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H.A.L.担当 川又利明
    
2019年2月16日 No.1524
 H.A.L.'s One point impression!! - Y'Acoustic System Ta.Qu.To-Zero Vol.5

2018年9月9日 No.1491
H.A.L.に叩きつけられた挑戦状!!究極を目指したY'Acoustic Systemとは!!
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1491.html

上記から五か月が経過しスピーカーとしてのバーンインは完璧に完了し、十分な
熟成を遂げて鳴らし続けてきたTa.Qu.To-Zero。

その折々に触れてシステム構成を微妙に変更し私のインプレッションを述べてきました。

H.A.L.'s One point impression!! - Y'Acoustic System Ta.Qu.To-Zero Vol.1〜4
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1502.html
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1493.html
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1498.html
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1500.html

しかし、今回のトライアルによってTa.Qu.To-Zeroは生まれ変わったと言っても
過言ではないような変貌を遂げたのです! 先ずはそのシステム構成を下記にて!

■H.A.L.'s Sound Recipe / Y'Acoustic System Ta.Qu.To-Zero - Featuring FM Acoustics
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/H.A.L.'s_Sound_Recipe-Y'AcousticSystem-Vol4.pdf

FM Acousticsが輸入され始めたのは確か1990年代前半のことで、ハルズサークルを
創設する大分前のこと。

スタジオでのプロユースで評価を高め先ずプロ機として輸入開始されたのがFM800と
いうパワーアンプでした。それを家庭用としてリファインして発売されたのがFM810
だったと思いますが、輸入開始当初に試聴して私は大変感動し当時何セットも
販売した思い出があります。

それから年月が経ち、当フロアーでFM Acousticsを鳴らしたのはいつ頃だったかと調べてみると…

2006年9月4日 No.444 「小編『音の細道』特別寄稿 *第54弾*」
H.A.L.'s Short Essay「詳細分析試聴!! FM ACOUSTICSの魅力と個性を検証する!!」
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/444.html

FM Acousticsのパワーアンプ三機種を集中して試聴したのは13年前ということで、
以来進化を遂げ同時にお値段も大変高価になり現在に至っていました。

ビジネス上の紆余曲折は色々とありましたが、結果的には下記のように。

2018年6月17日 No.1477
えっ! 知らなかった! ダイナミックオーディオでFM Acoustics取り扱い再開!?
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1477.html

では、私もFM Acousticsがどれほど進化したのか試してみなくては、ということで
FM711MKIIIとFM255MKII-Rを久しぶりに当フロアーにお招きしたという次第。

最近は色々と取り込んでいて搬入されてから私が連休だったこともあり、やっと
昨日セッティングが出来ました。1,082万円のパワーアンプですが、私一人で
持ち上げてセット出来ました。何と重量たったの25キロなのですから扱いやすい。

電源投入後三時間ほどウォームアップして第一声を聴き始めたのですが、私の
レベルで感動したのかというと…、その時はそうでもなく、焦ることはないから
一晩エンハンサーCDでバーンインしてから本格的に聴こうという事にしました。

FM Acousticsの弁護というか誤解があるといけないので一言、あくまでも私の
独断と偏見による音質判定なので一般論として初日の音質が悪いということでは
ありません。私の感動するレベルという大前提あっての厳しい評価とお考え下さい。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

さて、一晩明けた翌日に試聴室に入ると既にアンプの放熱で室温は24℃でした。
毎朝の日課となっている加湿器の給水と多数のe-mailに返信し、早めの昼食を
済ませて昼過ぎから試聴室に入りました。

この時まで、まったく期待していなかった(失礼!)

まず最初に聴かなければ先に進まないという定番の課題曲をかけたのです。

■マーラー交響曲第一番「巨人」第二楽章 小澤征爾/ボストン交響楽団

この半年間Ta.Qu.To-Zeroで何回聴いたか分からない程の選曲ですが、若い人の
言葉で言うと“ぶっ飛びました!!”という弦楽五部の合奏だったのです!

その弦楽器の質感たるや今までのTa.Qu.To-Zeroでは一度も聴いたことのない美しさ!

これまでにもVolt VM752というソフトドームスコーカーとaccuton BD30-6-458と
いう30mmダイヤモンドトゥイーターのコンビネーションで描かれる美点を何回も
述べてきましたが、それらをいったん全て白紙化して再評価しなければならない!

とにかく、ここまで瑞々しい弦楽器の艶やかな質感をTa.Qu.To-Zeroが発するなど
今まで知らなかったことに驚きと少しの後悔で胸がいっぱいになってしまいました。

スピーカーユニットの選択において、設計者の吉崎さんの真意を今日になって
思い知ることになったのですが、生みの親の吉崎さんもまだ聴いていない音なのです。

よく水を得た魚のごとくという喩えがありましたが、今日初めて聴いたオーケストラの
素晴らしい情報量と質感は正にTa.Qu.To-Zeroの新境地を開拓したと言えるものです。

というか、こんな潜在能力と魅力があったという事を現時点で発見できたことは
大変に幸運であり、これからの将来性に更に大きな期待が出来るというものでしょう。

滑らかに進行する弦楽器の合奏には品位が溢れ、しなやかに展開する各パートの
アルコには奏者一人ずつの音色の違いが集団として多数の色彩を響きに含ませ、
芳醇な響きが余韻のグラデーションを空間に拡散していく情報量の素晴らしさに
うっとりと聴き入ってしまう。同じスピーカーがこうも化けるのかと圧倒された!

弦楽器の質感で述べてはいても、オーケストラにおける管楽器も全く同様な変化があり、
木管楽器の定位感はきっちり観察できて余韻が立ち昇るステージまでの遠近感に
ドキリとするリアルさに戸惑う。

金管楽器の響き、いいですね〜。右奥からのトランペットの音色が光沢を放ち、
それでいて眩しくない。のびのびと空間に広がっていく残響の透明感たるや
Ta.Qu.To-Zeroのミッドハイレンジドライバーの連携を音質で見事に証明する一幕がある!

オーケストラであまりの変貌に驚きつつ、何がどう以前と変わったかを記憶と照合し
次々に課題曲を聴き続けてしまったのです。でも、次に聴いたヴァイオリンはショックでした。

ARTHUR GRUMIAUX / アルテュール・グリュミオー J.S.バッハ:ヴァイオリン協奏曲(全3曲)
https://www.universal-music.co.jp/arthur-grumiaux/products/uccd-9832/

このCDは下記のLPレコードを私が長年聴いていたことから買い求めたと以前に
述べたことがありました。

アルテュール・グリュミオー - グリュミオーのバッハ/ヴァイオリン協奏曲全曲 - 25PC-53
https://www.snowrecords.jp/?pid=90421082

私はアナログの魅力をデジタルよりも全項目において肯定しているわけではなく、
むしろ両方式を比較し優劣を議論することに意味はないと考えているものです。

しかし、何が驚いたかといっても、今日CDで聴いたグリュミオーのヴァイオリンが
アナログかデジタルかなんて無関係に過去の記憶のどれよりも素晴らしかったからです!

気品のあるまろやかさと言いましょうか、演奏者によってヴァイオリンの音色が
こう変わるんだという未知の美しさに翻弄される思いで聴き続けてしまいました。

H.A.L.'s One point impression!! - Y'Acoustic System Ta.Qu.To-Zero Vol.3
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1500.html

私は上記のインプレッションでシェリル・ベンティーン(Cheryl Bentyne)
「THE COLE PORTER SONGBOOK」を紹介していますが、これを聴いてまた絶句です!
http://www.kingrecords.co.jp/cs/g/gKICJ-567/

9.You'd Be So Nice To Come Home To と11.Begin the Beguineの二曲を聴き、
特にドラム伴奏だけという後者の音には正に驚愕の一言でした。

Ta.Qu.To-ZeroのAudioTechnology Flexunits 12というウーファーを強固な密閉型
エンクロージャーに納め、その結果究極的なノイズフロアー達成と以前から述べて
きたわけですが、この時のドラムの質感がその変化を雄弁に語っていたのです!

とにかく低域の制動力が素晴らしので、ドラムのインパクトの瞬間に聴こえた音が
実は数ミリ秒後に発生した音波と重なっていたということが分かってしまうほど。

打音のテンションが見事に引き締まり、しかしドライに乾いた低音というものではなく、
深々とした重量感をはらみながら空気にドシッ!と気持ちいい威圧感として瞬間的な
圧力を肌に感じる快感は以前にはなかったもの。これは凄いです! 自然なドラムです!

ヴォーカルに関しては上記のオーケストラでの印象を移行してイメージして頂ければ
良いと思います。こんなヴォーカルTa.Qu.To-Zeroが聴かせてくれるなんて!

実は、今日は四時間以上も聴き続けてしまい、日頃の課題曲はもちろんのこと
純粋に楽しむだけという選曲でも新たな変化という発見が多数あり、曲の数だけ
インプレッションを語るには時間が無くなってしまいました。

今回は正にワンポイントという程度にしか述べることが出来ませんが、この音は
是非皆様にも聴いて頂きたく思います!

近い将来にEnjoy H.A.L.2019 Vol.2を企画したいと思いますので是非ご期待下さい!
もちろん個別試聴は随時歓迎致しますので、ご予約の上でお越し下さい。

■試聴予約などをgoogleカレンダーにて公開中です。
  https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/

川又利明
担当:川又利明
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