発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
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H.A.L.担当 川又利明
    
2016年11月24日 No.1349
 H.A.L.'s One point impression!! - Kiso Acoustic HB-G1 Vol.4

H.A.L.'s One point impression!! - Kiso Acoustic HB-G1
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1344.html

H.A.L.'s One point impression!! - Kiso Acoustic HB-G1 Vol.2
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1347.html

H.A.L.'s One point impression!! - Kiso Acoustic HB-G1 Vol.3
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1348.html

■Made in Japan の誇り
http://www.dynamicaudio.jp/5555/POP/7Fnow.html

上記のように二文字違いのブランドになる日本製ハイエンドスピーカーと何を
組み合わせるのか、楽しみつつ悩ましい選択がまだまだ続くことでしょう。

そして、日本製スピーカーと言いつつも私の判断から今まではデンマーク製である
Vitus Audioの二種類のアンプでHB-G1を鳴らしてきました。このアンプの音質が
大変見事なマッチングであったことは既報の通りです。

さて、最近のメディアでは毎日のように語られるTPP(環太平洋戦略的経済連携協定
 Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)ですが、諸外国から
日本にオーディオ製品を輸入する場合、関税はゼロだということを知っている人は
意外に少ないかもしれません。

しかし、日本のメーカーが輸出したオーディオ製品に対して関税をかけている国は
多いようです。そして、日本人が日本製を買い求め使用するということは経済性に
おいても合理的であり、海外ブランドに依存しない音質が実現できたとしたら大変
素晴らしいことではないかと思います。

そんな思いと可能性を追求して、音質も最終調整され完成したばかりの量産モデルを
期間限定にて当フロアーにて試聴出来るという好機を頂き取り組んだのが下記システム!!

コンパクトと言えば言えなくはありませんが、こんなセッティングとなりました。
http://www.dynamicaudio.jp/file/2016.11.22.jpg
右下段は前回ご紹介したVitus Audio SIA-025です。

本当に毎日聴き続けているHB-G1ですが、今回鳴らすアンプは更に低価格のものを
選択し、更に同ブランドのソースコンポーネントで音のベクトルを揃えました!!

◇ H.A.L.'s Sound Recipe / Kiso Acoustic HB-G1-inspection system  Vol.4 ◇

………………………………………………………………………………
ESOTERIC G-01 (税別¥1,350,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/g01/index.html
     and
TRANSPARENT XLPC+PI8 (税別¥770,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/transparent/power-code/power-cord-2/
     and
finite element MR02-2+CERABASE 4P (税別¥970,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/finite-elemente/finite-elemente/
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC Grandioso K1(税別¥2,000,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/k1/index.html
          and
TRANSPARENT XLPC+PI8 (税別¥770,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/transparent/power-code/power-cord-2/
     and
finite element MR02-2+CERABASE 4P (税別¥970,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/finite-elemente/finite-elemente/
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

ES-LINK Analogにて伝送
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/f1/index.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC Grandioso F1(税別¥2,000,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/f1/index.html
     and
TRANSPARENT XLPC+PI8 (税別¥770,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/transparent/power-code/power-cord-2/
     and
finite element MR02-2+CERABASE 4P (税別¥970,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/finite-elemente/finite-elemente/
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

Vitus Audio-Andromeda Speaker cable 3.0m(税別¥2,120,000.)
http://www.cs-field.co.jp/brand/vitus/products/andromeda.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
Kiso Acoustic HB-G1(税別¥4,500,000.)
http://www.kisoacoustic.co.jp/
     and
H.A.L.'s  Z-Board×2(1枚/税別・配送費込み¥60,000.)スピーカー本体用
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/BZ-bord.html
     and
H.A.L.'s  P-Board×2(1枚/税別・配送費込み¥65,000.)クロスオーバーネット用
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/BZ-bord.html
………………………………………………………………………………

ESOTERICが満を持して発表したコンパクトGrandiosoラインアップのシステム構成です。
これを入念にバーンインして試聴を開始しましたが、その音質評価に至るまでには
Grandioso K1とF1の設定において私なりのこだわりがありました。

本格的に試聴する前に設定すべき項目が複数ありますが、そのための課題曲として
ここでも大貫妙子のATTRACTION収録の「四季」の冒頭部を繰り返し20回以上
聴きながらチューニングすることから始めたのです。
http://www.universal-music.co.jp/onuki-taeko/products/upcy-7103/
http://onukitaeko.jp/info/top.html

ここでは展示しているコンポーネントにディスプレーがある場合には、演奏中は
ほぼすべてを消灯させて聴くことにしています。まず最初はこれです!

Grandiosoシリーズでは有機ELディスプレイを採用していますが、FL管やLEDも含めて
それらを点灯させる際には「ダイナミック点灯」と「スタティック点灯」という
二つの方式があります。

ダイナミック点灯方式とは、点灯している発光素子を一定周波数で高速に点滅させる
点灯方法です。このメリットは消費電力を抑え、発光素子の寿命が長くなることです。

また、点滅する周波数を変化させて発光時間の長さが変えることで明るさを制御・
調節できる点もメリットです。パルス点灯、またはデューティ点灯と呼ぶ場合もあります。

しかし、発振器を使っての駆動回路が必要になり仕組みが複雑になることと、
余分な発振器を動作させるために音質的には検討の余地があると考えられます。

高い周波数で点滅する間隔を短くすれば、人間の目で見た場合に残像現象によって
常時点灯しているように見えます。しかし、おおよそ50Hz以下の周波数、つまり
1秒間に50回以下の点滅になると、人の目で蛍光灯のようなチラツキが認識される
ようになります。

40Hz程度まで周波数を下げると、点滅しているのがハッキリと確認でき、場合に
よって体調不良などを引き起こす原因になると言われています。

一方のスタティック点灯方式は、LEDに常時電流を流し続けるという点灯方式です。
DC点灯方式とも呼ばれます。常に一定の電流が流れているため、本来はチラツキ
が発生しないはずですが、発光素子に供給される電流が安定していなければチラツキが
発生する場合もあり、安定して点灯させるために定電流回路を組み込む必要があります。

スタティック点灯方式はダイナミック点灯方式と比較すると、消費電力は大きくなり、
発光素子の寿命も電流が常に流れるため短くなる傾向にあります。

ESOTERICは以前からスタティック点灯方式を採用し、音質優先の設計をしてきました。
しかし、私はそれでも違いがあるとこだわっているのです。完全消灯のオフがいいです!!

大貫妙子「四季」の冒頭部でギターとウッドベース、そして見事に輝く鮮やかな
音色の鐘、そして素晴らしい音場感のリヴァーヴに彩られたヴォーカルを聴きながら、
Grandioso K1とF1のディスプレーをオフにすると各パートの音像が鮮明になり、
余韻感が更に伸びることを確認できるのです。これで聴かなければダメでしょう!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

次はGrandioso K1におけるアップコンバートの設定です。下記の22Pに説明があります。
http://teac-global.com/download/esoteric/manual/K1_OM_J_vA3.pdf

同じ曲を繰り返し聴きながら、ORG / 2Fs / 4Fs / 8Fs / DSDの五段階を比較しました。

先ずはORGのままでも十分な品位があることが確認出来るのですが、この特徴としては
冒頭部のギターとウッドベースの厚みと力感、テンションに若干の緊張感があると
いうことが他のモードと比較することで分かってくるのです。

2Fsから4Fsへと切り替えていくとギターの響きと余韻感のグラデーションが豊かになり、
同時に私はキーン!と透き通るような音色の鐘の質感が次第に滑らかになっていくことに
気が付き、これまでのESOTERIC製ソースコンポーネントでの経験と同様な情報量の増加が
あることを確認しました。

そして、8Fsにするとギターとベースの音像周辺に響きのオーラが発生し、鐘の音は
どこまでも高い透明度と響きの長さ、余韻の美しさを伴い最高潮に達します。

同時に色々な曲を聴いて打楽器の迫力、重量感、切れ味というリズム楽器の欲しい
要素がPCM方式の方が好ましく聴けるので、過去のESOTERIC製プレーヤーで私が
意図的に8Fsにて使用してきたものでした。ところが今回は…。

ここでHB-G1というスピーカーの個性と魅力にマッチさせるということでは、
結論として私はDSDへのアップコンバートを採用することにしたのです。

その決め手は上記の鐘の音とヴォーカルの質感でした。HB-G1は再三述べているように
響きを作るスピーカーなのですが、ギターやベースなどは創生された響きによって
独特の潤いを持つことになり、その余韻感も含めて段階ごとに解像度も高まってきました。

しかし、トゥイーターが本領発揮する鐘の打音、これがDSDで最高に美しく聴こえました。
その高域成分と関連が深いヴォーカルに関してもDSDが一番滑らかに再現され、
艶やかな歌声という魅力がHB-G1でより発揮されたのです。

上記の伴奏弦楽器に関しても解像度に加えて滑らかさが響きに加わることで、
スピーカーの特長を生かす方向性があるということを確認しました。
これでいきましょう!!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

そして、最後の設定がESOTERIC初の高音質な電流伝送「ES-LINK Analog」です。
http://teac-global.com/download/esoteric/manual/K1_OM_J_vA3.pdf

Grandioso K1の出力端子は同じですが、上記説明書の26Pに解説があります。
Grandioso F1では通常のXLR入力とは別にESLA入力端子があり接続変更が必要です。

このようにK1の出力とF1の入力切替えを行い、同じ曲を三回ずつ繰り返し比較しました。
これは文句なしにES-LINK Analogに軍配が上がりました。

ギターの弦一本ずつが見えるような分解能、ベースの音像が集約されてくる見事さ、
キイーーーン!と残響が更に美しく伸びる鐘の音、キュートにマウスサイズが
引き締まったヴォーカルの音像が変化し、各々のパートが発生した余韻感が実に
心地よく展開する素晴らしさ。ES-LINK Analogいいじゃありませんか!!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

以上の三項目に関するこだわりの設定を確認し約50時間に及ぶバーンインを行い、
限られた時間ですがシンプルGrandiosoシステムで本格的に試聴開始しました。

先ずは、HB-G1の試聴で欠かすことの出来ないオーケストラからはじめました。
無信号時の消費電力が175Wで固定バイアス純A級動作で定格出力30W/8Ωという
Grandioso F1が迫力の演奏をどう鳴らしてくれるのか!?この選曲からです!

■和田 薫/伊福部 昭/外山 雄三:日本の管弦楽(マルメ響/広上 淳一)
http://ml.naxos.jp/album/BIS-CD-490

伊福部 昭 - 交響譚詩 Ballata Sinfonica
 I. Prima ballata: Allegro capriccioso

ここ最近は課題曲として定着した選曲ですが、Grandioso K1とF1の各種設定で
音質変化を探り、これで行こうと納得するまで敢て聴かなかったこの曲。
切れ味のいい冒頭の主題から想像もしていなかった展開に…!?

「なんだ! このスピード感と透明感は! HB-G1がこんな音で鳴るのか!!」

正直に言ってGrandioso K1とF1で聴くBallata Sinfonicaには驚いてしまいました!!
こんな音は初めてです!!

Grandioso F1の定格出力は8Ωで30W、4Ωでは60Wということで決して大出力とは言い難い。
しかし、この時に溢れ出てきた躍動感、エネルギー感、そして楽音に対する制動感は
200Wクラスのアンプに引けを取らない素晴らしさ!!

そして、印象的なのは楽音の質感の提示の仕方がオーケストラの各パートすべてに
おいて極めて凝縮された音像表現であるという事。同時に低域のグリップ感が
インテグレーテッドアンプとは思えないほど素晴らしく、上級機Grandioso M1の
再現性を彷彿とさせる低域のハイテンションな質感をベースシステムにもたらして
いるということなのです!!

アンプでは出力対歪率を測定したグラフでディストーションカーブが得られる。
縦軸に歪率、横軸に出力をとったグラフで、定格出力をオーバーしてもアンプは
歪率を高めながらも定格の数倍の瞬間的な出力を発生させることが可能です。

そのディストーションカーブは真空管式のアンプでは定格出力を超えても歪率は
緩やかに上昇するが、ソリッドステートアンプでは定格以上では急峻に高まります。

Grandioso F1では歪率10%の出力レベルが4Ωで約95W(実用最大出力)の音楽信号を
出力することが可能ということですが、聴感上のダイナミックレンジの上限は更に
大きな出力を瞬間的に出しているのではと思う程に雄大で高速反応する音質なのです。

出力はW(ワット)で電力換算して表現されますが、私の経験からもウーファーの
駆動には出力電流のゆとりが重要なポイントであると思います。

この曲のようにオーケストラ全体の強烈なフォルテが繰り出される時、シリパラで
接続され4Ωとされた4個のウーファーに対して、瞬間的にどれだけの電流を流し込めるのか、
ESOTERICが今回初めて採用したパワーデバイスのことが直ちに思い起こされたのです!!

それが次世代のシリコンカーバイドMOSFET「ESOTERIC MODEL200」です。
瞬間最大150A、連続78Aという驚異的な電流許容特性を誇るパワーアンプ出力段
専用のMOSFETをESOTERICは二年以上の歳月をかけて新開発したという。

私は最初の一曲で新開発パワーデバイスの素晴らしさにノックアウトされてしまいました!

それは低域の駆動力に先ずは表れていて、重く沈み込む低域ではウーファーの振動板が
オーバーシュートして微弱な制動不良から膨らんだ音像と質感に陥るという気配を
完璧に払拭し、ダイナミックに叩き出した低音を含むオーケストラ全体に克明な
音のトレッドパターンを残すような制動力とグリップ感を発揮しているのです!!

それは今まで聴いてきた同じ曲が加速されたような印象を与え、楽音の発生から維持、
消滅までの各段階で際立った制御を可能とし、私が聴いてきたこの曲に新たな感動を
もたらしてくれたのです!!

そして、迫力あるダイナミックな展開だけでなく、弦楽器の質感にしなやかさと
滑らかさが高い透明感を伴って心地よく美しく流れていく描写力に圧倒されました!

近代的なAB級動作で大出力を可能としたアンプはオーディオ信号に高速反応する
可変バイアスの回路によって消費電力を抑え必要な時に大出力を発生させるという
合理性があるが、大型アンプでは電源コンセントに対しても膨大な電流を求める
場面があり、100Vという電圧の日本ではありえない大きな電流が必要とされる。

Grandioso F1は電源オンで無信号時の消費電力は175Wという設計。それが固定
バイアス純A級動作というスタート点であり、前述の4Ωで約95W(実用最大出力)
という状態での消費電力は220Wであるという。

Grandioso F1は瞬間的にハイパワーを出力しても固定バイアスではあるが、上記の
新開発パワーデバイスが瞬間最大150Aという電流許容特性を持っているという事で
歪率を考えなければ固定バイアスでありながらAB級動作“的”な大出力も一瞬で
あれば可能だという事だろう。オーケストラのダイナミズムで私は考えてしまった。

それが上記のディストーションカーブでのイメージにつながり、主観的な味方だが
大出力でも瞬時であれば歪率の悪化を察知することが通常は出来ないものなので、
グラフのカーブが右肩上がりになっても音楽を聴く上で瞬間的であれば定格出力を
気にすることはないという事なのです。

固定バイアス純A級動作とは前回のVitus Audio SIA-025も同様なのですが、
重量42KgのSIA-025に対してGrandioso F1は30Kg。

「H.A.L.'s One point impression!!-ESOTERIC I-03に感動した私!!」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/817.html

五年前にESOTERICのインテグレーテッドアンプI-03は31Kgでした。
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/i03/index.html
しかし、搭載していた電源トランス(EIコア)は約10Kgという重量級だったわけです。
でも、I-03はクラスDアンプなので6Ωで240Wというパワーでした。

Grandioso F1ではコアサイズ1,000VAの大型カスタム・トロイダル電源トランスを採用。
トロイダルトランスは大変効率が良いので5.5Kgという質量で、全体重量は維持しつつ
瞬間的な大出力再生の音質を支えているということだと実感されました。

HB-G1が別次元で鳴り始め、これはアンプだけではないぞ…という展開が次の曲で。

■「鬼神」和田薫の音楽
http://www.kaoru-wada.com/
http://www.kaoru-wada.com/?p=854
http://www.kingrecords.co.jp/cs/g/gKICC-819/

5.チェロとオーケストラのための 祷歌
https://www.youtube.com/watch?v=hDDhkPKShAc

ケルン放送管弦楽団の副首席チェリストであるOliver Wenholdのソロから始まる一曲。
このチェロが聴こえきた瞬間に私は以前とは違うHB-G1の音色を発見しました!!

上記にはGrandioso K1におけるアップコンバートの設定とES-LINK Analogの選択を
述べましたが、Grandiosoのこだわりの思想を見事に反映した素晴らしさなのです!!

巧妙なアルコの切り替えしによる適度な摩擦感によるバイブレーションと、長く
弓を弾く時のすすりあげるような哀切な音色の何とも美しいこと!!

そして、チェロの音像はセンターの空間に凝縮された濃密さで定位し、楽音の核と
いうべき中心部の密度感が素晴らしく、DSD変換を選択した理由がことごとく発揮され、
滑らかさと艶やかさが与えられたチェロが発する余韻感が爽快に広がっていく快感!!

そこに弦楽五部が周囲に湧き起こるように合流するが、透き通るように響き渡る
弦楽の芳醇な質感がしっとりと空間を彩る美しさに聴き惚れてしまった!!

「こんな弦楽の美しさは以前のESOTERICでもあっただろうか!?HB-G1だからなのか!!」

スピーカーの個性と相性も勿論あるだろうが、1ボディープレーヤーとアンプが
奏でるオーケストラの美しさに息を呑み驚いてしまった私は定番中の定番という
課題曲を聴き直すことにした。

■マーラー交響曲第一番「巨人」第二楽章 小澤征爾/ボストン交響楽団

冒頭の弦楽五部による合奏が始まった瞬間、私の直感が実感に置き換わっていた!!

実にしなやかなヴァイオリンがGrandiosoによる潤滑剤によって空気抵抗が消失した
かのように、空間を滑るように流れるように響きを拡散していく素晴らしさ!!

管楽器の質感も潤いを帯び、その響きにかぐわしい新たな芳香が加わったような
音色の美しさに、20年近く使い続けてきたキズだらけの同じCDとは思えない楽音の
再現性に驚き、この楽章の副主題が奏でられる頃にはうっとりと心安らぐ音質に
探求心と好奇心の矛先が鈍り、音楽に浸っている自分に気が付く!!素晴らしい!!

これまではGrandioso F1の想像を上回るダイナミックな演奏に関心をひかれたが、
このオーケストラにおける新たな美意識の要因は何だろうかと考え始めた…。

「H.A.L.'s impression-壮大で緻密なESOTERIC Grandiosoを聴く-Vol.1」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1088.html

今から三年前の11月に発売されたGrandiosoシリーズの第一弾でGrandioso D1の
当時最新鋭だったD/A変換部に使用されていたのが、旭化成エレクトロニクス社製
最新鋭32bitDACデバイスAK4495Sでした。

そして、最新のGrandioso K1に搭載されたのは同じく旭化成エレクトロニクス社製
ではありますが、32bitプレミアムDACデバイスAK4497となっています。
これはDACメーカーとしてもESOTERICとしても、現在の最高峰のデバイスという認識で
性能音質ともに以前のDACを上回るものという位置付けであり、ESOTERICとしては
音質本位に認められれば最新のデバイスを躊躇なく採用していくという信念の表れでした。

また、以前にはなかった試みが更にあります。ESOTERICサイトのGrandioso D1の
解説には記載されていませんが、実は上記のDACの後に新日本無線MUSES02という
オペアンプが搭載されていました。

このオペアンプに関してもESOTERICは新日本無線に対してリクエストを出し続け、
約五年ほどの時間をかけて開発したハイエンドオペアンプ新日本無線MUSES03が
Grandioso K1に搭載されているのです。

これら旭化成エレクトロニクスと新日本無線の両社から試作品が手に入るたびに
何度も試聴を繰り返し、デバイスメーカーの技術者も参加しての開発をしてきたのです。

他社の新製品ではDACをディスクリートで作り使用したものも出てきましたが、
ESOTERICはディスクリートだけでなく音質が良ければオペアンプも素直に使うと
いう方針で音質本位を貫いてきたという。

http://www.esoteric.jp/products/esoteric/k1/index.html

更に電流伝送強化型出力バッファー回路はD1と同様だが、Grandioso K1では
スーパーキャパシターアレイを採用し、瞬間的な電流供給能力を高めている。

デジタル信号からアナログ波形へと変換する過程において、これらの最新技術が
今…私が耳にしているGrandioso K1の素晴らしい再現性と美しさにつながっている!!

第53話「VRDS-NEOの覚醒」  
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto53.html

旺盛な開発意欲はESOTERICの原点であり、10年前の上記の随筆を読み返して頂いても
同社の信念が現在でも生き続けていることを最新鋭Grandiosoから実感できたのです!!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

オーケストラの特に弦楽器の質感で感動体験した私は、つい先日も試聴に使った
鮮明なスタジオ録音のSACDでも確認したくなりました。

今ではシリーズ化されて多数のタイトルがある「image」のオリジナル盤です。
http://www.sonymusic.co.jp/artist/image/

ここのコレクションディスクは「IMAGE - EMOTIONAL & RELAXING」のSACDです。
https://goo.gl/KkqFpd
http://artist.cdjournal.com/d/image---emotional--relaxing/4114063312

02.エトピリカ (葉加瀬太郎)

もう有名なテレビ番組「情熱大陸」のエンディングテーマ。前回もVitus Audio
SIA-025で聴きましたが、アンプだけの違いではなくSACDプレーヤーも同時に
変更しているので直接的な比較にはなりませんが最初から違うのです!!

重厚なエレキベースとパーカッションがどっしりとセンターに定位すると、
先ずは上記で述べた低域の充実感に納得。引き締まっていいですね!

そして、葉加瀬太郎のヴァイオリンが美しく響くのは同じなのですが、その質感が
今までと違う事が直ちに実感されるのです。この滑らかさは何という事か!

弦楽器がいいということは同時にヴォーカルも間違いなくいいという過去の経験通り、
さわやかに背景を飾るバックコーラスが生まれ変わったように鮮やかさを湛える!

H.A.L.'s One point impression!! - ESOTERIC F-03Aの真相を探る!!
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1306.html

上記ではESOTERICのインテグレーテッドアンプで先行発売されたF-03Aのトーン
コントロールに関してKiso Acoustic HB-X1でテストしましたが、今回のHB-G1では
その必要性はまったくないようです。これだけの低域が確保されれば十分でしょう。

そして、Grandioso F1の威力はやはり価格相応の素晴らしさがあると納得できました!

03.リベルタンゴ (ヨーヨーマ)

更にこの曲も聴きましたが、ホール録音でのオーケストラとチェロの共演で感動した
音場感を含む素晴らしさとは違い、スタジオ録音でのチェロもしっとりとした質感で
以前とは違う音色が確認されました。

ヴァイオリンで感じられた透明感とある種の柔軟性がチェロの質感に作用し、
SACDの恩恵が音像の内面に実在感を与え、各パートの楽音に対して施した
リヴァーヴの隠し味がじんわりとしみわたる演奏に耳鼓?を打ってしまいました!
これはいいです!!

14.アヴェ・ムンディ (ロドリーゴ・レアン&ヴォックス・アンサンブル)

これは冒頭から驚きの発見でした。シーケンサーのループが繰り返す規則正しい
リズムと弾けるような楽音の質感が今までと違うのです!!

合成音なので、どちらがいい悪いという議論はナンセンスですが、弾けるような
楽音のテンションに適度な緩和が見られ、好ましい聴きやすさがあるということか。

そして、圧巻だったのは、この人工的なシーケンサーの音に生のチェロが加わり、
二人の女性ヴォーカルによる透明な歌声が響き、更にアコースティックなヴァイオリンが
重なり合う美しさが上記で述べてきた弦楽器の質感が変化しているという事を明確に
感じ取れるのです!!この変化も前述通りであり、ホール録音ではない克明であり
鮮明なスタジオ録音での弦楽器に温度感としなやかさが加わる魅力に頬が緩みました!

チェロとヴァイオリンとヴォーカルという三要素はHB-G1の得意とするところであり、
それらが作り出すハーモニーと音場感の美しさを助長したGrandiosoに拍手です!!

16.情熱大陸 (葉加瀬太郎with小松亮太)

小松亮太にとってバンドネオンの師匠だったというアルゼンチンの巨匠ポーチョ・
パルメルの二人が左右で見事な演奏を展開する冒頭部。ここも違うのです!

南米大陸の田舎町の市場を思わせる雑踏と会話という効果音が周辺から湧き起こり、
ラテンパーカッションが盛大なリズムを叩き出す中で響き太鼓の音。

この音で描く情景描写に関して音場感という情報量が増えたことを直ちに確認しました。
プレーヤーとアンプが独自のES-LINK Analogで結ばれたことにより、記録されている
微細な情報がこれ程あったのかと驚き、打楽器の余韻感まで変わるのだから驚く。

勇壮なメロディーでありながら葉加瀬太郎のヴァイオリンにはエトピリカと同じ
質的変化があり、より空間に浮かぶような存在感がバックの伴奏楽器との調和と
いう点で好ましく感じられた。このような曲でもHB-G1に違うテイストを与えた
二台のGrandiosoのペアリングを崩したくないという欲求が生じる。

いや、更にGrandioso G1を加えたいが、今回はBNCケーブルの長さが足りずに残念だった。
インテグレーテッドアンプであっても、さすがにGrandiosoというネーミングを
冠するだけの素晴らしさを実感した数日間でした。

以前に行ったイベントでの出品は試作機であったわけですが、今回は量産機から
試聴機を期間限定でお借りしたので時間的制約はあったものの、Grandioso K1とF1の
ペアリングでの試聴は大変有意義であり、中途半端なセパレートアンプに対して
ES-LINK Analogを採用したことで大きなアドバンテージを獲得したものと評価しました!!

短期間ではありましたが、Kiso Acoustic HB-G1との相性においても素晴らしさが
確認され、H.A.L.のラインアップに導入すべきかどうか、既にフルGrandiosoシステムと
いう高価な展示品があるだけに悩ましさを残して先程梱包し返送したのでした。

これ以上在庫を増やしたら大変じゃないか! さあ、どうする!?

川又利明
担当:川又利明
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
kawamata@dynamicaudio.jp

お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!


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