ESOTERIC  「 K-01 」

K-01
ESOTERIC 「K-01」: ¥1,470,000(税込



ESOTERIC試聴室 ・・・・・・ Introduction ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

先日、多摩市にあるESOTERIC(株)本社へ新製品を試聴しに出掛けて参りました。 お目当ては勿論、新製品「K-01」と「K-03」。
その際には、店頭で展示している“X-01D2”を車で持ち込み、比較試聴も織り交ぜて(試聴順:「X-05(¥504,000)」→新製品「K-03(¥840,000)」→「X-01D2(¥1,470,000)」→新製品「K-01(¥1,470,000)」)約2時間ほど堪能させて頂きました。

この試聴室は開発や検証にも使うという事で多少デットニングされておりますが、天井高もあり、部屋も広く、スピーカーをかなり前に出した状態でセッティングされておりました。 今回TANNOYの新製品「KINGDOM ROYAL」定価:¥5,775,000(税込/Pair)をスピーカーに、プリアンプは同社「C-03」(\840,000 /税込)、パワーアンプ「A100」(\1,575,000 /税込)、そしてケーブルもESOTERIC MEXELで固められておりました。
今回のKシリーズは「音楽の感動をストレスなく、ありのままにリスナーに伝えるステレオ再生専用機」という開発テーマの元に製作されておりますが、非常に完成度の高い素晴らしいプレーヤーに仕上がっていると感じました。

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今回は、9月末に発売されたESOTERIC「K-01」を紹介させて頂きます。

現在LINNを筆頭にネットワークプレーヤー、そしてパソコンをトランスポートにして楽しまれているお客様が少しずつ増えて来ており、 今後CD PLAYERの在り方が問われている中で発売された「K-01」。この逆風の中でプレーヤーを発売してきたESOTERICにまずは感謝したいと思います。 それとこの時期に出すからには相当な自身があるとも思えますので、いやがおうにも期待してしまいます。

ESOTERICの製品名称ですが、トランスポートは「P」シリーズ、DACは「D」シリーズ。そしてプレーヤーは「X」シリーズというイメージの中、今回は「K」シリーズ。
“K”というアルファベットにした意味はここでは伏せておきますが、プレーヤーの“新たな出発”という事で、深い意味を持っているのではないでしょうか。 それでは、「K-01」レポートをお届け致します。

今回のKシリーズは「音楽の感動をストレスなく、ありのままにリスナーに伝えるステレオ再生専用機」という開発テーマの元に製作されておりますが、 今回こだわった大きな点が5つあります。

【1】VRDS-NEOの更なる進化
P-03/X-03SEで完成したものに、更なるブラッシュアップを加え、かって無い滑らかなスピンドル駆動を。そしてステレオ再生に特化、よりシンプルに。 VRDS-NEO「VMK-3.5-20S」へ進化し、駆動させるための専用ディスクリーとアンプ回路「VS-DD」と専用の電源を採用し、オーディオ回路とは別電源にすることで音質への影響を排除しております。 今回SACDマルチなどには対応せずに2チャンネルに特化しております。

【2】孤高のDAC
「D-01×2台を最新鋭の32bitデバイスで」ということで、その核となる回路構成、テクノロジーを踏襲ながら、2台のモノラルアンプを1台のプレーヤーに集結させております。
 ■8回路/ch構成
 ■フル32bitAK4399:旭化成エレクトロニクスのハイエンドDAC
 ■完全DUAL・モノ:電源回路、電源トランスも左右独立
 ■ディスクリート・バッファー回路:高電圧±22V電源で高いドライブ能力
 ■XLR:フルバランス回路:ホット/コールド信号ライン毎にシンメトリーにバッファー搭載
 ■RCA:パラレルバッファー構成:2つのバッファーをパラレル駆動

【3】クロックの更なる進化
VCXO高精度クロック回路
 ■±0.5ppm高精度VCXO
 ■クロック回路を刷新:高精度クロックをPLL回路を経由せずに、ストレートにDACに供給
 ■専用の安定化電源回路
 ■44.1/88.2/176.4kHz入力
 ■10MHz入力(セシウム、GPS等)
 ■ロックレンジ±15ppm:同期できるクロック精度を狭め、更なる高音質へ

【4】ハイサンプリングソース、PC Audioへの対応、デジタル入力装備
 ■192kHz/24bit対応
 ■アシンクロナス対応USB
ハイスピード1(アシンクロナス伝送)192kHz/24bit
ハイスピード2(アダプティブ伝送)192kHz/24bit
フルスピード (アダプティブ伝送)96KHz/24bit

 ■専用PCドライバソフト
高品位オーディオ用にESOTERICが独自開発。
ホームページからダウンロード提供
 ■USBアイソレーター
:USBの電源/信号ラインを本機からアイソレートし、
PC本体などから外部ノイズ混入を防止

 ■デジタルフィルター
1)FIR(2種類)
2)SHORT DELAY(2種類)
3)デジタルフィルターOFF

 ■D/Dコンバート機能
1)CD/外部デジタル機器からPCM信号
  アップコンバート ORG/2Fs/4Fs
  PCM>DSDコンバート
2)SACDのDSD信号:DSDネイティブ再生

 ■32bit高精度ヴォリュームアッテネーター
パワーアンプにダイレクト接続可能
デジタルプリアンプ的な使い方が可能

 ■XLRピンアサイン変更:極性の変更可能(2番ホット/3番ホット)
 ■XLR出力レベル切り替え:アンプの入力感度に合わせて切り替え可能(0dB/+6dB)
 ■アナログ出力切り替え:XLR/RCA/OFF

【5】ESOTERICとしてのアイデンティティーをラウンドシェイプにこめて
音の美しい製品は、その容姿も美しくあるべきとの考え方から今までセパレートタイプのみ採用していたラウンドシェイプをコストをいとわずに、一体型にも採用。

〜以上エソテリック資料より抜粋〜


改良点は様々にありますが、X-O1D2との違いについては下記をご覧下さい。

「K-01」・「X-01D2」比較表
≪K-01≫
≪X-01D2≫
VRDSメカVMK3.5VMK3
クロック精度±0.5ppm(PLL経由せず)±3ppm(PLL使用)
電源トランス4個2個
デジタル入力USB、COAX、OPTICALなし
デジタル出力COAXCOAX
アナログ出力RCA/XLR各1系統
(メニューで切り替え)
5,1CH用RCA出力1系統、XLR1系統
出力レベルRCA:2.45mVRCA:2.2mV
XLR:2.45mV(0dB設定時)XLR:2.2mV
iLink OUTなし有り
クロック入力(BNC)44.1kHz/88.2kHz/176.4kHz/10MHz44.1kHz/88.2kHz/100kHz/176.4kHz
DACデバイス旭化成エレクトロニクス社
32bit最上位モデル「AK4399」
アナログデバイセス社製のDSD/PCM対応DAC「AD1955」
バーブラウン社製マルチビットDAC「PCM1704」
サイズW)445×H)162×D)438 /mmW)442×H)153×D)353 /mm
重量31kg25kg




≪ 設定について ≫

本体の「MODE」ボタンで各種設定が出来ます。
このMODEボタンを普通に押して頂くと、“デジタル入力の切り替え(COAX in、OPT in、USB in)”が出来ます。
MODEボタンを“長押し(2秒以上)”すると各種設定が可能となります。
ボタンを繰り返し押して変更項目を選択します。本体、またはリモコンのスキップボタンを押すとその項目の中の設定変更が選択できます。設定終了の場合は10秒以上そのままにするか、再度 ボタンを長押しします。

  A_OUT>  
アナログ出力設定
  >>RCA→XLR2→XLR3→OFF
XLR/RCA出力の切替です。
音質にこだわり、使用しない方の端子に信号を送らないように設定します。 またバランス出力に関しましてはXLR2が“2番HOT”、XLRが“3番HOT”となっており、プリアンプの極性に合わせての設定が出来ます。
トランスポートとして使う場合を想定して“OFF”の設定も可能。

  XLR>  
XLR出力ゲイン設定:
+6dB→XLRの出力レベルをRCA出力の2倍にレベル
  0dB→XLRの出力レベルをRCA出力の2倍にレベル
※出力設定がRCAの場合こちらは表示されません。

  D_OUT>  
デジタル出力設定:
・OFF→デジタル出力
・CD→CDの音声がデジタル出力
・THRU→CD再生時はCDのデジタル音声出力
外部入力時には選択されたデジタル音声信号が出力。USB選択時は、USBオーディオ伝送フォーマットからS/PDIFフォーマットに変換された信号が出力。

  FLaOFF>  
ディスプレイ消灯設定:
 >>15m→30m→60m→OFF
再生停止状態が続くと自動に消灯する機能が付いておりますが、その時間を設定できます。




  UPCONV>  
アップコンバート機能:
・ORG→オリジナル
・2FS→32kHz〜48kHzのソースを2倍にアップコンバート
・4FS→32kHz〜96kHzのソースを4倍にアップコンバート
・DSD→DSDにデジタルフォーマット変換



  DF>  
デジタルフィルター設定:
・OFF
・FIR1→FIR型フィルターのカットオフ周波数を可変
・FIR2
→カットオフ周波数約80kHzのFIR型フィルター
・S_DLY1→S_DLY1型フィルターのカットオフ周波数を可変
・S_DLY2→カットオフ周波数約80kHzのS_DLY型フィルター

  WORD>  
ワード(クロック)設定:
・OFF→ワートシンク無し
・ON→ワードシンク有り
≪入力可能なワードシンク周波数≫
44.1kHz/88.2kHz/176.4kHz/10MHz
※10MHzを入力した場合、他の周波数に比べてロックするまでに時間がかかります。

  ATT>  
アナログ出力のアッテネーター出力:
・OFF→固定出力
・ON→0〜99dBまで可変
※リモコンのVOLUMEキーで調整



  USB>  
USBの入力設定:
・NOR→USB FULL Speedモード 32kHz〜96kHz
・HS_1→USB HIGH Speedモード 32kHz〜192kHz
・HS_2→USB HIGH Speedアンシンクロナスモード
パソコンから伝送されたオーディオデーターを本機のクロック信号に従って再生するモード:32kHz〜192kHz
HIGH Speed モードオン設定では、パソコン側への専用ドライバーが必要となります。ドライバーソフトはホームページよりダウンロードして下さい。

これだけのこだわった設定がありますので、是非お試しいただければと思います。
筐体も上位モデルを継承し、また風格もでたこのK-01を試聴レポートをお送りします。



それでは、試聴に入らせて頂きます。

試聴用ソフト

1)コブクロ 「ALL COVERS BEST」よりANSWER
この曲はピアノとVOCALとシンプル楽曲な分VOCALの特徴やバックグランドのノイズが解りやすいソフトですが、ピアノが出た瞬間の音離れ、静寂感に驚かされました。
また唄いだしの瞬間の空気感、キーが高いところでのひずみ感の少なさ。ESOTERICらしい情報量の中に感情表現の豊かさと、安心感を覚えております。 ESOTERICが好きではないお客様にとっては、無機質に聞えたり、情報量が多すぎて疲れたりなどのご意見を頂戴することもありましたが、 情報量はそのままにステージ感が広がり、中域の厚みが増し、また一枚も二枚もフィルターが外れたように聞こえてきます。 もちろん海外のプレーヤーに比べれば高域に特徴はありますが、情報量を前面に押し付けてくるのではなく、聞かせ所をしっかり聞かせてくれるように感じます。 今までのESOTERICの印象とはまた違った一面を見せてくれております。多少VOCALの位置が高く感じるところがありますが、これは時間が解決してくれるのではないかと思います。

2)ラフマニノフ交響曲2番3楽章 アシュケナージ指揮ロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団
ここで感じたのが、音離れが抜群に良く、ステージの広さが増し、ロイヤルコンセルトヘボウの色彩豊かな表現ががより際立ったように感じます。 クロック精度の向上、電源の強化、旭化成のDACデバイス、色々な改良点があり何が影響しているかは定かではないですが、立体感も向上し、楽器の前後感もかなり向上しております。 クオリティを上げると同時に音楽的な表現が増したともいえると思います。

3)FOURPLAY 「BEETWEEN THE SHEETS」よりChant
出だしのドラムの低域もやはり音離れの良さを感じ、テンションの張り具合が良く感じ取れます。 またベースに関しても一音一音が聞き取りやすく、グルーブ感も増した感じになります。 コーラスのハーモニーも良く溶け込んでおり、全体的なバランスも良くなっております。

それ以外にも女性VOCAL、古めの録音など楽しくなってかなりの枚数試聴しましたが、今までのESOTERICから一皮向けて陰影もしっかり出し、晴れやかで上品なサウンドになっております。



さて今回のK-01には3種類のアップサンプリングモード、そして4種類のフィルターが装備されております。
まずアップサンプリングモードでは高域の解像度が上がったり、DSDでは全体的に落ち着いた感じになっておりますが、中域に独特な癖がのったり、 音離れが悪くなったりする部分もあるようです。またフィルターに関しては、2種類とも特徴があり、FIRでは音が濃くなり中域が張り出す感じに変化し、 S_DLYでは、高域が華やかにったような感じを持ちました。
今回試聴したディスクでは、アップサンプリングもしないで、フィルターもOFFモードにした音が一番自然でバランスがとれて聞えております。 もちろんこのモードをつけている意味はあると思いますので、ソフトにあわせてお試しいただいても宜しいかと思います。

海外製品は独自なサウンドを持っており、それがお客様に合う、合わないがはっきりしているように感じますが、 良い意味で日本のメーカーは忠実にソフトに入っている情報を引出そうというというような傾向に感じます。ただ録音の良し悪しに左右され、 録音の悪いものは厳しく聞えたりもします。しかし、K-O1は録音の悪いものは更に悪く聞えるのではなく、全体的に底上げされ、音楽的な表現が増したように感じます。

以前あるエンジニア兼プロミュージシャンにCD PLAYERの比較をしてもらった時に、ESOTERICのプレーヤーは情報量の多すぎて、実際出したくない音まで忠実に 拾ってくれるということで逆に厳しいと言われたことがあったことを覚えております。
プロの世界の音作り、そしてピュアオーディオでの音作りということで違いは大きいと感じざるを得ませんが、実際のところは共通するところも多いのではないでしょうか。
今回のK-01に関しては、その両方の考え方をブレンドし、情報量もあり忠実に再生させながらも、そこにピュアオーディオならではの聞かせどころを持たせた素晴らしいプレーヤーだと思います。

もちろん他にも素晴らしいプレーヤーは数多く存在しますが、ESOTERICだからこそこの価格で発売できるといったコストパフォーマンスの高さもあります。

今までのESOTERICファンはもちろんのこと、今まで敬遠していたお客様も一度ご試聴していただき、そのクオリティの高さを感じ取っていただければと思います。

冒頭にも述べましたが、今現在ネットワークプレーヤーやPC Audioの流れが来ていることは確かです。 しかしながらこうやって素晴らしい再生機を作ってくるということは相当な自信の表れだと思います。 それを裏切らなかったこの「K」シリーズ。大きな拍手を送りたいと思っております。またそれだけではなく、相反することになる、USB入力を装備させたということも エンドユーザーのことを考えたもの作りだと思います。

私の中では、アナログがあり、そしてCDがあり、そしてネットワークやPC系と同じソフトの中で色々な聞き方があっても良いと思います。

音楽というキーワードの中に全てが存在する訳ですが、あの時頑張って購入したアナログ盤、あの時ふと足を止めてジャケ買いしたあのCD。 皆様方にあるディスクメディアにはそれぞれ思い出も一緒に入っている場合もあると思います。
是非今一度そのことを思い出してプレーヤー選びされても良いのではないでしょうか。



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