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H.A.L.担当 川又利明
    
2018年6月3日 No.1474
 H.A.L.'s One point impression!! - Sonusfaber New Aida !!

2017年11月にSonus faberより発せられたプレスリリースよりテキストのみ抜粋

■The New Aida is Coming

Debuting at the Warsaw Audio Video Show 2017 The new Sonus faber Aida
will premiere at the Warsaw Audio Video Show in Poland on November 17 - 19, 2017.

The new Aida will be available for sales in Europe starting in December 2017

For more information,
click below for the data sheet or contact your Sonus faber representative.

このようにヨーロッパで先行発売されたNew Aidaは同社webサイトでも公開済み。

https://www.sonusfaber.com/en/products/aida/
https://www.sonusfaber.com/prodotti/aida/

そして、日本では6月4日発売のステレオサウンド No.207にて初公開される予定。
初代Aidaに関する私のリリースを振り返ってみると…。

2012年2月7日
No.899 「H.A.L.'s One point impression!!-Sonus faber“Aida”- Vol.1」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/899.html

2012年2月27日
No.903 「H.A.L.'s One point impression!!-Sonus faber“Aida”- Vol.2」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/903.html

2012年3月2日 関連記事として
No.906 「Sonusfaberとのお付き合いと近況報告!!」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/906.html

その初代Aidaを日本で初めて導入されたのが東京都港区M.S 様こと関 守 様でした。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_visi0032.html

2012年4月2日に国内初納品にてセッティングされた状況は下記にて。
http://www.dynamicaudio.jp/file/Mr.Seki2013032209.jpg

現在はシステム構成が大きく変化しており、下記のオーディオ年表をご覧下さい。
http://www.dynamicaudio.jp/file/100306/sys-review.pdf

そして、一般公開に先駆けてNew AidaはH.A.L.に数日間やって来たのです!
http://www.dynamicaudio.jp/file/2018.05.25.01.jpg
http://www.dynamicaudio.jp/file/2018.05.25.02.jpg

■株式会社ノアによる日本語公式ファイルをハルズサークルに先行初公開!!
 日本国内では正式製品名をAida IIとして取り扱いますので以後Aida IIと表記。
 http://www.dynamicaudio.jp/file/20180530-AidaII.pdf


           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

ここで結論を先に述べておきます!!

No.1160 2014年10月25日
「音楽を裸にするスピーカー登場!!その名はHIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCS!!」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1160.html

この四年間というもの、私のリファレンスとして最も高く評価してきたHIRO Acousticに
対して、私はSonusfaber New Aidaに次のようなイメージをかかげることにしました!

「音楽に羽衣(Robe of feathers)をまとわせるスピーカー登場!!Sonusfaber Aida II!!」

羽衣を英訳すると私のイメージにぴったりだったのです。音楽を裸にするという
表現は録音されている音楽に対する究極のリアリティーとして、スピーカーの個性と
いう必要悪でもある、多数の演出的な特徴ある再生音を否定するという発想でした。

しかし、Aida IIは録音情報の正確さという大原則を維持しつつ、羽衣の意味する
「天女が着て空中を自由に飛行するといわれる衣」というイメージ、Robe of feathersという
音楽を包み込むような美しくも幻想的で透き通るような衣装を音楽にまとわせたのです!!

国内初の店頭におけるAida IIの実演システムとして私は下記を選択しました。
電源ケーブルは全てTransparentのXLPC、ラックはARTESANIA AUDIOに収納しています。

このシステム構成は奇しくも上記の関 守 様の現在のシステム構成と同様となりました。

dCS Vivaldi Transport    税別¥5,230,000
dCS Vivaldi DAC       税別¥4,270,000
dCS Vivaldi Clock      税別¥2,120,000
http://www.taiyo-international.com/products/dcs/index.html

Burmester Power Amp 911MK3   税別¥6,600,000 バイアンプ仕様 2台
Burmester Pre Amp  077+PSU  税別¥6,000,000
http://www.noahcorporation.com/burmester/index.html

私が第一声を聴いて微調整。リアスピーカーの下にある各種ダイヤルではフロント
トゥイーターのレベルは三段階のうち最小、サブウーファーのレベルは三段階のMAX、
DEPTHと表記されたリアスピーカーのレベルはゼロから四段階のうちでレベル4の
最大としてチューニングしました。(公式ファイル5P参照)

最初から惚れ惚れするような音なのですが、エンハンサーCD-ROMを約40時間ほど
リピートさせると激変しました!! 初日の音はいったい何だったのか!?

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

前述の関様は私にとってクラシック音楽の師匠であり、年間に数十回のコンサートに
行かれ、保有するディスクのコレクションも膨大なもので色々とお教え頂いています。

その関様が時折ダブって買ってしまったCDを私にプレゼントして下さるのですが、
その演奏と録音は当然素晴らしいものばかり。つい先日、頂戴したのがこれでした。

マーラー:交響曲第五番 嬰ハ短調/アーティスト:フランソワ=グザヴィエ・ロト
レーベル:HARMONIAMUNDI
http://www.kinginternational.co.jp/classics/hmm-905285/

関様はレコード芸術を1962年から講読されている愛読者であられるのですが、その評価も下記にて。
https://www.ongakunotomo.co.jp/m_square/readers_choice_total/index.html

その第一位となったチャイコフスキー:交響曲第6番《悲愴》〈録音:2016年2月〉
テオドール・クルレンツィス指揮ムジカエテルナも、最近では関様の推薦の一枚と
いうことでお教え頂きまして当フロアーでもコレクションに追加してあります。

マーラーと言えば、私は交響曲第一番「巨人」第二楽章 小澤征爾/ボストン交響楽団を
新製品の試聴では最初に聴くもので、もちろんこの演奏も過去にない美しさでしたが…。

交響曲第五番の第一楽章の冒頭はご存知のファンファーレから始まりますが、
右手方向の奥深くから発するトランペットは遠近感を適切に含み響きの奥行き感が凄い!

それに続く強奏部がダイナミックに炸裂し、低音階の金管楽器の響きがホールに
満ち溢れると重々しい葬送行進曲が始まる。もう、この時点で私は虜になってしまった!

その第一楽章の素材を散りばめられた第二楽章で弦楽器の美しさにため息をつき、
第三楽章で6分過ぎから展開するピッチカートと木管の駆け引きにうっとりし、
ハープと弦楽器のみで演奏される第四楽章のアダーシェットで痺れるような恍惚感を味わい、
対位旋律が組み合わされて次第に華々しくフーガ的に展開する第五楽章では長大な
クレッシェンドにときめきが高まり、何と! 全楽章を聴き通してしまいました!!

緻密でありながら流麗なさわやかさと解像度を兼ね備えた弦楽器の質感は前代未聞!!

しっとりとしながらも芯のある弦楽五部の各パートの美しさは筆舌に尽くしがたい
魅力となっており、その質感を保証するような余韻感が聴き手の眼前にステージの
臨場感を極めて自然に醸し出す妙技にAidaのネーミングが実感となって定着する!

私はこれまでにも何度となく上記のマーラー交響曲第一番の第二楽章を試聴して、
その際の弦楽器の美しさを様々な表現にて述べてきたものでした。

新製品で聴くこの曲で、その度に感動し、その時代における新鮮さを何度も繰り返し
味わってきたものでした。ところが、Aida IIで聴くオーケストラ、特に弦楽器の
質感に関して私は以前にない特徴を感じ取り、これをどのように表現したものか
悩んでいたのですが…。

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

■玉虫色に関してwikipediaより引用

玉虫(ヤマトタマムシ)の翅は、一見したところ緑色に見えるが光を当てる角度に
よって色彩が変化する。これは、タマムシの翅がもつ本来の色素の色が変化して
いるのではなくて、特定の波長の光同士が互いに強まったり、弱まったりすることで
目に見える色が変化したものである(このような発色は構造色と呼ばれる)。
したがって、玉虫色は赤や青のように特定の色彩をさすものではなくて、刻々と
変化していく色調をすべて含んだ色でなくてはならない。

「構造色」に関して同様な引用

構造色(こうぞうしょく、英語: structural color)は、光の波長あるいは
それ以下の微細構造による発色現象を指す。身近な構造色にはコンパクトディスクや
シャボン玉などが挙げられる。コンパクトディスクやシャボンには、それ自身に
は色がついていないが、その微細な構造によって光が干渉するため、色づいて見える。
構造色の特徴として、見る角度に応じて、様々な色彩が見られることが挙げられる。

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

数日間色々と考え悩んだ挙句に私が思いついたのが上記の「玉虫色」という喩えでした。
今までの経験から優秀なスピーカーで聴く弦楽器の美しさは正にこれだろうと思います。

私が美しさを感じない弦楽器の質感は例えればメスのカブトムシを眺めたイメージでしょうか。

どの角度から見てもうごめくカブトムシは黒一色です。オーケストラの弦楽器群が奏でる
旋律がどうであろうと音質が一本調子のままと言うか、弦楽五部の各パートはあたかも
五人の奏者が演奏しているような感じで集団ではなく一人で一色という印象なのです。

ところが! Aida IIで聴く弦楽器は各パートごとに玉虫色の色彩変化があるのです!

流れる旋律の進行に従って、多数の色彩が構造色のように変化し楽音の音色が、
弦楽五部の各パートにおける集団音像として内部に複数の色合いを醸し出すのです!

正に玉虫色の弦楽器は見る角度によってさまざまな色彩が見られるのですが、
見る角度とは旋律の進行に例えられるし、更に光の当たり具合による変化とは
Aida IIでも採用されているリアパネルのサウンドシェイパーシステムによる
アンビエンス成分と例えられるでしょう。

新開発されたトゥイーターH28XTR-04とミッドレンジM18XTR-04というコンビネーション、
そしてW22XTR-12というフロントウーファーによる高性能ドライバーユニットが
実現した解像度の素晴らしさを、弦楽器という対象で評価すると正に玉虫の翅(はね)

演奏者の一人一人が微妙に異なる音色を持っているということが、その解像度の
素晴らしさによって浮き彫りになり、その集合体として旋律の内部に虹色の色彩を
克明に描き出す妙技に感動せずにはいられないのです!!

さあ、ここで私が前述した羽衣(Robe of feathers)が生きてくるのです!!

Aida IIが聴かせるオーケストラ、特に弦楽器の質感に関しては玉虫色の羽衣を
演奏者全員がまとったように、彼らの発する響きのオーラが七色の色彩を透き通る
翅のような艶やかに光り輝く響きの虹のごとく空間を満たしていく素晴らしさなのです!!

そして、躍動感ある管楽器が随所に響きの連鎖とホール空間の壮大さを容易に
イメージさせるAida IIの空間再現能力は、その響きの終焉までを克明に描くことで
小音量でもスケール感を発揮することが大いに予想される。これは素晴らしいです!!

感動的な演奏が多数あり、それらすべてにおいて印象を述べることは困難ですが、
交響曲を丸ごと一曲聴き通してしまう、いや、途中でやめられなくなってしまう
魅力というものがAida IIにあるとしたら誇大表現でしょうすか?

2017年5月27日 No.1396
H.A.L.'s One point impression!! - Sonusfaber AMATI Tradition!!
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1396.html

そして、更にAida IIにはスタジオ録音の楽曲に対しても、上記で述べている
Traditionシリーズにおける新機軸が特徴として備わっているとしたらどうでしょう?

ここで前作のAidaとAida IIにおける注目すべきポイントを先に述べておきたい。
両社ともにサイズと重量は同じ。しかし、内部構造は公式ファイルにもあるように
大きく変更されている。

ステルス・ウルトラフレックスと称するバスレフ方式の進化による再生周波数帯域の
下限は前作の20Hzから18Hzとスペック的には僅かに低域の再生限界が押し下げられた。
このポートチューニングの変更も両者のリア部の写真にて比較できる。もうひとつ!

前作のAidaのクロスオーバ周波数 55Hz/180Hz/250Hz/3000Hz

Aida IIのクロスオーバ周波数   55Hz/150Hz/200Hz/3000Hz

先ず、ミッドレンジの再生帯域が50Hz程低域に向けて拡大されているが、この辺は
前述の弦楽器を事例に上げた帯域の再現性に関与しており、新開発ユニットによる
貢献度が実感されたものです。

そして、フロントウーファーのクロスオーバー周波数が150Hzに引き下げられており、
それとエンクロージャー内部の設計変更が、スタジオ録音の低域の再現性を驚くほど
向上させていたというこが次の課題曲で確認されたのです!!

■DIANA KRALL「LOVE SCENES」11.My Love Is
http://www.universal-music.co.jp/diana-krall/products/uccv-9378/

DIANA KRALLのパルシブなフィンガースナップが印象的な曲。Christian McBrideの
ウッドペースは力強いピッチカートで弾け、ぐっと重量感を伴い沈み込んでいく
ベースが実に鮮明な輪郭を描きながら冒頭から展開する。問題はベースの音像のサイズだ。

スピーカーによってはベースの音像が床に向かって垂れ下がり膨らんでしまうのだが、
Aida IIはこともなげにスピーカーのセンターにぽっかりと引き締まった音像を浮かべる!

このサイズのスピーカーにして、重量感をしっかりと再現しながら実にタイトな
低域の再現性が物凄い!!

フィンガースナップとヴォーカルの音場感は言うまでもなく広大な広がりを見せるが、
私の着目点はどうしてもベースの凝縮された音像に引き付けられてしまった!!

小編成でシンプルな録音で確認した低域を更に雄大な課題曲で聴きたくなる。

■FIFTY SHADES OF GREY ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK
  3.THE WEEKEND / EARNED IT(TRADUCIDA EN ESPANOL)
http://www.universal-music.co.jp/p/UICU-1262

これを私がいつも聴いている音量でスタートさせた。これがまた物凄いことに!!
スピーカーによっては低域の音像が垂れ下がってしまうという比喩をしたが、
Aida IIが発する低音は飛んで行ってしまいました!!

重たいはずの低音が飛んでいく!? これは質感が軽いということではないのです。

この曲の冒頭から炸裂するダイナミックな低音の残響は重力にあらがって着地を拒み、
サウンドシェイパーシステムのリアスピーカーの効果もあってか、ずっしりとした
重低音が含む倍音をきっちりと捉えながら雄大な響きの空間を造形する迫力の素晴らしさ!!

この低域の大いなる空間表現はどうしてなのか!?

大口径ウーファーとバスレフポートという共振管によって吐き出される低音には
音源位置、もしくは低音が聞こえてくるだろう方向感覚というか、そこから低音が
出ているんだ! と指さすことができるようなスピーカーが時折見受けられる。

そのような傾向があるスピーカーでは、発せられたウーファーの振動板そのものの
ストロークから発せられた低音と、バスレフポートで作られた共振周波数で独特の
低音が合成されたものであり、低音楽器の中心となる帯域でボリューム感の増加と
いう演出を加え、惜しいことに音楽信号の低音が鳴り終わった後にもスピーカーが
個性として付け加えた低域の残存物をたれ流してしまうからだ。

その低音の残存物があるがために、スピーカーから床にこぼれ落ちた低音が数舜の間、
空間に残ってしまうために音像の輪郭をぼやかしてしまい、質感を混濁させ膨張した
低音楽器の音色を軽くし薄めてしまう可能性がある。しかし!!

ステルス・ウルトラフレックスと強化されたドライバーユニット、更に55Hz以下を
専門に動作するインフラウーファーという連携がもたらした効果は絶大であり、
口径だけが大きく幼稚なポートチューニングのバスレフスピーカーとは違い、
Aida IIには上記に述べた低域の質的変化が全くないのです!!

再生限界を更に低く拡張し、重厚な低域の濃密な質感をしっかり捉え、何よりも
バスレフポートの共振周波数による弊害を排除したが故の正確であり高速反応を
示す低域は余分な残響の尻尾を再生音に付け加えることがない!!

結果的に低音楽器の輪郭は中高域の楽音と同様にくっきりと輪郭を保ち、あるべき
空間に見事な定位で姿を現し、叩き出され弾かれた低音楽器に余分な膨らみと不要な
残響をもたらさないという、外観の優雅さに見合わないくらいの近代化を実現した!!

引きずらない低音、はみ出した低音を残さない制御された低音の終端部、それが
あるがゆえにどっしりした低音も、きれいな余韻を残して空間に飛んでいくのです!

上記の引用にて以前に私が述べたAMATI Traditionに150点を付けたという採点基準で
Aida IIを200点としたら持ち上げ過ぎだろうか? いや、価格的な違いを考えれば
300点くらいにしないといけないだろうか…。ここで私は更にひらめいたのです!

天女が宙を舞うための羽衣を、Aida IIは低域再生にもまとわせたのです!!

Aida IIで聴く曲数が増えれば増える程、その魅力が発揮された感動が伴うので、
私の印象と評価を聴いた曲数すべてで述べることは大変なことです。

これからの取り組みで更なる可能性も見えてくることでしょうが、Aida IIの登場を
先ずは称賛の言葉で皆様に紹介したく、取り急ぎの記事として第一報をお送りしました!!
続報にご期待下さい!!

★上記システムは6月10日まで試聴可能。下記カレンダーにて確認の上ご来店下さい!!
  http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/

川又利明
担当:川又利明
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
kawamata@dynamicaudio.jp

お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!


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