発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
〒101-0021 東京都千代田区外神田3-1-18
ダイナミックオーディオ5555
TEL 03-3253-5555 / FAX 03-3253-5556
H.A.L.担当 川又利明
    
2015年12月7日 No.1268
H.A.L.'s One point impression!!-Bergmann Magneの快感!!
いい音と気持ちいい音とは別物。一般論で言えば再生周波数特性はフラットで
ワイドレンジであり、伝送波形に歪がないものが良い音というのがオーディオ
の常識となって半世紀以上経つわけだが、快感とも言える気持ち良さを感じる
音というものを物理的・科学的に説明するのは至難の技。というよりも結果と
して感動した音に対して設計者の理論を後付けして解説するのが関の山という
ものだろう。しかし、そんな現実を知りつつも、語りたくなるほどの快感を
催す音に出逢ってしまったのだから仕方ない。

デジタルの時代においてアナログディスクの魅力を再発見するということは
往々にしてあり得るものだが、実はデジタルオーディオの技術的な進歩により
オーディオシステムによる再生音のあるべき理想という基準が大きく進化した
ことを裏付けることになったものと私は考えている。

第十話 「天使(“A"ngel)の謀りごとと悪魔(“D"evil)の真実」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto10.html

20年以上前に書いた随筆で、私はLPレコードの再生音における特徴はクロス
トークがもたらすものと推測しているが現在でも変わることはない。長年に
渡る経験においても、これ程の感動は稀有であり、この一年間聞き続けてきた
HIRO Acousticがこんな音を出すのかと、しかも今までにHIRO Acousticで組み
合わせてきたどのシステムとも全く異なる個性と魅力に圧倒されてしまった!!

その感動とは新進気鋭のブランドBergmannによってもたらされたものであり、
下記のセッティング風景と試聴したシステム構成を先ずは紹介したい。

http://www.dynamicaudio.jp/file/20151201-bgm.01.jpg

http://www.dynamicaudio.jp/file/20151201-bgm.02.jpg

◇ H.A.L.'s Sound Recipe / Bergmann Magne-inspection system ◇

………………………………………………………………………………
Bergmann Magne(税別¥1,500,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/bergmann/bergmann/
     with
My Sonic Lab Ultra Eminent Be(税別¥550,000.)
http://www.mysonic.jp/
     and
finite element MR02-2+CERABASE 4P (税別¥970,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/finite-elemente/finite-elemente/
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

FM ACOUSICS PIT LINE Cable(税別¥150,000.)

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
BRINKMANN EDISON (税別¥1,680,000.)
http://stella-inc.com/04brinkmann/index.html
          and
TRANSPARENT PLMM2X+PI8 (税別¥770,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/transparent/transparent-2/
     and
finite element MR02-2+CERABASE 4P (税別¥970,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/finite-elemente/finite-elemente/
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

ESOTERIC 7N-DA6100 RCA 7.0m(税別¥3,120,000.) 
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7nda6000/index.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC  Grandioso C1 (税別¥2,500,000.) ★本体にE.M.G-board二枚使用
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/c1/index.html
     and
TRANSPARENT OPC2(×2)+PI8 (税別¥1,990,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/transparent/power-code/power-cord-2/#cnt-power-cord
     and
finite element MR02-2+CERABASE 4P (税別¥970,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/finite-elemente/finite-elemente/
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

ZenSati	Seraphim / Interconnect cable XLR 8.0m(1Pair 税別¥5,645,000.)
http://www.zensati.com/
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/960.html 

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC  Grandioso M1(1Pair 税別¥2,800,000.) ★E.M.G-board 二枚使用
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/m1/index.html
     and
TRANSPARENT OPC2(×2)+PIMMX(×2) (税別¥2,580,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/transparent/power-code/power-cord-2/#cnt-power-cord
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

ZenSati	Seraphim/Speaker cable 3.0m/Bi-Wier(税別¥9,408,000.)
http://www.zensati.com/
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/960.html 

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
HIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCS Improved (1Pair ¥14,250,000.)
http://www.hiro-ac.jp/
     and
H.A.L.'s B-Board×2 (1枚/税別・配送費込み¥122,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/BZ-bord.html
「特報!!HIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCS Improvedとはこれだ!!」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1199.html
ここに紹介した下記の二枚の写真でImprovedモデルとスピーカー本体とネット
ワークボックスをセットしたのがB-Board
http://www.dynamicaudio.jp/file/20150306-model-ccs_improved01.jpg
http://www.dynamicaudio.jp/file/20150306-model-ccs_improved02.jpg
………………………………………………………………………………

私は長らくの経験からアナログレコードプレーヤーの音質とは構造や材質に
おいて大別できるものと考えている。先ず構造的な事ではターンテーブルや
トーンアームの支持構造がそうだ。

LINNゃThorence、そしてORACLEのようにスプリングによるフローティング構造
のものは再生音に独特な浮遊感が漂い、ハウリング対策として採用された原理
が音質の個性化ということに一役買っている。

また、昔のようにマイクロ精機やSEIKO EPSON Σ5000のように一切のサスペン
ションを持たない強靭な構造は切れ味鋭く音像を絞り込み、テンションを張り
つめたソリッドな音質が特徴と言える。下記は参考まで。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto28.html
http://audio-heritage.jp/SEIKO_EPSON/player/sigma5000.html

近代では両者の良いところを合わせ持つ構造としてTechDASのように、重量級
ターンテーブルと支持構造そのものを大変低いQによってフローティングさせる
独創的な設計によるものがアナログ再生に大きな進化をもたらした。

その一助としてエアーフローティングによるターンテーブルで外部振動から
アイソレーションする技術が、ハウリング対策と回転系の極めて円滑な動作を
一挙に完成させたと言っても過言ではない。

トーンアームに関しても、ジンパルサポート、ワンポイントサポート、ピポッド
ベアリング、ナイフエッジ、ダブルナイフエッジ、など各種の支点構造があるが、
それらの方式論争はメーカーの自己主張に任せるとして、トーンアームの質量
の大小によって、上記のターンテーブル同様な音質的特徴を大別できる。

現代ではMCカートリッジが主流となっているが、大分以前にはMM型、VM型、
IM型などマグネット自体が振動系に含まれるカートリッジはコンプライアンス
が高く、軽量アームでの使用が推奨された。

オルトフォンのSPUに代表されるようなローコンプライアンス・カートリッジ
では針圧も重く、これらには重量級トーンアームが推奨された。

これらの選択はLPレコードの反りに対して音溝との間隔を常に一定にし、振動系の
支点が常に音溝との距離を一定に保つことが求められたからに他ならない。

このような大別の中で軽量アームはターンテーブルをフローティングした構造
と類似する音質傾向があり、ガツッとくる個体感よりも浮遊感と音場感という
雰囲気を醸し出す傾向があり、逆に重量級アームでは低域の質感が濃厚であり
重量感があり、大きな空間表現で展開するというよりは音像の中身を濃厚にする
傾向があると言える。

それらを総合的に近代化してコストの制限を無視して作り出された一例として
下記のCaliburn Analog Playback Systemは究極的なプレーヤーと言えるだろう。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto56.html

そして、このCaliburn Analog Playback Systemを輸入販売していた西川氏が
自らの理想を追求して完成させたAir Force Oneが当フロアーのリファレンス
として私が最も信頼し評価しているアナログプレーヤーだ。ぜひ下記の動画で
西川氏の直接のコメントを確認して頂ければと思う。
http://stella-inc.com/data/Stella01.mp4

このAir Forceシリーズこそはアナログ再生における各種パラメーターを徹底的に
洗い直し最高レベルに改善したものであり、バキューム方式によってレコード
の反りをなくしターンテーブルの質量と一体化させることで、音溝に対する
カートリッジの振動系を力学的なゼロポイントに置くことを可能にし、トーン
アームの選択をユーザーの自由裁量とする事が出来た。

同時に音像を克明に再現する事も可能になり、回転系の究極的な滑らかさと
ハウリング対策を両立する事で上記の構造的な傾向を無視出来るようになった。

これらは冒頭に述べた良い音の定義として、音溝に刻まれた信号をいかに忠実に
ピックアップするかという命題に対しての回答であり、私にとってアナログ
プレーヤーのあるべき理想像として帰結するのである。これがベストだと!!

そして、このような職業的分析からアナログプレーヤーの音質的特徴を構造的
に推測出来る私にとって、その世界に快感とも言える気持ち良さを感じる音を
聴かせるアナログプレーヤーが登場したことにより、自分の分析したファイル
に新しい目次を付け足さなければならない。驚き感動した…それがすべてだ!!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

HIRO Acousticは嘘がつけないスピーカーだ。低域の再現性は設計者の感性で
演出するということを知らず、情報量の少ないソースに対しては音場感を付け
足すような幼稚な細工もせず、入力された電気信号が音楽性を保証するもので
なければそっぽを向いてしまうという純粋さが取り柄のスピーカーだ。

このスピーカーによって得られる再生音は聴く人によってはストイックな音と
もとれる究極的なハイ・フィディリティーであり、スピーカーそのものが広大な
音場感を再現する能力があるので、空間情報を含んでいない録音に対して愛想
良く何かを付け足してくれるという事はない。音楽鑑賞用スピーカーとして
極めて無愛想な性格なのだが、コンポーネントやケーブル、電源や環境をも
正確に変化として表し聴かせてくれる世界的にも例のないスピーカーなのだ。

だから、スピーカー以外の要素を分析することが容易なHIRO Acousticは、
私の仕事にとって必要不可欠な存在であり、同時にこのスピーカーで評価した
コンポーネントに対する信頼性には胸を張って私の保証書を付けることが出来る。

ところが、上記システムにおいて、このHIRO Acousticが今までに発した事の
ない官能的で魅惑的な音楽を奏で始めたのだから堪らない!!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

アルテュール・グリュミオー(Arthur Grumiaux)の一枚が私のバイブルともなっている。
ソリスト・ロマンド/アルバト・ゲレッツ指揮による、バッハのヴァイオリン
協奏曲第一番イ短調1978年の録音である。グリュミオーは1921年の生まれと
されているので、彼が57歳のときの録音ということになる。

もちろん、このレコードは前述のプレーヤー全てで聴いたものであり、最初に
選曲したA面の冒頭、協奏曲第一番イ短調 第一楽章Allegro moderatoを聴いた
瞬間に私の大脳には電撃が走り、この曲の過去の記憶が全て上書きされた!!

グリュミオーの力強いアルコから始まり、動機的展開のソロとトゥッティーが
絡み合うように結びついていく。この時のヴァイオリンの質感の芳醇さと明晰
さは何としたことか!!

そして、その音色には甘美な質感がほとばしり、ヴァイオリンの木肌のぬくもりが
私の耳を通じて官能的な余韻感をみなぎらせてくる。グリュミオーをとり囲む
ソリスト・ロマンドの各パートが各々の配置を後方に展開させ、楽団を俯瞰し
たときの状態を見事に聴き手にイメージさせる!!

しかも、過去に聴いたどれよりも弦楽奏者一人ずつの音像が際立ち、克明な
輪郭を描きつつも、まろやかでとろけるような響きの連鎖が各パートの奏者を
空間に浮かびあがらせる。

ふと気がつくとグリュミオーのヴァイオリンがこれまでに聴いたときよりも
濃厚な印象を受ける。いや、正確に言えば音像の中身がしっかりしていて楽音
のエネルギーを周囲に撒き散らすことなく包括し、アナログだからということ
で曖昧な音像をふわふわと浮かせると言うことがないのだ。

これはバックを務めるソリスト・ロマンドのヴァイオリンやチェンバロなどに
も共通して言える。くっきり楽音の"芯"が見えてくるが、その音の"核"の部分
が過去の記憶と比較して素晴らしく鮮明であり、同時にスムースなヴァイオリン
の音色が強烈な魅力として私のハートをからめ取っていくのだから堪らない!!

とにかく、これほど瑞々しく滑らかなグリュミオーを聴いたのは初めて!!
この音が音溝に刻まれた本当の音なのかどうか、それを前述のアナログプレーヤーに
関わる私の常識という分析の対象にする必要性を忘れさせてくれるのだから、
快感とも言える気持ちいい音としか表現できないのだ!!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

クラシック音楽の弦楽器がこれ程滑らかに美しいというのは、オーディオ的な
メークアップが施されているのではないかと私は疑ってしまう。そこで次の
選曲ではスタジオ録音の名盤で楽音個々のなりたちを聴いてみることにする。

Grover Washington jr.「WINELIGHT」が直ちに頭に浮かんだ。迷うことなく
タイトル曲の「WINELIGHT」に針を落とす。すると…

マーカス・ミラーのペースがズンと沈む重量感、しかもくっきりはっきりの音像。
エリック・ゲイルのギターがダンプした爪弾きで印象的なフレーズが切れる!!
そして、グローヴァー・ワシントン Jr.のサックスが…。あー!!この音色は!!

前曲のヴァイオリン同様に、幾多のシステムで聴いてきた完全無欠の記録状態で
私の頭の中に定着していたサックスの質感が、最初の一音から塗りかえられていく!!

何ともセクシーな音色、キュートな音像とは言いかえれば極小サイズであり
センターにくっきりと定位して上空へと伸びあがっていくリヴァーヴの美しさ!!

そして、便利な日本語「極めつきの滑らかさ」という一言に尽きる美しさ!!
グローヴァー・ワシントン Jr.のサックスがこんな表情と質感で聴けるとは
何とも素晴らしい発見であり驚きだ!!

弦楽器のように連続楽音の滑らかさはフォーカスを甘口にすれば演出できるが、
切れ味と解像度を求めるパーカッションではどうだ!?

ここでラルフ・マクドナルドの叩く一音ずつのパーカッションが抜群の解像度と、
余分な音を付け足さないHIRO Acousticの性格を証明するかのように、一音一打が
克明に再現されることの驚き。そして、その音像が極小サイズである事実!!

スティーヴ・ガットのスネアのテンションはきりりと引き締まり、一瞬の打音の
あとに仕掛けられたリヴァーヴが飛び散っていくような余韻を、見事な残像と
して眼前の空間に展開する情報量の素晴らしさ!!これデジタルか!?

弦楽器の流れるような響きは左右スピーカーの中空に浮かび漂うが、これが
アナログディスクなのかと思わせるほどのテンションの高まりと輪郭再現性の
素晴らしさは本来デジタル再生の得意技ではなかったか!!

通奏楽音に対する滑らかさを前例のない美しさで表現しつつ、きっちりと引き
締められたリズム楽器の心地よい緊張感の両立が実現した時の快感は凄い!!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

世界初のCDプレーヤーが発売された1982年に録音されたこれ、PAUL McCARTNEY
の「TUG OF WAR」を聴きたくなった。この曲の後半ではオーケストラやミリタリー
スネアの勇壮な打音が堂々と響き渡る。豊かな響きの中でストリングスとドラム
が同時に展開する曲で、前二曲で感じた要素を融合した試聴曲として聴くことに。

A面一曲目はタイトル曲の「TUG OF WAR」これは男たちが綱引きをする唸り声
と息遣いからはじまり、やがてポールのヴォーカルがギターとともにセンター
に登場する。このPAULのヴォーカル…、ヴァイオリンとサックスで驚き感動した
あのしなやかさと滑らかさが当時40歳のPAUL McCARTNEYに10歳若い声を与えた!!

ヴォーカルのエッジを強調しない空間への溶け込み方が抜群の魅力となり、
端正な輪郭を保っていながら体温を感じさせる暖かさがにじみ出る不思議!!

幾層にも重なるストリングスはヴォーカルの背景を飾り、スネアの連打が颯爽
とした空気をHIRO Acousticの周辺にもたらすあり様を私は息を呑んで見つめた。
33年前のLPレコードを所有していたことが、こんな感動につながるとは!!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

ジョージ・ベンソンは1964年にデビューして、何とこのアルバムが38枚目と
いう当時売れっ子のスターだった。84年のアルバムで「20/20」というタイトル。

当時流行したドラムマシンの強烈なビートがきいた曲もいいのだが、私はどう
してもA面のラスト「BEYOND THE SAE(La Mar)」が好きでたまらない。

シャルル・トネが作った古いシャンソンをフォービートのジャズヴォーカルと
してアレンジしたもの。そして、この曲は同アルバムの他の収録曲とは違い
アコースティックなビッグバンドがバックを務めている。

そのメンバーがまた凄い。ソロギターはジョージ・ベンソン本人でピアノは
ジョー・サンプル、そしてカウントベーシーでリズムギターを担当するフレディー・
グリーン、アルトサックスにフランク・ウェス、チャールズ・I・ウィリアムズ、
テナーサックスにジミー・ヒース、ジョージ・コールマン、バリトンサックス
にボビー・エルドリッジ、トランペットにジョー・ファディス、フェリックス
・ベガ、アール・ガードナー、ジョー・ニューマン、更に後にデビッド・マシューズ
やスティーヴ・ガッドらと新世代MJQを結成するルー・ソロフなどが。

トロンボーンにはスライド・ハンプトン、ベニー・パウエル、ロビン・ユーバンクス、
デーブ・テイラー、ドラムがジョン・ロビンソン、ベースがアール・メイなど
など錚々たる顔ぶれのジャズメンたちがバックを務めている。

最内周に刻まれたこの一曲は音質的には不利なはずだが…。ちょっと緊張しながら
空気を噴き出しているパイプに搭載されたリアトラッキングアームを指先で
慎重に移動させて針先を一番奥に送り込むことにした…。

冒頭のジョー・サンプルのピアノ、これがまた素晴らしい。通奏楽音での美意識
に改革をもたらした音と再三述べてきたが、ピアノの余韻感には通じるものがあった。

さっと数フレーズのピアノが空中に舞うように展開し、その一音ずつが前例の
ない鮮やかな軌跡を描きながら響き渡り、当時41歳のジョージ・ベンソンの
ヴォーカルがセンターに登場した時の興奮!!なぜか…!?

ヴォーカルのマウスサイズは小さいことに越したことはないが、彼のような
声量でダイナミックな歌声では、特に低音階の歌声ではぐっとオンマイクでの
迫力が瞬間的にヴォーカルの音像を拡大させ、冷たいはずのHIRO Acousticの
ボディーから発した楽音によって私の前方4メートル先の空気が熱を帯びる!!

シンコペーションが利いたホーンセクションが華々しく背景を飾り、伸びのある
ヴォーカルの音像がそそり立つように展開すると、最も内周の音溝をトレース
しているというハンディギャップは微塵もないことにふと気が付く。実に爽快!!

重量級ターンテーブルとリニアトラッキング・トーンアームの両方をエアー
フローティングさせるという技術とアイデアが感動の源泉なのだろうか!!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

クインシー・ジョーンズのA&Mでの三枚目のアルバム「SMACKWATER JACK」1978年の作品。
この頃から既に彼のアルバムでの豪華な参加ミュージシャンには現在のスターが多数共演している。

ピアノ・キーボード関係ではボブ・ジェームス、ボビー・スコット、ジョー・サンプル、
ジェイキー・ビアード、ジミー・スミス、後年リファレンス・レコーディングス
で作品を出しているディック・ハイマン、そして何と私の大好きなモンティ・
アレクサンダーなどなど。

更にベースはレイ・ブラウン、ギターではトゥース・シールマンス、エリック・ゲイル、
ジム・ホール、ジョー・ベックなどなど。参加ミュージシャンをリストアップ
していくとまだまだ続いてしまいきりがないほど。

それほどの人脈とアレンジャー、プロデューサーとして当時から脚光を浴びていた存在だ。
さて、私はこのアルバムから二曲を聴くことにした。A面「IRONSIDE」「WHAT'S GOING ON」である。

私が子供の頃にアメリカのテレビドラマで「アイアンサイド」という番組があった。
非情な銃弾で半身不随になってしまった刑事が車椅子に乗って活躍するという
ものだったが、そのテーマ曲がこれ。

冒頭ではキーボードによるパトカーのサイレンの音が勇ましく聞こえてくると
馴染みのあるメロディーが始まる。そこで登場するドラムとベースの音像が
過去に経験のないくらいに小型化していることに先ずショックを受ける。

A&Mの録音はどこか混沌としたリズム楽器が当たり前なんだと思っていた私は、
今まで30年以上何を聴いてきたのかと、これまでのアナログレコードの音質に
対して大きな衝撃を感じてしまった!! 

ジェイミー・リチャードソンのソプラノサックス、ヒューバート・ローズの
フルート、フレディー・ハバードのフリューゲルホーンと次々に登場するブラス
セクションの各パートにおいても、これほどくっきりとした音像を聴いたことがない。
レコードの音とはこういうものだったのか!!しかし、美しいのだ!!

「WHAT'S GOING ON」のイントロではやはり低音リズム楽器の引き締まりが物凄い。
エアーフローティングのリアトラッキングアームなので大変軽量なのだが、
前述したように重たいアームだから重量感が出るという通説はもはや無縁。
これまで聴いてきた常識が音を立てて崩れていく。

アナログなのにCDなみに定位感と音像の輪郭表現がなぜこれほどに素晴らしいのか!!
上記に登場するブラスセクションが同様に未体験の鮮明さで交互に登場すると
トゥース・シールマンスのハーモニカやミルト・ジャクソンのバイヴがソロ
パートを奏で、ハリー・ルーコフスキーのジャズヴァイオリンが激しく切り込んでくる。

エキサイティングな演奏であれば多少の荒れをダイナミックさの代名詞として
思っていた私は、実際に記録されている45/45方式アナログ信号がこれほどまでに
純粋な質感を持っていたのかと愕然としてしまった。ここにも美しさがある!!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

Bergmann Magneで聴くアナログサウンドは、この私にして別世界だった!!
さあ、どうしよう!?

「快感とも言える気持ち良さを感じる音というものを物理的・科学的に説明
 するのは至難の技。というよりも結果として感動した音に対して設計者の
 理論を後付けして解説するのが関の山というものだろう。」

設計者の理論はメーカーサイトとアクシスのwebサイトをご覧頂けばいいだろう。
私はただ音楽を聴いて感動したという事実を語るのみだ。
http://www.bergmannaudio.com/home
http://www.axiss.co.jp/brand/bergmann/bergmann/

さあ、どうしよう!?
BergmannのラインアップではMagneの上にSindre Systemがあるではないか!!
http://www.bergmannaudio.com/products/turntables/sindre_system

本当に、本当に魅力的な音。セクシーな音、艶やかで滑らかな音。
LPレコードのコレクションを手放さなかった幸福を感じている私だった!!


担当:川又利明
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
kawamata@dynamicaudio.jp

お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!!


戻る