発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
〒101-0021 東京都千代田区外神田3-1-18
ダイナ5555
TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556
H.A.L.担当 川又利明


No.200「バッテリー交換という維持費に関わる価値観をお知らせしたい!!」

私は発売以来日本で一番販売したのではないかと自負しているのがJeff Rowland
のプリアンプであるCoherenceである。それはCoherence2になってからも同様で
あり、現在でも中古を探している方が後を絶たない状況である。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto23.html

さて、そのCoherenceのオーナーの皆様から最近急増しているのがバッテリー
交換の要請である。大場商事によるバッテリー交換とメンテナンス費用は
\55.000.(税別)であるが、ふと私が色々なweb siteを見ていて発見したのが
ある業者によるペア価格\12,000(USA直輸入価格)交換手数料\10,000
(輸送代込)合わせて\24.000.という価格でCoherenceのバッテリーを交換する
という告知である。

私は過去に販売したCoherenceのオーナーの皆様に対する信用と完璧な
アフターサービスのためにも、この直輸入と称する\24.000.の価格との
差別化、あるいは正規代理店としての大場商事の料金体系に関して思わず
同社の技術責任者に質問したのであった。

そうしたら、今までに知らなかった詳細な情報も含めて、Coherenceの
オーナーでなくても興味が湧いて来るような情報が寄せられたのである。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

その1.Coherenceはどのようにバッテリーをコントロールするか?

COHERENCE/2はバッテリーの寿命を延ばし、バッテリー電源の効果を最大限に
するために、自身で常に電圧を測定し、マイクロプロセッサーでコントロール
を行う回路を持っています。

その回路をチャージマネージメント回路と呼び、電源部のフェースプレート
の中にあるフロントパネルロジックボードに入っています。その回路は次の
ような働きをしています。

(1)2個のバッテリーのトータル電圧が26.44Vになるとフロント
      パネルのFULL LED(グリーン)を点灯させます。

(2)その電圧が23.43Vまで低下すると、LOW LED(赤)を点灯させます。
      これはバッテリーモードで使用中にも、ACモードで使用中に不具合が
      生じた場合にも電圧がこのレベルまで下がれば点灯します。

(3)バッテリーモードで使用中、バッテリー2個のトータル電圧が22.
     83Vまで下がると、バッテリー保護のために強制的にACモードに戻し、
     バッテリーが深く放電しないようにします。

(4)更にAC電源の電圧もモニターしていて、電源電圧AC100Vが90Vの
     場合には電源の動作をストップさせます。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

なるほど、ではバッテリーの寿命はどのように考えればいいのか?

その2.バッテリーの寿命か? 故障なのか!??

バッテリーは寿命がある為、そのトラブルについては、他の電子部品と違って、
故障と寿命の違いが不明確な場合が多々あります。バッテリーメーカーではその
容量が半分になった時点を寿命と定義しています。

COHERENCE/2では公称電圧12Vのバッテリーを採用していますので、その電圧は
変わらず、バッテリーモードでの使用可能時間が半分になった時点で寿命に
なった事になります。実際にはその状態でもCOHERENCE/2は正常に動作します
ので、この時点でバッテリー交換を依頼されることは少ないと思います。

完全に容量が低下した場合には、ACモードからバッテリーモードに切り換えた
瞬間、そのままACモードに戻ります。この状態で修理に出されるケースが多い
ように思います。COHERENCE/2のバッテリーに関する修理は、電源が入らない
場合や電源部フロントパネルのLOW VOLTAGE LED(赤)が点灯してアンプ部が動
作しない場合があります。

この2つのケースは、2個あるバッテリーの1個の端子電圧が12Vでは無く
て、8Vとか6Vに低下しています。シール鉛蓄電池の電圧は一つのセルが
2Vですので、公称電圧12Vのバッテリーは6個のバッテリーセルで構成さ
れています。6個のバッテリーセルが正常であれば、その電圧は12Vになり
ます。2個とか3個のバッテリーセルが動作しなくなった場合には、その端子
電圧は8Vとか6Vになるわけです。

この場合にも3年以上経過している場合には寿命と考えられます。そこで当
社では使用開始から1〜2年で端子電圧が低下している場合に、バッテリー
の故障と考えています。ただ、この故障原因にも、取扱上の問題がある場合も
多いものですから、本来のバッテリーそのものの故障は少ないことになります。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

その3.バッテリー交換と一口に言ってもどこが違うのか!?

なるほど、ではそろそろ核心に入って行きましょう。大場商事が正規代理店
として他社と差別化した高い技術力の表れがどこにあるかを私は問いました。
すると、同社からの回答は…。

             **********

日頃から大変お世話になっております。
この度は並行輸入業者の修理情報をお知らせ頂きありがとうございます。

実は、以前から*****のCOHERENCEバッテリー交換の情報については存知あげて
います。この会社のWEBでの価格は交換手数料¥10,000−はともかくバッテリー
の価格は異常に安く、送料込みのペアで¥12,000-はJEFF ROWLAND D.G.が使用
しているものを実際に米国から取る価格よりもかなり安く設定されています。

ただ、どこのメーカーなのかは明示されていないので、米国には同等品で安い
バッテリーがあるのかも知れません。他の製品を販売するために、戦略的にに
安く設定されていることも考えられます。

しかし、当社は価格の安さで勝負するつもりはありません。
修理サービスの技術レベル、その仕事内容と使用する部品の品質レベルでお客様
に評価をして頂きたいと思っています。

当社では次の様な独自のサービスポリシーでアフターサービスを行っています。

サービス部門はお客様の使用されている製品の品質と信頼性を高く維持する為に
あります。故障した部分だけを直して、動作をすればそれで修理が完了したわけ
ではありません。特に長期間使用されている製品は傷んでいる部品を全て交換
し、
信頼性を高めると共に最高精度の測定器で、新品時の製品スペックを満足してい
ることの確認をし、更に試聴のテストも実施しています。製品スペックから外れ
ている場合には、スペックを満足させるように徹底修理をします。

COHERENCEのバッテリー交換の当社での作業内容は次の通りです。

1.電源部だけでAC電源を接続し、電源をONにします。
 天板を開け、その状態で+電源、−電源それぞれののバッテリー電圧を
 測定しバッテリーの故障状態を確認します。

ここで私が質問したのは…。

> 一般のユーザーはバッテリーの故障というよりも寿命とみなしているもの
>です。「故障」と「寿命」という認識の違いを述べてください。

これに対する回答が上記の「その2.バッテリーの寿命か? 故障なのか!??」に
よって明確に返事が得られました。


2.バッテリーを外し、外した状態でバッテリーの端子電圧を測定し、バッテリー
 の故障パターンを確認し、新品のバッテリーに半田付けでリード線を取り付け
 直します。

次の私の質問は…。

> この端子電圧は何ボルトでしょうか?・・・でした。それに対しては。

公称電圧12Vですが、フルチャージの状態では、12.5Vあります。


3.リード線を付けた各バッテリーを電源部に取り付けます。このときにバッテ
  リーリードの接続はせずに+−電源とも、定電圧電源の電圧を正しい値に
 調整します。調整が終わればリードをコネクターに挿し、バッテリーのチャ
 ージを始めます。チャージをしながらバッテリーの端子電圧を測定し、FULL
 のLEDが点灯する電圧を確認します。
 そのまま天板を閉め、24時間バッテリーチャージをします。

更に、ここでも私の質問は…。

> ここで調整箇所があるということですから、*****には真似できないような
> 大場商事ならではの調整部分があるということを述べてください。

COHERENCE/2は定電圧電源と呼ばれている回路でバッテリーをチャージしてい
ます。+電源、−電源の回路が別々にありますので、各定電圧電源の電圧を
正しく合わせ直しをします。

それともう一つ重要な回路のチェックと調整があります。COHERENCE/2には
バッテリーの寿命を延ばし、保護する為に、AC電圧、バッテリー電圧を検出し、
マイクロプロセッサーでコントロールをする回路を持っています。
この回路はフロントパネルロジックと呼ばれ、電源部のフェースプレートの
中についています。

正確にコントロールをさせる為に、その基準電圧を正確に調整する必要があ
ります。当社ではこの調整を全て合わせて、チャージマネージメント回路の
キャリブレーションと呼んでいます。*****さんはご存じ無いと思います。

更に私から…。

> チャージをしながら…ということは、次第に電圧が上がってくるのですね??
> そのように時間がかかるチェックを行っているということも述べてください。

バッテリーの端子電圧は最初の12.5Vから制御電圧の13.7Vまで
上がります。FULLのLEDは2個のバッテリーのトータル電圧が26.44V
になれば点灯します。このメカニズムはフロントパネルロジック回路の動作
説明として別のセクションで説明したいと思います。


4.アンプ部と電源部を接続し、リモコン表示部を取り付け、電源を入れて最初に
 各機能のテストを実施致します。

私からは、しつこいように…。

> 機能チェックの項目を述べてください。

COHERENCEのフロントパネルスイッチが全て正常に動作をしているかどうか、
測定器と試聴用のシステムに接続して、一個ずつスイッチを押して、全ての
スイッチの動作を確認します。ヴォリュームも回して動作と精度の確認を
致します。リモコンがついていれば、リモコンの全スイッチの動作も合わ
せて確認致します。

このときにリモコン送信部が付属していれば、合わせてチェックをします。
リモコン送信部の電池電圧をチェックし、7V 以下であれば交換します。

更に私から…。

> 知られていないことですが、リモコンの動作確認もしているということと
> リモコンのバッテリーもチェックしているということも述べてください。

長期間COHERENCE/2をご使用頂いていますので、一度修理に出して頂ければ、
長期に渡って安心してご使用頂けるように、リモコン送信部の電池電圧は
ディジタル・マルチメーターで必ず測定をし、電圧が下がっていれば交換
致します。ただし、この場合の電池代金はお客様に負担して頂いています。


5.最高の精度を誇るAUDIO PRECISION社の測定器で、ノイズレベル、ノイズ
 波形、THD、L&Rレベル、フェーズ、チャンネルセパレーション、周波数
 特性などの測定テストを実施致します。

私は意地悪な質問かと思いながらも(^^ゞ

> ここがポイントです。*****では真似のできない技術的な項目は詳細を
>述べたほうがいいです。

この問題の重要なポイントは、当社はJEFF ROWLAND D.G.社と同じレベルの
サービスを行うために、その基準となる測定器は同じ物を使用しています。
現在、世界で最も精度が高く、信頼性が高く、更に使いやすいのはAUDIO
PRECISION社のオーディオ用の測定器です。この測定器があって、測定に
ついての高い技術と知識があれば、測定そのものは効率よく行えます。


6.最後にオーディオシステムに組み込み、試聴テストを実施致します。

当社では以上の作業を技術料¥15,000-の基本料金で行っています。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

>そして、私はバッテリーそのものについても質問しました。

当社で使用しているバッテリーについては、JEFF ROWLAND D.G.社が使用して
いたものよりも更に寿命の長い最高級品を使用しています。
(バッテリーメーカーの規格で約2倍の寿命) 
尚、バッテリーについては交換後、1年の保証も付けています。

鉛蓄電池そのものは昔からずーと使われて参りましたが、COHERENCE/2に使用
されているシール蓄電池は更に便利になるように改良されて出来上がったもの
です。バッテリーメーカーは寿命を延ばす為に努力を積み重ねて参りました。

COHERENCEが開発された当初から使用されてきたバッテリーは、トリクル期待
寿命3年でした。その後、同じバッテリーメーカーからトリクル期待寿命6年
のものが発売されました。

COHERENCEの信頼性を高め、ランニングコストを減らす為、当社ではこの新しい
長寿命タイプのバッテリーに全面的に切り換えました。バッテリーメーカーは
同じパナソニックのものを使用していますが、JEFF ROWLAND D.G.社では米国
PANASONICの物を使用し、当社では日本のPANASONICを採用しています。
更にメーカーと交渉しバッテリーに1年保証を付けることも可能になりました。

川又様もよくご存じのようにハイエンドオーディオ製品は特別なものです。
ただコストダウンを求めて、使用部品のコストを下げ、サービスのレベルを
下げ、その結果製品の性能を下げることになれば、ハイエンドオーディオ
製品の目指す方向ではありません。

我々はその性能、信頼性を高める為に、手間暇を惜しみません。製品の
性能と信頼性を高めるためには、少しコストが高くなっても納得のいく
部品を採用したいと思っています。COHERENCEはJEFF ROWLANDが創り上げ
た世界最高のプリアンプですから。

最後に当社のサービス部門はあくまでも顧客の為に存在しています。

お客様の愛用されている製品をいつまでも最高の性能で安心してお使い頂ける
よう、製品に愛情を持って、最良のサービスを提供して参りますので、今後とも
どうぞよろしくお願い申し上げます。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

いいですね〜(^^)v 私は頑固一徹じゃありませんけど、このように自社の
もしくは自分で手がけている仕事に対するプライドというか、自信のある
自己主張には大いに拍手をおくりたいと思います。(^o^)

素晴らしいものであれば末永くご愛用いただきたい。その気持ちを支える
ということは、私が販売するときにも同様な価値観としてお客様に伝えて
行きたいものでもあります。大場商事の姿勢で10ポイントゲットでしょう!!


このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。
担当川又 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556
E−mail:kawamata@dynamicaudio.jp
お店の場所はココの(5)です。お気軽に遊びに来てください!!

戻る