VOL.110 MERIDIAN AUDIO ULTRA DAC
今回はMERIDIAN AUDIOのULTRA DACをご紹介させていただきます。 MERIDIAN AUDIO ULTRA DAC D/A CONVERTER &NETWORK PLAYER 定価¥2,500,000(税別) 輸入代理店 ハイレス・ミュージック株式会社 https://www.hires-music.jp/ MERIDIAN AUDIO社はイギリスのケンブリッジにて1977年創業したメーカーとなります。 (*今後文章内はMERIDIANとさせていただきます。) 創立者であり、エンジニアであるボブ・スチュアートはデジタルの世界ではかなり有名な 方で、DVD-Aの音声ロスレス圧縮のフォーマットMLPの開発は彼の手によるものです。 さて日本では代理店が変わるブランドでもあり、私が知っている時にはハーマンインター ナショナル、その後アクシス、パイオニア(一部製品)、エレクトリではなかったかと思 います。 私の方でもパイオニア時代にオールインワン・システム 「 F80 」というモデルを輸入し ていたころに取り扱いをしておりました。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/4f/island_check_old06.html 今現在ではハイレス・ミュージック(株)が正規取り扱いを開始いたしました。 代表の鈴木氏は以前よりボブ・スチュアート氏と親交があり、今回新会社を立ち上げ取り 扱いを開始しております。 さてMERIDIANのイメージとしてはデジタル関連が非常に強いイメージがありますが、独自 のDSP技術でアンプ内蔵のスピーカーを発売しております。私の中ではB&O、LINNといった 入口から出口まで総合トータルでコーディネート出来るブランドの一つだという意識があ りました。 ただ日本のマーケットですとどうしてもアンプ内蔵スピーカーというものが、一線ひ かれてしまいます。スピーカーが得意なメーカー、アンプが得意なメーカーなど選ぶ楽し みが日本では多いせいかと思います。ここ最近ではLINNが非常に人気でEXAKTシステムの 評判も非常に良いです。これは日本でのLINNの認知度と努力によるものだと思います。 さて今回ハイレス・ミュージックの鈴木氏としては、スピーカーは別として得意なデジル 機器を前面に出してプロモーション及び輸入を行っております。 さてそんなMERIDIAN創始者ボブ・スチュアートが今回前面に出してきたのが、MQAの技術 です。 https://www.hires-music.jp/mqa/ 既にE-ONKYOなどで配信を開始しておりましたが、海外の配信サイトTIDALではMQA技術を 採用したハイレゾの配信を開始いて昨年話題になりました。 また先日なんとMQAの技術を採用したCDソフトを発表しております。 近々MQAのディスクとして海外大手のレコードレーベルも発表するとのことです。 そのMQAにも対応したDACというのが今回のULTRA DACになります。 それでは、順を追ってご説明させていただきます。 私が注目するポイントとしては ■多くのデジタル入力を搭載 ●USB×1系統 :384kHz/24bit DoP128(5.6MHz DXD(352.8kHz/24bit) ●Eather net(LAN) 1系統 :後ほどご説明 ●バランスXLR 2系統:44.1kHz to 192kHz/24bit DoP64 ●BNC(75Ω)2系統:44.1kHz to 192kHz/24bit DoP64 ●同軸S/PDIF 2系統:44.1kHz to 192kHz/24bit DoP64 ●光 TOS 2系統:44.1kHz to 96kHz/24bit ■内部にてアップサンプリング処理 内部のデジタル処理に関しましては768kHz or 705.6kHz/24bitまでアップコンバートを 行い処理を行っております。 ■3つのフィルター 3種類のアップサンプリング・フィルターで、幅広いデジタル・ソースのアナログ音質を コントロール Long/Medium/Shortの3段階 フロントのDSPボタンで切り替えが可能となります。 ■Sooloos機能 ■Roon対応 今話題の再生ソフトRoon に対応 Roon画面上で機器の選択が可能 ■独自のネットワーク技術 QNAP TS-251,TS-453PROにSooloosのサーバーを組み込むことで、ネットワークプレーヤー としてのご使用も可能です。 ネットワークプレーヤーでは、Townky MediaやMinimサーバーなどがサーバーソフトとし て主流になっておりますが、LINN KAZOOサーバー、MERIDIAN Sooloos など独自のサー バーソフトを使用しているところもあります。 こちらに関しては、デモンストレーションが出来ておりませんので、説明だけにさせてい ただきます。 ■MQA対応D/Aコンバーター 冒頭でもお話をさせていただきましたが、MQA対応になっております。 配信サイトE-ONKYOでの配信が話題になり、4F H.A.L.3でのイベントでは何度かご説明を させていただいております。 https://www.e-onkyo.com/news/444/ まずメリットとしてMQA技術に置いて、データ容量が少なくて済みます。 同じ音源のFLACなどと比較をしても、クオリティは同等のものがあり、逆に音色が華やか で透明感のあるサウンドに感じて、ジャンルによってはMQAの方が良いというお客様もい らっしゃいます。 ただMQA対応のD/A CONVERTERではない状態でも再生ができるのはメリットではありますが、 そうなると通常のFLACの方が良くなってしまう事実はあります。 今後各メーカーがどう対応していくかが鍵となると思います。 海外では日本以上にMQAが話題になっているのが、配信サイトTIDALがMQAの配信を始めた ということです。 すでにCDクオリティの配信を行っているということでTIDALは話題になっておりますが、M QAの技術でハイレゾリューション音源に配信もできるようになったということです。 日本では基本的にはTIDALのアカウントをとることは出来ませんがので、サンプルで試聴 しましたが、やはりMQAのハイレゾの音源の方がクオリティは高いですね。 ここでも可能性を感じます。 個人的な意見としては、各社対応をしていただければお客様も選択の幅が広がってメリッ トは大きいような気もします。 ■MERIDIAN社の多機能リモコン ■LipSync機能搭載 ブルーレイ、DVDなどの映像処理の場合は、画像と音声がずれる場合があります。 映像はHDMIでディスプレイにダイレクト、音声はPCMにてD/Aコンバーターという接続にな りますが、その時に生じるずれを補正する機能があります。 ■その他 設定画面にて Output (Fixed/Variable)、Phase(+/−)、その他ディスプレイの設定変更が可能と なります。 さて、ここでもう一つご説明をさせていただかなくてはいけません。 MQA CDの登場です。 詳細は http://unamas-label-jp.net/?p=2049 通常のCD PLAYERで問題なく再生できますが、そこからMQA対応のD/Aコンバーターにデジ タル出力にて接続するとMQAを認識して、ハイレゾ再生となります。 MERIDEIANの最新CD PLAYERの808V6でしたらそのままMQAの信号を読み取ってそのまま再生 が可能となります。 こちらは比較が出来ませんので、評価が難しいところがありますが、なんだか不思議に感 じてしまいます。 ちょっと違うかもしれませんが、昔のHDCDと似ているところがあるような気がしますが、 MQA技術の新しい考え方だと思います。 試聴レポートに入らせていただきます。 まずUSBにてミュージックサーバーFIDATA HFAS1-S10と接続しての試聴となります。 情報量に関しては、さほど目立つ訳では無いですが、聞かせどころが非常にうまく、英国 ならでは中域の落ち着きを感じます。USBの場合は5.6MHzのDSDまでとなっておりますが、 こちらもしっかり純度高く鳴らしてくれております。DAC部分の性能が良いのか、非常に 安定してハイレゾの再生もできております。 率直に話をさせてしまうと、当たり前に再生してしまうために個性があまり感じられず どういった音かと問われてしまうと、素直な音という表現になってしまいます。 この素直さに評価が分かれてしまうというところがあると思います。ただ音のバランスと 長く聞いていても疲れないところが昔からのMERIDLIANサウンドではないかと思います。 DSPによる違いですが、一般的な曲ですと正直あまり変化は少ないですが、高域成分でノ イズっぽく感じる音源ですと、違いが解ります。通常はShortで問題ないかと思いますが、 Longですと音のニュアンスがより柔らかく感じます。その分スピード感が減ったような気 がします。バッファーと似たニュアンスの違いを感じました。 さて今回話題のOTTAVA RECORDSのMQA CDを試聴いたしました。とあるCD PLAYERで再生し た時の音は44.1kHzになり、このプレーヤからULTRA DACにAES/EBUで接続した時の音の比 較になります。 臨場感も含めて、全く質感が違い、楽器の本来の味が浮き出ており、詰まった音から解放 された感じがあります。このMQAと比較して試聴すると、どこかでCDの44.1kHz/16bitのサ ウンドに耳がなれているところがあったのかと自分でも思ってしまいます。 確かに濃厚さはと聞かれると、通常のCD再生の方が濃く感じます。ただこの肩を張らない 解放された音に慣れてしまうと、音楽がスムースに耳に入ってくる印象があります。 料理と器の関係性と似ているとおっしゃった方がいらっしゃいますが、なんとなくうなず けます。 パッケージメディアとしては、CD以降に登場したのはDVD-AUDIO、SACD。 それから各社ディスクメディアの素材にこだわり、HQCD、SHM CD、そして究極のガラスCD など発売してきました。 やはり日本ではまだまだパッケージメディアの文化が強いとういうこともあり、今回新た な試みとしてMQA CDというものを発売してきました。 やはりこれは音質というよりも、「モノ」としての意識の違いで、データよりもお金を払 いたいという気持ち、再生の際の儀式といったものかと思います。ハイレゾ再生は音は良 いところもありますが、味気ないとおっしゃる方も多いですし、まだまだ面倒であるとい うことも言われます。そういったこともあり、今回MQA CDの登場に至る訳です。 私個人的な意見として、MQA対応であればその価値は十分あると思いますが、対応の機器 でなければどうなのかというところもあります。 ただ音の良さは理解できておりますので、各社対応してくれると嬉しいかなと思っており ます。 まだまだMQAに関しては、可能性を感じておりますので、しっかり勉強していきたいと思 っております。 今回はMERIDIANの紹介とMQAのご紹介をさせていただきました。 2017年4月 H.A.L.3 島 |