発行元 株式会社ダイナミックオーディオ 〒101-0021 東京都千代田区外神田3-1-18 ダイナ5555 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556 H.A.L.担当 川又利明 |
No.116 「久々の感動、進化していたクレルでノーチラスが生まれ変った!!」 |
私の夏休みがあけて早々のこと、8/11はかねてから予定していたノーチラスシステムにセットアップするためのクレル・アンプ群の搬入の日である。一回では積みきれないため二日にわたる搬入となった。午前中からはじめてようやく音が出始めたのは午後三時過ぎになってからと久々の大セッティングとなった。用意したのは650MC、350MCを2セット、250MC、と合計8台のモノラルパワーアンプと同社の新型プリアンプのKCT、そしてMRSという錚々たるラインアップである。
価格にして1.819万円、重量にして約560キロ、いやはや汗だくのセッティングである。そして、PADのRLSシステムによるノーチラス専用スピーカーケーブルを何としても使いたいということで、片側4台のヘビー級のパワーアンプを密集体型としてレイアウトしなければならないので仕上がりは次のようなセッティングとなった。
翌日の土曜日、この日は午前中から試聴のお客様が来店された。今まで他店でオーディオを揃えたのだが、進むべき方向もわからず納得のいかない現在のシステムに対して今後の展開をアドバイスして欲しいという熱心な方である。私はノーチラスが現在考えうる最高のスピーカーのひとつと信じており、まずはどなた様にも聴いて頂くことにしている。もちろん、誰彼かまわず無分別にノーチラスをお勧めしているわけではなく、一人一人の都合に合わせて提案をしているのだが、オーディオを使っての音楽鑑賞でユーザー個々が進んでいくべき道を示すための判断基準としては最良のサンプルとなっていることは間違いはないのである。その証拠に「川又さん、これが私が求めていた音ですよ。いやぁ、今日は来た甲斐がありました。具体的には…。」という展開になってしまった。 それではと、とっておきの低域観察用のソフトを取り出してきた。以前のブリーフニュースNo.098気絶するほど悩ましい!スーパーノーチラスで聴く“Fourplay”」http://www.dynamicaudio.com/hal/brn_old.htm で紹介しているフォープレイの「ベスト・オブ・フォープレイ」(WPCR1214)である。この5トラック目の「チャント」のイントロで展開するハーヴィー・メイソンの強烈なフロアータムの音にドキッとする。これも以前に組み合わせていたジェフロウランド・モデル12において、PADのRLSノーチラス用スピーカーケーブルに光を入れた瞬間に感じた以上の違いがあるではないか。今まで目に見えていたウーファーの挙動がピタッと制動され、ズシーンと余韻と思っていた響きが見事に圧縮されてしまったようである。いやいや、響きが圧縮されてなくなってしまったということではない。本来がそれほどスピード感をもって立ち上がり、そしてパニックブレーキをかけたように立ち下がっていたということなのだろうか。「なるほど、スタジオ録音の鮮明な低域のあり方はわかった。それではホール録音のオーケストラではどうなんだ」と次のディスクを用意した。リファレンスレコーディングのクラシックオーケストラ・サンプラーの「Tutti!」(REFERENCE RECORDINGS RR-906CD)である。http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/100.html その一曲目がEiji Oue/minnesota Orchestraのニコライ・リムスキー・コルサコフDance of the Tumblersである。フルオーケストラとグランカッサの強烈なフォルテが連打されるのだが、これも今までホールエコーだろうと思っていた低域の残響がすっと引き締められている。そしてグランカッサの表現が面ではなくステージの奥にちゃんと輪郭として捉えられるようになったではないか。とすれば、いままでこいうものであっただろうと認識していた低域の空間表現は一体なんだったのか。 疑り深い私は、これほどの低域の駆動力という印象はチャンネルディバイダーの違いによるものではないかと、付属のものとクレルのオリジナルと二台のチャンネルディバイダーを切り替えて同じクレルのアンプ群で聴くという実験もしてみた。もちろんチャンネルディバイダーによる質感の相違はあるものの、チェックポイントとしていた演奏の随所ではやはり650MCのマッスルな支配力が大きく感じられた。まったく650MCによるノーチラスのウーファーにおける変貌ぶりが、長らくJeff Rowlandをリファレンスとしてきた私の認識に根本からの更新を促すこととなった。
これは、既にノーチラスを使用されている方、そしてこれからの計画にエントリーしている皆様には絶好のサンプルとなる演奏であると私も太鼓判を押すことになった。そして、熱いノーチラスの変貌には更なる驚きが…。
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