本日はESOTERICより登場したネットワークプレーヤー2号機でもあり、フラッグシップモ
デルのN-01をご紹介させていただきます。
ESOTERIC N-01 ネットワークプレーヤー ¥1,400,000
メーカーホームページ
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/n01/
N-01の型番はESOTERICの歴史上X-01シリーズ。K-01シリーズとともに一体型のフラッグシ
ップを意味する型番となります。
日本ではまだまだ需要が多いとは言えませんが、海外からのリクエストが非常に多いとい
うこともあり、発売を決めたという話もございます。そこには、日本では配信を行ってい
ないTIDAL対応、またこちらは日本でも話題になっておりますRoon、新たな音源フォーマ
ットMQAなどに対応している柔軟性を持っているということも魅力のひとつではないかと
思います。ただ日本でもハイレゾデータ再生の需要が少しづつ多くなってきており、お問
い合わせも非常に増えております。
以前N-05をご案内させていただきました。
http://www.dynamicaudio.jp/5555/4/rep098.html
そこから数年フラッグシップモデルは進化を遂げました。
それでは、N-01の魅力に迫ってまいります。
1)ネットワークプレーヤー
N-01はネットワークプレーヤーでもありながら、豊富なデジタル入力を持っております。
私一個人としてはネットワークプレーヤーに限定するのではなく、D/Aコンバーターとい
うことを前面に押し出しても良いのではと思ってしまいます。
ただやはりネットワークプレーヤーとして表に出すのには意味があるものと思います。
今回の音作りに関しては、ネットワークプレーヤーの再生音をいかに良くするかを意識し
て設計されており、ネットワーク再生の部分は他のデジタル入力と違った回路構成になっ
ているとのことです。
ネットワークプレーヤーの基本的な考え方はここでは割愛をさせていただきます。
フォーマットは、入力信号形式:リニアPCM 44.1〜384kHz、16bit〜32bit
DSD 2.8MHz、5.6MHzまでの信号に対応しております。
ESOTERICのネットワークプレーヤーはオープンホームに対応しており、自社の専用アプリ
だけではなく、LINN KINSKY、KAZOO、またLUMINなどの再生アプリでも対応可能です。
アプリに関しましては慣れもあると思いますので、すでにLINNをお持ちのお客様はそのま
まお使い頂けます。
*但し設定などはESOTERICアプリで行ってください。
2)豊富な入力端子
N-01には多くのデジタル入力端子が装備されております。
XLR :リニアPCM(AES/EBUフォーマット)32〜192kHz、16bit〜24bit
DSD 2.8MHz(DoPフォーマット)
RCA(同軸):リニアPCM(IEC60958フォーマット)32〜192kHz、16bit〜24bit
DSD 2.8MHz(DoPフォーマット)
光(TOS) :リニアPCM(IEC60958フォーマット)32〜192kHz、16bit〜24bit
DSD 2.8MHz(DoPフォーマット)
USB :リニアPCM 44.1〜768kHz、16bit〜32bit
DSD 2.8MHz、5.6MHz、11.2MHz、22.5MHz
USB DRIVE端子:FAT32、NTFS USB2.0以上推奨
(シングルパーティション)
*USB DRIVE端子はフロント及びリアに1系統ずつございます。
再生の際は本体入力切替ではなく、ESOTERICアプリ上のNAS選択画面に、USBが出てきま
すので、そちらで選択してください。
ESOTERICのアプリケーションに関しましては、最初にNASの情報をある程度読み直し
ますので、再度NASの選択をするとロードに時間がかかります。曲のデータが多いほど
不便になってきますので、お気をつけください。
N-01はD/Aコンバーターとしての能力が非常に優れております。
今お持ちのデジタルプレーヤーをこのN-01に入れることでグレードアップもできます。
ただし、SACDの信号に関しては、プレーヤー側で信号を出すことが基本は出来ませんので、
あくまでもPCMでお考えください。
ミュージックサーバーのDELA、FIDATA
http://www.dynamicaudio.jp/5555/4/rep097.html
をお持ちであればそのままUSB入力を使用して、ネットワークプレーヤー同様再生が可能
となります。その場合のメリットとしては、DSD11.2MHzなどネットワークプレーヤー以上
のフォーマットが対応できます。
ネットワーク再生の音とUSB入力での音質の違いは後ほど説明するとして、USB入力を装備
することでパソコンを接続できるという大きなメリットがあります。
全てのストリーミングサービスが再生できる商品はパソコン以外ないと思います。
PRIME SEAT
https://primeseat.net/ja/
などをご試聴になりたい場合はやはりパソコンが必要となります。
そういった面ではUSB入力を持っているというのは非常に便利になってきます。
USB DRIVEでの再生も可能となります。ただし本体再生が出来ませんので、いずれにして
もネットワークの環境を整えていただくことになります。
捕捉になりますが、インターネットが出来るということと、ネットワーク再生が出来ると
いうことは切り離しをしてお考えください。
もちろんストリーミング再生ばインターネットに接続しなくてはいけませんが、、NASに
入っている音楽を再生する場合などは、ルーターがあれば問題ございません。
色々なところでデモンストレーションを行っておりますが、インターネットの環境が無い
中でルーターを用意して再生を行っております。(ローカル接続)
3)ミュージックサーバー機能
N-01背面、及び全面のUSB端子に端子ハードディスク、USBメモリーを接続することで簡易
サーバーになります。
ESOTERICのアプリ上のミュージックライブラリーに、N-01 Music Serverと出て
きます。また同アプリ上で別のプレーヤーを選択していただければN-01にさしたUSB
の音源の再生が可能となります。
ただしあくまでも簡易的なものです、フォルダーからの追いかけ再生となります。
(Twonky Medeiaなどのソフトウェアーが入っている訳ではございません。)
4)テクノロジー
最近話題になっているのはDACデバイスではないかと思います。
ESOTERIC社は今現在旭化成のデバイスを使用しておりますが、AKM歴代最高性能(2017年7
月)のAK4497を搭載し、回路設計も差動8回路・左右独立電源の贅沢なK1/N-01 専用設計
になっております。ここがクオリティーもさることながら、入力フォーマットが高いビッ
トレートまで受け入れられる要因となります。
旭化成社が力を入れているということもあり、こういうページが存在しております。
旭化成エレクトロニクス
http://www.akm.com/akm/jp/product/detail/0021/
ESOTERIC社は汎用品ではなく、共同開発したものを採用しております。
5)各種サービスに対応
ストリーミングサービスとしてはTIDAL、qubuzに対応(日本では開始されておりません)
Roon対応、MQA対応(近日正式対応)
6)出力端子
出力端子は、XLR2(2番HOT)、XLR(3番HOT)、RCA、ESLA(電流伝送用)が切り替え式に
なっております。
フロントのMENUボタンで操作可能となります。
説明書17P参照
http://teac-global.com/download/esoteric/manual/N-01_OM_J_vA.pdf
7)アップサンプリング機能
内部でアップサンプリング(D/Dコンバート)が可能となります。
こちらは各入力で変更可能となります。
UPC-0FS/2FS/4FS/8FS/16FS/DSD/FIX
FIXに関しましては、すべてのフォーマットに対して固定された出力フォーマットの選択
が可能となります。
FIXモードの場合
PCM 44/48/88/96/176/192/352/384/705/768
DSD 2.8M/5.6M/11M/22M
説明書16P参照
8)本体操作MENU
●UPC(アップサンプル機能)
●DSD F(DSDフィルター) ON/OFF
●CLK(クロック)OFF/IN/MCK(22.24M入力の際)
●OUT(出力) XLR2/XLR3/RCA/ESLA(XLR出力からES-LINK ANALOG)
●DISP(画面表示) TIME(曲の時間が表示)/FS(入力されている周波数が表示)
●DPa(画面消灯) ON(10分変化がないと消灯)/OFF
●APS(オートスタンバイ)30(分)/60/90/120/OFF *初期設定は30分
●DIMMER DIMMER3/DIMMER2/DIMMER1/消灯
音質追及の場合は消灯に設定
説明書15P〜18P参照
9)スペック
・アナログ音声出力
XLR端子 1系統(L/R)
RCA端子 1系統(L/R)
出力インピーダンス XLR:20Ω
RCA:23.5Ω
最大出力レベル
(1kHz、10kΩ負荷時) XLR:5.0Vrms
RCA:2.5Vrms
周波数特性
(PCM192kHz) 5Hz〜70kHz(-3dB)
S/N比 120dB
歪率 0.0007%(1kHz)
・一般
電源 100V AC 50/60Hz
消費電力 33W
外形寸法(W×H×D) 445mm×162mm×438mm
(突起部含む)
質量 約25.7kg
付属品 電源コード×1
フェルト×4
取扱説明書×1
ご愛用者カード×1
9)操作
基本的な操作はESOTERIC専用のアプリケーション
ESOTERIC Sound Streamにて行います。
セットアップ画面 Music Playerの画面で機器の選択
ストリーミングサービス等の設定はオプション画面から設定してください。
ミュージックライブラリーの画面でNAS(ミュージックサーバーの選択)
*N-01に接続したUSBはこちらの画面で選択できます。
ESOTERICにアプリケーションは最初にNASの情報を読み込ませます。アルバムを追加した
場合はリロードを行ってください。
選曲操作などはアルバムのジャケットを長押しすると、別ウィンドウが開きます。
アルバム、曲単位での選曲が容易にできます。
それでは、順番を追って試聴レポートをさせていただきます。
まずサーバーは
ミュージックサーバー FIDATA HFAS1-S10
http://www.iodata.jp/fidata/product/index.htm
を使用してN-01にダイレクトでLAN接続、及びUSB接続を行っております。
1)ネットワークプレーヤーとしてのクオリティ
まず試聴にあたりFIDATAのHFAS1-S10を使用してネットワークプレーヤーの音質とUSB接続
の比較試聴を行っております。
先に発売されたN-05に関しましては、音楽によってそれぞれ一長一短ございましたが、
今回は大幅にネットワークプレーヤーとしての実力が高く、クオリティの高さに驚かされ
ました。
音の艶、情報量などUSB接続ですと、曇って聞こえてしまう部分と、ある帯域に癖を感じ
てしまいます。
まだエージングが十分とは言えませんが、N-01の音の透明感とバランスの良さ、そしてダ
イナミックレンジの広さはネットワークプレーヤーとして使用した方が性能を生かせるこ
とが解りました。それもそのはずで、ネットワークプレーヤー部分の回路は特にこだわっ
ているとのことです。
今まで多くのESOTERICの機器を試聴してきましたが、従来のESOTERICサウンドの中に
情報量だけではなく、見通しの良さと透明感を感じることが出来ました。
音作りとしては個性を若干落として更に純度を上げ素直な音作りに仕上げた感じがします。
2)DACとしての性能
ESOTERICには同価格ゾーンにD/Aコンバーターとして使用できるモデルがございます。
CD/SACD PLAYER K-01X(2014年7月1日発売) ¥1,450,000
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/k01x/index.html
CD/SACD PLAYER GRANDIOSO K1(2016年10月10日発売) ¥2,000,000
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/k1/index.html
D/A CONVERTER D-02X(2016年3月1日発売) ¥1,400,000
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/p02xd02x/index.html
K-01X、GarndiosoK1をお持ちのお客様はCD/SACD PLAYERとしてだけではなく、USB D/A CO
NVERTERとしてご使用されているお客様もいらっしゃいます。
K-01X発売当時は購入したタイミングではなく、後にDELA、FIDATAやパソコンを使用して
データ再生を行うお客様が多いように感じます。
それからD-02Xの誕生。K-01はどうしてもCD/SACD PLAYERとしての音作りをしております
ので、USB入力した場合にはD-02と大きな差が出てしまいます。
SACDをお持ちではないお客様はCDをリッピングをして、D-02Xを購入するか。やはりディ
スク再生を行うかで選択が変わってくると思いますが、当時K-01Xの購入を考えておりま
したお客様がCD再生よりも、D-02Xでのデータ再生の音の方が好みということでD-02Xを購
入いただいたケースがございます。もちろん後にトランスポートのP-02Xを購入いただい
たお客様もいらっしゃいますが、D-02Xの場合は価格と時代もありますが、D/A CONVERTER
ということでの音作りをした結果ではないかと思います。
その後一体型プレーヤーのGRANDIOSO K1の登場。K-01Xの上位モデルであり、一体型のフ
ラッグシップになります。まずはUSB入力を使用し、K-01X、D-02X、Grandioso K1と3機種
の比較を行いましたが。新設計、またK-01Xよりも価格が高いということもありますので、
当然ながらの差をを感じました。
ただ単体のD-02Xまでのクオリティは感じられませんでした。やはりGrandioso K1はCD/SA
CD PLAYERとしての魅力の方が強く、K-01X同様RippingしたデーターですとCD再生の方が
有利に感じます。これはミュージックサーバーDELA、FIDATAを使用した場合にそういうイ
メージ持ちました。D-02Xと比較した場合は個性の違いがあり、一概には言えませんが、R
ippingを行い、D-02Xで再生したほうが好みというお客様がいてもおかしくないと思いま
す。また良いハイレゾデータになればD-02Xの方が断然有利になってきます。
それであればこのN-01はどうかということになります。
まずUSB入力でD-02Xと比較を行いましたが、N-01の方が音が薄く感じ、クオリティとして
はD-02Xの方が上に感じます。ただ情報量などは肉薄してきた印象を持ちました。
やはりここでも音作りが若干変わっているようにも感じます。
ただN-01はネットワークプレーヤーの方が優位で、N-01のネットワーク再生とD-02XのUSB
入力の比較を行いました。音の厚みはD-02Xですが、音の広がり、透明感はN-01の方があ
るように感じました。データ再生に特化した場合であれば個人的にはN-01の方に軍配を上
げたい気持ちにもなりました。
それであればD-02Xの存在意味となってしまいますが、トランスポートP-02XとD-02Xで組
み合わせの場合ES-LINK4ということで、HDMIケーブル2本で接続しますが、こちらでCD再
生した場合ですとまた変わってきます。個人的にはRippingしてD-02Xで再生するよりも、
P-02X+D-02XでCDを再生したほうが音のクオリティは高いように感じます。
このN-01はES-LINK4の入力はございません。N-01にこの入力があればP-02XとN-01とい
う組み合わせも考えられますが、ESOTERIC側でもすみ分けをしたいということで装備して
おりません。ただCD再生を行わないということであれば今の時点では、N-01の優位性を非
常に感じることが出来ました。
次にGrandiosoK1のデジタル出力をこのN-01にAES/EBU接続しました。これは非常に興味の
ある比較になりましたが、N-01を通した方が純度が高く、透明感を感じることが出来まし
た。やはり単体D/A CONVERTERとしての能力が高く、ネットワークプレーヤーという枠を
超えてD/A CONVERTERとしての位置づけでも申し分のないクオリティを出してくれました。
ただどうしても音の厚みと中域の張り出しに関しましては、Grandioso K1の方が良いよう
に感じます。ここは好みの世界となってしまいますが、同じ44.1kHz/16bitのCDとファイ
ルではどうしても音の厚みに違いが出てきます。ただ良いハイレゾ音源はCD以上に厚みを
持った音源もあります。ここは慣れの問題もあるのかもしれません。
最新モデルのGrandioso K1でそうであればX-01シリーズ、K-01シリーズをお持ちのお客様
でしたらグレードアップする方法としてD-02Xの購入をお勧めしておりましたが、N-01を
追加することでデータ再生の音質も良くなり、またCD再生のグレードアップも出来ます。
総評として既にESOTERICのプレーヤーを使用してデータ再生を行っているお客様は買い足
しというイメージをも持っていただければと思います。クロックを入れてのグレードアッ
プも良いですが、このN-01はD/A CONVERTERとしてのクオリティが非常に高く、さらにネ
ットワーク再生の音質が非常に素晴らしいと思います。
CD/SACD PLAYERが基本にあるESOTERICですが、今現在Xシリーズ、Kシリーズをお持ちのお
客様は一般的にはプレーヤーの買い替えに目が向いてしまうのは当然ですが、スペースが
あるようでしたら足すという選択肢もございます。
ネットワークプレーヤーだからという概念ではなく、D/A CONVERETERを購入することで、
グレードアップすることが出来、さらにデータ再生、そしてハイレゾの世界を楽しむこと
が出来ます。
Tidalが日本で出来るようになり、また再生ソフトRoonがもっと日本向けに進化していけ
ばもっと楽しい音楽ライフになること間違いなしですが、その準備としてこのN-01の導入
は非常に意味深い存在になっていくと思います。
まずは根源にあるサウンドを店頭にて感じていただければ幸いです。
2017年8月28日 H.A.L.3 島
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