発行元 株式会社ダイナミックオーディオ 〒101-0021 東京都千代田区外神田3-1-18 ダイナ5555 TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556 H.A.L.担当 川又利明 |
No.1173 2014年11月22日 「Googleで検索してもヒットしない未公開新製品をスクープ!!」 おいおい…、こんな音を聴かせられて入手困難とは、それはないでしょう〜。 私は早速納期はいつか、何本手に入るのか、というメールを送り週明けの 回答待ちという事になりました。そして、私はどうするのか… (-_-;) -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 私が体験する新製品には二種類あります。聴く前から大変期待しているものと そうでないもの!(これは失礼!) でも、それだけ素晴らしかったという事で! 実は、今回のスクープによる新製品はあまり期待していなかったのです(^_^;) 「店長、お時間のある時に聴いて頂きたいのですが。このケーブルです…」 と、実直そうな営業担当者が持参したケーブル。なになに、資料を見ると何と 0.8mで45万円とな!! ほほ〜、そんなに高いのか! 売れるかな〜と内心で呟く。 Googleで検索しても何も出てこない。もちろんメーカーのwebサイトの報道資料 にも掲載がないのだから無理もない事。そして、先ほど聴きました…。 「おー!!これは売れるぞ!!」と大逆転した私の結論。(^^ゞ もったいぶらないで早く正体を教えろ!! はい、ごもっともで… ^^; ■ Reference DC Cable for TAD-D600 ■ TAD-LN0208(0.8m)税別定価¥450,000. TAD-LN0215(1.5m)税別定価¥650,000. (TAD-D600に標準装備しているDCケーブルは0.8mです) ■正式なプレス発表用ではないと思いますが、一応TADの公式ファイルはこちら! http://www.dynamicaudio.jp/file/20141108-TAD_LN0208.pdf ■コネクタ部分をクローズアップした画像はこちら。 http://www.dynamicaudio.jp/file/20141108-tad_ln0208.01.jpg ■右側は付属品のDCケーブル。コネクタの高級感も違いますが、ケーブルその ものに触れた時の太さと充実感もまったく別物です!! http://www.dynamicaudio.jp/file/20141108-tad_ln0208.02.jpg -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 私が試聴したのは下記のシステム。このスピーカーは抜群に反応するからです。 「音楽を裸にするスピーカー登場!!その名はHIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCS!!」 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1160.html ZenSati Seraphim / Interconnect cable XLR 1.5m(1Pair 税別¥1,823,000.) http://www.zensati.com/ http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/960.html このケーブルを使ってプリアンプESOTERIC Grandioso C1に接続しています。 また、TAD-D600の電源部には下記のACケーブルとアイソレーターを使用。 TRANSPARENT PLMM2X+PI8(税別¥695,000.) http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER -*-*-*-*-*-*-*-*-*- とにかく驚き感動しました!! 最もインパクトが大きかったのは最初に聴いたダイナミックな演奏でした。 話題のディスクからボーナストラックのこの一曲です。 UNCOMPRESSED WORLD VOL.4 - on the piano http://accusticarts.de/audiophile/index_en.html 18.Kirk Montreux / ETERNAL DESERT(LA CALIMA EDIT) 私の習慣で先ずは付属品DCケーブルで聴き、その後にTAD LN0208に交換。 音の記憶が鮮明なうちにとはやる手を動かして急いでソファーに戻りました。 この曲はTAD-D600のカウンターが00:01を示した瞬間からピアノの弦を直接 ひっかく「ギィーン」という音からスタートします。 もう、この最初の一音からして違います。撚り合わされた起伏のある弦を 引っ掻いた時のざらっとした質感のパルシブな音が驚くほどの解像度を提示し、 一瞬のはずだった音が広大な空間に向けて放つ余韻感は先程までなかったもの! 前半は右手による高音階のピアノが転げるようにセンター左側で展開し、 それにぴったり同期するように右側では素早いギターの演奏が空間に浮かぶ。 そして、驚いたのは両者が構成する音場感が比較にならない程広範囲に展開し、 ピアノの質感にしっとりした響きの含みをまとわせ、逆にギターの切れ味が 一層鋭さを増すという相反する質感の向上が簡単に分かってしまうということ。 これには恐れ入りました。 ちょうど一分を経過する時に両者の演奏はゆったりと速度を落として、やがて 一瞬の無音状態…。そこから立ち上がるギターの力強いピッキングに見事に 連動する重低音が鋭く、そして打音の中心軸から左右両翼の広大な空間に向けて 残響の滞空時間をこともなげに延長して見せるとは何たることか!! この低音の充実感に伴って、ピアノが空間を舞うように展開し、フラメンコ ギターのような奏法で掻き鳴らされる鋭さが倍化するが逆に聴きやすい。 左チャンネルからはすぱっと切れるようなパーカッションが弾き出されるが、 このアタックの鋭さは先程までなかった!! インパクト応答が良いだけでなく 余韻感の素晴らしさが際立つ演奏に私は我が耳を疑ってしまう!! たった…、80センチのDCケーブルによってTAD-D600の情報量が激増する!! 一体型プレーヤーの宿命で、もうこれ以上は音質向上の方法はないとの思いを 完全に覆したTAD LN0208の登場!! これは安いのか高いのか!? TAD-D600のオーナーに捧げる音質進化はオーナーにしか価値観は伝わらない!! 私がお納めしたTAD-D600のオーナーの皆様へ、私は吉報としてお知らせしたい!! -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 昨日はTAD-D600の豹変ぶりに思わず興奮しての速報でしたが、あれから一晩 エンハンサーCDをリピートさせ、他の課題曲でも試聴する事にしました。 せっかく一晩コンディションを整えていたのですから、先ずはTAD-LN0208を つないだままで数曲の課題曲を聴くことにしました。このDCケーブルは コネクターにチャッキング・ホルダーがあるので一々回して着脱しなければ ならないので簡単に交換出来ません。 せっかく聴いた再生音の記憶が鮮明なうちにという事で、先ずは最小限の選曲 ということで次の四曲を先に聴き込んでおきます。 ■マーラー交響曲第一番「巨人」第二楽章 小澤征爾/ボストン交響楽団 ■Michael Buble / Crazy Love(Hollywood Edition) http://wmg.jp/artist/michaelbuble/WPCR000013987.html 1.Cry Me A River 2.2All Of Me 3.Georgia On My Mind HIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCSシステムからソースコンポーネントを ESOTERICからTAD-D600に変更しただけなのですが、一晩のバーンインで更に 磨きがかかった音質は秀逸の一言に尽きます。いいですね〜。ワンボディーで このパフォーマンスというディスクプレーヤーはそうそうありません。 いつもとは逆のパターンですが、Michael Bubleのディスクを入れたままにして ここで付属DCケーブルに戻してみます。そして、同じディスクをスタートすると… 「あー!!音場感が崩れてしまって空間がつながらない、こんな音だったかな〜」 この変化には驚きました。こんな音だったのだろうか…。Michael Bubleの ヴォーカルは上記の三曲では録音が違うのです。1.Cry Me A Riverと2.2All Of Meは ビックバンドをバックにしていて盛大な伴奏の遠近感と等しく、リヴァーヴを かけないで遠目の定位感になっていて、多数の伴奏楽器と距離感を等しくする ヴォーカルの位置関係なのです。 しかし、付属ケーブルに戻したとたんに、センターにヴォーカル、左右に伴奏 の楽器群が集団となってしまい、三極傾向で中間がぽっかり空いた印象です。 今までは右側のプラスセクションの盛大な音が左方向に雄大に広がり、左側の リズムセクションも同様に余韻感をクロスさせて右方向にも拡散していました。 そして、Michael Bubleのヴォーカルそのものも、豊かな声量を発揮して左右 両翼に展開していくパターンで各集団が相互に余韻感を交換するように空間が つながっていたものです。それが…、なんということでしょうか! 3.Georgia On My MindではストリングスをバックにしてMichael Bubleはオン マイクの傾向でぐっと距離感が近いヴォーカルとなっています。前の二曲よりも ふっくらした印象の声質で録音されており、伴奏のストリングスやゆったりと したベースを背後に配置した前後感が特徴。 ところが、ヴォーカルとバックの距離感がなくなってしまい平面的な展開に。 そして前の二曲とは違い、Michael Bubleのヴォーカルに深めにかけられた リヴァーヴの余韻感が希薄になってしまい、響きが空間に浸透していかない! 課題曲を二回ずつ六曲を聴くだけで違いが明らかな事を確認し、今度は恐る恐る マーラーの第一番を聴いてみることにしたのです…!? 「ありゃ〜、予想的中。参ったね〜、これじゃ戻れなくなっちゃうね〜」 MODEL-CCSの素晴らしい解像度はオーケストラの各パートを分解して聴かせる のではなく、弦楽器群の演奏者の数をしっかりと聴き手に認識させること、 つまり弦楽五部の50人の演奏者個々の音色があり、それが空間でほぐれている ことが聴き取れるという響きのレイヤーを忠実に再現することが本領なのです。 それが、定規で線を引いて横にした長方形を書いて、その中に弦楽器群を押し 込んでしまったかのように平面的であり、演奏の抑揚も乏しくなり潤い感が 減少した質感になってしまうのです。 その割にTAD-LN0208を使っていた時の極めて小さな光点として感じられた トライアングルの音像が大きくなっているではないですか。逆ですね〜。 つまり、ジャストフォーカスだったものがピンボケになってしまったのか!? いや〜、実に困りました。数日間でTAD-LN0208のデモ機はメーカーに返却しな ければならないのに、これからここで演奏するTAD-D600の音は付属品ケーブル しかないとしたら私の聴きたいレベルではなく、推薦しようという意欲も減退 してしまいそうです。一度味をしめてしまうという事は恐ろしい事です!!^^; 合計四曲を八回聴いて、付属DCケーブルのままで次の課題曲を聴いていきます。 ■“Basia”「 The Best Remixes 」CRUSING FOR BRUSING(EXTENDED MIX) スタジオ録音なのに素晴らしい空間表現がポイントの課題曲です。 ■DIANA KRALL「LOVE SCENES」11.My Love Is 最近お馴染の音場感と音像の比較にちょうどいい選曲です。 ■大貫妙子“attraction”「四季」は欠かせない選曲。 ■チャイコフスキー:バレエ音楽《くるみ割り人形》op.71 全曲 サンクトペテルブルク・キーロフ管弦楽団、合唱団 指揮: ワレリー・ゲルギエフ / これは1.序曲を集中して聴きました。 あまり多くの曲を聴くと記憶が薄れてしまうので、この辺でしょうか。 再度ラックの裏に回り4個のコネクターを回して8回の着脱作業を行います。 さあ、比較試聴の準備が出来ました。今度はTAD-LN0208に切り替えて上記と 逆の順番で聴いていくわけです。こういうパターンの方がいいですね〜(^^ゞ 《くるみ割り人形》序曲…。「あっ、ふっくらしている!!」 第一ヴァイオリンの主題がひっそりと左側から始まりますが、もうここで違う。 定規で引いた輪郭線など全くありません! ひそやかなアルコの繰り返しが余韻 を生み出してステージの下手に響きを運んでいく情景が見えるようです。 潤いをはらんだ弦楽器は響きの芳香を放つようになり、そのかぐわしい香りが 管楽器にも伝染し、特に木管楽器の質感が豹変している事に思わず口許が緩みます。 オーケストラの各パートが発した響きのレイヤーはスピーカー周辺に響きの 無重力状態を作り出したように空間に留まり、消滅までの時間軸が激増する。 いやはや、快感を覚えるホールエコーの美しさをたった80センチのケーブル、 しかも音声信号とは無縁のDCケーブルで作り出されてしまうのだから驚いた。 TADの開発陣に脱帽の思いでTAD-D600の進化をオーケストラで確認したのです! 大貫妙子「四季」…。「あっ、ヴォーカルがダイエットしたぞ!!」 驚きました。オーケストラの弦楽器とは逆のベクトルが表れたのです。 弦楽器でふっくらした響きと余韻感の増量に感激した私の予想はヴォーカルも 同傾向になるのではと考えてしまったのですが逆でした。何と、大貫妙子の ヴォーカルはチャーミングに口許を引き締めて音像が縮小しています!! 以前にも述べたように、この曲のヴォーカルにかかるリヴァーヴはバックに ストリングスが入って来るまでの二分程度で変化するのですが、凝縮された ヴォーカルのマウスサイズから発した美しいリヴァーヴが左右に展開し、更に パーカッションの鐘の打音の純度が高まっている事を同時に発見します!! そして、ストリングスの登場と共にスタジオエンジニアの指先がリヴァーヴの スイッチを操作して響きを減少させる職人技が見事に聴き取れることに感激!! いや、待てよ! 私は急に思い立ってリモコンで曲の頭出しをしてイントロに戻す。 あー!! やっぱりそうですね〜、ウッドベースの音像と質感にも変化ありです! DIANA KRALL 11.My Love Is…。「あっ、タイトな低音に変化したぞ!!」 ベースの変化を察知して急ぎ次の曲に進みます。それは、Christian McBride のウッドペースで確認したかったからです。そうしたら思った通りです!! HIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCSは低域のリサイクルを否定したスピーカー で低域の音像表現が素晴らしいことは何度も述べてきましたが、そのMODEL-CCS はこの時にも素晴らしい反応を見せてくれました。 DCケーブルの変更がここまで低音を立体化すると同時に音像を引き締めるとは 誰が想像したことでしょうか!! さあ、ここでも前曲の大貫妙子のヴォーカル で確認した変化が表れます。DIANA KRALLのマウスサイズも見事に縮小しています!! ただし、この曲の特徴である指を鳴らす音はオーケストラの管楽器の変化と 同じベクトルを示すのです。つまり、音の発生点はピンポイントにマークされ、 その瞬間的に見える音像は更にくっきりとして濃厚な一点を示すのですが、 そこから発生した余韻感があからさまに増加しているという空間表現の拡大。 いやいや、これには二度ぴっくりしました。連続する楽音・音声の音像の明確化と、 瞬発的に発した音が長い滞空時間の末に消滅するまでの描写力が見事に向上!! “Basia”CRUSING FOR BRUSING…。「チェロとバックコーラスが鮮明に!!」 同じスタジオ録音でも作り方の違う選曲。アコースティックな楽器と打ち込み による人工的なリズムセクションが巧妙にミックスされたこの曲でも発見が!! まず冒頭からのドラムの連打。これは打ち込みによるサンプリング音源の打音 だと思われますが、正確無比に繰り返される打音で立ち上がりの鋭さとブレーキ のかかった低音の制動感。ここからして違いが表れてきます。今までウッド ベースという連続する低音の音像変化を確認してきましたが、今度は瞬発的に 発生し瞬間的な打音できっちりと完了する楽音においても、TAD-LN0208の貢献度 がこれほど大きかったという事を実感されられました。これはいいです!! 冒頭のリズム楽器が長いイントロを終える頃、その次にチェロがセンターより 少し右側に登場します。このチェロはホールでの録音のように大きな空間での 響きを持たせたものではなく、スタジオ録音で明確な音像提示を行いつつ、 そこから発した響きをスタジオワークとして上手にリヴァーヴで味付けしたもの。 このチェロの鮮明さが明らかに違っているのですが、ヴォーカルに起こった 変化も納得出来るというもの。 そのチェロと入れ替わるようにしてオーバーダビングしたバックコーラスが 左右スピーカーの中間にふわっと浮かび上がる素晴らしさ。そもそもバック コーラスですから明確な音像というものを見せずに、空間に漂うような雰囲気の 録音に仕上げているわけですが、前述のオーケストラにおける弦楽器で響きの 芳香と比喩した状況と全く同じベクトルで中空に浮かぶ連続音の鮮明さが向上 しているということを確認しました。しかし、変化する項目は聴けば聴くほど 増えていくのですから楽しみは尽きません!! あっ、“Basia”のヴォーカルですか? もう説明の必要はなさそうですね!! もう、このTAD-LN0208は返したくなくなってしまいました。なぜかって…!? それはTAD-D600の潜在能力がここまであったという事実を知ってしまったから に他ならず、従来の付属ケーブルで演奏することはお客様のためにならないと 断言出来てしまうからです!! 本格的な生産はいつからか、そして月産何本作れるのか。 しかし、下記のように私も半信半疑だったのですから、聴かないと分からない ものです。次回はTAD-R1MK2で聴かないといけませんね〜。 TAD-LN0208をここに常設できるかどうか。それ次第でしょうか! 最新情報を用意して皆様のお問い合わせをお待ちしております!! |
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