発行元 株式会社ダイナミックオーディオ 〒101-0021 東京都千代田区外神田3-1-18 ダイナ5555 TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556 H.A.L.担当 川又利明 |
No.1021 2013年3月18日 【感動体験⇒H.A.L.'s impression!!-No.52がもたらしたMarkLevinsonの進化とは!!】 「H.A.L.'s impression!!-No.52がもたらしたMarkLevinsonの進化とは!!」 人は美味しいものを食べたら瞬間的に「美味い!!」と舌と大脳の連携による 味覚で直ちに反応するものです。そして、二口目、三口目と口に運ぶ度に違う 風味や触感を味わい感動と納得の領域に達するということでしょうか。 では、耳と大脳で音を判断する聴覚でも同様なことがあるのか、と言いますと 誰しもが経験のあるように第一印象が良ければ、その後も良いものでしょう。 しかし、その第一印象で瞬間的にオーディオシステムのグレードを推し量り、 試聴の継続によって耳での味わいから感性での分析へと進行する過程において、 私の直感によって判定する音質レベルというハードルは相当高いものと自負 しており、それを超えるものはユーザーにとっても間違いのない選択として 推薦の根拠となるものです。そうです、H.A.L.の音質基準は高いのです!! そこに…、MarkLevinson No.52が遂にやってきました!! http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1005.html 外気温が10℃未満という寒い冬となった今年、冷たいボディーのNo.52をここに セットアップして、電源投入後に聴いた第一声は長らく私の記憶に残る第一印象 となったことを最初に述べておきたいと思います。 この日のために聴き続けて音質的基準を作っておいた下記のシステムによって、 やはり課題曲として聴きなれた大貫妙子の「四季」は格別だった!! http://www.onukitaeko.jp/ ◇ H.A.L.'s Sound Recipe / MarkLevinson No.52-inspection system ◇ ……………………………………………………………………………… ESOTERIC G-01(税別\1,350,000.) http://www.esoteric.jp/products/esoteric/g01/index.html and TRANSPARENT PLMM2X+PI8(税別\695,000.) http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER and finite element Pagode Master Reference Rack/HD02+CERABASE 4P(税込み\870,000.) http://www.axiss.co.jp/fFE.html ……………………………………………………………………………… ▽ ▽ ▽ ESOTERIC 7N-DA6100 BNC(Wordsync用)×3(税別\720,000.)★生産完了 http://www.esoteric.jp/products/esoteric/mexcel/index.html ▽ ▽ ▽ ……………………………………………………………………………… ESOTERIC P-01+VUK-P01(税別\2,500,000.)★Black Ravioli BF-2×4 http://www.esoteric.jp/products/esoteric/p01/ and TRANSPARENT PLMM2X+PI8(税別\695,000.) http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER and finite element Pagode Master Reference Rack/HD02+CERABASE 4P(税込み\870,000.) http://www.axiss.co.jp/fFE.html ……………………………………………………………………………… ▽ ▽ ▽ ESOTERIC 7N-DA6300 XLR 1.0m×2 (税別\560,000.)★生産完了 http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7nda6300/index.html ▽ ▽ ▽ ……………………………………………………………………………… ESOTERIC D-01+VUK-D01(税別\2,500,000.) http://www.esoteric.jp/products/esoteric/d01/ and TRANSPARENT PLMM2X×2+PI8(税別\935,000.) http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER and finite element Pagode Master Reference Rack/HD02+CERABASE 4P(税込み\870,000.) http://www.axiss.co.jp/fFE.html ……………………………………………………………………………… ▽ ▽ ▽ STEALTH Sakra balanced XLR / 1.0m (税別\1,400,000.) http://www.stealthaudiocables.com/products/Sakra/sakra.html ▽ ▽ ▽ ……………………………………………………………………………… MarkLevinson No.52(税別\3,300,000.) http://www.harman-japan.co.jp/marklev/preamp/no52/ and TRANSPARENT PLMM2X+PI8(税別\695,000.) http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER and finite element Pagode Master Reference Rack/HD02+CERABASE 4P(税込み\870,000.) http://www.axiss.co.jp/fFE.html ……………………………………………………………………………… ▽ ▽ ▽ ESOTERIC 7N-A2500/XLR 7.0m(税別\2,280,000.) http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7na2500/index.html ▽ ▽ ▽ ……………………………………………………………………………… Mark Levinson No.53(1Pair 税別\7,200,000.) http://www.harman-japan.co.jp/marklev/poweramp/no53/ and TRANSPARENT PLMM2X×2+PIMMX×2(税別\1,440,000.) http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER ……………………………………………………………………………… ▽ ▽ ▽ Viard Audio Design Platinum speaker cable 3.0m(税別\900,000.) http://www.take5japan.com/ja/product/platinum/viard-audio-design-platinum-hd-speaker-cables ▽ ▽ ▽ ……………………………………………………………………………… Technical Audio Devices TAD-R1MK2(1Pair 税別\7,000,000.) http://tad-labs.com/jp/corporate/press/120830_01.html ……………………………………………………………………………… 左右のTAD-R1MK2中心軸の距離は3.6m、トゥイーターから私の耳までは約4.6m というトライアングルでセットしたシステム構成は正にこの時を待っていたのか!? 小倉博和のギターと高水健司のウッドベースで始まる大貫妙子の「四季」では 電源投入直後にも関わらずMarkLevinson No.53とのペアリングが絶妙である ということが先ずは直感された。この第一印象は私の設定したハードルに対して こともなげに見事な跳躍を見せ、さすがという第一声から私を虜にした!! 期待を裏切らなかった出会いではあるが、初日の音質レベルは相当に高いのだが やはりバーンインしてから本領発揮するもの。エンハンサーCDを一晩リピート させて、今回与えられた二日間という時間で可能な限りの試聴を行う事にした!! 二日目は土曜日という事もあり、また配信では某社新製品のアンプが聴けると いうことで謎めいた紹介をしたこともあり、ご来店も相次ぐ中で私は一曲でも 多くをとむさぼるように聴き続けました! 【新発見⇒H.A.L.'s impression!!-ESOTERIC C-02の素晴らしさ!!】 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1007.html この曲でのインプレッションは上記のブリーフニュースで詳細に述べているが、 MarkLevinson純正のプリアンプとパワーアンプという組み合わせにおいて、 再生音の中に巧妙に作られたバランス感覚を私は発見していた。 いや、むしろ…ここの環境とシステム構成のレベルの高さということから、 MarkLevinsonの設計者たちも知らないであろう比較試聴の上で私は記憶の中に No.52のファイルを書き込む事が出来たのです!!二日目のNo.52は聴かせました!! -*-*-*-*-*-*-*-*-*- ■大貫妙子“attraction”「四季」 http://www.onukitaeko.jp/ この曲では、「求め続け待ちぼうけの あなたのいない季節」のフレーズまで のヴォーカルには深いリヴァーヴがかけられているという発見をしたことは 述べていました。 このリヴァーヴが絞り込まれるまでのパートが重要なチェックポイントとして 私はMarkLevinson No.52+No.53のコンビネーションを聴いてみました。すると… 「いやいや余韻感の滞空時間が素晴らしい!!しかもヴォーカルの音像が…!?」 MarkLevinson No.53というパワーアンプの魅力を再発見しました。8オームに おける定格出力は500Wもあるが、この場合に必要な入力電圧は2.89Vです。 という事は、プリアンプNo.52から出力される電圧が2.89Vになった時に500Wの パワーをインピーダンス8オームのスピーカーに送り込むという事になります。 そして、TAD-R1MK2の定格インピーダンスは4オームなので、上記の事例では プリアンプ出力が2.89Vだったとしたら、この組み合わせでは1000Wが出力 されるという計算になります。 No.52の最大出力はバランスXLR端子で何と16Vという設定になっています。 これを独自のソリッドステート・ステップアッテネーター・ボリュームにより、 -80dBまで絞り込めるようになっています。つまり、無歪み最大入力時の信号を 最小ボリュームまで絞った時は0.0016Vということになります。 それは、レーザートリムド・メタルフォイル・レジスターの精密な切り替えに よって行われ、-80dBから-57dBの範囲は1dBステップで、-57dBから-0dBという 主に使用される音量の範囲では0.1dBステップというキメ細かい約600ステップ で調整出来るのです。しかも、ボリュームノブの回転速度に比例してボリューム 変異のカーブを三種類のオプションから選択できるという細かい設計がなされています。 さて、No.52が0.00289Vを出力した時にNo.53の出力は0.063V≒0.001Wとなり スピーカーは0.001Wの電力を受け取る。インピーダンスが4オームで能率が 90dBのスピーカーなので、その時の音圧は約60dBということになります。 これらの関係はオーディオジェネレーターで正弦波を一定の電圧でプリアンプ に入力して、パワーアンプの出力に固定抵抗をつなげて発生する電圧で測定 できる関係です。 ですから、プリアンプのボリュームを一定にして電圧ゲイン26.8dBのNo.53と いうパワーアンプとインピーダンス4オームというスピーカーでの関係であり、 プリとパワーアンプの両者における伝送の枠組みをイメージして欲しいのです。 何でこんな面倒な事を述べるかと言いますと、No.52+No.53のコンビネーション で感じる余韻感の消滅までの過程、響きの消え方が実に自然で素晴らしいからです!! MarkLevinson No.53というスイッチング/デジタルパワーアンプは私が知り得る 他社のデジタルアンプ、クラスD方式アンプと比較して、これ程濃密な響きを 再現し、しかも余韻感の美しさはNo.52という伴侶を得て益々磨きがかかった ということを実感させられました。 それは上記のようにプリアンプの出力電圧がスピーカーへの0.001W出力時の時で、 No.52が0.00289Vを送りだす際の、更にそれよりも低い0.0016Vまでもコントロール の領域としていることもあり、微小信号の伝送に素晴らしい能力を有している ということの証であると考えられます。 残響成分は楽音の発生から消滅に至る全ての時間軸で付加されているものであり、 それが再現できるかどうかで楽音の美しさが決まると言っても過言ではありません。 No.52+No.53のペアリングは、その能力を最大限に引き出していることが、 今までに体験したことのないNo.53の魅力として再認識させてくれました!! そして、もう一つ。私のように何回も同じ曲を聴き直し比較していると思わぬ 個性の現出を新発見するものです。それは、ヴォーカルとバックの演奏の対比、 音量感というポイントです。再生音全体のボリューム感というもので体感上の 音量を同じくしても、他社のプリアンプでNo.53を鳴らした時とは違うのです!! この曲での伴奏楽器はギター、ウッドベース、ピアノ、ストリングス、そして 各種パーカッションで構成されています。これを何度となく同じパワーアンプ を固定して他社のプリアンプで聴いてきましたが、イントロからのギターと ベースの音量を基準にしてボリュームを設定すると大貫妙子のヴォーカルが 始まると異様に音量感が大きくなってしまったという経験があります。 これはなぜと疑問を感じながらヴォーカルの音量感でちょうど良いところに 設定すると、今度はバックの伴奏楽器の音量感が小さく感じられてしまうのです。 そんな幼稚な現象があるのかというと、実際にパワーアンプを固定しておいて、 プリアンプのみを色々と切り替えてみると私の耳では感じてしまう現象なのです。 例えば、ヴォーカルの音量感を山の頂上の高さとして、バックの楽音の音量との 対比をイメージすると、某社のプリアンプをこのシステムで聴くと山の稜線が 急激に落ち込む急な傾斜のマッターホルンのような山をイメージしてしまいます。 これは伴奏楽器とヴォーカルとの対比とも言えますが、実はヴォーカルの口許 から発した声という音像サイズと、その残響成分が拡散していく領域の広さと いう観察点でも同様なことがありました。 私はヴォーカルの口許、音像が極力引き締まって小さく描かれる事を好みますが、 それは十分な余韻感が周囲の空間に感じられることを大前提としています。 その意味では他社のプリアンプでもリヴァーヴの描写力はひとつの情報量として 十分な品格を備えた表現をするのですが、どうも余韻感の拡散領域が狭くなり その範囲内で響きが消滅していくという現象を感じとってしまいました。 もちろん、それもスタジオ録音の緻密な楽音の音像表現と解像度の素晴らしさ を売り物にする録音作品だったら大きなお世話ということになってしまうでしょう。 しかし、二日目にして熟してきた感のあるNo.52+No.53のペアリングでは、 演奏の主従関係、つまりヴォーカルとバックバンドの音量感という視点で抜群 のバランス感覚を見せてくれたのです。 前述の山の稜線の傾斜のあり方をイメージして頂くと、No.52+No.53が聴かせる 大貫妙子のヴォーカルはくっきりとした口許の表現を克明な解像度で描くと いうことはもちろんなのですが、その響きの消滅に至る音場感の拡散は唇を 頂点として正に富士山のように、なだらかで広大な裾野が広がるように響きの 領域が緩やかに広範囲に拡散していく美しさがあるのです!!これはいい!! バックバンドの伴奏に埋没することなく、またセンター定位のヴォーカルが 浮き出る事もなく同じステージ、同じ音場感の中で展開する安定感がいい!! ■Stereo Sound Flat Transfer Series/石川さゆり「天城越え」 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/990.html 日本製のプレーヤーとスピーカーを使っているから日本のヴォーカルばかり 聴いているかのように思われるといけないのですが、単純に最近試聴に使う 頻度が多く、課題曲として試聴した回数だけ記憶のファイルが多いということ で分析がしやすいからです。しかし…この曲ではイントロからしびれました!! 演歌の録音でこれほど美しい弦楽器の音が聴けるとは、このディスクを所有 している人でないとこの録音の素晴らしさは分からないものでしょう。 TAD-R1MK2がこれほどの音場感を発揮するとは驚きです。TAD-R1MK2の蒸着ベリ リウム振動板CSTは同軸型音源として緻密な定位感を示すのですが、左右両翼 に広がる余韻感はNo.52+No.53のペアリングが明らかに効を奏しています!! そして、石川さゆりのヴォーカルが入ってきます。すると気が付いたことが! 「えっ、ヴォーカルのバックでクラベスが叩かれてる!?えっ、ホントに!?」 音場感の広大な再現性に心奪われていた私はもう一つの発見をしました。 これを何回聴いたか、しかも当フロアーの展示システムすべてで聴いてきたこの曲。 石川さゆりの背後で、こんなクラベスの音が入っていたなんて知りませんでした!! このクラベスの他にも、三味線、鼓、キーボード、ドラム、エレキベース、 エレキギター、鈴、二種類の琴、など10種類もの伴奏楽器はセンター定位なのです。 その全てが前述の富士山型余韻のリヴァーヴが施され、特に三味線や琴などは センターから左右へと盛大な余韻感の拡散を見せるのですが、ヴォーカルの 音像とは見事なセパレーションで再現され混濁する気配は全くありません!! 私達が両手の指を交互に絡めて合掌しても一本一本の指がきちんと認識される がごとくの再現性、TAD-R1MK2のCSTが本領を発揮しての定位感の見事さと音場感 の両立に感動しながら石川さゆりの歌唱力の素晴らしさに感動しました!! そして、アルコで演奏していたストリングスが2フレーズだけピッチカートで 囁くような伴奏をセンター左よりの空間に展開しますが、そのデリケートな 響きがほんのりと空間に薄紅色をまぶしていくような色彩感の乱舞にため息です!! ■Stereo Sound Flat Transfer Series/石川さゆり「朝花」 http://www.stereosound.co.jp/cd/index/ss/sscdr002/ この曲はセンターと左側のTAD-R1MK2の中間に先ずギターソロが登場するという イントロから始まり、程良くリヴァーヴをまとい演歌のコブシを利かせない 石川さゆりのヴォーカルがスピーカー中央の空間にふ〜と浮かび上がります。 この時のギターのアルペジオの一弦一弦の描写力、その弦一本一本の爪弾きに 施されたリヴァーヴによる空間表現の素晴らしさ!! ここでも富士山型余韻の 見事な透明感とギターの胴が響く低音階の質感の充実が素晴らしいのです!! やがてセンターと右チャンネルスピーカーの中間にもう一人のギター奏者が 絶妙なハーモニーで加わってきますが、ギター奏者の背後にヴォーカルの リヴァーヴが奥行き方向に拡散していく情景が目に見えるようです!! デジタルアンプであるNo.53のウルトラ・ローノイズ・パワーサプライは実は 4個の巨大な47,000μF 低ESRコンデンサーと、電源磁界がオーディオ回路に 影響を与えないようシールドケース内部に納められた特大2.8kVAローノイズ・ トロイダル・トランスフォーマーという構成のアナログ電源。 伝送系は純粋なアナログアンプのNo.52は、実はAC リ・ジェネレーション・ パワーサプライということで、左右チャンネル用の独立したユニバーサル・ ボルテージ・スイッチング・パワーサプライ採用により、商用AC 電源を高効率 に直流化、強力なクローズドループ・パワーアンプにいったん入力。 この低歪パワーアンプに、内蔵オシレーターによる正確無比な200Hzの正弦波 信号を送り込むことにより、クリーンでパワフルなAC電源を再生成します。 最後にバンドパス・トランスにより電気的絶縁とフィルタリングを実施。 レクティファイア・ブロックとハイスピード・レギュレーターによりノイズと THDを抑えたウルトラクリーンな直流電力を作り出し、アンプ内の各ステージ にダイレクトに電源供給しています。 アコースティックギター二本だけという伴奏とヴォーカルが微小な余韻感を 私の眼前に展開し、その余韻の裾野がなだらかに広がり消滅していく過程を 繰り返し聴き続け、No.52+No.53両者の電源設計がいかに貢献しているかを 実感したものでした。静けさの中にこそ静寂があり、微小信号である余韻の 最小単位という響きの残滓を克明に描くコンビネーションに舌を巻きました!! ■マーラー交響曲第一番「巨人」第二楽章 小澤征爾/ボストン交響楽団 聴き始めて最初に思わず胸の内で喝采を叫ぶ!! 「いい!!実に素晴らしい!!こんな見事な弦楽を聴かせてくれるなんて!!」 一般的な弦楽五部の編成は1stヴァイオリン(16)2ndヴァイオリン(14)ヴィオラ(12) チェロ(10)コントラバス(8)で50名というケースが多いが、マーラーなどは時に 60名を超える編成もあり得る。 これを2チャンネルステレオで再生する時に、幼稚なシステムだと音階の高い ヴァイオリンでは1stと2ndが一緒くたになって左チャンネルから、低音階の コントラバスが右チャンネルからという定位感で終わってしまっている場合もある。 しかし、実際のオーケストレーションを冷静に観察してみると単純に左に高音、 右に低音という振り分けになっていない事は多くの皆様がご存じでしょう。 もちろん、指揮者の裁量によってコントラバスの位置などは演奏会ごとに異なる こともあり、私がサントリーホールで以前聴いた「巨人」ではステージの左側 にコントラバスが配置されていたことを思い出します。 さて、この最も聴きなれたオーケストラを聴き始めた時に弦楽五部の配置が 以前にも増して鮮明にくっきりと認識できたということが驚きだったのです。 誤解のないように追記すれば他社のプリアンプではこんな基本的な再現性が ないのか、という事ではありません。 No.52+No.53のペアリングが醸し出す弦楽器の質感が実に豊潤であり、響きの レイヤーが細やかに再現され、私の耳で感じる美意識を強く刺激したのです!! 1stヴァイオリンは左チャンネルのTAD-R1MK2を中心にセンターとの中間定位を 見事に実現しステージの中央付近にいるコンサートマスターから左側への 順列を滞空する面として再現される素晴らしさ!! そして、2ndヴァイオリンはその向こう側にわずかに位置をずらしながらも 存在感を示し、1stヴァイオリンの主題の演奏にしっかりと絡むハーモニーを 同方向に位置しながら分離して聴かせるという奥行き感の再現性が凄い!! 右側へ向けてはビオラの主席がいるセンター付近から12名という序列での面と して、RチャンネルのTAD-R1MK2へ向けてしっかりとヴァイオリンパートとの 掛け合いを展開する情景が的確に再現されるあり様に聴き惚れる!! この録音でのコントラバスはRチャンネルのTAD-R1MK2とセンターの中間にあり、 ビオラよりもステージの奥に位置していることが解かる程に解像度が凄い!! チェロはコントラバスの左側に位置していますが指揮者のちょうど向こう側で 少し距離感を持って演奏者たちのディティールを音源のスピーカーユニットが 存在しない中空に浮かび上がられる妙味はため息を催すほど!! そして、圧巻なのは各パートのppくらいの音量で演奏するフレーズの余韻感が 何とも瑞々しく感じられることと、チェロとコントラバスのピッチカートの 低音階での振る舞いが細かく聴き手に伝わるリアルさだろう。 ステージ左右と上空に向けて弱音であるはずのピッチカートの残響を、ほん のりとパステルカラーに色付けされた空気感とする響きの連鎖をスピーカー 周辺の空間にもたらす快感は私も未体験のものかもしれない!!素晴らしい!! このゆったりとした低音階のホールエコーの美しさは、グランカッサのヘッドに 触れるような叩き方で奏でる打楽器の残響を見事に存続させるという局面でも 感じられるものであり、管楽器のソロパートの響きがスポットライトを浴びて ステージ上でのポジションを緻密に認識させてくれるという美点を伴う!! 弦楽五部で高い音階から低い音程へと1stヴァイオリンから始まりチェロまで、 受け持つ主題の連鎖は完璧にステージという空間に一体感を与え、弦楽器の パートごとの引き継ぎはスコア―の紙一枚が入る隙間もないくらいに密接な 連係でメロディーをつづっていく。いやー、実に、見事なオーケストラだ!! No.52に投入された新技術、すべてのアクティブサーキット用基板に新素材 "Nelco N4000-13SI"プリントサーキット・ボード6層基板を採用していること。 それはシグナルパスを最短化しながら、ロスのない電源供給ラインと厳格な アースラインとを理想的にパターン化した成果。最新のサーフェースマウント・ プリントサーキット素子採用により、パーツレイアウトを最適化しながらサー キットそのものをコンパクトに構成したことで実現されたシグナルパスの最短化 という基本通りの必然性。それによって実現されたハイスピードな伝送、増幅 がオーケストラの再生音にもたらしたMark Levinsonの進化ではなかろうか!! ■H.A.L.'s Original Edition : GUSTAV MAHLER Symphony No.3 in D minor マーラー:交響曲第3番ニ短調 : Direct Cut SACD / 第一楽章冒頭 http://www.dynamicaudio.jp/5555/7/GUSTAV_MAHLER.html 冒頭から26秒間で演奏される6本のホルンの斉奏を聴き、その背後にダイナミック なグランカッサが打ち鳴らされた時、私の背筋に何かが駆け上ってきた!! 左右スピーカーの上空に飛び散るように大きく広がり展開するホルンの斉奏が 今までにない輝きを帯びているというは錯覚だろうか!? 前述の低音階でのホールエコーはこのDirect Cut SACDで数割増長されたかの ようにTAD-R1MK2のウーファーを揺さぶり、打音の後の響きが地を這うような 重量感を伴って私を包み込むように展開する。 それはライブ録音であるということを、聴衆のさざめくような気配を録音に 含めることで示し、ホルンの斉奏の後にやってきた静寂の一瞬に暗騒音として 客席の熱気を垣間見せる。 そして、ESOTERIC P-01のカウンターが1分20秒を示した時、右チャンネルと センターの中間でコントラファゴットのソロパートが独特な旋律を吹く。 詳細に言えば1オクターブ上で全く同じ旋律を普通のファゴットも演奏して いるのだが、トランペットが放つ輝くような楽音の影に当たるような存在の コントラファゴットの演奏が克明に聴き取れたことに一種の興奮を覚えた!! No.52+No.53のペアリングはオーケストラの演奏を聴けば聴く程に新しい発見を もたらし、オーケストラの各パートを分解しながら聴こうとしている私の耳に 一瞬だけ分析する瞬間を与えたかと思うと、知らぬうちにステージの全景に 視野を広めさせるような安心感をも与えてくれ、音質を精査しようとする私を いつの間にか音楽の流れに連れ戻してくれるのです。それも心地良く!! http://www.harman-japan.co.jp/marklev/about/ 1999年に発表された前作、No.32Lで回路設計を行ったサーキットデザイナー Mr.Darrell Hayesが先進素材と最新パーツを駆使して14年ぶりに完成させた No.52は私の想像をはるかに上回るパフォーマンスを聴かせてくれた!! No.32Lのオーナーたち、そして熟練の技術者が仕上げた高い信頼性のプリアンプ を愛用のパワーアンプで鳴らしてみたいという人たちに私は確信を持って推薦したい!! ■MarkLevinson No.52を聴く事で愛用システムの“その先”が見えてきます!! |
担当:川又利明 |
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556 kawamata@dynamicaudio.jp お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!! |