発行元 株式会社ダイナミックオーディオ 〒101-0021 東京都千代田区外神田3-1-18 ダイナミックオーディオ5555 TEL 03-3253-5555 / FAX 03-3253-5556 H.A.L.担当 川又利明 |
H.A.L.'s Sound Recipe / Vitus Audio-inspection system速報!! http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1239.html 上記のシステム構成で鳴らし始めバーンインはおおよそ120時間経過した昨日、 本格的に試聴を開始しました。 なぜここまでバーンインに時間をかけたのか!? それはバーンインを開始して から約50時間ほど経過した時点での音質に私は感動しなかったからです。 しかし、本日の試聴と実験によって、それはVitus Audioそのもののせいでは ないという意外な事実が判明したのでした!! さて、その点に触れる前にパワーアンプの定格出力に関して、ちょっとだけ 皆様に説明しておかなければならない項目があります。下記の写真をご覧下さい。 http://www.dynamicaudio.jp/file/20150415-chm1.06.jpg これは下記のブリーフニュースでCH Precision M1でHIRO Acousticを鳴らした時の 瞬間最大出力ということで、1,310Wという信じられないパワーが出力された瞬間でした。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1208.html この時のCH Precision M1の動作モードでは2×200W/8Ω(Bi-amp mode)です。 HIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCS Improvedの定格インピーダンスは4Ωで、 最小3.5Ωまで低下するものですが、M1は4Ωでは400Wを出す計算になります。 また、CH Precision M1の最大消費電力が2200Wであるという事も忘れては いけない事かと思いますので一言追記しておきます。 瞬間的にはこのような大出力をも発生することが出来るという事例を念頭に 入れておくことが必要かと思いました。 そして、このM1と同価格帯となるVitus Audio SM-102はいったい何ワットの 定格出力なのか…、と言いますと意外かもしれませんが100Wなのです!! 小編『音の細道』特別寄稿*第40弾*「Hans-Ole Vitusが起こした奇跡とは!? 」 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/322.html ここに前作、SM-100に関する定格出力についての解説を引用しますと… -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 「過去に体験したパワーアンプでA級とAB級を切り替えできるというものは、 小音量でクォリティーを追求したい時にはA級、大出力が欲しいときには AB級という感じでバイアス量を変化させていたものだが、以前はAB級の方が 放熱が少なくA級動作にすると途端に発熱量が大きくなりバイアス量も大き くしてのA級動作という設定だった。 熱がガンガンでるほど、なるほどさすが贅沢なA級アンプとはこういうもの なんだ、という思いを多数のアンプで経験したものだった。 そして、ここで注目しなければいけないのはSM-100の出力表示である。 A級とAB級のどちらでも同じ100Wなのである。 では何が違うのかというと、同じ100Wを発生させるために使用する消費電力が A級で340W、AB級で107Wということで、使用しているバイポーラトランジス ターのバイアス電流をAB級で省エネ設計にしているだけのようなのだ。 つまり、AB級にするとより大きなパワーが得られるという発想ではないのだ。 これは言い換えればパワーデバイスであるトランジスターの動作点を最高の ポイントに絞り込んで設定し、無理な出力ははなから設計しないという判断でもある。」 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- この設計方針と全く同様な発想が現在でも継承されており、現代のSM-102では 定格出力100Wを発生する際の消費電力はA級動作時で425W、AB級動作時で25Wと なっていました。 AB級動作での省エネ効果が高まっていること、逆に音質本位のA級動作では より多くのバイアス電流を流しているということになります。省エネには逆行 しますが、設計者が求めた音質向上のための判断ということで、私は先ずは 100Wという定格出力の意味合いを考えながら試聴を開始したのでした。 とにかく録音レベルが高く出だしから盛大な低域が展開するこの曲で、先ずは SM-102のパワー感を試してみようと、私としては当然の成り行きで聴き始めました。 ■THE WEEKEND / EARNED IT(TRADUCIDA EN ESPANOL) http://www.universal-music.co.jp/p/UICU-1262 打楽器と低弦楽器が見事に同期して、しかも広大な音場感を展開するこの曲。 冒頭からの数秒間で定格出力100Wという概念は吹き飛んでしまいました!! 重厚な低音は空気に溶け込み消滅してしまうのを嫌がるかのように空中に余韻 を残し、重厚な打音とベースの連続音がMODEL-CCS Improvedのウーファーに これでもか! というストロークを与えるが、しっかりとグリップが利いた低域 は破綻することなく見事に展開する!! そして、この段階で今までHIRO Acousticを鳴らしてきたアンプとは一線を画す 低域におけるVitus Audioの特徴が私には感じられるのでした。個体感があり ごりっとした低域ではなく、重量感と適度な柔軟性が共存する低域の質感。 これはオーケストラを聴いたら堪らないだろうな〜と予想させる低域です。 CH Precisionのようにハイテクを駆使してアナログアンプを制御するという 手法には少しも興味を持たないVitus Audioでは、果たしてこの大音量で何ワット を出力しているかなどは推測するしかない。そこで、上記のように1,310Wを 叩き出した曲で聴いてみることにしました。この曲です。 ■UNCOMPRESSED WORLD VOL.4 - on the piano http://accusticarts.de/audiophile/index_en.html 18.Kirk Montreux / ETERNAL DESERT(LA CALIMA EDIT) 冒頭のピアノの弦をギィーンと引っ掻いたような音、中空に散りばめられる 高音階のピアノ、切れ味のいいギターが展開し、一瞬の無音状態から強烈に 立ち上がる低音の洪水のようなダイナミックな演奏が始まりました。 意地悪な私はボリュームを次第に上げて、CH Precision M1で体験した音量まで じりじりと上げて行ったのです。いや〜、実に素晴らしい追随性です!! 以前のプリアンプSL-100のボリューム設定は最大で-2dBそこから2dBステップで -24dBまで、ここで少し飛んで-28dBから-34dBまで2dBステップで、また少し 省いて-38dBから-40dB、次は-45dB、-47dB、-51dB、-53dB、-58dB、そして 最低に絞り込んで、-60dBと、わずか24ステップしか調整範囲を設定していない。 また、-60dBとでは完全に信号はオフにならないので、無音状態までは絞込み はしていないという頑固な設計でした。 しかし、現在のSL-102では-99dBで完全に絞り込み無音の状態から0dBを通り 越して最大+18dBまで1dBステップで細かく音量調整が出来るようになった。 ボリュームスイッチを押し続けるとカタカタと小刻みにアッテネーターが切り 替わっていく小気味よい動作音がユニークだ。 録音レベルの大きな前曲では-7dBくらいだったが、この曲は何と+6dBまで上げる。 この時のダイナミックな躍動感は定格出力など全く無関係という程の素晴らしい 迫力と制動感があり、恐らくは瞬間的に1,000W以上は叩き出していると思われる。 低域の膨大なエネルギー感を支えるのは一定歪率以内で出しうる定格出力ではなく、 瞬間的な大出力で破綻せず、再生音が滲むように事のない質感が求めせれる ダイナミックパワーであるということを現代のSM-102はあっさりと証明してしまった!! -*-*-*-*-*-*-*-*-*- さて、これで定格100Wという既成概念を忘れ去ることが出来て、しかも固定 バイアスという安心感に裏打ちされてオーケストラを聴こうとしたのです。 私のリファレンスとしている小澤征爾/ボストン交響楽団によるマーラー交響曲 第一番「巨人」の87年録音の第二楽章、次に同じく小澤征爾/サイトウ・キネン・ オーケストラによるブラームス交響曲第四番・ハンガリー舞曲第五番・第六番 (90年当時PHILIPS 426 391-2)という定番の二曲を続けざまに聴きました。 すると… 「強烈なスタジオ録音でのダイナミックさを良好な質感で鳴らしていたのに なぜか感動しない。私の耳と感性はどうしてか反応しないな〜」 実は、120時間以上もバーンインを繰り返し続けてきたのは、この印象がぬぐい 去れないためでもあったのです。何がどう悪いのか…、言葉で表現出来ずに しっかりと反論できる言葉がどこかに落ちていやしないかと周囲を見回しても そのような適切な言葉は見つからないのです。 一言で言えばHIRO Acousticらしくない、とでも言うのでしょうか、本能的に 私が耳から得た快感という記憶があり、今までに体験してきた無意識のうちに 私の大脳のシナプスに光るような信号を発生させてくれた美的感覚というか、 快感をもたらす音のキーワードがそこには見つからないのです。困った…。 料理の鉄人が書いたレシピに忠実に調理したはずなのに、あと一味が足りない。 自分の耳で感じて記憶している美しさに何かが足りない。私のこだわりという 感性が本能的に催す快感がこれにはない…、言葉で言えないもどかしさが原因 不明というオーディオシステムのセットアップに関わるポイントをチェックして みるのだが、どこにそんな要素があるのか皆目見当がつかないジレンマ。 万全であるはず、バーンインも十分であるはず、なのに私の感性に響かない 要素は何なのか悩みました。そんなこだわりは放棄してしまえばいいじゃないか、 もっと気軽に聴いてVitus Audioを評価してしまえばいいじゃないか、と心の 中では自分のこだわりに麻酔薬を注入せよと妥協の一言が浮かぶのです。 「いや〜、まさかここではないだろうに…。でも可能性があるとしたらここ しかないだろうな〜。ダメモトでやってみるか…」 と、席を立ってHIRO Acousticに向かって歩き出した私がやった事とは…。 ……………………………………………………………………………… Vitus Audio SM-102(Anodized Gray)(税別¥13,800,000.) http://www.vitusaudio.com/en/121301-SM-102 ……………………………………………………………………………… ▽ ▽ ▽ Vitus Audio-Andromeda Speaker cable 3.0m(税別¥2,120,000.) http://www.cs-field.co.jp/brand/vitus/products/andromeda.html and Kimber Kable Select KS-9038 Bi-wire Jumpers(税別¥200,000.) http://dm-importaudio.jp/kimberkable/lineup-ka/l4/Vcms4_00000167.html ▽ ▽ ▽ ……………………………………………………………………………… HIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCS Improved (1Pair ¥14,250,000.) http://www.hiro-ac.jp/ ……………………………………………………………………………… Kimber Kable Select KS-9038 Bi-wire Jumpersこれを外したのです!! これはという選択のスピーカーケーブルが1ペアしかない時には、今までにも KS-9038ジャンパーケーブルを使用してきました。そのような場合には私は 必ずバイワイヤーターミナルのミッドハイ側にパワーアンプからのケーブルを つなぎ、中高域を最優先してからウーファーへとジャンパーケーブルをつなぐ ことを実行してきました。 先にウーファー側につないでから、ミッドハイにジャンパーで接続するという 方法は肝心な中高域の質感を保つためには認められなかったのです。しかし、 先ず最初にアンプからミッドハイにつないでいるのだから、低域に問題なしと 前回の曲で判断していたのですから、ジャンパーを外しても変化しないのでは ないかと私は考えていたのです。 しかし、他にいじる要素がないのでSM-102の空いている出力端子に、もう1ペア のスピーカーケーブルをつなぎ、MODEL-CCS Improvedをバイワイヤー接続として 下記のケーブルをつなぎ直してみたのです。 Vitus Audio-Andromeda Speaker cable 3.0m(税別¥2,120,000.) http://www.cs-field.co.jp/brand/vitus/products/andromeda.html and Cardas Audio Clear 2.5m (税別¥636,000.)★低域用 http://www.taiyo-international.com/products/cardas/speaker/#beyond こんなところに落とし穴があるはずなかろう、Kimber Kable Select KS-9038は これまでにも多用してきた信頼できるジャンパーケーブルなのだから。と、 半信半疑で配線を変更して再度センターポジションに戻り、同じ曲を全く同じ ボリュームでスタートしたのです。すると… 「あー!!こんなことあるんだ!!これですよこれ!!これがHIRO Acousticだ!!」 大げさに言えば戦慄が走りました!!この音が出れば言葉で表現できるぞ!! 私は単純な配線変更がもたらした変化の大きさに狂喜し、そうであれば更に ウーファー側のケーブルのグレードを上げてみようということで…。 Vitus Audio-Andromeda Speaker cable 3.0m(税別¥2,120,000.) http://www.cs-field.co.jp/brand/vitus/products/andromeda.html and Cardas Audio Clear Beyond 2.5m (税別¥1,174,000.)★低域用 http://www.taiyo-international.com/products/cardas/speaker/#beyond これがまた効果ありです!!HIRO Acousticのウーファーは見事に反応するのです!! これで以前の音質と違うという事が確認され、今までもやもやしていた私の 欲求不満の原因と傾向が比較の上で語れるようになりました!! パワーアンプから直結させてHIRO Acousticのミッドハイ側にスピーカーケーブル をつないでいたのですから、中高域には問題はずだと思っていましたが全く 逆の現象が確認されたのです。 ジャンパーケーブルを外したとたんにオーケストラの質感が豹変したのです!! バイワイヤーにした瞬間からオーケストラの各パートが発する楽音の質感に 変化が表れてきました。それはVitus Audioのせいではなかったのです!! 今だから言えるのですが、ジャンパーケーブルを使用していた時には、音源で あるHIRO Acousticは除幕式のように薄いベールに覆われていたのです!! 私が最も美しいと感じる楽音が消滅して行く寸前の空気感、漂うような余韻が 微小な響きとして滞空時間を意識させ、楽音の潤いに必要な微細な残響を発見、 これらの要素がジャンパーケーブルを使用していた時にはなかったのです!! ところがバイワイヤーにしたとたんに出てくるわ出てくるわ!! パワーアンプから直結していたミッドハイの入力端子に対して、ジャンパー ケーブルを通じてウーファーからの逆起電力がフィードバックされていたと いうことでしょうか、その現象をHIRO Acousticは教えてくれたのです!! 更にウーファー用ケーブルのグレードを上げることで、MODEL-CCS Improvedの ウーファーに対する情報量も拡大したようで、弦楽器の質感と厚みが向上し、 オーケストラ全体のグラデーションに明確な響きの区分と解像度が表れたのです!! これには参りました。今まで時間をかけてバーンインを続けていた理由、私が まだ熟していないと思い込んでいた原因が実はVitus Audioではなかったのです!! -*-*-*-*-*-*-*-*-*- スピーカーケーブルだけで329万円という贅沢なバイワイヤー配線を行い、 更に一晩エンハンサーをリピートさせてからの今日の音。絶品です!! マーラー交響曲第一番「巨人」第二楽章を聴き始めると、何と私の呼吸が演奏 に同期してしまいました!! 流麗な弦楽器の質感はこれまでのHIRO Acousticの音質にはなかった美しさ!! ふくよかであり繊細であり、しっとりとした質感はかぐわしい芳香のように 私を包み込み、弦楽器の合奏が何層ものレイヤーで目の前に現れると思わず 私はすーっと心地良い香りを吸い込むかのように音楽を体内に吸収しようと 無意識のうちに横隔膜が反応してしまうのです!! これでこそVitus Audioという純粋なA級動作のアンプがもたらした安堵感と 美的センスが見事に空気に溶け込んで、一服の幸福感を提供してくれます。 確かに高価なアンプです。でも、その価値観を実演をもって皆様にお知らせし ていくという私の使命を考えると、やっとこれでスタートラインに立ったという ことでしょう。これだったら皆様に自信を持ってお聴かせ出来ます!! オーディオシステムで味わう音楽の素晴らしさ、結論としては感動したという 一言で良いのですが、この私にして一週間という時間がかかりましたが、思考 錯誤の上で本質的なVitus Audioの魅力を抽出することに成功したという安堵感 が偽らざる心境です。 さあ、この音質を基準として明日から更に多くの曲を聴いていきましょう!! 私のこだわりから皆様に聴いて頂いて恥ずかしくない音が出てきました。 世界で唯一の素晴らしい音楽体験が皆様をお待ちしています!! |
担当:川又利明 |
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