第3回目:エソテリック(株)御三方 を迎えて
                                           (H.A.L.3 島)

本日はエソテリック株式会社より
国内営業部の佐伯 政哉氏、音響機器事業部開発部の加藤 徹也氏
販売推進部の町田 裕之氏をお迎えいたしました。

ESOTERICさんは弊社で社内向けの勉強会もあり、その時に加藤氏と町田氏に来てい
ただくことも多く、何度も顔を合わせております。

それでは、四つ巴の対談スタートしましょう。


「島」  こんな三人に囲まれるなんて。加藤さんと町田さんはプレーヤーの勉強会
        の時依頼ですね。

     あの時はK-07、K-05、K-03、K-01、そしてクロックG-02、G-01を使用した
     社内試聴会でしたね。

     多くのプレーヤーを出してきた時に、プレーヤー単体での価格差と音質
    差は解るのですが、例えばK-07+G-02とK-05どういう違いがあるのか。
        K-05+G-02とK-03の違いは?
     これを試聴したいといくリクエストを出したんですよね。

「佐伯」島さんから言われてどうせならダイナさんで勉強会をしようと持ち上がり、
    加藤と町田に相談したのを覚えておりますよ。

「加藤」そうでしたね。

「町田」佐伯さんから今日の対談の話を聞いて私も是非参加させていただきたく、
    今日はきました。
    島さんとは同級生ですしね。
    あの時の勉強会は面白かったですね。

「島」 町田さんとは同じ歳ですので音楽の趣味もあいますね。

「加藤」私はそのちょっと上ですね。 

「佐伯」私はそのまたちょっと上ですね。

「一同」・・・

「島」  それでは改めまして本日はよろしくお願いします。
    
    私はこの会社に入る前はTEAC、TASCAMというのは知っていましたが、ESOTE
    RICというのは正直入社するまで知りませんでした。
    TEACは自分でもカセットデッキ使っておりましたし、昔の仕事でもTASCAM
    のオープンリールを使ったこともありますし、イメージ的にプレーヤーの
    イメージが強い会社ですね。
    ESOTERICの歴史って?

「町田」1987年にESOTERICとしては1号機のP1とD1を発売しました。
    
「佐伯」その時代TEACはカセットデッキの売り上げが良かった時代でしたね。

「島」 1987年ですから今から25年前ですね。というよりもESOTERICブランドが始
    まった年になりますね。CD発売が1982年ですからその5年後ぐらいですね。
   
「佐伯」実際TEACブランドではCD PLAYERは出しておりましたが、TEACの高級ブラン
    ドということでESOTERICというブランド名でP1、D1を出しました。
    ESOTERICとともにVRDSというメカの始まりですね。 

「島」 実際私が入社した時はトランスポートのP2s、D3やX-1Sをお持ちのお客様 
    が多かったように感じます。

「佐伯」多くのお客様にご使用いただき、VRDSメカはあのWADIAにも採用してもらい
    ました。

「島」 あまりにも多くの機種がありますので、もう思い出せないですね。
    ただ輸送用ピックアップねじがESOTERICの特徴だったような気がします。

「町田」詳しくはWEBで(笑)
    ESOTERICのホームページのTechnologyというところに記載がありますので、
    是非見ていただければと思います。
		
    EOSTERICホームページよりこちらをご覧ください。
    

「島」 これは解りやすいですね。

    (実はこの時点で1時間以上話をしてしまい割愛)

「島」 私が入社して3年目ぐらいでしたかね。
    1997年末にP-0が出ましたね。私の記憶ですとステレオサウンド
    で満票というか全ての選考委員の星がついていた記憶があります。

「佐伯」その通りです。
    本当に大ブレイクしました。
    ダイナミックオーディオさんにもかなりの台数をご販売いただきました。
    あの時は発売前の受注で400台ぐらいありました。
    
    ただお褒めのお言葉と当時に色々なご指摘も多かったですね。
    
    動作音や機能面ですね。

「島」 加藤さんはP-0に携わっていたんですか?

「加藤」私は上司が作り上げている姿を横で見ておりました。
    凄く苦労して作り上げてました。
  
    色々な機能があったのですが、リファレンスモードで再生できないという
    話も多かったですね。

「島」 私も上司のお客様への納品で動き回りましたね。
    あの梱包は非常に良かったですね。


「佐伯」実はあの時代にSACDの話もあって問い合わせも多かったです。

「島」 あの時代トランスポートだけでDACが無く、出すような話もあったような。
    またSACD対応するような色々な噂だけはありました。

「佐伯」そう幻のD-0、F-0(笑)

「島」 当時はdCSとの組合せやVictorのDAC、MARK LEVINSON、WADIAなど様々な組
    み合わせを見ましたね。
    クロックもついていましたので、特にdCSが多かったと思います。あの時は
    ELGARでしたかね。

    それからP-0Sになっていきましたね。

「加藤」P-0Sは回転音も含めていろいろ見直しました。
    実際私はまだ関与しておりませんでしたが・・・。
    この時代はP-0を使ってdCSのD/D、D/A、そしてクロックという組合せ
    のお客様もいらっしゃいましたが、それを1台ですませるといったLINN CD
    12の存在もありCDが面白かったですね。
    この後のモデルから私が設計に携わり、DUAL出しのトランスポートP70とDA
    CのD70。44.1kHzではなく、トランスポート側でアップサンプリングしてAE
    S/EBUのケーブル2本で送るようにしました。

「島」 CDが面白かった時代ですね。
    あの時SACDが出てきた時代でSACD PLAYERになるとCDの音質が落ちるだろう
    ということでCD PLAYERが非常に売れた時代で、P70&D70 VS MARK LEVINSO
    N NO390SL VS WADIA861でしたね。
    三者三様面白かったです。この時代は私は5555の6Fで営業しておりました
    ので良く覚えております。
    これが2002年ですね。

    詳しくはWEBでではないですが、私の6F時代のレポートです。
		
		こちらになります。
    
    ただあの時ブラックカラーで、WADIAだけシルバーモデルがあり、それで
    WADIAを選ばれたお客様も多かったですよ。


    ESOTERICとCHORDのDAC64の組み合わせも非常に多かったですね。

「町田」確かに多かったですね。DUAL受けが出来るということだったのですが、
    互換性の問題もあり問い合わせも多かったです。
    色の問題は本当重要ですよね。

「島」 確かに・・・
    しかしこの時代のお客様の履歴を見ているとヴァージョンアップも
    多いですね。
    
「加藤」そうですね。発売時に出来なかったことを色々と・・・
    
「島」 この時代DV50もヒットしておりますね。ユニバーサルプレーヤーですね。

「佐伯」そうですね。ESOTERIC初のSACDがかかるプレーヤーでDVD-AUDIOにも
    対応しておりました。
    
「町田」ただ普通のメカではなく、VRDSメカで作って欲しいという要望も多かった
で
    すね。

「加藤」この時は某メーカーさんのメカを採用して作らせていただきました。

「島」 それはそうとこの時期に自社のクロックジェネレーターG-0SとG-0を発売し
    ましたね。

「加藤」P-0もそうですが、それ以前よりクロック入力は装備させており、dCSの992
    を使用しているお客様が多く、当時タイムロードさんがルビジウム発信機
    クロノスを出して話題になっておりました。
    自社開発したい気持ちも強く、やっと発売しました。その時はクリスタル
    のみのG-0とルビジウム搭載のG-0Sの2種類を出しました。

「島」 P70とD70をお使いのお客様にご購入いただきました。
    
    アンプを出したのもこの時期ですね。

「佐伯」本格的なアンプとして出したモノアンプA-70ですね。
    ハイエンド総合メーカーとしてアンプも出したいということで
    の一号機です。
    どうしても昔からプレーヤーのイメージが強かったですが、
    作ってみると販売店、お客様より色々な意見がありました。

「島」 そうでしたね。当時6Fではコニサ―の4.0やレビンソンで鳴らしてました
    が、どうしてもプリアンプが無いと・・・
    ただESOTERICって音でしたね(笑)
    
    翌年の2004年はケーブル時代突入ですね。

「加藤」三菱電線工業と共同開発したMEXCEL(メクセル)ですね。
 
「佐伯」特に8Nの電源ケーブルのPC8100とPC8000。
    PSE問題で電源ケーブルが市場に少なかった時でしたし、限定生産
    でしたので、ダイナさんには本当に多くご販売いただきました。

「島」 そうでしたね。これだけの価格にも関わらず多くのお客様に購入
    いただきました。実際良かったですものね。固かったですが(笑)
    デジタルケーブルの7N-DA6100も良かったですね、

「町田」2004年はケーブルもありましたが、もっと重要なVRDS-NEO時代です。

「加藤」VRDSを使ったSACDメカの登場。NEOという言葉は島さんも良く知っている
    お方が名づけ親です。

「島」 そうですね。良く知っております。(笑)
    VRDS-NEOといえばCD/SACD PLAYERのX-01、UX-1ですね。
    私が4FH.A.L.3を始めたのがこの年でした。
    4FはもともとはCINEMA H.A.Lというネーミングでやっておりましたが、
    私が6階からおりてきてH.A.L.3に名前を変えました。
    この時は6FでX-01を展示し、4FではSACD、DVD-AUDIOのマルチ再生が
    出来るようにしておりました。

    SACD VS DVD AUDIOという時代もありましたね。

    SACD再生でもX-01よりUX-1が好きなお客様もいらっしゃいましたよ。

「加藤」はい。X-01とUX-1は音づくりを少し変えております。
    クオリティはX-01ですが、UX-1の方が控えめな音づくりですね。

「島」 4Fでは展示していたUX-1の方が出荷は多かったですね。
   
    それから数年後にX-01Limited、そしてX-01D2とこのXシリーズは3世代
    続きましたね。
    UX-1はDVIからHDMIに変わったりしてきましたが、
    基本的にヴァージョンアップで対応させてきたのが本当に頭が
    下がります。

「加藤」ありがとうございます。

「町田」その間にも路線の違うシリーズもありました。
    SZ-1とUZ-1。AZ-1ですね。
    デザインも重要だということで、スリム化したモデルを発売しました。

「島」 このモデルは5555では全フロア展開しました。
    私は凄く気に入っていたのですが、値段が少し高かったかなというイメー
    ジもありました。

「加藤」P-0もそうでしたが、どうしても筐体の価格が高くてその値段になってし
    まいます。何とかSシリーズにマイナーチェンジして、コストを下げること
    ができました。これも筐体の価格を下げることができたのが要因ですね。

「島」 そうなんですね。
    また話を戻すのですが、X-01からlimited、D2と音が良くなって言ったとい
    うこともありますが、どんどんマイルドになってきた印象がありました。

「加藤」実際そうかもしれません。情報量などの評価は非常に高い中で、苦手とい
    うお客様もいらっしゃいましたし、最初は良いディスクは良く再生し、悪
    いディスクは仕方ないという考え方で、クオリティ重視なところもありま
    した。

「佐伯」実際私が営業で回っていた時も色々な意見が出てました。
    情報量は凄いけど・・・みたいな

「島」 確かにそういう話もお客様から頂戴することもあります。
    これは全てのメーカー共通ですし、だからこそオーディオが面白いんです
    よね。
 
「町田」そうなんですが、やはりもっともっという気持ちが開発の方でもありまし
    たしね。開発推進はやはりお客様の意見というのも重要ですからね。

    それはそうと一体型だけではなくてセパレートにも力を入れておりました。
    2004年にフラッグシップP-01、D-01。2005年にP-03、D-03ですね。
    D-01は本当ありったけのノウハウを注ぎこみました。翌年にはP-03ユニ 
    バーサルも作りました。
    

「島」 P-01、D-01はそんなに前でしたか?
    また凄い物作ったなという印象でしたが、音も凄かったですね。
    話もどりますが、X-01D2のシャッター機能はかっこ良かったですね。

「加藤」CDは大丈夫なんですが、SACDは回転数が速く、どうしても静かな場所で
    すと聞こえてしまい、それを解消するために付けた機構です。

    
「島」 あのトレイの技術は凄いなぁと今でも感心です。
    実に楽しいですね。こういう話

「佐伯」私もなんか昔話している感じ。販売店の方とこういう話も良いですね。
    
「島」 話をするときりがないですが、X-05やセパレートのP-05、D-05もありまし
    たが、印象に残っているのはESOTERICブランドでだしたディスクですね。
    特にアナログレコード。プレミアもついているんではないですか。

「佐伯」弊社の当時の社長の大間知が生粋の音楽好きでしたからね。
    基本的にはオーディオショップでの販売がメインで始めました。
    このディスクを知ったお客様に是非オーディオショップに足を運んで
    欲しいという気持ちからですね。
    
「島」 今でも定期的に出してきており、お得意様がディスクを購入しにきてくれ
    ます。本当好評ですよね。

「佐伯」おかげさまで

「島」 そろそろKシリーズに入りましょうか?
    
    X-01D2を展示しており、その展示機をもってESOTERICに殴り込みでしたね。

「佐伯」デモ機の用意が出来ず、すいませんでした。
    
「島」 いいえ冗談ですよ。いち早く聞きたかっただけです。
    実際聞かせてもらった良かったですね。
    
    レポート書きましたね。
    詳しくはWEBで・・・
		
    こちらをご覧ください。
    
       

    Kシリーズは加藤さんのK?

「加藤」現社長の勝村のKですよ。
    それも冗談ですが・・・

「町田」型番つけるのも大変なんですよね。
    
「島」 Kシリーズは2010年秋ですからもうすぐまる3年ですね。
    早いものですね。
    4Fでは展示しているK-01の出荷が多く、K-03は1台のみ販売です。

「佐伯」おかげさまで今でも順調ですね。
    実際島さんのとこはそうですが、トータルするとK-03のほうが売れており
    ます。

    最初はK-01の勢いがあったのですが、K-05が出てきてからK-03が急激に
    伸びてきました。

    K-03とK-01を比較するとK-01ですし、K-05とK-03を比較するとK-03
    となるのだと思います。

「島」 納得です。

「加藤」実はK-03の定価は頑張っているんですよね。
    本当なら・・・

「島」 色々あるんですね。

「町田」おかげさまで実際これだけ支持されるとは思いませんでした。
    ディスクメディアの将来と考えた時に社内でも色々な意見もありましたが、
    目標数は超えることが出来ました。
    実際K-01は3年間でX-01、X-01Limited、X-01D2の出荷数を超えることが出
    来ました。

「島」 そうですか。でも実際USB入力があるというのも大きかったのではないです
    か?
    4FではUSB経由での再生の方法もお客様にお教えすることもあります。

「町田」それもあると思います。ただご使用されているお客様はまだまだそんなに
    多くはないと思います。実際デジタル入力を活用されている方もそんなに
    多くはないですね。

「島」 しかし全国でそれだけの販売数というのは驚きです。
    さすがESOTERICですね。

    K-01はXシリーズからのヴァージョンアップできませんので、買い替えにな
    りますが、私の方ではX-01D2から買い換えたお客様も数名いらっしゃいま
    す。同じ金額への買い換えというのは一般的には路線変更でメーカーも変
    わってくることが多いですが、今回は違いましたね。
    それだけ認められた証拠ですね。

    私が感じたところをお客様も感じてくれたのではないかと思います。

「加藤」ありがたいお話です。
    ただK-03の方が好きというお客様もいらっしゃいます。
    K-03のほうが昔のESOTERICのイメージが強いのかもしれません。

「島」 確かにそうですね。
    最後に何かお話ししたいことはありますでしょうか?

「町田」おかげさまでディスクプレーヤーは評価されておりますが、アンプ
    のほうですね。

「島」 これはイメージもあると思います。
    アンプは海外のメーカーもあり、競合です。
    デザインもありますし、サイズもありますし、イメージもあると思います。
    
    どうしても弊社の場合は海外ブランドの取り扱いも多いですからね。

「佐伯」音に関しての評価はいただいておりますが、やはりそういうところですか
    ね。

「町田」この辺りは我々も日夜研究しております。

「加藤」時間はかかるとは思いますが、しっかり作っていきますので、
    長い目で見ていただければと思います。

「島」 実際ESOTERICのPLAYERは海外製品と合わせやすい色ですので、そういうと
    ころもお客様の選択になると思います。
    
    最近では昔ほどプリアンプがやたら人気だとか、パワーアンプが人気だと
    かというのは少なくなっております。

    プリとパワーを合わせるお客様の方が多くなってきており、総合的に
    判断されます。

    もちろん重さというところもパワーアンプに関してはあると思います。

    ただ良さを理解してくれているお客様もいらっしゃいますので、ご安心
    ください。

    ESOTERICさんのパワーアンプはカスタマイズしてスタジオに入っていると
    も聞いております。最近音づくりがかわっているのもそのせいもあるんで
    すよね。 

「加藤」以前は録音の良し悪しを露骨に表現するような音でしたが、スタジオ関連
    の方々とお話をしているとそうではいけないと感じました。
    音楽の本質を表現できるような表現力をもった音でないと、録音現場でも、
    音楽好きなお客様にも受けいれられないということですね。
    録音現場の意見も重要ですね。


「島」 Kシリーズになって音が変わったのはそういうところからなんですね。
    話を続けると朝までかかりそうですね。

「町田」今度島さんのところでESOTERICユーザー様にご参加いただいた友の会的
    なものをやりたいですね。

「島」 ESOTERIC愛好会的なことですね。

「佐伯」良いですね。でもこれからESOTERICを欲しいなと思っているお客様のご参
    加も良いとは思いますが・・・

「島」 そうですね。
    こういう話って聞いていて面白いところもありますし、加藤さんと
    町田さんが話すとコアな部分まで聞けますしね。
    
    佐伯さんと相談して企画します。
    
    
    今日は御三方遅くまでお付き合いいただき有難うございました。

    この時間帯だと飲みにもいけませんが(笑)

    しかし4時間の対談でしたが、面白かったです。	


2013年7月16日 H.A.L.3 島