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H.A.L.担当 川又利明

No.1007 2013年2月14日
 【新発見⇒H.A.L.'s impression!!-ESOTERIC C-02の素晴らしさ!!】



「価格と国籍を超越したESOTERIC C-02に私は感動した!!」

2013年1月26日、入荷したESOTERIC C-02を開梱しセッティングしました。
電源投入から以来ずっと通電しているので約400時間以上を経過し、毎夜の
ごとくエンハンサーCD-Rをリピートさせているので、再生音を出していた実動
時間としてはざっと350時間以上を費やし、私が日々聴き続けたC-02システムとは!?

 ◇ H.A.L.'s Sound Recipe / ESOTERIC C-02-inspection system  ◇
 
………………………………………………………………………………
ESOTERIC G-01(税別\1,350,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/g01/index.html
     and
TRANSPARENT PLMM2X+PI8(税別\695,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
     and
finite element Pagode Master Reference Rack/HD02+CERABASE 4P(税込み\870,000.)
http://www.axiss.co.jp/fFE.html
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽
 
ESOTERIC 7N-DA6100 BNC(Wordsync用)×3(税別\720,000.)★生産完了
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/mexcel/index.html
 
                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC P-01+VUK-P01(税別\2,500,000.)★Black Ravioli BF-2×4
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/p01/
     and
TRANSPARENT PLMM2X+PI8(税別\695,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
     and
finite element Pagode Master Reference Rack/HD02+CERABASE 4P(税込み\870,000.)
http://www.axiss.co.jp/fFE.html
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽
 
ESOTERIC 7N-DA6300 XLR 1.0m×2 (税別\560,000.)★生産完了
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7nda6300/index.html
 
                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC D-01+VUK-D01(税別\2,500,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/d01/
     and
TRANSPARENT PLMM2X×2+PI8(税別\935,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
     and
finite element Pagode Master Reference Rack/HD02+CERABASE 4P(税込み\870,000.)
http://www.axiss.co.jp/fFE.html
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽
 
STEALTH Sakra balanced XLR / 1.0m (税別\1,400,000.)
http://www.stealthaudiocables.com/products/Sakra/sakra.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC C-02(税別\1,400,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/c02/index.html
     and
TRANSPARENT PLMM2X+PI8(税別\695,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
     and
finite element Pagode Master Reference Rack/HD02+CERABASE 4P(税込み\870,000.)
http://www.axiss.co.jp/fFE.html
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽
 
ESOTERIC 7N-A2500/XLR 7.0m(税別\2,280,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7na2500/index.html
 
                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
Mark Levinson No.53(1Pair 税別\7,200,000.)
http://www.harman-japan.co.jp/marklev/poweramp/no53/
     and
TRANSPARENT PLMM2X×2+PIMMX×2(税別\1,440,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽
 
Viard Audio Design  Platinum speaker cable 3.0m(税別\900,000.)
http://www.take5japan.com/ja/product/platinum/viard-audio-design-platinum-hd-speaker-cables

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
Technical Audio Devices TAD-R1MK2(1Pair 税別\7,000,000.) 
http://tad-labs.com/jp/corporate/press/120830_01.html
………………………………………………………………………………

140万円のプリアンプはここH.A.L.では驚くほどの価格ではないだろう。
この↓風景を目前にして私が何を感じ思ったのか!?
http://www.dynamicaudio.jp/file/20130202/ESOTERIC_C-02.jpg

左右のTAD-R1MK2中心軸の距離は3.6m、トゥイーターから私の耳までは約4.6m
というトライアングルでセットした初日、第一印象は悪くなかった。しかし…

エレクトロニクスコンポーネントというものは得てして使用開始直後には本領
発揮することはないので、最初の一晩は迷わずエンハンサーCD-Rをリピート。
現在を100%とするならば60〜70%くらいの目覚め方が翌日に感じられた。

しかし、前述のように140万円のプリアンプに対してスピーカーは700万円、
パワーアンプは720万円、フロントエンドのプレーヤーはマスタークロックを
含めれば635万円という製品群に組み合わせるのだから、C-02の音は良く聴こ
えて当たり前ではないか!? と思われる方も多いことだろう。

しかし、実際には逆なのです。優秀なコンポーネントと組み合わせをすれば
する程に、低レベルなコンポーネントは馬脚を現し他の製品のパフォーマンスを
著しく貶めるものなのです。

いうなれば価格的異端児の短所をつぶさに見せてしまうということが、私の
体験から明言できることなのです。だから、C-02から受けた第一印象が事の他
良かったということで、その先に期待出来るバーイン完了後の音質に大きな
興味関心を持ち始めていたのです。

さて、私は以前からプリアンプとパワーアンプは純正ブランドを組み合わせ
する事が望ましいと述べてきました。海外の著名メーカーが新作パワーアンプを
発表し、それをここに持ち込んでくるのですが、どうしても他社のプリアンプを
使って試聴しなければならない。

異なるメーカーのプリアンプを使って新作パワーアンプを試聴した時に、低域は
スピーカーのキャラクターとしてバリエーションが発生するものの、中・高域の
質感に関しては一定の品格が欲しくなる場面が実に多かったのです。

この弦楽器の質感はもう少し滑らかに透き通るような音色で鳴るはずなのに、
どこか高音階にヒステリックな印象を残し、中空に溶け込んで欲しい余韻感に
曇りが出来てしまうという現象を幾度となく経験してきたのです。

それが、しばらく後に同社が開発したプリアンプがやっと完成し、以前に試聴
した先発のパワーアンプと組み合わせた時に驚くべき進化を遂げた素晴らしい
音質を聴かせてくれたという経験が多数ありました。

今回の場合には五年前に登場したMark Levinson No.53にとってはペアとなる
No.52がやっと発表になったということで私の体験の例外ではないでしょう。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1005.html

ですから、私は異なるメーカーのプリとパワーアンプでの組み合わせに関して
大変慎重に評価しているものであり、これほど高価な他のコンポーネントとの
組み合わせでプリアンプのみを単独評価するためにも、上記システムでプリア
ンプのみを他社製品に切り替えての比較試聴も行っていたのです。

繰り返しますが、ESOTERIC C-2とMark Levinson No.53とのマッチングは第一
印象から大変素晴らしかったのです。何も違和感なく、課題曲をすんなり聴か
せてくれました。その先に何があるか、時間をかけて検証していく事に私は
大変大きな関心と期待感を持ってしまったのが今回長いバーンインタイムと
いうことになったのです。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

二週間以上に渡り私は数曲の課題曲を毎日聴き続けてきました。そして、何年間も
聴き続けてきた曲なのに、自分でも全く気が付かなかった録音の在り方を発見
するというエピソードに行きあたったのがこの曲です。

長年の経験でもバイブル的な存在として多用してきた大貫妙子の22 枚目の
アルバム“attraction”から5トラック目ご存知の「四季」でした。
http://www.onukitaeko.jp/

初日にも聴き、翌日から毎日聴いているとC-02が次第に熟成していく様が
この曲の随所からわかってきたのです。

この曲のイントロは小倉博和のギターと高水健司のウッドベースで始まる。
しかし、このイントロからして過去の記憶とは一致しない!!
先ず、その両者の定位感のあり方に驚く。

TAD-R1MK2の蒸着ベリリウム振動板を使用したCST(Coherent Source Transducer)
の同軸構造音源による定位感の素晴らしさはアルペジオによる一音一音の発生
から響きの終息までを見事な中間定位として浮かび上がらせ、その余韻感を
サポートするかの如くMark Levinson No.53がもたらす豊富な情報量というものが、
IPT(Interleaved Power Technology)という2MHzというスイッチング周波数の
ハイサンプリングによる広帯域伝送の醍醐味を再生音にしているのが凄い!!

公称インピーダンス4オームのTAD-R1MK2に対してNo.53は1000Wの出力を可能と
しているのだが、それはアンプ出力の大きさだけではなく、抜群の定位感と
凝縮した音像表現によって醸し出される広大な音場感に度肝を抜く思いだ!!

アコースティックギターは左右のTAD-R1MK2のセンターとL/ch の正に中間に
浮かび、ウッドベースはセンターとR/ch の中間に定位する。

簡単なようで中々このイントロでの定位感がこのように中空に浮かぶというのは難しい。
下手なシステムで聴くとギターとベースとも左右のスピーカーの軸上に貼り
付いたようにまとわりつき、中々空中で音像を結ばないのだが、この時のC-02
システムでは冒頭から事も無げに簡単に空間表現の絶妙さを発揮する。

そして、更に驚くべきことは小倉博和のアコースティックギターのエコー感が
左方向に、そして…より空間が空いている右チャンネル側へと漂うように拡散
していく広さが未体験のものだった。

次に感心したのはウッドベースの輪郭の鮮明さが、重量感に妥協することなく
前例がないほどに引き立っているということだ。しかも、低音楽器がこのよう
に中空に鮮明なシルエットを描くというのはTAD-R1MK2のウーファーに新開発
のTLCC(Tri-Laminated Composite Cone)振動板を、更にOFGMS(Optimized 
Field Geometry Magnet Structure)回路を採用し、高い制振効果と強度を
もつSILENT(Structurally Inert Laminated Enclosure Technology)エンク
ロージャーを採用しチューニングを進化させたことにも起因している!!

さあ、いよいよTAD-R1MK2のジャスト・センターからは、藤井珠緒がすーっと
掲げたトライアングルを絶妙の力加減で叩く。この音色と質感を耳にして更に驚いた!!

TAD-R1MK2の蒸着ベリリウム振動板CSTは再生帯域の上限を100KHzとしているが、
その広帯域再生音は高音楽器の量感を増すような幼稚なものではない。

トライアングルの打音の質感が実に素晴らしいということは後述するホール
録音のオーケストラの事例でも述べているが、このようにスタジオで収録され
エンジニアの感性でリヴァーヴをかけられたトライアングルの響きが、かくも
長時間に渡り減衰する時間軸を右方向に延長させるという再現性の素晴らしさ
が今までの記録を更新してしまったようだ。

「つないだ手に夏の匂い 海へと続く道」

トライアングルの打音の直後いよいよ大貫妙子のヴォーカルが入ってきた。
ヴォーカルのポジションは中空に定位するギターとベースのまさにど真ん中。

ヴォーカルの登場を待っていたかのように、ぽっかりとスペースを空けていた
センターにくっきりと浮かび上がった大貫妙子の口許は両脇で伴奏する二人の
音像に決してオーバーラップすることはない。見事だ!

「光る波と ひとひらの雲 遠い蝉時雨」

伴奏者の存在感を決して邪魔することなくヴォーカルが展開するが、そこで
更に驚きの未体験現象が私の耳に襲いかかる。
それはヴォーカルのエコー感の広がり方と消え方だろうか。

このヴォーカルには過去のシステムでの体験からスタジオワークで巧妙な
リヴァーヴが施されているということは承知していた。

しかし、何とそのリヴァーヴは左右の伴奏者の背中を回り込み、左右TAD-R1MK2
のCSTドライバー位置よりも高く更に両翼にまで広大に拡散していくではないか!!

そして、ヴォーカルの質感はと言えば、絹漉しの透明感としなやかさで私の
耳を潤してくれる!! これは気持ちいい!! そして何と広い空間提示だろうか!!

このたなびくように私の前方にある空間を埋め尽くす余韻感はスピーカーに
スーパートゥイーターを追加したら得られるという単純なものではない。

そもそも、この空間提示を行うための情報が存在していなければならず、それは
間違いなくマスタークロックG-01から源流を発するESOTERICフロントエンドの
システムから湧き出てくる響きの美点に他ならないと実感する。

では、プリアンプの存在感はどのようにこのヴォーカルの空間表現に貢献して
いるのかということで、私は他社のプリアンプに切り替える実験を何度も行い、
C-02のパフォーマンスを確認していた。

比較したプリアンプの製品名は無論非公開だが、いやいや驚いた!!
この大貫妙子のビブラートの利いた広大な音場感は他社のプリアンプにすると
嘘のように消滅してしまうのである。いや! これは言い過ぎた(^^ゞ

「なんだなんだ〜、140万円のC-02とはこんな情報量を持っていたのか!!」

フロントエンドで確保した情報量、すなわち私が思う演奏の美意識として豊かな
余韻感と空間表現にプリアンプがここまで大きく関与しているのかということを
単純な比較試聴があからさまにしてしまったのです!!

「山は燃えて草は枯れて 瞳は秋の色」

このフレーズの直後にひそやかなピアノが登場する。センターのヴォーカルの
やや右後方に定位するように控えめな音量でゆったりとした演奏だが、その
質感はくっきりとしているくせに他の伴奏者との混濁が一切ない。

この場面で他社プリアンプとの個性の比較が出来た。他社の方がヴォーカルの
音像は小ぶりになり、その分わずかに音量そのものが大きくなったように感じ
られるのです。これはどういうことか!?

ヴォーカルの音像提示、その輪郭の強調の仕方とサイズの違い、実は、この
観察から私は後述する大きな発見をする事になるのです!!

「風が立てば 心寒く 陽だまりの冬」

この最後の“冬”の発声の直後に篠原ストリングスの弦楽器がチェロから入ってくる。
チェロが二人、ビオラ一人、そして篠崎正嗣ご本人を含め三人のヴァイオリン
がTAD-R1MK2の周囲の空間を見事に埋め尽くしていく。

しかし、一切他のパートとは混じり合うことなく、ギター、ベース、ヴォーカル
の背後にポジションを取っている。6人の篠原ストリングスが弧を描くように
TAD-R1MK2の後方に展開し、流れるようなアルコの繰り返しが空白を埋め尽く
すようにヴォーカルの背景に浸透していく。
この弦楽器の質感たるや何と美しいことか!!

「求め続け待ちぼうけの あなたのいない季節
 うけとめては とけて儚い 春のぼたん雪」

この間はギター、ベース、ストリングスがヴォーカルの周囲を取り囲むように
して展開し、編曲者であるFebian Reza Pane の才能が光るところだろうか。

冒頭のフレーズと同じメロディーでありながら伴奏に弦楽が加わり、演奏に
厚みを加えながらも各パートの分離感が素晴らしいので安心して聴き続ける
ことが出来る。

さて、ここです!!

実は、この曲は過去に数え切れないほどの試聴に使い、何千回というレベルで
実に多数のオーディオシステムで聴いてきたものでした。ですから、私としては
この録音そのものが記憶の中のテンプレートとして一定品位のシステムでは
このように聴こえなければおかしいというリファレンスが出来ているのです。

従って、前述のように他社のプリアンプに切り替えた時の観察と分析に関して
どうしてこんなに違いが出るのだろうかと思い悩んだのが一週間前のことでした。

空間に響き渡る余韻感はバーンインの不足なのか、プリアンプの個性として
相違点を認めてあげるべきなのか、電源環境やケーブルまでことごとく同一
条件にてプリアンプを切り替えた時の違いをどう理解したらよいか迷いました。

皆様もある曲のヴォーカルは管理された質感で終始記録されているものと
思っていると思いますが、そこに落とし穴がありました。私はこの曲の最初
から最後までを聴き続ける事、演奏の途中経過も比較対象としてチェックして
聴き続けてきたものです。

ですから、C-02と対比するプリアンプも原則として全曲試聴で途中でカット
することなしに初めから最後までのヴォーカルを聴き続けていたのです。

何と、そこに落とし穴がありました!!

このCDをお持ちになっている方は私のお得意様には大変多いと思います。
これから種明かしをしますので、皆様もこの曲を聴き直して下さい。

イントロから始まって篠原ストリングスが入って来る直前まで、歌詞で言うと
「風が立てば 心寒く 陽だまりの冬」までです。ここまでは上記のように
広大な音場感を提示するリヴァーヴが見事な余韻感を聴かせています。しかし!!

ストリングスという余韻感無くしては聞き苦しくなってしまう楽音が入ってくる
「求め続け待ちぼうけの…」このフレーズ始まった瞬間にレコーディング
エンジニアの指はリヴァーヴイフェクトのレベルを瞬時に絞り込んでいます!!

大貫妙子を取り囲むように弦楽器の流麗な調べがスピーカーの周辺に発せられた
瞬間に、その響きと重複しないようにヴォーカルのリヴァーヴは絶妙なタイミング
で解除されていたのです!!

その寸前まで空間にたなびいていた余韻感が弦楽器の登場と入れ違いに、すっきり
と整理されて減少しており、その分ストリングスの余韻感が代わって空間を
支配するようになっているという録音テクニックに私はC-02を使ってみる事で
初めて気がつかされたのです!! これには驚きました!!

この回答を発見してからの比較試聴は心境的にもすっきりして他社比較をする
際にはヴォーカルのパートごとに分けてチェックするようにして聴き直しました。
そして、出した結論はやはりESOTERIC C-02が聴かせてくれる余韻感と空間提示
の見事さは変わりないものだという確証を得たのです!! 

つまり、余韻感と空間表現という情報量を正確に伝送しているプリアンプだか
らこそ、録音技術の隠されたテクニックを見抜くことが出来たが、それらの
情報量を正確に伝送出来ないプリアンプでは分析と認証が出来ないという事に
なるでしょう。

今まで十数年間聴き続けてきた曲のヴォーカルに関わるリヴァーヴの曲中の
変化を今まで気が付いていなかったという事は何という事でしょう。
使用したシステムによって曲中からリヴァーヴの減少に意識が向けられるような
聴き方をしてこなかったのか!? あるいは再生システムによっては、その違い
を聴き手に伝えられずに終始一貫同じ残響であるがごとく聴かせてしまうのでしょうか。

「水に落ちた 赤い花よ」

このフレーズはまたまた編曲者の腕の見せ所だろうか。「ミ・ズ・ニ・オ・
チ・タ・ア・カ・イ・ハ・ナ・ヨ」このように日本語の読みの一文字ずつに
伴奏者が個々の音階で一音ずつ出し合い、ヴォーカルとのシンクロを演出する。

そして、大貫妙子の口から発せられる区切られた各音節のひとつずつの完了と
同時にすべてにきれいなエコー感が付随して伴奏者の余韻感に溶け込んでいく
のが堪らない!!

「想いと流れてゆこうか」

あっという間にここまでで1 分54 秒が経過するが、このフレーズの後は何と
ストリングスだけの間奏になるという粋な展開。篠原ストリングスの弦楽器が
たった六人だけということを忘れさせてくれるような充実感がESOTERIC C-02
を組み込んだシステムによって発揮され、ちょうど2 分20 秒まで流れるような
弦楽器だけが空間を埋め尽くす。

その空間がTAD-R1MK2の右方と左右両翼へ溢れんばかりの余韻感を行き渡らせ
ていく情景は聴く人を引き込まずにはいないだろう。

「さくらさくら★ 淡い夢よ★
 散りゆく時を★知るの★
 胸に残る★ 姿やさしい★ 愛した人よ★ ★ ★」

さあ、いよいよサビの演奏に入っていくが、弦楽器だけのバックから再度
ギター、ベース、ピアノが参加してくる。

そして、私も数々のテストでチェックポイントにしている楽音がここで登場してくる。
本来は譜面にて示されるのだが、ここでは歌詞の中に★印を付けてみた。

このタイミングで藤井珠緒がハンドベル“鈴”を鳴らすのだが、このハンド
ベルの定位感と質感の両方がプリアンプによって大変異なって聴こえるのである。

この録音でのハンドベルはセンターの左後方に定位しているが、水平レベルで
はこのような定位だが着眼点は奥行き方向での遠近感にある。

左右スピーカーのバッフル面を結ぶようなスクリーンがあったとしたら、多く
のスピーカーではそのスクリーンの上に映写されるようにこの9回のハンド
ベルの音が聞こえる場合があるだろう。

そのような観察点から前後の定位感、奥行き感に注目することが多い。
そして、最初のハンドベルの一音が鳴らされた。するとどうだろう!?

「えっ!? 何なにー!! こんなに質感が違うのか!! 」

ハンドベルはグリップから木で出来ている棒状の本体にいわゆる鈴を10個から
20個くらい取り付けている単純な楽器だが、これを片手で保持しながらもう
片手でハンドベルを持った手を叩くような演奏法だと思われる。

今までの体験では10個以上付いているはずのベルの個々の音色を個別に聴き
取ることなど出来なかった。つまりは、集団として複数のベルがあるという
程度の認識であり、叩くというより楽器を揺らしているという感じで瞬間的
な立ち上がりも甘口になるし、複数の鈴も一塊になって聴こえてしまうという
印象が強かったものだ。

しかし、相応のシステムで多数の試聴をしてきたが、ハンドベルとしての美しさ
を優先した質感として評価してきたことが多かったのも事実だった。

そして、最初の一音が出た瞬間に私の記憶が更新された!!
熟成したこのシステムから消えてきたハンドベルの質感に先ず驚く!!

そう、過去に聴いてきたハンドベルのイメージとは違い、ここではしっかりと
グリップされて木の棒に取り付けられたベルが瞬間にして同時に鳴らされるよ
うであり、音量も豊かになるし微妙な鈴の各個別の音色のずれというか違いも
感じられる。

一個の鈴の中にある球が何回も鈴の内部を打つように響き、ハンドベルの音色
にこれほど多彩な色彩感があったのかと驚かされる。そして、ベルの個数が
これほど多く感じられ、そのエコー感がふんわりと漂っている。

エコー感が豊かだということは同時に音場感の広さを感じるものであり、その
位置関係は左右TAD-R1MK2のCSTドライバーの位置とヴォーカルの更に奥行き
方向の中空にぽっかりと浮かぶ。

そうだ、このシステムでは前後の定位感も素晴らしく、左右のTAD-R1MK2を
結ぶ直線のはるか後方にその像を結び前後方向の定位感としての立体感も
こともなげに聴かせてくれる。

TAD-R1MK2のCSTドライバーの高域特性の素晴らしさとプリアンプの伝送能力。
それらが絶妙なバランス感覚で私に見せてくれたのはスピーカーの存在感を
消し去ってしまうほどの音場空間だった!!

「さようならと▲ さようならと▲
 あなたは▲手をふる▲
 鈴の音が▲唄いながら▲ 空を駆けてく▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲」

同様に▲印を付けたところで右チャンネル後方から藤井珠緒が今度はクラベスを叩く。
このクラベスの再現性もプリアンプの個性と熟成度によってかなりの違いがある。

先ず、ESOTERIC C-02が初日から数日間は右チャンネル後方から聴こえてくる
はずが、右チャンネルのCSTドライバーそのものに音像が貼り付いているかの
ように中間定位ではなく、音源位置をあからさまに提示するようだった。

そして、他社のプリアンプでは無垢の木材であるクラベスを金属コーティング
したように打音の質感が硬質になり、テンションが引き締まり過ぎた違和感を
感じたものだった。

私はこの二週間というもの、このクラベスの打音を毎日繰り返し観察してきた。
最初の一週間では上記のように他社プリアンプとの対比において、明らかに
C-02が聴かせる打音は木製であることを素直に聴き手に認識させる質感であり
大変好ましいと思われた。しかし、毎晩のようにエンハンサーCDをかけ続けて
きたC-02が二週目に入ってから変わり始めたのです!!

この15回のクラベスの音を日々観察してきた私は、もうこの頃は安定してきた
C-02の本領発揮たる空間表現の解放感というものを実感し始めていました。

フロントエンドからパワーアンプへの橋渡しの役目を担うプリアンプの存在感、
それは情報の中継地点という事だけではなく、情報量をどれほど忠実に伝送
するかという使命感に感動できるコンポーネントなのです。

実は、このクラベスの音にも新しい発見がありました。最初の1回と2回目以降
の定位感がわずかにずれます。最初の一打は右チャンネルCSTよりもセンターに
1/3程接近した中間に表れますが、二回目以降はCSTドライバーの主軸を定点と
して叩かれているのです。

そして、前述での大貫妙子のヴォーカルで途中からリヴァーヴを絞り込んで
いるという発見がありましたが、今度は逆に途中からクラベスの余韻感に関わる
リヴァーヴを増量しているのが発見されました!!

それは数えて10回目から、何と左チャンネルのTAD-R1MK2の頭上までクラベスの
リヴァーヴが彗星のごとく残響の尾を引いて飛び去っていくのです!!
いや〜、こんな情報量は私とて初めての事。指折り数えて三回も聴き直し、
ボリュームも二通りに上げて入念に聴き直しましたが間違いないです!!

大貫妙子の「四季」はこうしてヴォーカルが終わりを告げ、クラベスとストリ
ングスだけのゆったりした“情緒的な余韻”に見送られて4分12秒のドラマに
幕を引きました。ごく普通の市販的なディスクでありながら、実に多様性の
ある検証と発見をさせてくれる課題曲は今回のC-02システムで私に初体験を
させてくれた。この収穫は実に大きい!!

今回は大変長くなってしまいましたので、オーケストラにおける印象は述べて
おりませんが、弦楽器の美しさは特筆ものでした。上記の音質表現コメントから
矢印を引き出して、オーケストラの再生音の個々につなげてみれば同様な成果
をご報告できるものです。
どうぞご安心下さい。というよりも弦楽器素晴らしいです!!

C-02がESOTERICフロントエンドの発する情報をここまでMark Levinson No.53
に伝え、それをTAD-R1MK2という高解像度のスピーカーで聴くと言う組み合わせ
の妙は感動的な演奏を聴かせてくれました!!
このシステム構成は私ならではのコーディネートではありますが自信あります!!

ここで思う事、ESOTERIC C-02に期待出来ることは、それ自身の数倍という
価格帯のパワーアンプと組み合わせて頂いて何の問題もない…、どころか
私はそのような組み合わせを推奨したいという結論に至りました。

確かにMark Levinsonというブランドの歴史と実績は素晴らしいものがあります。
Mark Levinsonの歴代パワーアンプを愛用して来られた多くの皆様へ、そして
海外製パワーアンプを使用しておられて同ブランドのプリアンプを使用して
いないという皆様へ、ESOTERIC C-02が聴かせてくれる愛用パワーアンプの
変貌ぶりを体験される事を推奨し、長いインプレッションを締めくくりたいと思います!!

■もちろん、330万円のご予算が可能な方はMarkLevinson No.52にご期待下さい!!



担当:川又利明
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
kawamata@dynamicaudio.jp

お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!!

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