしか出来ないので許して欲しいというメールを頂いてしまった。

それはもちろん理解できるというか、0.025mmの髪の毛よりも細いアモルファス
の線を5.8メートルもの長さでより合わせてケーブルを作っていくのだから、
逆に恐縮してしまうような手間ひまとノウハウに支えられていたことだろう。

これでプリとパワーアンプの接続は出来るが、プリアンプへの入力はどうする
のか? ということまで気を使って頂き、一昨日Special Indraの1.0メートルも
到着したのであった。これでシグナルパスをSpecial Indraで統一できるぞ!!

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

次にスピーカーケーブルであるが、Hybrid MLT biwire Speaker Cableという
ことで、これもオリジナル商品として提供されたものだ。どこが違うのか?

まず、このHybrid MLTが非常にユニークなところは、シングルワイヤーの
場合には“Low”専用ケーブルが2本、“High”専用ケーブルが2本の計4本が
1セットになって販売されるということなのである。

つまり、片チャンネルのスピーカーには“Low”と“High”の各々をプラス
マイナスに接続して使用せよ、ということなのである。そして、“Low”を
スピーカーの入力端子のプラス側にするかマイナス側にするのかはユーザー
の好みで、“High”も同様にどちらに接続するかをユーザーに任せて好み
で使って欲しいということなのである。ちなみに、私はbiwireで依頼したら
これの二倍、つまり左右で8本、“Low”と“High”が各々4本ずつ納品され
てきたのである。さあ、この使いこなしも課題の一つになってしまった(^^ゞ

これについて輸入元の見解は次のように伝えられている。

接続方法には以下に示す3通りがある(バイ・アンピ、バイ・ワイヤーの場合)
 
1.LeftとRightのスピーカーへそれぞれ2本の“High”をmid/highセクションへ。
 “Low”をbassドライバーへ接続します。音質の傾向はより臨場感が得られます。

2.LeftとRightのスピーカーへそれぞれ2本の“Low”をmid/highセクションへ。
 “High”をbassへ接続します。音質はbassにスピードが増し、深いサンドス
 テージと全体感が柔らかくなります。

3.LeftとRightのスピーカーへそれぞれ1本の“High”と1本の“Low”をbassに
 使用し、1本の“High”と1本の“Low”をmid/highセクションに繋げます。 
 結果スピーカーのmid/highとbassセクションが明かな“Even”(同一特性)を
 引き出します。


次に、内部の構造なのだが、最小単位としての素線はIndra同様に極めて細い
ワイヤーであり、それも同様にテフロンで一本ずつを絶縁している。ポイントは
この素線の素材なのだが、純度99.997%の純金、純銀、OFCの導体を使用している。
三次元43層絶縁TATCマルチゲージ構造というのは、この三種類の素線をある単位
にまとめられたものをより合わせているということであり、各素材のケーブルが
多数使用されているということだ。

さて、それではSpecial Versionと何か? ということなのだが、上記のように
三種類の素材の素線が組み込まれているのだが、特別に「Fine Tuning」されて
おり“High”の金と銀が25%増量されており、“Low”の銅が30%増量になって
いるという。

最後に価格なのだが、次のような対比となる。

通常のIndraは下記のように仕様によって異なるのだが1.0mとして示すと…

Indra Amorphous Alloy RCA WBT 0110Ag       税別\748,000.
Indra Amorphous Alloy XLR Furutech FP-600 Rh     税別\975,000.

これに対してプラグも特別仕様となり
Indra Balance Interconnect Cable 1.0m H.A.L.'s Special Version
税別\1,268,000.という価格になるものだ。ここに来ているのは5.8mなのだが、
これだと¥3,936,800(Stealth Rh)という価格になる。

次にスピーカーケーブルだが、3.0mとしてシングルワイヤーでは
New Generation Hybrid MLT Stealth Spade Agはステルスオリジナルの
スペードプラグを使用しており純ソリッドシルバーを採用し、優れた絶
縁特性を持つ音質プラグを使用している。税別\403,000.

それに対して
Hybrid MLT Speaker Cable 3.0m H.A.L.'s Special Version
税別¥557,000(WBT0660Ag)という価格になるものだ。

これがbiwire仕様になると税別\999,000.という価格になる。ちなみに、
ここに来ているのは5.0mのbiwireなので税別\1,711,000.(WBT0660Ag)となる。

最近のニュースとしてStealth Indraが「2004 Most Wanted Components」
を受賞しニュヨークSTEREO TIMES誌の記事として一報が入っている。

http://www.stereotimes.com/MWC0511044.shtm

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

さあ、これらのケーブルを接続しPADのシステムエンハンサーを一晩かけて
明日の試聴に望もうということになった。二機種の高価なプリアンプをや
めてJEFFROWLAND Synergy 2iを採用したことも含めて明日はどのような
演奏を聞かせてくれるのだろうか!?


3.興奮のリニューアル

まず、私が最初にこだわったのはHybrid MLT Speaker Cableの使いこなし
である。“NEO”はシングルワイヤーでの接続なので、この場合にはバイ
ワイヤーの両チャンネルで8本というケーブルをすべて使う必要はないので
あるが、根が貧乏性の私(笑)なので、もったいないと思い上記の“Low”と
“High”のケーブル二本をアンプとスピーカーのバインディングポストひと
つに何とか接続して聴いてみようと思ったのである。

PAD DOMINUSのスピーカーケーブルは、プラスとマイナスでは導体の構造と
合金の配合も違うということは承知しているものだが、あからさまに“Low”
“High”とケーブルに表記されていると低音専用? 高音専用? のように
見えてしまって精神的に落ち着かない。ましてやスピーカーのプラスとマイ
ナスの各々に“Low”“High”を一本ずつ使うというやり方にはなじみがない。

であれば、スピーカーのプラス、マイナスともに“Low”“High”をダブル
で接続してしまえば文句はなかろう!!(笑) と思いついたものだ。その後に
残された組み合わせは二通りである。それは、スピーカーとパワーアンプの
接続でプラスに“Low”をつなぐかマイナスに“Low”をつなぐかということ
である。“High”は当然その都度逆になるわけだ。この3パターンを聴き比
べしたのである。

もったいないから…、ということで一つのターミナルにダブルで接続した
場合が真っ先に選択肢から外れた。一見弦楽器がふくよかに感じられるのだ
が、音量を上げていくとごくわずかだがフォーカスのにじみが感じられる。

次に、プラスに“Low”マイナスに“High”、そしてその逆。う〜ん、これは
難しい…。しかし、確実に言えることは前回のダブルでの接続よりも音像が
すっきりしていてフォーカスのイメージが整っていることだ。やはりシングル
ワイヤーではこのどちらかでいくべきだろう。“Low”“High”の接続を三回
やり直し、極めて微妙ながら楽音の質感を聴きとって私が選択した接続法は…!?

今回のシステムにおいて、という条件付だが私が選択したのはマイナスに
“Low”プラスに“High”という組み合わせであった。これがいい!!

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

さあ、これでいよいよ本格的に心置きなく試聴できる下地が出来た。さて…!?

これまでに引っかかっていた課題曲、セミヨン・ビシュコフ指揮、パリ管弦楽
団によるビゼー「アルルの女」「カルメン」(PHCP-5276)を早速かけてみた。

[1]前奏曲 「こっ、これは!!」

導入部の弦楽器群による重厚なアルコの合奏のいきなりの変貌にわが耳を疑った。
私がこのディスクの中でも特に好きなパートであるが、この時の弦楽器が幾層
にもレイヤーを構成して左右の“NEO”の更に両翼の周辺部までも広がり、その
質感にほのかな甘みを感じさせてくれるのがたまらない。思わずイメージした
のは、あのミルフィーユであった(笑)ちょっとした雑学だが調べたところでは。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

   < millefeuille > 薄い生地が何層にも重なったパイ菓子。

日本では銀座マキシム・ド・パリの「ナポレオン・パイ」が有名。日本ではミルフ
ィーユとして売られていますが、正確にはミルフイユ<millefeuille>と言います。
ミルとは「千」、フイユとは「葉」、つまり「千枚の葉っぱ」という意味です。
何層にも折り重なるパイ生地(実際にパイ生地という単語はなくフイユタージュと
言います)を焼くと葉っぱが重なったようだと言うところからこの名前が付けられ
ました。製菓職人のルージェが作ったといいます。

ちなみにミルフィーユとミルフイユ、フランス語だと全く違う意味になってしまい
ます。ミルフィーユは「一千人の娘さん」という意味になるのです。正しい発音は
ミルフイユなのです。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

この解説を読むまでもなく、甘党の皆様はとうにご存知の菓子なのだが、先日の
ようにTBP-Zeroを使い込んでいく過程で私が不満としていたことが見事に解消し、
本当にドライブ能力のあるアンプとは、打撃音のようなものをカツカツ、バンバン
と鳴らして驚くのではなく、楽音の本来あるべきしなやかさを再現したときに真の
実力が問われるものだということが今ここで実証されたようだ。

弦楽器群の多数のアルコの繰り返しの中で大変微妙だがわずかに舌にざらっとする
感触を覚えたものだが、この時の演奏は大違いだ。

視覚的にはまさに「千枚の葉っぱ」のごとく一本一本のヴァイオリンが重なり合っ
た縞模様が鮮明に見えるようであり、その一つずつの層の間に塗り込められたクリ
ームがえもいわれぬ口溶けのまろやかさで絶妙な甘さに至福のひと時を得た思いで
である。これは初めての体験である!! 美味い!! こんな“NEO”があったとは!!

そうだ、“NEO”の輸入元のエリック氏はフランスの人なのでこの例えがわかって
くれれば良いのだが…(^^ゞでも私は「一千人の娘さん」の方が好きだな〜(大爆笑)

           冗談はこの辺にして…^_^;


[8]ファランドール 「Shout bravo!!」

この演奏が終わったときの正直な私の感動である!! 前奏曲と同じ主題を管楽器
を交えて始まり、やがてタンバリンと小太鼓がステージ奥でリズムを刻み始める。
最初から豊潤な余韻感がオーケストラ全体に潤いを与えながら、リズム楽器の
鮮明さが対照的に歯切れいい。

やがてフルートが中央で絶妙なタンギングを披露するとストリングスもピッチカ
ートで応え始める。このピッチカートの最初は点としての音源からふわ〜、と
ホールに響き渡る余韻感が聴きどころであり、まさに私の記憶に焼きついている
STEALTHの最も印象的な魅力であることを思い出した。

終盤に差し掛かると弦楽器群のアルコがうねるように展開し、ことさらハイスピ
ードな“NEO”の低域再生にTBP-Zeroが抜群のサポートをかける。これはいい!!

滑らかさと歯切れよさの同居する演奏はプリアンプの選択にも関与している。
私が採用したSynergy 2iが見事に私の期待に応えてくれた。今はなきCoherence
は現役時代にはプリアンプを苦手とする数社のパワーアンプに対して絶妙の
コントロールを発揮してくれたものだが、このような剛性と柔軟性の両者を
同時に求めたいときには得がたい脇役?(失礼) となってくれるのである。
この選択はヒットである!! ビンゴ!!


[10]アラゴネーズ 「これはパワーアンプの勝利だ!! 」

最後に盛り上がるファランドールとは対照的に豪快なスタートから始まり、
最終部は静かに消えていく編曲である。リズミカルな導入部から始まり、
ここではオーボエのソロが“NEO”の中央に立ち上がり、それをフルートと
ピッコロ、クラリネットらの木管が取り囲むように展開していく。

そして、ここでもストリングスはピッチカートの余韻を響かせてステージを
包み込む。この弦楽器がピッチカートから時折アルコに転ずる時の音色が
何とも美しいことか!! そうです!! 私はこれを求めていたのだ。


[15]ハバネラ 「低域が引き締まっていると余韻感が引き立つ!!」

Synergy 2iのボリュームのカウンターはフルで63.5という数値になる。
刺激成分がなく爽快に聴き進むなかで、私はここぞというところで58.0まで
ボリュームを上げた。

左右の弦楽器群の掛け合いでお馴染みの旋律が繰り返され、その中央では
タンバリンと木管にピンスポットを当てたようにくっきりと浮かび上がる。

この一瞬のために待ち構えていたオーケストラが一斉にフォルテを放ったとき
の爽快感!! そして、ここで見られることは中高域の余韻感は誰しも気が付く
ところなのだが、低域のエコー感が鮮明に聴き取れるという驚きである。

“NEO”の低域のスピード感によって、その低い周波数帯域でのエコー感の
分離と再現性に優れていることは先刻述べているものだが、逆に言えば
低域の反応が遅いアンプでは本質がばれてしまうものだ。そして、情報量と
しての余韻感を伝えるべきケーブルがプアーであると同様にエコーは分離
しない。この三者のコラボレートが私に新しい“NEO”の可能性を見せて
くれたのである。


4.パワーアンプの貢献

私は今回のシステムをオーケストラの弦楽器の再現性を私の求めるレベルで
ということで構成してきたのだが、またそこだけで終わるものではない。

押尾コータロー『STARTING POINT』6.Merry Christmas Mr.Lawrence
http://www.toshiba-emi.co.jp/oshio/

「おー!! 素晴らしい!! 合格〜!!」


「Muse」からフィリッパ・ジョルダーノ 1.ハバネラ
http://www.universal-music.co.jp/classics/healing_menu.html

「文句なし、合格!!」


大貫妙子の“attraction”5トラック「四季」
http://www.toshiba-emi.co.jp/onuki/disco/index_j.htm

「思わず涙!! 当然合格!!」

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

私の課題曲のどれをとってみても文句の付けようがない。弦楽器という連続
する楽音、そして楽器の数が最も多いという編成の規模に対する解像度の必
要性。これらを私が求めるレベルで再構成したシステムは見事に私の要求に
応えてくれた。いや、おつりがくるくらいの素晴らしさなのである。

これらの余韻感と質感の両立を果たしながら、うるわしい弦楽器を再現させ
るという仕事にはSTEALTHというケーブルの存在を私は色濃く感じていた。

しかし…、私にはプリアンプとパワーアンプの相性という確認事項をケーブ
ルの更新ということも含めて解答を出したわけだが、その当初の目的には
TBP-Zeroの個体としての能力をチッェクすることが実験の動機であったものだ。

そこで、私はこれまでのような弦楽器、声楽のように流れるような演奏の
連続ではなく、ニュートラルなスピーカーであればあるほど問われるパルシ
ブな応答性でパワーアンプのパフォーマンスを確認しようと考えたのである。

それには…、この曲がふさわしい。Audio labの「THE DIALOGUE」から
(1) WITH BASS を集中して聴くことにした。さて、どうなるか?
http://www.octavia.co.jp/shouhin/audio_lab.htm

Synergy 2iのボリュームは遂に62.0まで引き上げられてスタートした。

「おおー!! これは…!?」

出だしのスネアーのショットで面食らった。破砕音という例えではデリカシ
ーにかけるかもしれないが、少なくとも弾性のあるドラムヘッドを叩くと言
うよりは、無反発の打面をヒットするとこうなるのでは、というくらいに
鋭い一打が叩きだされた。

続くキックドラムには以前にも増してハイスピードながら重量感が備わって
いる。この曲は他のスピーカーではキックの打音が床の上を這ってくるよう
に周辺に拡散してしまうことが多いのだが、“NEO”の大きな特徴としてス
ピーカーの中ほどの高さにある中空に忽然とキックドラムが表れるものだ。

しかし、TBP-Zeroによって駆動された“NEO”のウーファーは、それ自身が
600Hzまでを受け持っているという比較的広い受け持ち帯域による負担を
こともなげに解消してしまい、反応としては軽々と、そして質感としては
圧縮されたエネルギーを一気に放射するように、目の前で手を叩くような
切れ味の良さで連打続けるのである。もちろん息切れの兆候は微塵もない。

ウーファーの駆動は電流で、というスピーカー側から見た常識に対して、
強力な電源部がその容量の大きさだけでなく給電スピードの速さによって
破綻しない低域の打音の再生を行えることは私も体験済みだが、重量20Kg
という大型トランスが見せる反応としては私の記憶にもないくらいのテン
ションを再現する。これは見事だ!!

4パラ出力段のエミッター抵抗を取り去り、すべてのシグナルパスから保護
リレーやチョークコイルなどの機械的接点をも取り去り、完全フルバランス
構成BTLという回路でノイズフロアーの低減とハイパワーを両立させた。

もちろん保護回路はホール素子をシグナルパスの外部にセンサーとして設定
し、入出力の波形観測を高速で行うことによりメイン電源のブレーカーを落
とし、同時に出力段の電源コンデンサーを高速放電させるという新機構で万
全の対策を施すという巧妙なテクニックで音質に影響のないプロテクション
を実現している。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

過去の経験から私の求めた音量ではパワーアンプの出力はピークで600Wを
超えることも多々あり、ミニマム・インピーダンスは150Hzで4オームと
いう“NEO”での再生ではパワーアンプには過酷な条件であるはずだ。

前述しているが、通奏楽音のやわらかさ滑らかさを高い次元で実現して
いるものは真のハイスピードアンプといえるものだ。生半可なアンプで
は解像度を落とした曖昧な表現で弦楽器を懐柔したようなファジーな音質
でごまかしても、ドラムをハイパワーで鳴らすと刺激成分が混入してくる
ものなのだが、TBP-Zeroではリスナーにボリュームをもっと上げろと挑戦
してくるような混濁のない打音の連続を軽々と展開する。聴きやすい打音
であると自然とボリュームが上がってしまうが、スピーカーがNoというま
では使い手の要求にこれでもかと応えてくれる制動感の素晴らしさがある。

TBP-Zeroは外気温よりわずか18度高いだけという抜群の温度管理と効率の
素晴らしさでこれらを実現したという。

「柔と剛の両立!! これは恐ろしいアンプが登場したものだ!! 」

オーケストラの流麗な演奏と迫真のドラム、相反する演目に対するTBP-Zero
の貢献度は今回のシステムで確実に証明された。私は興奮と感動で満腹状態
になってしまったが、アンプに関して何らかの食い足りないという欲求不満
をお持ちの方にこそ、ぜひTBP-Zeroの試食をお勧めするものである。




5.驚きの体験、本当のSTEALTHとはこんなにも!!

翌日のこと、私は感動的な見落としがあったことに気が付いた。
そして、先ほどの驚くべき音質変化となった要因が書き換えられているこ
とに気が付かれただろうか?

     -*-*-*-*-第三のリファレンスシステム-*-*-*-*-

Symmetricom's  Cesium Frequency Standard 3 (RELAXA2+)
      ↓
 7N-DA6100 BNC
      ↓   
 ESOTERIC G-0s(AC DOMINUS)    
      ↓                 ↓
      ↓                  7N-DA6100 BNC(Wordsync)
      ↓                 ↓
 7N-DA6100 BNC       ESOTERIC P-0s+VUK-P0
 (Wordsync)         (AC/DC DOMINUS & RK-P0 & MEI Z-BOARD & PAD T.I.P)
      ↓                 ↓
      ↓           STEALTH Varidig (FURUTECH FP-600)×2(Dual AES/EBU)
      ↓                 ↓
 dcs 974 D/D Converter(AC DOMINUS)
      ↓                      ↓
 STEALTH Varidig BNC×1   STEALTH Varidig BNC ×2
 (Wordsync)            (SPDIF-2 DSD Audio Signal)
      ↓                      ↓
 dcs Elgar plus 1394(AC DOMINUS+SAP RELAXA3PLUS & PAD T.I.P)
             ↓  
 STEALTH Indra Balance Interconnect Cable 1.0m H.A.L.'s Special Version
             ↓  
 JEFFROWLAND Synergy 2i(STEALTH Cloude Nine)
             ↓  
 STEALTH Indra Balance Interconnect Cable 5.8m H.A.L.'s Special Version
             ↓  
 TECHNICAL BRAIN TBP-Zero ×2
          ↓  
 STEALTH Hybrid MLT biwire Speaker Cable 5.0m H.A.L.'s Special Version
          ↓
 MOSQUITO NEO

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

STEALTHによってシグナルパスを統一したつもりであったが、それはアナログ
信号の経路であってデジタルケーブルは以前のままであった。また、前回の
主題ではフロントエンドの構成をそのままにしてTBP-Zeroとプリアンプとの
相性も見ておきたかったということもあった。一度にすべてを変えてしまうと
変化の基点がどこにあるのかがわからなくなってしまうのではと思えたからだ。

既に上記を見てお気付きかと思われるが、今日はデジタルケーブルも含めて
すべてのシグナルパスをSTEALTHで統一して聴いてみようと思い付いたのである。

しかし…!?

STEALTH Varidig (FURUTECH FP-600) 1.0m  税別定価\103,500
STEALTH Varidig (Stealth BNC Ag)   1.0m  税別定価\79,000.

何と、この価格!! お安いではないですか!!(笑)
しかし、この投入がもたらしたものは…!?


6.unexpected things often happen

こんなことを言っては失礼なのだが、7万円、9万円という価格帯のデジタル
ケーブルをここで使用したことはあまりないのだが、私は以前にも…?

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/279.html

ここで述べているように一社のケーブルで統一することによって大きく評価
が変わってしまうという体験をしており、部分採用ではまだ本質が見えない
ものだという教訓も念頭にあったものだ。しかし、あえて続編として皆様に
お知らせしたいほどの感動が上記のたった5本のケーブルによって先ほど
ここで実感されたのである。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

とにかくこれを聴いてみよう、セミヨン・ビシュコフ指揮、パリ管弦楽団に
よるビゼー「アルルの女」「カルメン」(PHCP-5276)を早速かけてみた。

[1]前奏曲 「おいおいおーい、これはないでしょう!!」

導入部の弦楽器群による重厚なアルコの合奏が“NEO”の周辺に出現した瞬間
に、その色彩感というか音色の数が圧倒的に増加しているのに耳を疑った。

ミルフィーユを引き合いに出して、レイヤーの細やかさを前回は述べたもの
だが、今ここで表れたコンピューターのディスプレーの色の設定を16ビット
から24ビットに切り替えたくらいの情報量の変化と言えるかもしれない。

美味と賞される食べ物を口に入れて、それがどのように美味しいのかを説明
せよ、と言われたときのもどかしさを感じずにはいられなかった。とにかく
音楽が楽しいのだ。


[8]ファランドール 「更にShout bravo!!」

この演奏は印象的であった。弦楽器群のアルコの折り重なる美しさは前奏曲
で思い知らされたのだが、ここで聴かれるタンバリンと小太鼓がステージ奥
でリズムを刻み始めるのだが、この鮮明さも昨日よりは格段に向上している。

エコー感の美しさを中心にSTEALTHの印象を述べてきたつもりだったが、ここ
ではステージの奥から響いてくる打楽器の鮮明さが私の解釈に新しい一ページ
を加えたことは間違いがない。驚きである。


[10]アラゴネーズ 「これはパワーアンプの勝利だ!! 」

前回も木管楽器の鮮やかさが際立っていたのだが、今日のそれらは何とエネ
ルギーが満ち溢れていることか!! ボリュームのカウンターは昨日の同じな
のに伝わってくる濃密さと開放感が同居したような情報量の変化に戸惑い、
まるでボリュームをわずかに上げたように感じられるのだから不思議だ。


[15]ハバネラ「まるでダイナミックレンジが拡大したように余韻感が凄い!!」

左右の弦楽器群の掛け合いでお馴染みの旋律が始まったが、まだその段階
でも余韻感が増大していることに驚く。そして、次第にタンバリンと木管に
当たっていたピンスポットの光が強くなって明るさを増したのではと錯覚
するような明快な定位感が実感されてくる。とにかく印象に残る音だ。

今か今かと待ち構えていたフォルテがさあ〜、来たぞ!!
このフォルテの伸びやかさと広がっていくエコー感で感じられるホールの
大きさが一回り大きくなったようだ。こんなことってあるのか!?


7.価格では計り知れないもの

オーケストラの演奏がなぜこんなに楽しくなるのか。躍動感が解像度を
ともなって向上すると気分爽快で何のストレスもない楽音がシステム全体
の印象を更に向上させる。とにかく楽しめるのである。

「Muse」からフィリッパ・ジョルダーノ 1.ハバネラ
http://www.universal-music.co.jp/classics/healing_menu.html

この曲で何がデジタルケーブルの交換で起こったのかを私に見せてくれた。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

ESOTERICのケーブルをデジタル系に使っていた時と比較すると、微妙に音像
が大きくなっていたかもしれない。それで色合いが同じであったら、色彩感
が薄くなったという感触で魅力を感じなかったかもしれないが、STEALTHで
統一された時には逆に色彩感が濃密になるので違和感は感じられない。

それどころか、演奏に躍動感を与えるから不思議である。これはESOTERICの
ケーブルで統一した時にも感じたことと同じではないか!!

プリアンプとパワーアンプの相性を昨日は検証したつもりであり、同じ
設計者のペアを使用することを原則にしながらも、それが出来ない場合に
パワーアンプのパフォーマンスを誤解することなく音質に表現することに
成功してほっとしたものだった。

しかし、どうやらケーブルにもこのような組み合わせの共通項があるようだ。
ケーブルを使用するところをデジタル系とアナログ系とに大きく分けて考え
たときに、ESOTERICの場合にも両者を統一することで驚くべき情報量の増加
と質感の安定化を認識したものだった。

今回はたった7万円という価格に対する私の先入観、偏見というものがあった
のだろうか、STEALTHによってアナログ系、デジタル系の両方を統一したとき
にこれほどの“大化け”をするとは思っても見なかったものだ。

まさに「瓢箪から駒」(失礼!!)という心境で聞き惚れてしまったのである。

アンプと同様に同じ設計者の感性と理論によってケーブルを統一することは
一般的な理解よりもはるかに大きなパフォーマンスを生み出すことを実感し
たものだ。従って、どちらのケーブルが優秀か? ということではないのだ。
いかに情報伝達の経路における統一感が大切かと言うことだろう!!

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

ケーブルにおいても試食をしていただかねばならないようだ!!
どうぞハルズモニターをご利用下さい。まず、そのためにはハルズサークル登録を!!



このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。
担当川又 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556
E−mail:kawamata@dynamicaudio.jp
お店の場所はココの(5)です。お気軽に遊びに来てください!!

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