B&W
「 802 Diamond 」 〜 802Dから進化を遂げた802 Diamond 〜 |
今回はB&Wの新製品「802 Diamond」をご紹介させて頂きます。 時が経つのは早いもので、今週のチェック“ VOL.30 ”で「802D」をご紹介してから5年が経ちます。 その時はツィーターがダイアモンドになり、ウーファーの素材がロハセルに変更された事がかなり話題になりましたが、 今回はどのような進化を遂げたのでしょうか。 さてB&Wというメーカーはどのような歴史を持つ会社かという事からご説明したいところですが、こちらに 細かく載っておりましたのでご覧下さい。 さて旧モデル802DのDは“Diamond”のDからとったものですが、今回は800シリーズ全てにダイアモンドツィーターを搭載し、名称を「800Siries Diamond」としたいう事で、 輸入代理店のマランツ側では略して「SD」と呼んでいるようです。ということでここでも、旧モデルを「D」、新モデルを「SD」としてコメントさせて頂きます。 |
【 ツィーター 】 旧モデルDシリーズで搭載されていたダイアモンドドームはそのままですが、それを囲むエッジの部分が改良され、また今までは1つのマグネットのみを使用していた磁気回路ですが、 4つのマグネットを使用した“クアッド・マグネット”磁気回路を採用しています。 この製造過程は非常に困難のようで、「こういった形式のものは世界初」との事です。 共振を抑える為か、以前2箇所にネジが付いておりましたが、今回はそれが無くなっています。 この改良によって歪みを減らすことに成功し、また従来よりも全モデルで水平方向60度以上、垂直方向10度以上の指向性を持ち、サウンドステージを広く取ることが可能となりました。 ツィーターのキャビネット(ハウジング)は、従来通りメタル製です。 【 スコーカー 】 ミッドレンジは従来通り“ケブラコーン”を採用しております。 背面のボトムヨークといわれる部分は、今までは各種パーツの組み合わせにより成型されておりましたが、 今モデルから一体型となりました。それにより、分子が同一方向となり、音質に良い影響を与えております。 B&Wの特徴の一つとも言える、このケブラコーンですが、設計社のジョン・ディブ博士曰く「1974年より使用しているが、今でもこれがベストだ考えている」との事です。 また、通常“フェイズプラグ”といわれる「鼻」のような部分は色の変更がありましたが、素材は変らずアルミ製となっております。 実際のところ反射率の問題もあり、色による音質の違いもあるように感じます。 またミッドレンジの球形エンクロージャーですが、メタリックっぽい仕上げから完全にピアノブラック塗装になっております。 【 ウーファー 】 ウーファーですが、今回B&W初のネオジウムマグネットを採用しております。 そのネオジウムマグネット2つを対称配置にした「デュアルマグネット」構造となっており、よりリニアなストロークが維持され、歪みを抑えたとのことです。 それにより重量も抑えられ、802SDは72kg(前モデルは80kg)とやや軽量化しています。 このネオジウムマグネットの採用により、センターキャップのサイズが大幅に小さくなり、 ウーファーを固定しているネジの数も8本から6本になりました。 ウーファーをとめている外枠の金属プレートもサイズが小さくなり、ウーファーサイズは変っていませんが若干小さく感じます。 振動版もこれまで同様ロハセルを採用していますが、磁気回路ではコイルの直径を大きくし、巻幅とボビンも長くなっています。 またダンパーも変更し、より自然な低域を実現させております。 【 ネットワーク 】 クロスオーバーに変更はないですが、トゥイーター用のコンデンサーには独ムンドルフ社の上位パーツ「M-CAP Supreme Silver/Gold/oil」を採用しております。 【 スピーカーターミナル 】 今まではWBT社製でしたが、ターミナル真鍮ブロック部分は、B&WでOFC削り出しのターミナルを新設計し、採用しております。 この作業は加工が困難で時間がかかるとの事です。 内部配線にはVan den Hulを使用している事から、端子まで揃え、ジャンパーケーブルにも使用して繋がりの良さを追求しています。 この付属のジャンパーケーブルは両端バナナプラグ仕様になっておりますので、基本的にはYプラグのスピーカーケーブルの使用を考えているようです。 裸のケーブルも一応は使用可なのですが、径が小さいので端末加工したケーブルのご使用をお勧めします。 【 付属品 】 今まで別売だった専用スパイクキット「FLOOR SPIKE KIT(定価:\54,600 / 税込・Pair)」ですが、今回のモデルからは同梱となりました。 サランネットは、今まではスピーカー本体に取り付けの為の穴が開いており、そこにはめるような形でしたが、 今回はCMシリーズのようなマグネット式で、本体には穴がありません。スコーカーのサランネットはジャンパーケーブルと同じ箱に入っております。 基本的にはサランネットは外して聴いて下さい、という事のようです。 初期出荷状態でのボールベアリング・キャスターですが、旧モデルと同じものが装着されております。 ベアリング状態のままお使い頂きますと、本体の重みでフローリング等には凹みや傷が付きますので、ご注意下さい。 移動は便利ですが、音の面を考えますとスパイクキットに付け替える事をお勧め致します。 (※スパイクキット取付は送料とは別に追加料金が発生致します。ご了承下さい。) ※その他スペック、詳細はB&Wのホームページをご覧下さい。 |
それでは、試聴に入らせて頂きます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 【1】 ジェニファー・ウォーンズ / ハンターより “LIGHT OF LOUSIANNE” 一聴して低域の違いを感じました。 ネオジウム・マグネットの影響なのか、とにかくストレス無く、スムースに入ってきます。沈み込みが良く、楽に鳴ってくれますので、 他のユニットとの繋がりの良さが格段に上がっております。 以前、NautilusシリーズからDiamondシリーズに変った際にも、ウーファーユニットに“ロハセル”という素材を使った事で低域のスムース感が上がりましたが、 それに輪をかけてドライブし易くなった印象です。 勿論、アンプのグレードを上げる事でよりスケール感も上がり、きちんとついて来てくれます。 今までのB&Wには感じたことのない低域の出方です。 敢えて言えば、粘った感じが減って、ドラム等が若干薄く感じる部分もありました。 VOCALにおいては響き、情報量が増えたイメージで、より艶っぽく、全体的にステージ感がかなり向上しております。 これは500セット限定のメモリアルモデルとして発売された“Signature Diamond”に通じる部分があり、音場タイプになったような感じも受けます。 【2】 ESOTERIC盤 チャイコフスキー 交響曲第5番 / 第4楽章 ダイナミックレンジが広く、前モデルよりステージが一回り広くなったように感じます。 ここでもやはり感じるのは、低域が固まって出て来るのではなく、自然で安定感があり、まとまって聴こえます。 また楽器の分離、それぞれのハーモニーと定位が良く、曖昧さを感じません。 気になる所を付け加えるとするならば、高域・低域が良くなった分、中域にケブラー感があるかなという事と、 ミッドのフェイズブラグが、以前と同素材という事ですが、やや色付けを感じる部分があるかな、という程度です。 【3】 エリック・ドルフィー / AT THE FIVE SPOT ライブの雰囲気が良く伝わり、語りかけてくる様な生々しさを感じます。 実寸大の楽しさといえば良いのでしょうか。 特に誇張している感じがなく、同軸スピーカーや小型スピーカーのように感じる時さえあります。 それだけユニットに対して位相の特性が良い証拠なのだろうと思います。 ここでも敢えて一言言うのならば、“生”ではないオーディオの面白さからすると、個性が少なく物足りないイメージや迫力が足りないと感じる所があるかもしれません。 他にも様々な曲を試聴しましたが、とにかく安定感があり、低域の解像度が抜群に上がっております。 またステージ感も上がり、音場型スピーカーとも感じられる感じるほどです。 モニタースピーカーとしての特徴を保ちながら、良い意味でオーディオファイル向けのスピーカーを製作してきたと思います。 「スピーカー専業メーカー」という強み、コストパフォーマンスの高さ、良い音楽の為のモノつくりは、さすがB&Wだと感じます。 前の802Dも素晴らしいスピーカーでした。 ただ新しいタイプは今までに無かったB&Wの、新たな一面を切り開いてくれました。 今までB&Wは苦手だったお客様でも、また旧モデルをご使用のお客様にも是非ご試聴頂きたいスピーカーです。 試聴のご予約、お問い合わせ、ご注文も承っております。 当フロア担当“ 島 ”まで、お気軽にご連絡下さい。 |