Vol.50
日東紡音響エンジニアリング
Acoustic Grove System ≪柱状拡散体≫
「 SYLVAN 」

SYLVAN
Acoustic Grove System 「 SYLVAN
(定価:¥210,000 /1台・税込

今回は話題の柱状拡散体 AGS「SYLVAN(シルヴァン)」をご紹介させて頂きます。

既に昨年の7月、【H.A.L.3】ではこの製品をメインにしたイベントを行っており、 その実力はご存知のお客様も多いかと思いますが、今回改めてご紹介させて頂きたいと思います。

まずこのSYLVANを語る前に、“日東紡音響エンジニアリング”がどういう会社なのか、簡単に説明させて頂きます。

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1974年創業。親会社はグラスファイバーや繊維、医薬飲料等々手掛けている日東紡です。 そこから派生して出来た会社で、「音」に関して様々な研究/サポートを行なっており、社員数85名ながらそのほぼ全員がエンジニア、という“音のプロ集団”です。
しかしながら、一言に「音」と言っても様々な分野があります。

レコーディングやテレビ・ラジオ放送局等のスタジオ設計・施工、電機、設備メーカー向けシステム製品開発、音響工事コンサルティング、騒音・振動対策、音響調査・測定、 音響実験・研究・・・・etc、その内容は非常に多岐に渡ります。
オーディオ関係では、パイオニア、DENON、オーディオテクニカ等の試聴室施工、放送業界ではNHKを始め多くのテレビ・ラジオ局スタジオ施工、音楽業界においては、キングレコード、SONYなど多数メーカーのスタジオも手掛けています。
また、ホールでは川崎のクラシックホール“ミューザー川崎”、千代田区“紀尾井ホール”、そしてプロミュージシャンのスタジオ施工、個人宅の試聴室や楽器室の建築音響まで、実に多くの実績を有しております。
特にNHKの新スタジオには今回ご紹介させて頂くAGS「SYLVAN」が導入されており、そのスタジオ使用が局内で奪い合いになる程、高い評価を得ているとの事です。

この様に、主にプロ向け第一線でやって来た会社ですが、この「SYLVAN」はコンシューマー向け製品第一号、となります。

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AGS AGS(Acoustic Groove System)の発想の元は“森(木々の集まった山の中にある「森」)の音場”です。
森には遮る壁が無く、木々が程良い間隔で並び、低域が自然に抜けていく様が非常に素晴らしいという事から、 この“森の音場”をスタジオや自宅で実現できないものだろうか?という着眼から始まっており、これを実現させる為に開発されたのが「AGS」です。
オリジナルのAGSは奥行きで60cmあり、スタジオや建築の最初から施工するといった場合には良いのですが、一般向けとしてはサイズ的に大き過ぎるのではないか、という問題がありました。

これを一般オーディオユーザーにもご使用頂きたいという事で製作したのが、横幅40cm、奥行約20cm、高さ約140cmの「SYLVAN」となります。

このSYLVANは、野球の木製バットでも使用される“タモ材”を使用しており、それぞれ微妙に径の違うサイズを組み合わせて出来上がっております。
形状はスタンドタイプになっており、足は4点支持でアジャスターが付いておりますので、設置しやすいと思います。

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さてこのAGS「SYLVAN」ですが、そのコンセプトとして
  1. 低域の“部屋鳴り”の抑制
  2. 中高域の緻密な響きの実現
  3. 部屋の用途に応じた吸音特性のコントロール
を挙げております。
ここでは色々設置条件を変えて試聴してみました。

【1】部屋の両サイドの壁面に使用


部屋の両サイドの壁面“一次反射”ポジションに設置しました。
中域がしっかりし、実在感が増して来ます。程良い響きも持ち、バランス良く吸音/拡散がされているという感じです。 定位は散漫なところが少なく、多少音像が下がり、情報量も上がります。
部屋の両サイドが違うという環境でご使用頂くと、かなり効果的です。

このSYLVANですが、本体正面からみると柱の配列がシンメトリー(左右対称)の構造になっておりません。
試しに2本のSYLVANを入れ替えますと、音の広がり方が変化します。 ライブ感を求めるか、実在感を求めるかで設置の仕方は変ってくると思いますので、お好みで調整すると良いと思います。

【2】スピーカーの両サイドに2本ずつ(合計4本)使用


この設置方法は、非常に効果的だと感じました。好みによっては良い方向にも悪い方向へも取れる大きな変化です。
SYLVANを設置した場所までスピーカーのように感じ、特に低域のエネルギーが上がり、リアリティが増します。 また、音の定位も手前過ぎず、奥過ぎずちょうど良い位置です。 立体感も増し、ステージの奥行きもしっかり出て来ます。
これを少し意地悪く分析すると、スピーカーの個性を殺してしまうケースもあるようにも感じます。
特に箱を鳴らしてスケール感を出す様なスピーカー等は、スピーカーに近い位置でSYLVANを使用すると、ややデットニングされたイメージを持たれるかもしれません。

【3】スピーカーの外側の少し離れた位置に2本設置


【2】の状態から内側の2本を外してスピーカーの背面よりも少し広げた上体で設置しました。 変化は【2】の場合より少ないものの、中/低域がしっかりとして本来のスピーカーの個性はそのままに良い感じで変化してくれました。
この場合はスピーカーの性格に因る部分が大きいと思います。

【4】スピーカー設置面の壁の両サイドに1本ずつ設置


スピーカーから離れた場所に設置した場合ですが、中低域のエネルギー感と厚みが上がり、、良いピラミッドバランスが取れます。
定位は少し甘めにはなりますが、その分試聴ポイントが広く取れて、顔を動かしても定位はしっかりと得られました。バランスも崩れることが少なくなります。

【5】スピーカー設置面のセンターに設置


センターに1本設置するのと2本設置するのでは大きく変化しました。
1本設置した場合でも効果はありますが、SYLVAN本体がアシンメトリーの為か、左右方向で若干響き方が違うようです。
2本の場合は、中央に2本並べて設置するよりも、多少距離を開けて設置した方がより広いサウンドステージを得られるように感じます。

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設置場所を変えて色々な実験を行ないましたが、低域の“部屋鳴り”の抑制、中高域の緻密な響きの実現、部屋の用途に応じた吸音特性のコントロールを掲げているだけあって コンセプト通りの音質の変化で非常にクオリティの高いルームチューニングモデルとなっております。
プロユースを多数を手掛けている事もあり、まずはリアルなサウンド、中低域の安定感は実に素晴らしいと思います。

「QRD」は各ラインナップの組合せや使用アイテムで、細かく好みの調整が出来ますが、「SYLVAN」は効果に一定の方向性を持っており、 また「QRD」が苦手としている“低域のコントロール”がしっかり出来ると思います。
【H.A.L.3】の試聴室で「QRD」と併用しておりますが、違和感無く溶け込んでおります。
低域のエネルギー感とバランスを求めるお客様には非常に素晴らしいアイテムでしょう。
また両サイドに使用する事で耳当たりの良い響きを実現出来ます。
ここではやはり、1本での使用よりも2本セットでのご使用を是非お勧めしたいと思います。

是非今一度ルームチューニングの重要性を感じ取ってください。

さて、日東紡音響エンジニアリングですが、昨年千葉市の稲毛に新試聴室を作って、予約制で一般公開もやっております。
AGSを用いてしっかりとチューニングされた試聴室は大部屋と小部屋の2つがあり、それぞれ違った魅力的な音を聞かせてくれました。
こちらの見学/試聴希望がございましたら、ご相談下さい。

またSHC会員様への持ち込み試聴も承っておりますので、こちらも別途ご相談下さい。

※以前行なったイベント風景は宮川ブログにて。

  

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私、“ 島 ”あてにお気軽にお問い合わせ下さい。