発行元 株式会社ダイナミックオーディオ 〒101-0021 東京都千代田区外神田3-1-18 ダイナミックオーディオ5555 TEL 03-3253-5555 / FAX 03-3253-5556 H.A.L.担当 川又利明 |
2019年3月3日 No.1530 H.A.L.'s One point impression!!-HIRO Acoustic Laboratory MODEL-C4CS Vol.2 |
遂に完成! HIRO Acoustic MODEL-C4CSの最終形態を速報!! http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1527.html 上記にて速報したHIRO Acoustic MODEL-C4CSは2019年2月25日に搬入されました。 先ずはセッティングが完了し、音出し前のH.A.L.の近影を下記にてご覧下さい。 http://www.dynamicaudio.jp/file/2019.02.26.jpg 次にワイヤリング前のリアパネルのあり様をご覧下さい。思わず芸術的と言いたく なる緻密で精巧な作りにため息が出るような美しさです!! http://www.dynamicaudio.jp/file/c4cs.01.jpg http://www.dynamicaudio.jp/file/c4cs.04.jpg 左右チャンネルの組みあがった状態をご覧下さい。 http://www.dynamicaudio.jp/file/c4cs.02.jpg http://www.dynamicaudio.jp/file/c4cs.05.jpg 下記は昨年1月に展示した試作品です。 http://www.dynamicaudio.jp/file/2018.01.14.06.jpg http://www.dynamicaudio.jp/file/2018.01.14.07.jpg そして、正面から見た状態もご覧頂ければと思います。 http://www.dynamicaudio.jp/file/c4cs.03.jpg 同様に試作品を正面から見た状態もご覧頂ければと思います。 http://www.dynamicaudio.jp/file/2018.01.14.05.jpg http://www.dynamicaudio.jp/file/2018.01.14.04.jpg このように昨年の試作品と比較して頂いたのはサイドパネルを含む構造的なことを 説明したかったからです。 先ず、このサイドパネルは厚みが30mmあり一枚のアルミニウムを削り出して仕上げ られており、重量は一枚で何と約40キロもあるという重厚なものなのです。 しかし、総重量406キロとなったMODEL-C4CSの全荷重を支えているのはサイドパネル ではありません。そのために試作品の画像をご覧頂いたというものです。 横に寝かせたウーファーエンクロージャーの最下段の底部にアルミ削り出しの ブロックが各コーナーに4個あり、それらを3本の太いステンレスバーで連結し 脚部を構成しており、その脚部が全荷重を受け止めているという構造です。 その脚部一個につき一か所、太いボルトでサイドパネルと結合させており、 同じように4台のウーファーエンクロージャーを左右からボルトで固定していますが、 そこは荷重を受けるものではなく、各エンクロージャーを定位置で固定するため だけという構造になっています。 サイドパネルのボルトヘッドは独自に開発した巧妙なアルミ製キャップにてカバーされ、 凝りに凝った加工とアルマイト処理による大変美しいサイドパネルの仕上げに一役 買っているという惚れ惚れするような素晴らしい仕上げに作者のこだわりを感じます! 上記の試作品の写真では敢て写らないようにしていますが、このサイドパネルの 替わりにぶ厚いステンレスの板が二枚ウーファーエンクロージャーの外側に取り付け られていたということなのです。 これはエンクロージャーでウーファーユニットが取り付けられていない反対側の 一面だけの固定であり、当時はあくまでも試作として音質的検証を初めて行うと いう目的のために組み立てられたものでした。詳細は下記にてご覧下さい。 H.A.L.'s Special Release - HIRO Acoustic Laboratory MODEL-C4CS http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1449.html このような構造的な違いが完成品にはあり、二枚で約80キロという強靭な外殻として、 サイドパネルを含む脚部によって音質的な完成度も高まっているということが 試聴の上で解り始めてきたという印象です。 今回のMODEL-C4CSは組み立てられてから日が浅く、まだバーンインを必要としている 状態なので、あくまでも第一印象ということになりますが、新たな発見に私は驚き 前例のない音に感動してしまいました! ただ断言できるのは試作品を軽く超えているということ。それは今後の試聴でも 聴いた曲の数だけ発見があることが予想されるので、あくまでも本日聴いた範囲 でということで述べさせて頂きます -*-*-*-*-*-*-*-*-*- H.A.L.'s One point impression!! - HIRO Acoustic Laboratory MODEL-C4CS!! http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1457.html 上記で次のように述べている一節次にを引用します。 引用開始 そこで、最近このスピーカーを試聴して頂く際に、約80秒という短い演奏にて MODEL-C4CSの最大の特徴を表現しうる選曲として次のCDを皆様に必ず聴いて頂いて いることに思い当たりました。 Handel's Messiah: A Soulful Celebration https://en.wikipedia.org/wiki/Handel%27s_Messiah:_A_Soulful_Celebration 上記のディスクの冒頭 Overture における最初の78秒間の再生音を共通課題として 皆様に聴いて頂いていますが、この短時間の再生音から発想した私の分析と評価、 そこから考察するスピーカーという道具の基本原理などを分かりやすくご説明し 話しを展開して行ければと考えました。 *中略* これを私が求める大音量で体全体で感じる低音のダイナミックな再生音を聴きながら、 今までの体験では激しくウーファーの振動板がピストンモーションしていた動きを 視認出来たものだが、MODEL-C4CSの四基のウーファーは目視できる振動をしていない! この最初の着目点が実はMODEL-C4CS開発における究極の目的だったのです! つまり、シングルウーファーのMODEL-CCSからMODEL-CCCSへの進化とまったく同様に、 ウーファーの追加は低音の増量を求めたものではなく、低域再生の低歪化という ことが最大の特徴であるということです。 では、ウーファーユニットの数が増えれば各社ともに同じ指標を実現しているのでは ないかと言うことになりますが、ここからがHIRO AcousticがHIRO Acousticたる 所以の設計方針だということになります。順序だてて説明しましょう。 先ず私たちが普通に聴いている2ウエイ以上のマルチウエイスピーカーにおいて、 高域のトゥイーターと中域のミッドレンジ・スピーカーユニットが放射する音波は 各ユニットの振動板が前方に向けて放射している音波のみです。 ただし、この中高域の二つのスピーカーユニットも振動板の後方にも前方に放射して いるのと同じ音波が発生しているわけですが、それらはほぼすべてのメーカーでは 内部の吸音材にて減衰させているのが実情です。でも正面に出た音のみを聴いている ということには変わりありません。 ただし、例外的にB&W NautilusやViVid Audioのスピーカーでは中高域ユニットの バックプレッシャー(背圧)を独自の消音機構で減衰させ、振動板への背後からの 反射波による影響から解放されるような設計のスピーカーもあります。 ここで再確認しなければならないのは、ダイナミック型スピーカーの動作原理です。 磁界の中におかれたボイスコイルに流される音楽信号という電流によって、フレミングの 左手の法則に従った運動エネルギーが発生し、それがボイスコイルに連結するダイヤ フラム(振動板)にピストンモーションをもたらし、空気に気圧変化を起こさせて 音波に変換しているということです。 この原理の解説に関して音とは何かという関連ページを下記にご紹介します。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1448.html http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1451.html http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1453.html http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1455.html さて、では低域用ウーファーにおいてはどうか、と言いますと市販スピーカーの ほぼ九割以上はバスレフ型です。このバスレフ型に関して、20年前に下記の随筆にて 私見ということで述べていることにヒントがあり、理解して頂ければと紹介しておきます。 *中略* ここで言えるのは過去の私の体験の中で、最も正確と思われる低域を聴かせてくれたのは GOLDMUNDとAVALONのトップクラスのスピーカーたちでした。しかし、今回はそれを 軽く上回る低音の質感をMODEL-C4CSはいとも簡単に再現しているのです! Handel's Messiah: A Soulful CelebrationのOvertureにおけるドラムの凄まじい 迫力とエネルギー感を、究極的と言える輪郭表現と克明な音像としての再現性は類を見ません! アタックの瞬間での超高速な立ち上がり、その後の響きの中に含まれる多彩な 音色と揺らぎ、残響が完全消滅するまでの時間軸に対する完璧なトレース能力、 一切のゆるみがない打撃音のテンションの素晴らしさ、どれを取ってみても最高です! このMODEL-C4CSの低域の素晴らしさを聴いていると、これはボイスコイルに流れる 音楽信号の通りなのだと確信が持てるようになりました。つまり、上記にて述べている 中高域スピーカーユニットが再生する音波とイコールの前面放射のみの音だと!! バスレフ型のエンクロージャー内部での変調と不要輻射を含んだ低音が、バスレフ ポートという共振周波数をもつ経路を通じて位相と時間が遅れた音波を排出してくる、 そんな低音を出すスピーカーとは歴然と違うということなのです。 言い換えましょう。ウーファーの出す音がボイスコイルに流れた音楽信号のみという 限定をすれば、バスレフポートから出てくる音波は入力信号には含まれていない音であり、 それを冷静に考えれば一種の“歪”なのではないかと考えられるのです。 もちろん、各社の努力とセンスによってバスレフ型スピーカーでも十分に音楽は 楽しめるものですが、それらの低音にはポートチューニングという各社独自の 設計によって音楽信号にはない低音が付加されているということなのです。 つまり、HIRO Acousticは低音のレスポンスを増強、拡張するための低音のリユースを 行っていない完全密閉型という方式が、中高域スピーカーと同様に入力信号のみに 正確に追随する低域再生を行っているということなのです!! お断りしておきますが、私はバスレフ型スピーカーを全否定しているものではありません。 *中略* バスレフ型スピーカーの低音は“歪”だと過激なことを述べましたが、それは 私の経験においてHIRO Acousticの試みが私が以前から求めていたにもかかわらず 実物の音としてユーザーに提示できなかった時代が終わったということでもあります。 冒頭に述べていたウーファーの低歪化、それは振動板のストロークを小さくすることで 大振幅においても破綻しない信号波形通りの忠実再生であり、次にボイスコイルに 流れる音楽信号のみに追随した低域再生という二大条件を初めてクリアーしたという ことが、今回のMODEL-C4CSを頂点とするHIRO Acousticの開発目標を裏付けたものなのです!! 引用終了 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 上記から後程述べる私の分析に関して最も重要なポイントを絞り込み転記します。 「ウーファーの出す音がボイスコイルに流れた音楽信号のみという限定をすれば、 バスレフポートから出てくる音波は入力信号には含まれていない音であり、 それを冷静に考えれば一種の“歪”なのではないかと考えられるのです。」 昨年の試作品は廣中さんもここで初めて聴くということで、私たちはMODEL-CCSや MODEL-CCCSに比較してバッフル面積が大きくなることから、エンクロージャーの 表面における一次反射音が発生し音像の形成に不利になるのではと推測していました。 しかし、実験機のMODEL-C4CSを聴いて予想していたポイントは心配するに及ばずと いうことになったものですが、今回の最終形態となるMODEL-C4CSでは更に音像の描き方が 前例のないほどに完成度を高めているということが先ず確認出来たものです! 先ず、前述のサイドパネルを含む強靭な脚部による機械的剛性の高まりが功を奏して いるということが課題曲の全てで感じ取れました。 選曲のすべてで各論を述べると時間がいくらあっても足りないものですが、 オーケストラの弦楽五部における解像度の素晴らしさ、多数のスタジオ録音で 感じられるヴォーカルの鮮明さ、リズムセクションの輪郭の精密さなど、今まで 私が聴いてきた課題曲において、これほどに音像サイズが凝縮された再生音を 聴いたことはありません! エンクロージャーの剛性は低域再生において効力を発揮するという推測は間違い ではないものの、音楽全体において分解能をここまで高めるものかと圧倒されました! そして、次に述べたいのが上記引用による低域再生の低歪化ということです。 シングルウーファー、ダブルウーファーのレベルでもHIRO Acousticが選択した 密閉型エンクロージャーの効果が素晴らしいものでしたが、それらの場合でも 低域の再現性が他社に比べていかに優れているかは認証済みのことでした。 それが片チャンネルで4基のウーファーユニットを搭載するということは、最大音量の 拡大ということではなく、普通に聴いている音量であっても圧倒的な低歪であると いうことが今日の試聴から実感されてきたのです!! 例えばオーケストラにおけるコントラバスとグランカッサなどの低音楽器にて、 音量を抑えた奏法でホール全体にゆったりと低音が広がり余韻感を残す場面。 また、ウッドベースのスリリングなピッチカートで重量感を温存し迫力を強め、 スピーカーセンターに浮かび上がる音像の見事なまでの引き締まった情景。 キックドラムのアコースティックな響き、シンセドラムのような打ち込みによる サンプリング音源によるソリッドで克明な打音のテンションの高まりを確認。 それらの最低域の音がミッドバス領域でヴォーカルに絡み、オーケストラでは チェロの低音階の音に絡み、ウーファーとミッドレンジが共同作業で作り出す 低音楽器そのものと、主旋律やヴォーカルが奏でる中低域の質感が圧倒的な 分解能を持ち得たということなのです! スピーカーというものはトゥイーターとミッドレンジの配線を外してウーファー だけを鳴らしたとしたら、低音だけと思っていたウーファーからヴォーカルや 弦楽器、ピアノも含めすべての楽器と分かり得るだけの音が聞こえてくるものです。 もちろん高域のない音ですから、くぐもった聴こえ方にはなりますが、ちゃんと 歌声でありヴァイオリンでありピアノであるということが分かるだけの音が ウーファーから聞こえてくるのが普通のことなのです。 それだけ、ウーファーというものは音楽全体の基礎となる重要なパートであり、 その歪率の低下がどんな世界を聴かせてくれるのかという観点では、まさに 前人未踏の音をMODEL-C4CSが実現したと断言できるものでしょう! つまり、低域の質的改善は音楽の全要素を革新的に改善したということです! ウーファーの数が増えたということは大音量、ダイナミックレンジの拡大という 事だけではなく、すべての楽音の根本的改善が本来の目的であったということなのです! セッティングして実質二日間で私は驚きと発見に感動し、今まで聴いてきた課題曲に 実は違う表現、未知の質感、初体験の音色があったことを確認しました! これからエージングが進行していく中で、そして更にESOTERIC Grandiosoの新製品が 組み合わされた先に、いったいどんな世界が待っているのか期待が膨らみます! 皆様が体験した事のないハイエンドオーディオの新境地がここに誕生したのです! つづく |
担当:川又利明 |
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